軍艦美少女とともに戦い、恋愛せよ。シミュレーションRPG『Victory Belles』

第250回目のIndie Pickで紹介する『Victory Belles』は第二次世界大戦を舞台としたシミュレーションRPGだ。プレイヤーは軍艦の船長となり、軍艦を擬人化した美少女たち「Belle」とともに第二次世界大戦の混迷に身を投じ、誰も到達しえぬ暗い秘密にたどり着くこととなる。

【UPDATE 2016/5/16 19:00】 『Victory Belles』のKickstarterキャンペーンが、初期目標額となる3万ドルを突破した。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第250回目は『Victory Belles』をピックアップする。

Victory Belles』は第二次世界大戦を舞台としたシミュレーションRPGだ。プレイヤーは軍艦の船長となり、軍艦を擬人化した美少女たち「Belle」とともに第二次世界大戦の混迷に身を投じ、誰も到達しえぬ暗い秘密にたどり着くこととなる。

軍艦擬人化美少女ゲームといえば、日本国内で大ヒット中のブラウザゲーム『艦隊これくしょん』が有名だ。『艦隊これくしょん』はF2Pブラウザゲームにおける擬人化ブームの嚆矢となった作品であり、フォロワーも複数登場している。『Victory Belles』 もフォロワーのひとつといえるだろう。開発を手がけるBlack Chicken Studiosは現在Kickstarterにて支援を募集しており、iPhone/PCブラウザ向けのF2Pゲームとしてリリースを目指している。

 

アリューシャン列島のキャンペーンシナリオ画面。Morganaの支配地域に対し、航路・偵察・爆撃等をプレイヤーが指示・決定する。
アリューシャン列島のキャンペーンシナリオ画面。Morganaの支配地域に対し、航路・偵察・爆撃等をプレイヤーが指示・決定する。
ヨーロッパは戦火に包まれ、極東には大日本帝国の影が伸び、枢軸国・連合国・それ以外の国の岐路が別れる第二次世界大戦の開戦日であったはずの、1939年9月1日。この世界ではそれは起こらず──代わりに起きたのは、人類の敵の出現だった。あらゆる海に現れた彼らは「Morgana」と呼ばれ、全人類への敵対を宣言。この新たな敵の出現に対し、枢軸国と連合国は再びの団結を余儀なくされた。プレイヤーは軍艦の船長(Captain)となり、Morganaと戦っていくことになる。

 

軍艦の魂──「Belle」

Morganaと戦う海軍に力を貸すのが、麗しき「Belle」だ。彼女らは同名の艦の魂が目覚め、美少女の形を取った存在である。Belleを甲板にいただく艦はより強く、より正確に、艦の性能を凌駕する動きを発揮することができるのだ。

総数120を超えるBelleたちは、1939年当時海軍力で世界最強を誇っていた7か国──アメリカ合衆国・大英帝国・ソビエト連邦・ナチスドイツ・フランス・イタリア・大日本帝国──の軍艦(および海軍所属船)だ。プレイヤーは彼女たちを編成・指揮し、世界を脅かすMorganaと戦ってゆく。

美しくも強力な軍艦であるBelleたち。画面で紹介されているのは左上からアメリカの航空母艦レキシントン (CV-2)、イギリスのB級駆逐艦ブルドッグ、イタリアのソルダティ級駆逐艦カミチア・ネーラ、日本の重巡洋艦熊野、フランスの軽巡洋艦ラモット・ピケ、ソビエトのキーロフ級巡洋艦キーロフ。
美しくも強力な軍艦であるBelleたち。画面で紹介されているのは左上からアメリカの航空母艦レキシントン (CV-2)、イギリスのB級駆逐艦ブルドッグ、イタリアのソルダティ級駆逐艦カミチア・ネーラ、日本の重巡洋艦熊野、フランスの軽巡洋艦ラモット・ピケ、ソビエトのキーロフ級巡洋艦

indie-pick-250-victory-belles-003プレイヤーはゲーム開始時に、7か国の中から所属国を選択することになる。このゲームでは所属国とは関係なく、他国所属の軍艦を編成することができるが、プレイヤーは所属国の研究・開発・政治に影響をおよぼすことができ、新開発の装備等を使うことができるようになってゆく。

プレイヤーは国家が所有する基地を使うことができ、基地の防衛とレベルアップを行うことで、補給や火力アップ等が可能となる。基地をレベルアップさせていけば、Morganaに対して爆撃を行う航空機設備を揃えることもできる。

シミュレーションではないが、Belleの服を制作することもできる。普段とは違うかわいらしい服で着飾ったBelleたちは、ゲーム画面を大いににぎやかしてくれることだろう。

