水没した街を探索する3DADV『水瓶上のフェルマータ』開発中。ローポリゴンで描かれた退廃的な世界

『水瓶上のフェルマータ』は、クリエイターである休符氏が開発中の、水没した街の水位を下げる3Dアドベンチャーゲームだ。舞台になるのは、見渡す限りが水に覆われた街。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たこと無いような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第663回は『水瓶上のフェルマータ』を紹介する。

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『水瓶上のフェルマータ』は、クリエイターである休符氏が開発中の、水没した街の水位を下げる3Dアドベンチャーゲームだ。舞台になるのは、見渡す限りが水に覆われた街。上部を水面に覗かせる4棟の団地、一部が赤く変色した建物、崩れ落ちた構造物の残骸。水に飲まれ一変した景色には、かつての文明の残滓がはっきりと残されており、世界の状況を想像させる。水没した団地や水面下にある巨大な人工洞を探索し、街の水位を下げることが本作の目的であるようだ。

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動画ではロボットを操作し、水面にかけられた長い橋の上を歩いたり、ジャンプしてそのまま水面下へ潜り、水中に沈んだコンクリートの中を探索する様子が映されている。画面内の情報によると、彼の名前はフェルマータ。フェルマータには、浮遊できるジェットパックや射撃兵装が搭載されており、ローリングによる回避もできるようだ。こうしたアクションを使って水没した世界を探索していくのだろう。資料によると、ボスとの戦闘もあるという。

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本作の特徴は、ローポリゴンで構築された退廃的な世界観だ。粗いグラフィックで表現された少女や建物は味があり、どこかミニチュアのようにも見える。動画では幻想的なBGMもあいまって、美しくも儚い雰囲気が伝わってくるようだ。

昨年公開された資料によると本作のコンセプトは、1990年代後半から2000年代前半のPlayStation作品に影響を受けた映像表現。初代PlayStation風のグラフィックを採用しつつも、当時のハードで動くことを意識して3D描画の制限などを設けることなどはせず、現在の技術で当時の雰囲気を再現することが目的だという。

『水瓶上のフェルマータ』を開発しているのは、国内のサークルrest labの休符氏だ。休符氏は、『ロックマンDASH』シリーズや初代PlayStationぐらいのグラフィックのゲームを好んでおり、イラストレーターとしても活動。2018年から開発がスタートし、ディレクターやモデリングを担当する同氏以外に、ロゴ、キャラクターデザイン、プログラム、楽曲、ボイスなど、協力者と共に開発が進められている。

『水瓶上のフェルマータ』のリリース時期は未定。同氏のTwitterでは、動画やスクリーンショットが公開されているほか、PIXIV FANBOXでは支援者向けにより詳細な進捗が明かされている。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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