日本ゲーム博物館館長 辻哲朗氏インタビュー - 現実への架け橋としてのゲーム

 

[本インタビューは2013年7月28日に収録したものです]

日本ゲーム博物館(JGM)館長辻哲朗氏にふたたびお話をうかがうことができました。とくにテーマを定めず雑談状態で始めたインタビューでしたが……。

(前回のインタビュー記事はこちらをどうぞ。[1]・[2])


―というわけでまた来てしまったわけなのですが。前回の記事を掲載して以降、なにか反応のようなものはありましたか?

ありましたよ!お陰でね。ありがたかったです。……あれいつくらいだったっけ。

 

―2か月くらい前ですね。ゴールデンウィークのあとです。

ゴールデンウィークのときに来客が増えまして。そのあと萎むかと思っていたんですが、記事のおかげか客足が遠のきませんでしたね。さらに、ほかにも記事を書いてくださった方がいらっしゃって、そちらもかなり拡散されて。いい感じに認知されてきているのではないかと思っています。

『R360』までは半ばくらいまでかな。今のペースなら年間5000人くらいでしょう。でも目標を達成するにはあと2倍、道半ばといったところです。
(注: JGM の年間来場者数が1万人を超えたあかつきには『R360』が導入される予定となっている)

 

―もう一声と。

そうですね。JGM を増設してくれ!なんて声もあるのですが、「来てくれればやるさ!」ですよ(笑) たくさん並べるからにはたくさん来てくれないと厳しいものがあります。

以前、私はあまりビデオゲームをやらないと言いました。けれど、今日見ていただいたとおり、みなさん結構プレイされるんですよね。

 

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―そう。そこが気になっていたところです。前回うかがったお話を鑑みるに、なぜビデオゲーム、アストロ筐体を導入されたのですか?

テーブル筐体をブラウン管確保のために集めていることは以前お伝えしたとおり。一方アストロ筐体についても『レイブレーサー』などのニコイチパーツ用としての側面が強かったのです。ナナオの29インチモニタですね、それをキープする目的でした。『レイブレーサー』のモニタが壊れたら1台ずつアストロがなくなっていくでしょう。そこでアストロをもっと仕入れておこうと考えたのですが、せっかく仕入れるのならばソフトを入れて動かそうと判断したのです。そして、初代『ストリートファイター』なんかはかなり反響がありました。

スペースの都合上、現在のような4台体制になっていますが、基板はオリジナルのものを100枚くらい所有しています。『ストリートファイター』に飽きたら次の何かを導入します。

もうちょっと増やしてもいいかなと思っています。テーブル筐体が大量に残っています。二階だけでなく、コンテナにもたくさん入っているのです。……40台から50台くらいあるかな。あと、いわゆる「駄菓子屋筐体」を持っているのですが、こちらはモニタはたしか16インチと省スペースで導入できるというメリットがあります。あれを5,6台並べてオリジナルの基板を入れて稼働させるなんてのもいいですね。

 

―そうなると何かがスペース的に犠牲になりそうですが?

どれも犠牲にするつもりはありません。今 IDYA が置かれている場所の奥側3スパンくらいが倉庫になっています。そこを整理して展示スペースにすれば場所は確保できます。それに、倉庫用のコンテナは複数あります。

本館は歴史的にいろいろとやってきたわけですが、使わないものは処分してしまおうと……たとえばヤフオクに出すとかね。結婚式場をやっていたときのテーブルとかがいっぱいあって、もう今後使うことがないですから。あとライブハウスをやっていたときの音響機器も何セットかあります。野外ライブもやっていましたからね。こうしたものを売却していって、空いたスペースにレストア前のピンボールを詰めていって、そこを展示スペースとして効率的にテーブル筐体や駄菓子屋筐体などを設置したいです。懐かしいゲームたちをオリジナルの基板で楽しんでいただける環境を創っていけたらなと考えています。

 

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-なるほど。たしかにそういうニーズはたくさんあると思います。たとえば私の友達に、エミュレーターでプレイする『ファイナルファイト』はオリジナル基板でプレイするものと感触が違うと主張する者がいます。昔、エミュレーターで動作するものを見て「養殖モノだ」なんて表現していました。

