『Titanfall 2』と『Modern Warfare』の繋がり、そしてマルチプレイヤーの「スピード」

10月28日に発売されるRespawn EntertainmentとElectronic Artsの最新作『Titanfall 2』。東京ゲームショウ2016(以下、TGS)にて、COCのDusty Welch氏とアートディレクターのJoel Emslie氏に同作について聞く。

10月28日に発売されるRespawn EntertainmentとElectronic Artsの最新作『Titanfall 2』。東京ゲームショウ2016(以下、TGS)にて、RespawnのCOOであるDusty Welch氏とアートディレクターのJoel Emslie氏に同作について聞く。

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Respawn EntertainmentのアートディレクターJoel Emslie氏(左)、COO Dusty Welch氏(右)

 

――TGSに来られるのは初めてですか?

アートディレクターJoel Emslie氏(以下、Emslie氏):
仕事で三ヶ月に一度は来日してますね。でもTGSのために日本に来たのは初めてです。一番大好きな国で、食べ物や人柄もいいし、来るのが毎回楽しみだね。やっとこの国に『Titanfall 2』を持ち込むことができて、本当に光栄に思っています。

――『Titanfall』の中にも日本の言葉やキーワードが登場しますね。

Emslie氏:
『Titanfall 2』では「Forward Base Kodai」というレベルがありますね。『Titanfall』のユニバースというのは多文化で創られているので、日本の漢字だけでなく韓国語、ロシア語などいろいろな文化が盛り込まれています。アートを通じて豊かな文化の世界を描きたかったんです。

COO Dusty Welch氏(以下、Welch氏):
それだけではなく日本の大ファンですけどね。

Emslie氏:
そうですね。巨大ロボットも大好きで(笑)。

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――「タイタン」も日本人が親しみやすい形状だと思います。人形で手がある。着想を得た作品はありますか?

Emslie氏:
1つの作品だけではなくて、たくさんありますよ。「マシーネンクリーガー」も多少含まれています。第二次世界大戦のキットのようなものからもインスピレーションも受けています。「GHOST IN THE SHELL」や「アップルシード」といったアニメ、それに「ガンダム」。さまざまな作品からいろいろな素材を取り入れて、本当に日本のユーザーたちが受け入れてくれるようなロボットを作りたかった。そのために多くの作品からインスピレーションを受けましたね。

アメリカの中でもロボットの歴史はあるんですが、おそらく日本人の目から見ると、それほどよくはないんですね。なのでデザインしている時には、日本人のユーザーたちが「これがいい」と受け入れてくれるようなものにできればいい筈だと、自信を持って開発することができました。

『Titanfall 2』の「タイタン」は、動きが重くて遅いロボットではなく、とても素早く流動性があって、しかも剣を持っている(笑)。だいたい西洋では手自体が銃になってるロボットが多いんですね。でも私たちとしては指があった方がいいねと。

――前作をプレイしていると、「タイタン」のなめらかな動きは個人的に注目点の1つでした。ビジュアルやアニメーションはどのように作られているんですか。

Emslie氏:
『Titanfall 2』のロボットたちには深い意味合いがあって欲しかったんです。さらにはビジュアル的な言語も入れたかったんですね。まず最初はデザイナーがどういったタイタンを作りたいと伝えて、そこからテストの形をいろいろと作ります。たとえば「イオン」というタイタンはレーザーを強みに持つタイタンですが、ケーブルや配線、バッテリーパックなどがあって、ひと目でそれが強みだとわかるんです。「スコーチ」は炎が主力で、そういったことが「タイタン」を見ればわかることができるんです。

あと初代『Titanfall』では、タイタンがどれも似通っていて、同じような動きをしていたんですよ。なので今回は『ストリートファイターII』のようなアプローチを取りました(笑)。

――(笑)。ロボットに深い意味合いを持たせている、とのことですが、本作のシングルプレイヤーの物語についてあらためてお聞かせ願えますか。

Emslie氏:
主役機の「BT-7274」は特殊な七体目のタイタンです。シングルプレイヤーのストーリーを動かしてくれる大きな存在なんですね。マルチプレイヤーモードのタイタン達は、シングルプレイヤーでは敵対するキャラクターやボスとして登場する。彼らと対面した時にどんな動きをするのか、シングルプレイヤーで学ぶことができるんです。

「VT-7274」はヴァンガードのタイタンなんです。ミリシアで初めて開発されたロボットなんですね。対面したボスを倒したあとに、彼らの能力を吸収して自分で使いこなせるようなります。たとえば「ローニン」を倒すと、剣を奪って使えるようになります。能力も武器も奪うんですね。

――それはAIが学習してアビリティを覚えるような?

