MMORPG『ツリネバ』、日本でヒット中らしい。開発者によると日本人プレイヤー印象は「礼儀正しい」「他人に迷惑をかけるのを嫌がる」、なぜ「デジモンアドベンチャー」コラボ、いろいろ訊いた

『ツリネバ』の日本の人気が高いようだ。日本市場やユーザーの所感や、「デジモンアドベンチャー」コラボの経緯を開発者に訊いてみた。

Qookka Gamesより展開されている『ツリーオブセイヴァー:ネバーランド』。『ツリーオブセイヴァー』シリーズ作品であり、「世界に繋がり、みんなで冒険するRPG」を掲げている。対応プラットフォームはPC/iOS/Android。

同作はアジア各地域で展開されている。その中でも日本の人気が高いようだ。先日「デジモンアドベンチャー」コラボがあったのも、その日本人気の高さを象徴しているかもしれない。日本市場やユーザーの所感や、「デジモンアドベンチャー」コラボの経緯を開発者に訊いてみた。

――自己紹介をお願いします。

敦敦氏:
皆さんこんにちは。『ツリーオブセイヴァー:ネバーランド(以下、ツリネバ)』のプロデューサーを担当しております敦敦(トントン)と申します。 今年でゲーム業界に携わって10年目になりますが、本作は私がプロデューサーとして初めて手がけたタイトルです。このように多くの方々にご注目、ご支持をいただき、大変嬉しく思っております。

私自身のゲームとの出会いは、多くの中国のプレイヤーと同じくMMOから始まりました。「夢の世界」「仲間」「冒険」といった言葉は、プレイヤーとしての私たちの心の中に刻まれているように感じています。また、日本の名作である『ドラゴンクエスト』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズも大好きで、これらの作品が私たちにとってゲームを創る原動力の一つになっています。

――ありがとうございます、担当されている『ツリネバ』について教えてください。どういうゲームなのでしょうか。

敦敦氏:
私たちゲーム開発者にとって、ゲームとは単なる仕事ではなく、生活の一部でもあります。日々の悩みやストレスを忘れ、警戒することなく、心温かい仲間たちとリラックスしながら笑い合えるような、そんな体験を提供したいという想いから、『ツリネバ』を制作したいという構想が生まれました。私たちが目指したのは、温もりと愛にあふれた世界、そして人々で賑わう世界です。この世界で癒やされ、自分自身の勇気を実感し、仲間の優しさを感じ、集団の力を体験してほしいと願っています。

そのため、ビジュアルには手描き風のアートスタイルを採用し、冒険という異世界の永遠のテーマにふさわしく、豊富なコンテンツとバトル体験を用意しました。さらに、生活という要素を重視し、生活系職業のスキルも戦闘に大きく貢献するよう設計しています。また、友情を大切にするため、多くのゲーム内資源は売買ではなく、贈り物として入手可能としました。

私たちはすべてのプレイヤーがチームの中で「見られる」存在であってほしいと考えています。だからこそ、「タンク・ヒーラー・アタッカー」という職業の役割を明確にし、小規模な騎士団の上限人数にもこだわり、より多くのプレイヤーが自分だけの個性や立場を持てるように工夫しています。

――『ツリネバ』は昨年10月にローンチしました。現在もサービスも続いておりセールスランキングでも見かけます。日本でのサービスは好調ですか?

敦敦氏:
まず初めに、ツリネバを温かく応援してくださっている日本のプレイヤーの皆様に、心より感謝申し上げます。サービス開始以来、私たちは日々プレイヤーの皆様の熱意に圧倒されています。ゲーム内での挑戦に立ち向かう情熱や、仲間との心温まる交流、さらにはコミュニティに投稿される数々の創造的なファンアート――、それらすべてから、地域を超えた感情の共鳴を感じています。

日本での反響としても、リリース直後にはiOSおよびGoogleの両ストアにおいて、ダウンロード数と売上ランキングの両方で上位にランクインすることができました。特に、プレイヤーのアクティブ率と定着率が当初の予想を上回ったことに大きな喜びを感じました。

