魅力を語っていただいた前編に引き続き、『機動戦士ガンダムオンライン』開発プロデューサー佐藤一哉氏へのインタビューをお届けする。中編のテーマは、「アップデートやバランス調整」など。
――次回の大型アップデートは、もう予定されていますか。
直近でいうと12月に、注目度の高いアップデートを予定しています。ガンダムの原作を知っている人であれば「やっぱこう進んでいくとこういうものも出てくるよね」という予定のものを計画しています。
「U.C.0096」に一気に飛ばしてしまい、その間の時代の補完というものができていないので、改めて12月から「機動戦士Zガンダム」に関連したアップデート内容を連続して行っていく感じです。
――「Z」はすごく人気ですよね。
人気ですね。今回は、作品の中でも印象の強い百式とキュベレイを出します。どちらもかなり人気の機体なので楽しんでもらえると思います。
――個人的にキュベレイが好きでした。機体の形や色も衝撃的でした。
キュベレイはすごく印象強いですよね。キュベレイを入れるとなると、やはりファンネルも出るということになります。ファンネルというものも、このサイコミュ兵器というものがユーザーが使える形で出るのは初めてなので、その使用感なども楽しんもらいたいなと思っています。
――Zガンダムはまだ出ない?
Zガンダムは、もう少しお待ちください。そう遠くないと思いますよ(笑)
――変形は実装される?
変形は、お客さんのなかでもすごく話題になっていて、「変形はしないのか」とか、「ユニコーンにしたのは変形ができないからだろ」など、そういう噂も言われたりしたんですけど、変形機構の機体も近いうちに出ると思っていただいて大丈夫です。
――バイオセンサーも……?
バイオセンサーはまあその……バイオセンサーが何かっていうのが、僕もですね、明確な答えを出せないので、要検討ですね。うーん、どうなりますかね…(笑)
――ガンダムオンラインは対戦ゲームで、シングルプレイのオフラインゲームよりも、アップデート時のバランス調整というのは大変なんじゃないかなと思うのですが。
そうですね。
――機体を1体追加するだけでも、全機体のバランスを見なければならないと思います。どれぐらいの時間がかかるものでしょうか。
いま、ほぼ毎月追加されている状態です。全体的に調整をした上で機体をリリースしているんですけど、新しい要素やユーザーのトレンドもあって、古い機体が使えなくなっちゃったりとか、ときには極端に強くなったりすることもあります。そういった部分に関しては定期的に大きなアップデートのタイミングなどで、全機体に影響があるバランス調整を行っています。みなさん好きな機体を抱えていると思うんで、その様な機体が使えないということにならないようにしています。大きなバランス調整というのは、半年に1回などのサイクルで行っています。
――開発会社さんと話をしていると、とくに対戦ゲームは、プレイヤーが実際に使って初めてバランスの問題が見えたりするという話をよく聞きます。
ガンダムオンラインでもあります。当初は注目されなかった機体でも、よくよく使っていくとすごく強かったりとか、不具合レベルになっていたりという機体もあり、こういったものをユーザーから「弱体化してください」という声もいただいています。われわれも十分な検討をした上で、本当にこれがゲームバランスとして遊びを奪っているのか、注意深く検討した上で、大きなアップデートのタイミングでバランス調整の判断をしています。
時にはどうしても、度合いを超えてしまったので、緊急的に対応しているケースも過去の歴史にはあって。新しい機体を「強いから買った」という背景もあると思いますので、簡単に弱くするというのは、お客様に対して無責任になってしまいます。十分注意を払った上で、できる限り使っていただいているユーザーさんの遊びを奪わない形を目指して、調整していくという方針です。
そのなかで、半年ぐらい調整されずにいて、不満やストレスというものがあったと思います。我々もこういったケースについては反省を重ね、問題ないように作り、発生してしまった場合は、可能な限りお客様に不備のない形を目指して、調整するように心がけています。
――バランスに関してはすぐに対応したくてもできない?
