約30年ぶりの新作『スノーブラザーズ ワンダーランド』は「雪玉転がしが楽しくなければお蔵入り」だった。それでもあえて3Dアクションに変えた覚悟と、執念と
株式会社TATSUJINは11月28日に、『SNOW BROS. WONDERLAND(スノーブラザーズ ワンダーランド)』を発売予定。対応プラットフォームはPS5/PS4/Nintendo Switch。
本作は、『スノーブラザーズ(SNOW BROS.)』シリーズの最新作となる。『スノーブラザーズ』といえば、1990年にアーケード向けに展開されたサイドビューの2Dアクションゲーム。雪だるまの姿をしたニックとトムの兄弟が敵を雪玉にして転がし、別の敵たちに猛スピードでぶつけて一網打尽を狙うゲームプレイが特徴であった。続編としては1994年に『スノーブラザーズ2(SNOW BROS. 2)』が展開された。また第1作のリマスター移植として、2022年には『SNOWBROS. NICK & TOM SPECIAL』が発売されている。
一方『SNOW BROS. WONDERLAND』は、約30年ぶりのシリーズ完全新作となる。大きな注目点として、グラフィックは3D化。奥行きや高低差のあるステージにて繰り広げられる3Dアクションゲームとして生まれ変わる。主人公はニックとトムのそれぞれの息子であるニックJr.とトムJr.に世代交代。さらに本作では、最大4人プレイにも対応する。
なぜ今になってシリーズ最新作が出るのか、そしてなぜ3Dグラフィック化するのか。長き時を経ての復活と共に大きく変化する本作について、開発者に話を伺った。インタビューの中で見えてきたのは、開発者が「雪玉アクション」と「3Dグラフィック化」にかける並々ではないこだわりであった。
なぜ現代に『スノーブラザーズ』が蘇ったのか
── 自己紹介をお願いします。
今枝賢一(以下、今枝)氏:
『SNOW BROS. WONDERLAND』のプロデューサー兼監修を務めた、株式会社TATSUJINの今枝賢一と申します。
── 『スノーブラザーズ』シリーズは、ゲームとしてどういった個性をもった作品だとお考えでしょうか。
今枝氏:
グラフィックとゲーム性、そして音楽の3つの要素が、皆さんの記憶に残るかたちでバランス良く組み合わさったゲームだと思います。まず、アーケード向けにリリースされた『スノーブラザーズ』は、一見日本のゲームらしからぬグラフィックで、個性的なキャラクターと不思議な世界観が描かれています。実際にゲームをプレイしてみると、敵を雪玉にして蹴り飛ばして倒すという、シンプルかつ程良い難易度のゲームとなっています。ただ、どこで敵を雪玉にして雪玉を蹴ると効果的なのかという戦略性もあって、しかもプレイ後に頭に残るような音楽が使われていて、何回もプレイしたくなる中毒性のあるゲームでしたね。当時似たような見え方をしている作品はいくつかあったと思いますが、私的に記憶に残っているのは『スノーブラザーズ』なんですよね。
── アーケード版リリース当時は、カジュアルな層とハイスコアを狙うような玄人層のどちらに好まれていたゲームでしたか。
今枝氏:
『スノーブラザーズ』はゲームとしては比較的簡単な部類でしたので、カジュアルにプレイしている人もいました。ただ、敵を雪玉にして、その雪玉で敵をまとめて倒すと得点アイテムになったり、1つの雪玉で敵を一掃するとご祝儀袋が出現したり、ハイスコアを狙うプレイも楽しいゲームなので、両方の層がいた作品でした。
── ではそんな『スノーブラザーズ』について、そもそもなぜ現代になって新作を作ることになったのでしょうか。
今枝氏:
『スノーブラザーズ』は世界的に知名度がある作品なので、新作ゲームを作ろうとなったとき、迷うことなく『スノーブラザーズ』の続編を作ろうとなりました。特に韓国などアジア圏で根強い人気がある作品なんです。どれくらい人気かというと、海外では今でもフィギュアが作られるほどです。で、私も過去にアクションゲームに携わっていたこともあって、大好きなジャンルだったので、チーム内でほとんど反対意見もなく、新作を作るなら『スノーブラザーズ』だな、となりましたね。
── では、なぜ2Dから3Dに変更したのでしょうか。また根強く愛されてきたゲームの根幹を変更することにためらいはありませんでしたか。
今枝氏:
本作の前に、『SNOWBROS. NICK & TOM SPECIAL』というリマスター作品もありましたので、自分たちは新たな挑戦をしてみたいと考えていました。なので、『SNOW BROS. WONDERLAND』では3Dにしようと最初から決めていました。「2Dの方が良かった」という声が上がる可能性も考えてはいます。ただ、『SNOW BROS. WONDERLAND』のように新しいものを作らないと、『スノーブラザーズ』をレトロゲームという枠の中だけで楽しんでいる人に向けたものになってしまって、前へ進めないと思ったんですね。だからこそ、我々は新しいアプローチをしていくべきだと思いました。
── なるほど。では、元々2Dだった『スノーブラザーズ』が3Dになったことで、遊びの幅はどのように広がったんでしょうか。
今枝氏:
3Dにして奥行きの概念が入ったことで、2Dではできなかった立体的な雪玉のアクションができるようになりました。あと、2Dでは上から下へという雪玉の動きでしたが、3Dになった『SNOW BROS. WONDERLAND』では、3Dフィールドで地形に沿って物理法則に則った動きをします。なので、雪玉が跳ね返るというアクションも、同じ操作だけど、『スノーブラザーズ』ではできなかった奥行きや地形を活かした遊びや仕掛けをたくさん用意しています。
── ほかに、「令和のゲーム」としてどのように現代的な設計がされていますか。
今枝氏:
いきなりポンとフィールドに投げ出されると何をしたら良いのかわからないので、ミッションというかたちで何をしたら良いのかを学べるようにしています。たとえば「リーダーマークの敵を倒す」「敵を全滅させる」といったものですね。いきなり放りっぱなしというのは昔のゲームでありがちでしたが、今の時代のプレイヤー向けにちゃんと説明を設けています。
── では逆に変えなかった部分はありますでしょうか。
今枝氏:
敵を雪玉にして倒すことや敵を一気に倒すと高得点ということなど、『スノーブラザーズ』はこうだぞ、という基本的なゲームルールは過去作を踏襲しています。なので、昔『スノーブラザーズ』をプレイしていたという人なら『SNOW BROS. WONDERLAND』もスッとプレイできると思います。あと、『スノーブラザーズ』のテンポよくステージが進んでいくところも残していて、『SNOW BROS. WONDERLAND』ではウェーブ制に変化しているものの、オリジナル版のようにどんどん進んでいくテンポ感になっています。
ほかには、ハイスコアを狙う楽しみも健在です。『SNOW BROS. WONDERLAND』には新要素としてコンボという要素を追加しています。コンボ表示が消えない内に敵を倒し続けると、コンボ数が加算されていって高得点になるというものです。あとは、壁で跳ね返った雪玉を繰り返し蹴ると、中から出てくる得点アイテムが良くなります。ちなみに、得点アイテムは『スノーブラザーズ』でお馴染みのお寿司のままで、ここも変わらない部分ですね。オリジナル版でもそうでしたが、最終的にハイスコアを狙いたくなるゲームですので、『SNOW BROS. WONDERLAND』でも得点を稼ぐための要素についてオリジナル版を踏襲しつつ、さらに稼ぎの要素を増やしていますね。
“雪玉を蹴る”楽しさへの執念のこだわり
── 開発チームには、どのようなキャリアや経験のあるスタッフがいらっしゃるのでしょうか。
今枝氏:
私は古くはセガに在籍していまして、そこで元々アーケードゲームを開発する部門に所属していました。その後、別会社でプロデュースもして、今はTATSUJINに加わっています。アーケード畑での経験が生きていて、『SNOW BROS. WONDERLAND』の開発にも活かせたと思います。
開発メンバーには若いスタッフが多いですね。だから、当時にオリジナル版プレイしたことがあるメンバーはほとんどいないかもしれません。なので、『SNOW BROS. WONDERLAND』の開発にあたって、『スノーブラザーズ』とはこういうものだ、ということをみっちり勉強してから作り始めていますね。
── 当時を経験した方々で“『スノーブラザーズ』とは何か塾”みたいなことをされたのでしょうか。
今枝氏:
そうですね。「各々が考える『スノーブラザーズ』とは何か」を若いスタッフに話しました。細かい部分ですが『スノーブラザーズ』のゲーム開始時には、「ピポピポ」という短いSEが流れるんです。これを『SNOW BROS. WONDERLAND』でも採用しているんですが、なんでこの音なんだ、と訊かれたり。「これは『スノーブラザーズ』が始まる音なんだ、これがなくちゃダメなんだ」みたいなやりとりがありました(笑)
