発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第591回目は『The Murder Mystery Machine』を紹介する。
『The Murder Mystery Machine』は、刑事となり、殺人事件の謎を解くアドベンチャーゲームだ。現場を検証し、証拠品を見つけ、聞き込みを繰り返し、人々を集めて疑わしき人物を告発する。この流れ自体は通常のアドベンチャーゲームと変わりない。本作のユニークな点は、殺人事件が自動生成される仕様にある。
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本作では、開発元が作り出した独自のエンジンによって、無数の殺人事件が生成されるという。このエンジンの仕様について詳細は明かされていないが、殺人事件そのものが生成されるということは、証拠や犯人や動機などすべての構造が変化していると考えられるだろう。またそれぞれの殺人事件には、核心を彩る豊かな物語と、プレイヤーを欺くトリックが仕掛けられているとのこと。事件を解決していけば、刑事として昇進し、新たなプレイリストやカスタマイズへのアクセスが可能になる。また殺人事件は解決するだけでなく、自分で作り出すこともできるという。開発元は、作れる殺人事件は無限大であることを強調している。
殺人事件は解くだけでなく生み出すにも、相当な工夫が必要だ。複数のレイヤーが絡み合い、生まれるものだからだ。複雑なレイヤーが絡みあう殺人事件を自動生成し、さらにそのひとつひとつに物語を導入するというのは、なかなかどのような内容になるのか想像するのも難しいところ。クエストの自動生成はAAAタイトルなどでは進められていたり、ストーリーの自動生成は最近では『Living Dark』にて導入されると発表されているが、殺人事件の自動生成というのはあまり聞いたことがない。開発元は、本作のリプレイ性を押し出しているが、何度も解決したくなるような“上質な”殺人事件は発生するのだろうか。
開発を手がけるのは、イギリスのインディースタジオBlazing Griffin。飛行船にて騙し合い殺し合う対戦ゲーム『Murderous Pursuits』の開発元と表現すればピンとくる方がいるのではないだろうか。『The Ship: Remasted』や前出の作品を手がけたスタジオは、騙し合う対戦ゲームから少し離れ、今度は自動生成による実験作を作り出そうとしているようだ。
『The Murder Mystery Machine』は、2019年上半期にSteamにて早期アクセス販売予定。基本システムはすでに実装されており、開発が進むにつれてコンテンツが増えていくとのこと。どのような作品に仕上げられるのか気になる方は、ウィッシュリストに追加しておこう。