このような熱意に応えるため、ゲーム内では日本をテーマにした「桜花祭」バージョンを実装し、日本の皆さんにもっと楽しんでいただけるよう、日本らしさを取り入れたゲームコンテンツをお届けできるよう努めています。また、皆様からの「頑張ってください」「感謝いたします」「お疲れ様です」といった言葉の一つ一つが、私たち開発陣の大きな励みとなっております。本当にありがとうございます。

――なるほど。日本向けに気合が入っているように見えるのは、ユーザーが多いというも関係していそうですね。『ツリネバ』はアジアの各地域で展開していますが、日本ではどれくらいの規模ですか?

敦敦氏:
日本はツリネバのグローバル展開において、非常に重要な地域のひとつです。私たちは癒やし系のゲームが日本のプレイヤーの間で非常に人気があると考えており、また、長く遊んでくださる傾向が強いとも感じています。 そのため、より精度の高いローカライゼーション戦略を重視しており、日本向けに専用のコミュニティ運営やユーザーサポート体制を整えています。加えて、いただいたフィードバックやご意見をもとに、日本のプレイヤーに適したコンテンツをバージョンアップの際に反映しています。先ほどの「桜花祭」バージョンも、その一環です。

また、生活系職業やファッション染色機能についても、日本の皆様の声をもとに最適化を進めております。現在、日本地域における累計ユーザー数はすでに約100万人に達しており、私たちはすべてのプレイヤーの声を大切にしています。あるプレイヤーの方が言ってくださった「ここはゲームであると同時に、安心できる空間でもある」という言葉が、私たちの原動力であり、最大の目標でもあります。

――日本プレイヤーの特徴を教えてください

敦敦氏:
日本のプレイヤーの皆様には常に温かさと優しさを感じています。たとえば、昨年の冬に沖縄で保護した10匹の野良猫を安全な場所へ届ける活動を行った際には、多くの日本のプレイヤーの皆様が支援イベントに参加し、保護された猫たちに会いに来てくださったり、チャリティーグッズをご購入いただいたりと、ご協力をいただきました。その愛情と支援によって、猫たちの21ヶ月分のご飯を用意することができました。公式として、こうした素晴らしいプレイヤーの皆様に恵まれたことを心から誇りに思っております。

また、ゲーム内では他人に迷惑をかけることを避けつつ、いざという時には惜しみないサポートをしてくださるプレイヤーが多いのも、日本プレイヤーならではの優しさだと思います。助けを受けた時には丁寧なお返しをされる方も多く、その礼儀正しさと優しさにはいつも感動しています。さらに、日本のプレイヤーはホーム経営やファッション染色に対するこだわりと創造性が非常に豊かで、情熱を感じます。

――『ツリネバ』はバレンタインイベントが精力的です。ここから実際にお付き合いするような方もいるのでしょうか?

敦敦氏:
はい、実際にそのようなお話をいただいたことがあります。以前、あるプレイヤーの方から寄せられたエピソードでは、バレンタインイベント当日に恋人と一緒にゲーム内で結婚式を挙げ、現実での甘いプロポーズの思い出を再現されたそうです。それを見守っていた他のプレイヤーたちも、とても感動していました。 『ツリネバ』を通じて友情や恋愛が芽生えることをとても嬉しく思っております。これからもたくさんの可愛くてロマンチックな物語が生まれることを願っています。そして、ツリネバが皆さまの大切な思い出の見届け者となれれば幸いです。

――今回デジモンアドベンチャーとコラボしたことに驚きました。どういう経緯でコラボしたのでしょうか。

敦敦氏:
『デジモンアドベンチャー』は私たちの多く、特に80年代後半から90年代生まれの仲間たちにとって、子ども時代の思い出そのものです。異世界への憧れや冒険心、そしてパートナーとの絆というテーマは、当時の私たちに大きな影響を与えました。『ツリネバ』でも、「勇気」「友情」「愛」「純真」「希望」などの価値観を大切にしており、それらはまさに『デジモンアドベンチャー』と共通するテーマです。今回のコラボは、そんな想いが一致したことで実現し、それを心から嬉しく思っています。子どもの頃に夢見た「グレイモン」「ガルルモン」「エンジェモン」と一緒に冒険できる日が来るとは本当に夢のようです。