── 若いスタッフはどのように開発に携られたのでしょうか。
今枝氏:
『SNOW BROS. WONDERLAND』では、私のビジョンがあって、基本的にはそれに沿ったものをみんなが作っていくというかたちでした。ただ、アイデアも歓迎してましたし、若いスタッフは最近のゲームをしっかりプレイしているおかげもあり、レベルデザインにあたっての考えがそれぞれにあって助けられました。ステージのバリエーションなど、昔の人間では思いつかないようなものをたくさん作れましたね。
── 本作の開発はどのように進められたのでしょうか。
今枝氏:
いくつもベンチマーク(目標・指標)を設けるというよりは、最初のプリプロダクション(準備段階)の時点で製品版の一歩手前ぐらいまで1ステージを作り込みました。そこでダメだったらこのゲームはダメだと考えていましたね。まず「雪玉を蹴って面白くなかったら絶対にダメだ」というこだわりがあって、何もないところでも雪玉を蹴っていれば面白い、というところを目標にしていました。このまま続ければ面白いものができるな、というところまで詰めたうえで、それを信じてプリプロダクションを作りました。
── これならいけると思えるプリプロダクションにたどり着いたきっかけは、試行錯誤とひらめきのどちらでしたか。
今枝氏:
細かい積み重ねとひらめきの両方ですね。最初は、雪玉のアクションが思ったより気持ち良くなかったんです。でも、雪玉の転がる速度とか、雪玉が跳ね返る回数の上限とか、いつまで雪玉が維持され続けるかとか、細かい数字を詰めていきましたね。ほかにも、開発中には雪玉がカメラ外に出ていかず画面端で跳ね返るかたちになっていたんですが、今は画面外にも雪玉が転がっていって、そこに壁があったら跳ね返ってくるようになりました。この変更は最初は違和感があったんですけど、最終的にしっくりきています。
そんな風にどんどん磨いていって、その結果、雪玉アクションは今の一番良いかたちになりました。ただ、そこからもずっと細かい調整を検討したり、スタッフに頼んで渋い顔されたりしてましたね(笑)
── エネルギーとコストをしっかりかけて調整されたんですね。
今枝氏:
雪玉を蹴るというアクションは、単純じゃないですか。単純だからこそ、面白くするのってやっぱり難しいんです。だから、個人的にはまだ完全に満足はしていないけど……。
一同:
(笑)
今枝氏:
というのは半分冗談で、自信のある雪玉アクションになりましたので、製品版でぜひ味わってください(笑)
いわゆる死にゲーではないけど、「緊張感」はある
── 『SNOW BROS. WONDERLAND』の難易度は、どういった方針で開発されたのでしょうか。
今枝氏:
最初はカジュアルに入ってもらって、何も考えないで雪玉を蹴っていればステージクリアできるというレベルで始まります。先ほどお話ししたようなミッションを達成するために敵を倒して、その中でだんだんゲームに慣れていって。そして敵をまとめて倒すと高得点とか、ひとつ上のレベルの遊び方も楽しめるようになっていって……というのが2面・3面までは続くイメージです。ここまではいわゆるゲーム好きな人たちであれば、スッと楽しめる難易度になっているはずです。
一方でそこから先は少しずつ難しくしていき、後半では純粋なアクションゲームのプレイスキルと簡単な思考力が必要な場面が出てきます。リトライすることも増えてくるとは思いますが、アクションゲームが好きで、基本操作以外のアクション性をマスターしたプレイヤーだったら、リトライしながらもクリアできるバランスに調整しています。なので、ハードコアではないですが、アクションゲームが好きな人に向けたバランスになっているかと思います。
── 入りやすくて、かつトライアルアンドエラーで攻略できるゲームなんですね。
今枝氏:
1ミスして「くやしい、もう1回」というのは、ゲームの基本だと考えていて、それがないとクリアしても物足りないと思っています。なので、ちゃんとクリアを目指して、もう1回トライして、それでゴールを目指してもらうという作りになっています。『スノーブラザーズ』みたいにシンプルなゲームは、常にゲームオーバーが身近にあるから、プレイ内容が輝く部分もあると思うんです。緊張感を克服して得られる開放感というのがゲームの基本だと考えています。