今日レストアしていたものの、もっと古いもの……たとえばパックマンだとか、あのへんのレベルであれば負荷は低いのでそうでもないのですが、新し目のタイトルになってくるとちょっと違うんですよね。『ストリートファイター』もエミュレーターと比較してみればわかるのですが、やはり違いがあります。だからできればオリジナルでやっていただきたいのです。基板コレクションは主だったタイトルを集めていますので、逐次切り替えていきます。

それと今後やりたいのはドライブ系ですね。今日は『レイブレーサー』をやっていましたが、その前の『リッジレーサー2』に興味があります。今絶滅してしまってほとんど無いんです。なぜかというと『リッジ2』は『レイブ』にコンバージョンされたからなんです。世の中のほとんどの『リッジ2』は『レイブ』になってしまっています。しかし、たまたまアメリカで ROM 2セットを発見したのです。初代『リッジ』・『リッジ2』・『レイブ』はナムコの SYSTEM22 なので、ROM さえ差し替えればなんとかなります。

今は『レイブ』が面白いので4人プレイできるようにしていますが、あれが一段落したら『レイブ』のツインと『リッジ2』のツインという形にする計画です。それに『セガラリーチャンピオンシップ』を加えると、95~96年のドライブゲーム黄金期のスターが揃うかなと。『リッジ2』をプレイしたいという声も多いですしね。ただ、『リッジ2』は反力ステアリングではないのです。反力ステアリングが採用されたのは『レイブ』からです。

あとドライブ系では『ファイナルラップ2』。これも基板で持っています。あと日本で発売されなかった『マッハGoGoGo スピードレーサー』というのがあります。私たちの世代でヒットした作品が原作のタイトルです。これもアメリカで発見して、基板ベースで持っていて自宅で動作確認しています。それをプレイできる環境を作りたいです。筐体そのものはもうなかなか手に入らない上、『ファイナルラップ2』も『スピードレーサー』もシングルでしか持っていません。そこで、アクセルやブレーキなどパーツを部分的にかき集めてドライブゲームの汎用筐体のような、いわばドライブ版アストロを作り、特設コーナーに展示していきたいです。前も言ったように、それを大型スクリーンでプレイするなんてのもいいですね。

ほかにも予定には……『ザ・警察官』を直さなきゃならないんだけれど(注: 7月末時点でレストア中だった)、お盆明けには対戦型フライトコンバット『ウイングウォー』を計画しています。このツイン筐体も絶滅危惧種なのですが、奇跡的に1組発見できまして。今譲ってもらうよう交渉中です。

 

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-メンテナンスには苦労なさっているようです。今も IDYA は苦戦されているようですが。

そう。この間タイトーのプログラマの方がいらっしゃいましてね。私が IDYA の関連アイテムを探していることをツイートしたのが社内で広がって探しまわってくださったそうなのですが、残念ながら見つからなかったようで。ユーザーマニュアルというか、オペレーターマニュアルは見つけたのですが、回路図が見つからないのです。簡単な組み立てやセットアップはわかるのですが回路図がなければどうしようもない。トラブルシューティングに「タイトーに問い合わせてください」と書いてあるのですが、そこが知りたいんだと(笑)

 

-それが無くて直せないと。

無ければ無いで直しますけどね。なんとなく予想はついているのです。ずっと考え続けるとなんとなくここらへんに問題があるだろうと見当がつくものです。今怪しいと踏んでいるのは位置を検出するためのステッピングモーターユニット。そのスタート位置がズレているのではないかなと予想しています。じつはそれはユーザーマニュアルに書いてありました。スタートしない場合はヒューズが切れているかスタート位置がズレているかだ、とね。ヒューズが切れていなかったので、なるほどと。

筐体の稼働を終了してスタート位置に戻ってから電源を切ればいいのですが、それを誰かが途中で抜いてしまうと壊れてしまうということですね。ただ、それをどうやって直したものかがわからないのです。ほかのレストアが一段落してからの作業になりますが、ステッピングモーターを開けて検出センサー位置を少しずつ変更することで直せると考えています。ゲーム基板自体は壊れていません。

 

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-『ザ・警察官』を直したら次は IDYA と。

そうなんだけどねえ。今私、バイクが忙しくてね(笑) 免許取ったし。すごく楽しいです。バイク楽しいよ?