――デジモンアドベンチャーコラボについては、デジモンIPへの多大なリスペクトを感じました。
気をつけた点を教えてください

敦敦氏:
『デジモンアドベンチャー』は壮大な世界観と根強いファン層を持つ作品であり、物語の中のキャラクターやデジモンの進化システム、物語構成などは多くの人々の記憶に深く刻まれています。だからこそ、ほんの些細な違いでもプレイヤーの没入感や感情に影響を与える可能性があると私たちは理解していました。そのため、デジモンのモデルデザイン、セリフ、シナリオ構成に至るまで細心の注意を払い、アニメ制作委員会や出版社の皆様とも緊密に連携し、原作の雰囲気や精神に忠実な表現を心がけました。幸いにも、『ツリネバ』の世界観と『デジモンアドベンチャー』の雰囲気が近かったため、原作側との協業も非常にスムーズに進みました。

また、コラボコンテンツの設計においては、デジモンのデザインと『ツリネバ』の世界観をいかにうまく融合させるかという点に特にこだわりました。そのうえで、「思い出の再現」というテーマも意識し、例えばグレイモンへの進化や、ヴァンデモン&ピエモンとの対決など、当時の感動をもう一度プレイヤーに感じてもらえるような演出に力を入れました。ゲームプレイの設計段階から実装まで、楽しくて心が動く体験をお届けできるよう、細部まで丁寧に仕上げています。

――デジモンアドベンチャーコラボは、日本ユーザーからの反応はどうでしたか

敦敦氏:
コラボ発表時、多くの日本のプレイヤーの皆様から驚きと喜びの声をいただきました。『デジモンアドベンチャー』は多くの方にとって思い出深い存在であり、今回のコラボでツリネバの「猫霊」として登場したアグモン、ガブモンなどのキャラクターも大変好評をいただいています。ツリネバでは、日本のプレイヤーの皆さんがデジモンたちと一緒に王城を散策する姿をよく見かけます。

また、ホーム経営にもこだわり、デジモンと一緒に集まってパーティーを開くなど、楽しみ方の幅が広がっています。さらに、 さらに、今回のコラボをきっかけに、多くのプレイヤーがデジモンの配色を取り入れた創意ある染色コーディネートを作り出しました。

その結果、ツリネバのノルン王城は一気に華やかでにぎやかな雰囲気になりました。

――ツリネバは今後どのように進化していきますか?(ゲーム内コンテンツやコラボ展開を含めた全体で)

敦敦氏:
ツリネバでは、私たちの原点である「癒やし」「友情」「人とのつながり」を大切にしながら、今後もさまざまなアップデートを行っていきます。最近実装された「ホームの町」もその一つです。まだシンプルな機能ですが、これをきっかけにフレンドとの関係を深める新たな場として、今後さらに内容を充実させていきます。また、プレイヤーの皆さんが気軽に交流できるよう、ソーシャル負担を軽減する工夫も進めています。たとえば、最近実装された「カニレース」の新コースのように、楽しく話題になるようなイベントも今後どんどん展開予定です。さらに、PVEの冒険やPVPのギルド戦といったバトルコンテンツも順次拡充していきます。

コラボ企画に関しても、すでにいくつかの作品と接触を始めており、今後も皆さまに驚きと楽しさをお届けできればと考えています。そして、先ほどお話しした「ツリネバ保護猫計画」のように、リアルな世界への優しさを届ける活動も継続してまいります。

――ありがとうございました。

『ツリーオブセイヴァー:ネバーランド』は、PC/iOS/Android向けに配信中だ。

AUTOMATON JP
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