とはいえ『SNOW BROS. WONDERLAND』は、難易度的にはいわゆる死にゲーではないです。普通のゲームですよ(笑)
── (笑)。難易度部分でいえば、『SNOW BROS. WONDERLAND』ではステージの攻略に時間をかけすぎると「死神」が出現して追いかけ回されるシステムが採用されていますね。時間制限を迎えると終わりではなく、死神が出現するようにした理由をお聞かせください。
今枝氏:
元々『スノーブラザーズ』にも、永久パターン防止キャラとしてカボチャの死神が出現するシステムがありました。自分も当時『スノーブラザーズ』をプレイしていた時から、かなりインパクトがあったキャラクターだったんです。出現したら死を覚悟するキャラクターですね。
カボチャの死神は絶対に出すと決めていましたので、本作では時間制限代わりのキャラクターにしています。また、ただ「時間制限」を作るのではなくて、世界観を損ねずに制約を表現するキャラクターでもありますね。ただ、死神からは頑張って逃げることもできるんですよ。逃げつつステージクリアすると、「助かった」と安心できるんです。この感覚ってタイマーが0になったら終わりという普通の時間制限システムではできない表現なんですよね。緊張感をもたらす仕組みのひとつとして、死神はなくてはならない要素だと考えて採用しました。
── 緊張感は開発のキーワードになっているんですね。
今枝氏:
そうなんです。昔は1発弾に当たっただけで1ミスになるという緊張感と戦いながらゲームで遊んでいたわけで、やっぱりそういう気持ちは大事だと思うんですね。簡単にすればいくらでも簡単になるんですが、緊張感があった方がやっぱり遊びごたえがありますね。
── 難易度に関わるところとして、過去の『スノーブラザーズ』は2人プレイ対応のゲームでしたが、『SNOW BROS. WONDERLAND』では最大4人プレイにまで対応となりました。プレイ人数を拡張された意図や、調整にこだわったところはありますでしょうか。
今枝氏:
『SNOW BROS. WONDERLAND』は最大4人プレイが楽しめるゲームですが、実はまずは1人で向き合ってもらって、クリアの達成感を味わってほしいと私は思っています。そもそもの作りとして、1人プレイの難易度から詰めているので、それを最後まで一度楽しんでいただいて、その後に友達や家族と一緒に遊んでほしいですね。
調整のこだわりとしては、多人数プレイはどうしても画面が忙しくなるので、1Pのプレイヤーがリーダーとなって、カメラがリーダーに追随するようになっています。で、進行が遅れてカメラ外に出てしまったプレイヤーは、ワープしてリーダーのところに行く仕組みにしてます。上手い人にリーダーになってもらい、苦手な部分はリーダーに進んでもらって、ほかのプレイヤーが後からワープで飛んでいくという遊び方ができますね。ゲームが苦手な人は、上手な人とプレイして、一緒に楽しんでもらえればと思います。
限定版には「2つの動画」を収録
── ここからは『SNOW BROS. WONDERLAND』限定版についてご質問させていただきます。まず、限定版の特典にはデザインドキュメントコレクション(アートブック)とスペシャルコンテンツディスクが封入されるとのことですが、アートブックはどんな内容になるのでしょうか。
今枝氏:
アートブックは、まずはオリジナルを知ってほしいということで、『スノーブラザーズ』の稼働当時のことが紹介されています。また資料としては『SNOW BROS. WONDERLAND』の主人公であるニックJr.とトムJr.ができるまでの試行錯誤や、敵のデザインも初期案などを含めてまとめています。敵のデザインは凄く良い出来になっていて、ぜひ見てほしいですね。全体的には、本作のデザインの舞台裏的な1冊になっています。あと、前作からの繋がりがわかる簡易的な歴史も載っているので、それを見てニヤリとする人もいるかもしれません。昔のニック&トムがいて、今回のニックJr.とトムJr.もいて、そして本作以前の世界はこうだった、みたいなところも紹介しています。
── 特典ディスクにはサウンドトラックに加えて、「ニックJr.役声優の土師亜文さんとトムJr.役声優ののぐちゆりさんのお二人による実況プレイ動画」と「ファラヲ佐々木さん(※)との対談動画」という映像が収録されているそうですね。珍しい組み合わせの特典だなと思うのですが、なぜこの2つになったのでしょうか。