 

-いやあバイクはちょっと怖いですね。

まあ事故の確率はクルマの40倍くらいあるらしいね。だけど、人間死ぬ時は何が起こっても死ぬから。なんとなく見てみたサイトに「バイク乗らずに死ぬ奴はバカだ」とか書いてあってね(笑) そんなに楽しいんだ、と当時思ったものですが、実際やってみたら本当に楽しいものです。

今日来ていた三重県支部長(注: 『レイブレーサー』大会にも参加していた)が私のバイクの先生なのですが、彼がいうには「バイクというのはパーソナルジェットコースターだ」と。どこの道でもここでこうしたい、ここで傾けたい、という意志を実現できます。ある意味ではバイクは最高の体感筐体なのかもしれません。命かかっちゃうけどね(笑)

今言って思ったのですが、ゲームというのは”エキサイティングな冒険を安全に楽しませてくれる機械”なんですよ。さっきやった『レイブレーサー』みたいなレースを本当に町中でやったら何人死ぬかわかったもんじゃあありません。『ハングオン』もそうです。転倒してもすぐに復帰しますが、現実であれば大怪我です。

ピンボールは疑似体験ではないのですが、ほとんどのゲームはシミュレーターの性質を持ちあわせています。『バーチャロン』ですらロボットを操縦するシミュレーターでありえます。

 

-少し難しい部分があります。

ただまあ、ありえないような体験を安全にさせてくれる機械であることには変わりありません。前回もお話しましたが、『アフターバーナー』をプレイしてパイロットを目指した人がいるわけです。人生を変えるのです。それを見ていたから、私は『ハングオン』をやって大型バイクの免許を取りに行くことがあってもいいと思うのです。

ゲームをやる人は、「これをやったから人生が変わった」があってもいいと思うのです。疑似体験ばかりでなく、本当の人生に影響を及ぼすのも面白いではありませんか。

 

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-なるほど。なるほど! おっしゃるとおりで私も思うところが多々あります。私自身スポーツをいくらかやったりしますが、それらの体験について総合的に評価した際、バーチャルとリアルは不可分であり、リアルなくしてバーチャルもまたありえないと感じます。

私は30歳のときにヨットを始めました。太平洋を横断しようと思いましてね。45歳くらいまでずっとやっていました。なぜそんなことをしようかと思ったのかというと、ラジコンをやっていたからなんです。ラジコンでクルマやヘリで遊んでいました。ヘリは今のものと違ってオートジャイロとかついていませんから、よく墜落させましたね。10万円かけて買ってきて週末使って組み立てて持っていって一発で壊したりしたのです。

そうしたことを繰り返していたのですが、あるときとても操作の上手い人に「どうやったらラジコンヘリの操作が上達するのか?」と聞いたのです。すると「500万円くらい落とさないとダメだ」と返されたのです。今でこそパソコンのシミュレーターなんかがありますが当時はありませんでした。

さすがに躊躇しました。そこでラジコン屋の店主に相談したところ、「ヨットのラジコンなら壊れないよ」とアドバイスを受けたのです。そこでヨットのラジコンを買って組み立てて池に持って行ってみたところ楽しい!壊れない!と。おにぎり持って行って麦わら帽子かぶって休みの日は一日中池でヨットのラジコンで遊んでいたのです。

「こりゃ面白いぞ!」となって、そのままヨットハーバーに行きました。港に帰ってきた船のおじさんに乗せてと頼んで乗せてもらったところ、「やっぱりこれは楽しいわ」となりまして。そのまま船舶職員養成学校へ入りました。たしか2週間くらいの合宿コースで一級船舶を取って、ボロい船を買いました。それも自分でレストアしましたよ。

あなたねえ……これ記事にしてもしなくてもどっちでもいいんだけど……人生楽しい?

