モンスター育成×メトロイドヴァニアなRPG『Monster Sanctuary』開発中。奥深い戦闘育成とシンプルなアクションの融合が光る

今回紹介するのは『Monster Sanctuary』。『Monster Sanctuary』は、メトロイドヴァニアゲームとモンスター育成RPGを融合するという意欲的な作品。デモ版をプレイしてみたが、なかなかよくできているという印象だ。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第585回目は『Monster Sanctuary』を紹介する。

『Monster Sanctuary』はインディースタジオMoi Rai Gamesが手がけるRPGだ。舞台となるのは、人間とモンスターが共生する世界。人間とモンスターが共存する文化に亀裂が入りつつある世界を、とある一族の若者が冒険するというオーソドックスなシナリオとなっている。本作の最大の特徴は、モンスター育成RPGというジャンルと、メトロイドヴァニアスタイルのアクションゲームを融合させている点だ。開発者も自ら“メトロイドヴァニア”ゲームと称している 。

本作では、プレイヤーは横スクロール型のフィールドを探索する。フィールドには、NPCやモンスターもうろついており、モンスターに接触することで戦闘が開始。ここで横スクロールのアクションパートからRPGパートへと切り替わる。RPGパートはお供のモンスターに指示を与えて、ダメージを削り切ることを目指す。MPを消費しスキルを発動、攻撃を与えて敵を倒せば戦闘終了だ。戦闘が終われば、横スクロールの探索パートに戻ることになる。『ヴァルキリープロファイル』のような流れと説明すればわかりやすいだろうか。

一見すれば、モンスター育成RPGとメトロイドヴァニアを“単にくっつけた”という印象を持つかもしれない。しかしデモ版を遊んだ限りでは、本作はそのふたつが絶妙に融合されている。まず本作の戦闘が奥深いことを強調しておきたい。戦闘では、モンスターと、モンスターが使用できる最大3種類の属性が存在する。『ポケットモンスター』のような戦闘システムだと考えてもらえればいいだろう。攻撃の演出もテンポの良さと派手さが両立されており、攻撃を加えるのが楽しい。

戦闘ではコンボカウンターというシステムが存在しており、数多く攻撃を加えたりすれば与えるダメージが多くなっていく。ダメージを与えるのが苦手なサポートモンスターも、コンボカウンターにおいては攻撃に貢献できるといった工夫が凝らされている。そしてもっとも重要なのが、本作では戦闘終了ごとにその戦いぶりが逐一評価されること。最大★5のレーティングシステムで評価される。審査の対象となるのは、敵の強さ、かけたターン数、受けたダメージ、オーバーキルの値だ。評価が高ければ、レアアイテムが入手しやすく、さらには倒したモンスターの卵が獲得しやすくなる。スマートに倒すことで、レアな装備とモンスターを獲得できるわけだ。

モンスターは戦って経験を積むうちにレベルが上がり、スキルポイントを獲得する。スキルツリーから技を取得していくことで、新たなスキルが使用可能になり、戦い方が広がっていく。成長させていけば、モンスターはライト/ダークバージョンに変身する。変身することで、新たな能力や特性を獲得するとのこと。それぞれのモンスターにはいくつかの装備を装着させることが可能。装備はアップグレードも可能なので、良い武器をモンスターに与えて攻撃力を底上げしてあげよう。そしてモンスターの能力は、探索パートにもつながる。仲間モンスターはそれぞれ固有スキルを持っており、たとえば鳥のモンスターを入手すれば、高所までたどり着くことができる。宝箱の入手や新たなエリアの開拓につながっていくわけだ。

本作の主役はあくまで戦闘と育成。そこにメトロイドヴァニア要素をプラスした形となる。探索パートはシンプルであるが、それが戦闘と育成の良いアクセントになっている印象だ。シンボルエンカウント形式であるので、戦闘をしたくなければモンスターとの接触を避ければ良い。戦闘と育成は奥深く、探索はシンプル。このふたつの要素が巧みに融合されている印象だ。

Moi Rai Gamesは、2人のスタッフで構成されたドイツのフランクフルトに拠点を構えるスタジオ。本作のプログラムとデザインをおこなうDenis氏は、Eric Barone氏が手がけた『Stardew Valley』に影響を受け、3年にわたり空き時間を使って本作を開発してきたという。システムの基本部分は、8割はすでにできあがっている状態であるが、コンテンツをもっと増やしたいと考えているようだ。2019年中頃からSteamでの早期アクセス配信をスタートさせ、2020年の後半には正式リリース予定。

Moi Rai Gamesは、今月23日より『Monster Sanctuary』のKickstarterキャンペーンを展開中。デモ版の完成度の高さが良い影響を与えたのか、わずか 12時間で目標金額である2万ユーロの集金を達成。10月24日15時時点で、その倍にせまる3万6000ユーロを集めている。キャンペーン期間はまだあと29日にわたることを考えると、金額はさらに伸びていくだろう。収録モンスターは現時点で50種類の予定であるが、集まった資金によって追加していくといい、9万ユーロが集まれば90種類にまで増加するようだ。6万ユーロ集まればNintendo Switchでのリリースも確定するとのこと。本作に興味のある方は、一度SteamGame Joltで配信中のデモ版をさわってみてほしい。育成RPGというジャンルが好きな方ならば、きっと本作にも魅了されるはずだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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