Emslie氏:
そうです。まるで『ロックマン』みたいにね(笑)。

dsc_9305――(笑)。今回シングルプレイヤーのキャンペーンを初めて搭載されるということなんですが、ストーリーのライティングはどう進められたんでしょうか。

Emslie氏:
『Call of Duty』や『Call of Duty 4: Modern Warfare』の時に共に働いたストーリーライターが戻ってきて『Titanfall 2』のストーリーを書いてくれています。正直に言うと、『Modern Warfare』を作った時の情熱が、今回『Titanfall 2』を作っている時に湧き上がったんですね。初代『Titanfll』を作っている時にはなかったんです。今作は本当に力が入っています。

Welch氏:
『Modern Warfare』で一緒に開発をしていた人たちが今回の『Titanfall 2』を手がけているんだ。みんな似たような気持ちを抱いていて、本作は本当に特別だと思っている。

――そう聞くと、ストーリーは前作以上に心に訴えかけるものになりそうです。

Emslie氏:
完全なフルシングルプレイヤーキャンペーンで、ストーリーの始まりはとても力強く印象深い。最後の結末も本当に爆発的な素晴らしいものになりますよ。

Welch氏:
アクションアドベンチャーなんですね。各レベルごとに体験するものがまったく違うんですね。パイロットとして戦ったり、タイタン同士で戦ったり、タイタンとパイロットの戦いもあり、パズルも探索も。昔の『Half-Life』をやってるかのような感じになる。

――ではグラビティガンも登場したり?(笑)。

Welch氏:
(笑)。まだ誰にも言っていない新しいメカニックがあるんですけど、そのような思考回路があればきっとわかると思います。とてもユニークになりますよ。

それで先程の質問に答えるんですけど、ストーリーはとにかく感情的なものとなりますよ。最終的にはタイタンとパイロットが一緒に戦った方が無敵だということに気づける、エモーショナルな旅になります。誰も止めることができないようなコンビになるんです。

dsc_9309――僕自身も『Modern Warfare』は大好きでしたので、ハードルは上がりました。絶対に面白くなると。

Welch氏:
社内のシングルプレイヤーデザイナーにMohammad Alaviという人物がいますが、彼は『Call of Duty』において忘れられないような場面をデザインしてきました。「No Russian」とか「All Ghillied Up」とか。そういう意味で『Titanfall 2』は『Modern Warfare』の魂を受け継いだ作品なんです。『Call of Duty』は別の道をいったけど、『Monder Warfare』を開発した人たちが行き着いたゲームはこの新作。

――次はマルチプレイヤーに関してお聞かせ願います。「グラップリングフック」など、前作から大きく変わった要素を教えていただけますか。

Emslie氏:
まだみなさんには2体のタイタンしか体験してもらってないんですね。「グラップリングフック」とかいくつかのものをお見せしているんですけど、そのほかにはまだ告知していないものがいっぱいあります。今後にご期待というところですね。

――マルチプレイヤーではテックテストを実施されました。賛否両論あったように思いましたが、想定されていましたか。

Welch氏:
開発者として我々はユーザーからのフィードバックが大好きで、Reddit(海外のフォーラム)は常に読んでいますよ。フィードバックが大好きで、まじめにユーザーの声に耳を傾けているんです。テックテスト自体はベータでもなく、単純に技術的なテストでした。サーバーやバックエンドの技術などを確認するためのものです。なぜならサーバー設計は初代『Titanfall』と『Titanfall 2』で違いますからね、実際に動くかをいろいろ確認したかったんです。それに関してはとても成功したと言えます。非常に大きな問題を1ダースほど見つけだして、それを1週間以内に解決しました。

でもそれだけではなくて、テストではユーザーたちの声も捉えることができました。社内の開発者は150人から200人ほどいて、常にゲームプレイを試していろんなことをやっています。でも一度に数百万人の人たちがプレイすることによって、200人では気づけなかった点を知ることができる。ウォールランのスピードなど、本当に細かい微調整なんですけど、すべて1週間で改善しました。

Emslie氏:
多くの会社はユーザーの声を聞いていると言ってるんだけど、私たちは聞いてから1週間以内に解決しているんです。その素早さは誇りに思っていますね。ローンチ後もフィードバックを聞いて改善に務める形で頑張りたいと思います。

――フィードバックと言えば、前作から『Titanfall 2』のゲームスピードは緩やかになったとの声も聞かれましたが、この点についてはどうでしょうか。テックテスト2週目で調整されましたが、開発側でスピードに変化をつけることは最初から想定されていたんですか。

Emslie氏:
意図的ではなくて、完全にフィードバックがあったからですね。その中にはバグによるものもあって、想定はしてなかったんですね。プレイヤーが壁にくっつきすぎて勢いをつけることができないような問題が発生していて、それにテックテストで気づいたんです。

Welch氏:
本当にそこで発見できたんです。だからコミュニティの声を聞かなければならないんですね。

――では最初からスピードを抑えているつもりではなかったんですね。

Emslie氏:
正直なところ、どういうフィードバックが来るのか待っていたところもあります。フィードバックがあったからこそ動き出すことができたし、このゲームのローンチ後も常に耳を済ませて、どのような声が上がってくるのかを待つつもりです。

――移動スピードを変えることはマルチプレイヤーゲームに大きな影響を与えると思うんですが、今後もそういった大胆な調整はどんどんと続けていく?

Emslie氏:
もしかしたらそういった微調整をローンチ後も続けるかもしれません。ただ、移動スピードはレベル毎にバランスを非常に取っていて、適切なパイロットとタイタンの組み合わせがあると、初代『Titanfall』のスピードと特に変わっていないんですね。ただもっとバランスが取れているというだけなんです。

 

[聞き手 Shuji Ishimoto]

【UPDATE 2016/10/28 13:57】 タイトルの誤字を修正しました。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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