 

-……んんーっ……所得面では結構つらいですが、楽しいといえば楽しいですね。

私は当時最悪でした。自分の人生最悪。ヨットに乗りたいと思ったのは、人生から・日本から逃げ出したかったからです。それでもただ逃げるわけにもいきません。そこで、太平洋を横断するといえば聞こえがいいんじゃないかと打算したのです。

ラジコンのヨットを始めて、実際の船を持とうと思ったのは灰谷健次郎の『我利馬(ガリバー)の船出』の影響です。作中のキャラクターが現実に耐えかねて船を造って海に出ていくというのを見て、「おお、私もこれだ」と思いましてね。

週末にヨットに乗って実際に訓練するわけです。太平洋を横断しようとしているわけですから。海図を買ってきて「このコースを行こう」だとか夢をふくらませたものです。仕事が終わったらすぐにヨットハーバーに行って海図を広げていました。

最初は朝しか出られなかったのですが慣れてきたら夜間航行もできるようになりまして、世界一周なんかまで考え始めました。すると、毎週楽しくなっちゃったんです。こんなに楽しくなったんなら何も逃げる必要はないな、と考え方が変わったのです。今「人生が楽しいか?」と訊いたのはそういうことが私自身にあったからです。

 

-スタート地点はラジコンだった。

バーチャルで、世間から逃げ出す道具として、ヨットっていいなと思って、結果がそれです。なんといえばいいのか、「行き詰まったときのきっかけになる」んです。

今の私は別に行き詰まっていませんが、変化のない暮らしをずっとしていました。今回思い立ってバイクの免許を取って、面白さを感じているのです。

私くらいの年齢になって、たとえば会社での職位も上がったとすると、誰もあれをしろこれをしろと言わないですよね。みんな放っておいてもやってくれてしまう。ところが私が自動車学校に行くと、若いお兄さんに「辻さーん、あそこ3回回ってきて!」と言われて「はい!わかりました!」と返すわけです。これはなかなか新鮮な体験ですよ。

 

-バイクを始められたのは純粋にゲームがきっかけだった?

やはり『ハングオン』ですね。ただ、それまでにも心のなかにはありましたよ。若いころとりたいのにとれなかったという事実もありますし、何回も夢に見ました。「大型バイクをかっこよく乗り回していたら警察に呼び止められて、そういえば免許を持っていない!やばい、逃げなきゃ」なんて内容です。なかばトラウマめいていますよね。

『ハングオン』をプレイしていると、そういえばこんな夢を繰り返し見たなと思いだして。夢にまで出てきたことをやらずに人生を終わらせるのも惜しいなと考えました。レストアしてプレイしている間に「こりゃ本物に乗らなきゃならんな」とも感じましてね。そこで、思い切って免許を取るに至りました。

普通自動二輪の免許をもらって、そのまま自動車学校に戻ってね(笑) 大型の免許を取りました。かかったのは5週間くらいです。

 

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-人生を楽しくするために、ゲームが起爆剤になる?

きっかけといえるかな。

みんな自分で勝手にハードルを作って「これは俺にはできない」と投げ出してしまいがちですが、そうではありません。やればできるのです。若い頃からずっと大型バイクに乗りたいなと思い続け、今に至ります。思い立って、頑張ってやればなんとかなります。

バイクについて事故が危ないという点についてはまず自己責任です。そして、三重県支部長がいつも言っているのですが「乗る人次第」です。クルマだって乱暴な運転をすれば危ないでしょう。

そんなこんなで、海と陸はいけました。なので、来年は空に行こうかなと(笑)パイロットの免許もハワイやベトナムに行けば結構簡単に取れるそうです。ただ、飛行機買って駐機場を用意して、というのは少なくとも私の中では現実的ではなく、もっと気軽にやりたいです。……今思ってるだけで来年買ってるかもしれませんが。