※ファラヲ佐々木氏……ゲーセンミカドの名プレイヤー。『スノーブラザーズ』オリジナル版も“名人級”の腕前をもつ。
今枝氏:
サウンドトラックと2つの動画という構成は、最初から固めていました。そこでどんな動画にするかを考えたときに、弊社のマーケティング責任者・上村(上村建也氏)からファラヲ佐々木さんを紹介してもらいました。元々私は『ワードナの森』というゲームが好きで、佐々木さんはゲーセンミカドの動画で同作のスーパープレイをしていたので、3年ほど前から個人的に知っていました。今回、ぜひにと思ってお頼みしましたね。
特典ではファラヲ佐々木さんと弊社の上村が、『スノーブラザーズ』のスーパープレイを見ながら、語りあっているという、二度とないであろうお宝映像になっています。上村のいろいろな質問に対してファラヲ佐々木さんががっつりと説明してくれているので、資料としても本当に貴重な映像だと思います。
結果として特典ディスクには、片や声優を担当してくれた土師さんとのぐちさんによる2人が椅子から落ちそうなほどの笑いありの実況プレイ。片やファラヲ佐々木さんと上村が『スノーブラザーズ』のスーパープレイを見ながら大人のテンションで語り合う対談という、一見正反対の2つの動画が収録されることになりました(笑)これらはそれぞれ、全然違う世代に向けたものだと思うんです。でも、どちらか片方を目当てで購入いただいた人でも、もう片方を見て何か新しい好みが芽生えたら嬉しいなと思っています。あえてまったく違った2つの動画を収録したのは、『スノーブラザーズ』を通じて離れた世代の間が縮まったらいいなという想いもあります。スーパープレイを見た人は皆「すごい」と思うでしょうし、声優さんが楽しそうに本作をプレイしているのも幅広い層に楽しんでもらえるかなと。
“レトロゲームからの脱却”を目指しつつ、オールドファンにも認めてもらえる作品に
── 最後に、読者へのメッセージをお願いします。
今枝氏:
私が本作の開発が決まったときから決めていたこととして、「『スノーブラザーズ』の正当な続編でなければいけない」という考えと共に、『SNOW BROS. WONDERLAND』では「レトロゲームからの脱却」も目指したいとも考えていました。
もちろん、オリジナルの『スノーブラザーズ』がどんなものだったかということを伝えたい想いはあります。ただ、これだけ技術が進歩しているので、オリジナルで先人が完成させた面白さを、今の時代の技術と解釈と見せ方で提供することも、必要だと思うんです。オリジナルが大好きな人から見たら、初見で本作をプレイすると否定的な意見もあるかもしれません。ただ、それは最初から想定していたことで、根底にはちゃんと『スノーブラザーズ』の魂が宿っていると思います。名前が同じだけで全然別モノになっているような、IPだけを使った愛のない作品では決してないです。
オールドファンからは「お前たち、立派になったな」と言ってもらえることを目指していますし、新しいプレイヤーには完全新作ゲームとして楽しんでもらって、ここから新しい『スノーブラザーズ』の時代を作っていってもらえればと思います。
── ということは、さらに続編を出したい想いも?
今枝氏:
ありますね。『SNOW BROS. WONDERLAND』ではやりたいことがいっぱいありましたが、時間の制約などいろいろな事情でできなかった要素があるんですよ。なので、作らせてもらえるなら、できなかったことをいくらでも盛り込みたいですね。でも、まずは『SNOW BROS. WONDERLAND』をぜひ手にとって、プレイしていただきたいなと思います。
── ありがとうございました。
『SNOW BROS. WONDERLAND(スノーブラザーズ ワンダーランド)』は、PS5/PS4/Nintendo Switch向けに11月28日に発売予定だ。それぞれに限定パッケージ版も発売され、デザインドキュメントコレクションおよび豪華声優陣による実況プレイ動画や、初代「SNOWBROS.」のスーパープレイ動画、「SNOW BROS. WONDERLAND」のサウンドトラックなども収録されたスペシャルコンテンツディスクが同梱される。また、パッケージ版の予約受付も開始されている(Amazon.co.jp/GEO/Joshin/yodobashi.com/biccamera.comなど)。
[執筆・編集:Koutaro Sato]
[聞き手・編集:Hideaki Fujiwara]