そうですね、対戦ゲームはなかなか難しいと思います。「強すぎるよ」という時に、プレイヤーのテクニックも相まって強いというケースもあれば、ノーテクニックで強すぎるというケースもあると思います。どれも正しい意見だと思うんですが、やられて強すぎるから悔しいっていうのは、使っている側からすれば、使いこなして倒している正しい行為になるので、そのバランスは非常にデリケートです。常日頃から頭をかかえている部分でもあります。
あとは連邦とジオンでユーザーがまったく同じ機体を使えないので、そこも難しい要素です。コンテンツ上完全にミラーではないので。よく社内からもユーザーからも完全にミラーがいいんじゃないかという意見もでます。でも、各軍によって特徴があることがガンダムというコンテンツの良さでもあります。ゲームバランス上、能力によっては完全にミラーなものが必要な場合がありますので、そういった機能はできる限り両軍で近い能力を実装しています。ただ、完全にミラーだったら面白いかどうかっていうのは、難しいところで。ミラーであれば公平にはなると思いますが、面白いかどうかはまた別の次元の話だと私は考えています。ジオンにはジオンの個性があって、連邦にも連邦の個性があって、それぞれの個性に合わせた作戦や戦方があって、バランスが取れている。と、いうのがガンダムのゲームとしては一番面白いと思っていますので、この方針でゲームを作っています。
――Zガンダムのアップデートですこし気になったんですけど、マラサイとか、そういったマイナーというと失礼なんですけど、アニメのなかではあまり活躍できなかったけど、ゲームのなかでは活躍できるようになるという、コアなファンにとっては嬉しいような、そういう機体は登場しますか。
ガンダムオンラインはそういった部分も重視してます。ときどき上司から怒られるんですよね。「そんな地味な機体入れんの?」みたいな(笑)。私はマイナー機にもファンの方々がいると思っていますし、自分もガンダムが昔から好きで、そういったファンは自分が好きな機体がメジャーかどうかってあまり関係ないと思います。俺はこれが好き、私はこれが好き、さっき出たマラサイとかもそうだと思うのですが、マラサイが好きな人はマラサイが出て欲しいのだと思います。最近でいうと「ガルバルディβ」を実装しました。知名度としては高くないですけども、やはりそれが好きなコアなファンはいますし、その層もガンダムオンラインは拾っているほうかな?と思っています。
今までの「ファースト」や「0083」くらいの時代のときもですね、こんな機体あんのかっていうぐらいのマニアックな機体も入っています。それが自分で動かせる形のゲームって意外と少ないので、マニアな機体を動かしたい方は、少し調べてもらえると、ガンオン遊びたくなるかもしれないですよ。
ガンダムオンラインは、1回の戦闘で出撃するときに4機体まで選べるので、もしその機体がトレンドに完全にハマっていなかったとしても、残りの3枠でトレンドや戦略の穴を埋めたりとかして、自分の好きな機体と戦闘のバランスや、戦場への適正を加味しながら、プレイできるのも魅力的なのかなと思います。
――私はザクワーカーで支援することが多いのですが、本当はドムを使いたいんですよね。なのでドムもデッキに入れています。でもドムで出るとすぐに死んじゃう。前線に出たいので(笑)そしてまたザクワーカーの出撃準備を待つという繰り返しです(笑)
わかります(笑)4体のなかで一番使いたいとか、新しく手に入れたばかりの機体の再出撃までの時間は、けっこうワクワクしますよね。「よし、出るぞ!」という気分になれるので、それはそれで待つのも楽しみのひとつなのかなと思います。
――「Z」で変形が可能になると、空を飛べるわけですよね。
そうですね。
――ということは移動速度も速くなる。開始してものすごい速さで拠点を占領することも可能になるということですか。
速度を上げるのか、旋回力や航行能力を上げるべきかなど、いろいろ検討しています。変形に関してはとてもデリケートな問題と認識しています。これから入るキュベレイはファンネルという「新機構」がありますが、武装が1個増えました、という戦闘バランスの調整だけなんですが、変形になってくると、全マップの構造に影響を及ぼします。ユーザーのなかで「変形出ないな」「あいつら作れないんじゃねーか」と思っているかもしれませんが、かなり前から計画していて、どんな風にマップに影響を与えるのか、能力としていき過ぎないかというところを重点的に検証しています。スピードや行動範囲が上がって、各拠点を急襲できるという要素が出てくるかもしれませんが、それに対してどう対抗するのかというのもゲーム的な要素として考えてもらえればいいかなと思っています。
――変形が登場すると、機体が到達できる高さというのも変わりますよね。
そうですね、そこもかなり調整をしています。ガンダムオンラインは序盤で攻めるというのがセオリーではありますが、ときには守るというのも大切で、変形が入ったことによって「しっかり守ろう」っていう意識を高めてもらえれば新しい戦略としてよいですし、変形機体を迎撃しやすいモビルスーツは何なのかなっていうのを考えて、変形機体に対抗するのも重要だと思いますので、そこは自分の資産のなかで戦場でどういった戦いをするべきかを考える「きっかけ」になればいいと思っています。
ただ、変形に関してはまだまだ開発中なので、ここまで話しておいて、全然違う内容で実装されてるかも(笑)
後編へ続きます
[聞き手: Shinji Sawa]