ああ、パラモーターってあるじゃないですか。あれをやろうかなと思っています。最近テレビで見ましてね。超低空飛行の撮影とかって。これで陸海空を制覇できますね。バイクでハーバーに行って、ヨットに乗って、海岸から離陸するとかできるよね(笑)

ようするにです、なんだか行き詰まったと感じたら新しいことをやれば新しい世界が拓けるのです。……収入がなくて困っているというのなら何かすればよろしい。

 

-……。ううむ、いろいろやったりはしてみているのですが、うまくいかなかったり面倒くさいことになったりしていますね。
(注: 2013年7月末時点での記者の主観)

おカネを儲けるというのはなかなかハードルが高いけれど、やりきることがやはり大事です。

 

-そろそろお時間です。最後に、ゲーム博物館からのメッセージをお願いします。

どうなんだろう……どういうメッセージがいいかな……明日はどうなるかわからないし(笑)

ゲームをやる人に「バイクやろうよ」といっても誰もやらないんですよね。もっと世界を変えたらどうなんだ、と思うんですけれど。ゲームをきっかけに人生を変えたらいいのに、と。もっとアクティブになったほうがよいでしょう。

人生は人それぞれですから「ぼくはゲームさえできれば幸せだ」という方がいらっしゃるなら、それは仕方ありません。

今ゲーマーの方を見ていると、どちらかというとゲームの中に閉じこもってしまって、世界の殻を破っていく人がやや少ないように思えます。まず、ゲーマーは免許の所有率が低いのではないでしょうか。ここ(JGMの場所、犬山)も僻地だとか山の中だとかいわれますが、クルマさえあればアクセスは悪くありません。若い方の傾向として免許を取らないだけかもしれませんが……

もっと自分のできることを増やしたほうが良いと思うのです。たとえば『beatmania』。上手い人はめちゃくちゃ上手いですよね。すべてをマスターしてのプレイは、ものすごい反復練習と努力を積み重ねてこそ達成できるものです。それは素晴らしいことです。ただ、その情熱を何か他のこと、バーチャルなゲームではない現実のなにかに変えると凄い結果が生まれるのではないでしょうか。

人生は自由です。だから、レースをゲームの中で済ませるのもよいでしょう。ですが、もし自分の現実に不満があるのならば、そう、自分の収入に不満があるとか(記者笑)、クルマに乗ってみたいとか、バイクに乗ってみたいとか、そういった欲望があるなら、私がこんなことを言うのもなんですが、ゲームにつぎ込んできた情熱をそちらに費やすべきです。事態が好転するかもしれません。

『ハングオン』のハイスコアで済ませるのではなく、免許を取るのです。たったの5週間で取れます。『ハングオン』をクリアするほうがよほどハードルが高いはずです。つぎ込むおカネもそうです。ゲームセンターに行ってずっと100円を投入するのを想像してください。大型免許なんて17~18万円で取れるんですよ。

今までゲームセンターに費やしてきたおカネと時間の一部を現実・実社会を変えるために使うだけです。私は『ハングオン』があったおかげで、この歳でバイクの免許を取ろうという決断をくだせました。大変でしたよ、暑いし雨は降るし蒸し暑いし。試練ではありました。でも、できる。だからこそ、そう思うのです。

そうして現実を立て直すことができれば、それでまたゲームをすればいい(笑)

 

-そしてそのゲームでまた世界が広がると。

そう。実生活がつまらないからと不満をゲームに向けるのではなく、ゲームに鼓舞されて自分の生活を変えるのです。

 

-ありがとうございました。

 


いかがでしたでしょうか。日本ゲーム博物館館長、日本でも屈指の大型筐体愛好家、ゲーム愛好家、文化の保全者である辻氏。「ゲーマーがゲームの世界に閉じこもってしまって」といった批判はしばしば耳にします。しかし、辻氏はまさしく”ゲーム”の中心に立っています。ゲームを愛さない外様ではありません。

そのような人物からこうした言葉が出たことの重みがあります。ゲームを愛し、それを契機として何か次の現実を愛することができれば、それにまさる「ゲームの存在意義」はないでしょう。

 

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