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戦闘はターン制となっている。戦闘詳細によると、開幕戦闘(航空攻撃および制空戦闘)が終わると、次に超長射程射撃が行われる。次に長距離・中距離・短距離の3種類の距離で戦闘が行われるが、それぞれの距離ごとに航空戦・戦術・射撃という3つのフェーズが存在する。航空戦フェーズでは航空機による偵察・制空・攻撃が行われる。戦術フェーズでは艦種によって特殊な行動を取ることができ、潜水艦であれば不意打ち、対潜装備を持つBelleであれば対潜戦、駆逐艦であればスモークを焚くなどの行動が可能だ。射撃フェーズでは旗艦の指示にしたがって砲撃を行う。戦闘は距離が長い順に解決され、最後には近距離戦となる。この3フェーズをまとめて「ラウンド」と呼び、ラウンド数はBelleたちが継続して参戦できる時間単位となっている。

『Victory Belles』における日中戦闘のフローチャート。動画でも戦闘中の画面が公開されている。各フェーズの最初に航空攻撃が発生し、中・短射程射撃の前には雷撃戦が発生する。
『Victory Belles』における日中戦闘のフローチャート。動画でも戦闘中の画面が公開されている。各フェーズの最初に航空攻撃が発生し、中・短射程射撃の前には雷撃戦が発生する。
Belleたちはレベルアップにより成長する。Belleたちの特殊能力値である「Endurance(忍耐)」は、参戦できる限界となるラウンド数を示しているのだが、通常は1しかない。これはレベルアップにより成長させることができ、旗艦となったBelleには場合によってボーナスが与えられる。またBelleたちは、レベルアップによって海軍信号旗の意味を覚えていく。Belleたちが最初に知っている信号旗は「総攻撃」だけであり(変更は可能)、レベルアップによって戦術の幅を広げていくことになる。

戦闘は日中のみに起こるとは限らない。むしろ日中戦闘は理想的な状況であり、最も多いのは夜間戦闘となる。夜戦では一部の戦闘距離が消滅し、短射程のみとなり、最終的には近距離戦となる。航空母艦は夜戦で大したことができないため、撤退させるのがよいだろう。短射程戦では射撃が互いに正確になるため、非常に危険な戦闘だが、敵を驚かせる戦術や正しい艦種選択、そして何よりも幸運を味方につけていれば、勝利をつかむことができるはずだ。

『艦隊これくしょん』等に馴染んだプレイヤーであれば想像がつきやすい部分もあるだろうが、要素が多いので違ってくる点もあるだろう。

 

Belleたちとのロマンス

アドベンチャーパートの一部と思われる画面。
アドベンチャーパートの一部と思われる画面。

あらゆるBelleたちは個性ある人格を備えており、プレイヤーは海戦を通して彼女たちとの結びつきを得るが、個々の艦船との恋愛シナリオを攻略することで、その絆をもっと深めることができる。このようにキャラクターとプレイヤーの関わりを前面に出した部分は、既存の軍艦擬人化ゲームにはなかった部分であり、新しいチャレンジとして注目される。

 

公開されている駆逐艦吹雪のイラスト。末妹の電と衝突して沈んだ妹である深雪が持っていたひざ掛けを手放さない、大人びた長姉キャラとなっている。
公開されている駆逐艦吹雪のイラスト。末妹の電と衝突して沈んだ妹である深雪が持っていたひざ掛けを手放さない、大人びた長姉キャラとなっている。

『Victory Belles』ではこういったキャラクターの確立とアピールへ熱心に取り組む方針のようであり、Kickstarterでのアップデートでは一部のBelleの紹介が行われている。現在までにイタリアの駆逐艦エスペロの紹介日本の駆逐艦吹雪のインタビュードイツの戦艦シャルンホルストのインタビューが公開されている。

ちなみに、同時進行で複数の軍艦との恋愛シナリオを進めることもできるが、彼女らは美しくも危険な存在であることをどうかお忘れなきよう。三角関係が主砲の撃ち合いに発展したら……。

Kickstarterでは、出資額に応じてPCの壁紙から限定Belle、スターターパッケージやコレクターズボックスといった特典がつくキャンペーンを展開中。現在の出資額は55%を達成しており、期間は残り18日となっている。最高額1000ドルの出資では、9体の限定Belleやコレクターズボックス、アートブックといった特典に加え、カスタムBelleのデザイン権が獲得できる。

ここ数年ブームとなっている軍艦擬人化美少女ゲームの波は、ついに欧米にまで到達した。

豪華声優も起用しており、力の入れようがうかがえる。Belleたちは所属国の母国語でしゃべるため、これだけの言語で演技ができる声優を採用するだけでも一苦労だっただろう。かわいらしいイラストを担当するのはSalmon88氏。

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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