国産シューター『ブレイゼンブレイズ』は、「性能ギリギリまで詰め込んだ」特盛ゲームに。VR×ヒーローシューター×ロールレス×近接メイン×環境破壊など、挑戦だらけ

VR対戦アクションゲーム『ブレイゼンブレイズ』について、ディレクターの池谷典之氏と吉岡哲生氏にインタビューをおこなった。

MyDearest株式は7月19日、VR対戦アクションゲーム『ブレイゼンブレイズ』を発売した。対応プラットフォームは、Steam/Meta Quest Store。このたび、弊誌は本作を手がけたディレクターの池谷典之氏と吉岡哲生氏にインタビューをおこなった。本稿では、本作の魅力と開発の経緯、今後の展開を語っていただいたインタビューの内容をお届けする。

『ブレイゼンブレイズ』は、3対3のバトルをVRで楽しむ対戦アクションゲームだ。ただひとりの世界大統領就任を目指して、ランナーと呼ばれる参加者たちが何でもありの戦いを繰り広げる。ランナーたちは両手に装着したガントレットを駆使し、ブーストダッシュや建物の破壊といった超人的なアクションが可能。さらに、ランナーそれぞれに固有のスキルや武器、アルティメットが用意されている。これらを駆使して、敵チームを倒すのが勝利条件となるゲームだ。

画像左から吉岡哲生氏と池谷典之氏


『ブレイゼンブレイズ』は超人体験ができるゲーム

――自己紹介をお願いします。

池谷典之(以下、池谷)氏:
開発側のディレクターを担当している池谷典之と申します。前職は株式会社コロプラで『白猫テニス』や『バクレツモンスター』などに携わりました。チャレンジングなタイトルだと、『ユージェネ』というライブ配信をテーマにしたゲームも手がけました。

その後、MyDearestには『ブレイゼンブレイズ』の前身となる、ユーザーと企画を選んでゲームを作る「プロジェクト:ギャザリング」というプロジェクトの頃に入社しました。『ブレイゼンブレイズ』は、プロジェクト立ち上げの頃にプロトタイプを自身で作りつつ、当時のディレクターと一緒に試行錯誤しながらゲーム性を詰めていったという経緯があり、現在はランナーや武器、ステージ、アイテム、パラメータ調整など、バトル周りを担当しています。最初はクライアントエンジニアとして始まって、今はゲームデザイナーになったかたちですね。

吉岡哲生(以下、吉岡)氏:
同じくディレクターを担当している吉岡哲生と申します。今後のアップデート計画立案など運営関連に加えて、バトル以外のアウトゲームと呼ばれる部分のUIや、キャラクターデザイン、武器デザインなど見た目に関する監修などを担当しています。前職は株式会社セガで働いていて、『ファンタシースターオンライン2』のディレクターを担当しておりました。前職に勤めて10年目の頃、新しいところを見にいきたいということで、VR作品を手がける弊社に転職したという経緯です。

――インゲーム部分は池谷さん、アウトゲーム部分は吉岡さんがおもに担当されているということですね。改めて『ブレイゼンブレイズ』はどういうゲームかご説明いただけますでしょうか。

吉岡氏:
3対3の近接格闘を重視した、VRの対戦アクションゲームが『ブレイゼンブレイズ』です。相手をぶっ飛ばしてキルするというシンプルな要素をメインに据えたタイトルになっております。本作のおもな体験としては、両腕に装着した機械の腕「ガントレット」を使って、建物も破壊する程の強力なパンチと高速なブーストダッシュによる、超人的な体験が可能です。ステージを自由に駆け回ったり、攻撃で敵だけではなくて建物まで破壊できるのが特徴です。

ランナーと呼ばれるプレイアブルキャラクターたちは、それぞれユニークな武器やスキルなどの個別の性能をもっている他、バトル中に出現するアシストアイテムによる、賑やかかつカオスな戦闘が楽しめるのも魅力のタイトルです。


――いわゆる型落ち気味であるMeta Quest 2対応プラットフォームでスペックの懸念があると思いますが、あれだけ動作して驚きました。やりたかったことはかなり盛り込めている実感はあるのでしょうか?

池谷氏:
『ブレイゼンブレイズ』はユーザーに最初に体験してもらいたかった部分をもっとも重要視して、そこにいろいろな要素を盛り込んでいったかたちになります。私がVRゲームで一番良いと思う体験が、目の前で自分が何か大きなことを起こすということなんです。目の前で大きな物が壊れて落ちてくるという体験ひとつをとっても、コンソール向けゲームと比べてVRは迫力も段違いの唯一無二の体験ができるんです。

対戦アクションにしたいというのは最初から構想にありました。そこからさらに、銃を撃つよりもパンチなどの近接戦闘を重視したいと考えて、近接戦闘の楽しさを最大化させるためにほかの要素を付随させていったかたちです。殴られて吹き飛んだ相手がオブジェクトにぶつかって壊れるとか、目の前で起きそうなことが全部起きるみたいな感じに積み上げたのが、現在の形になっております。

――ほかの何かのタイトルを参考にしたり影響を受けたりというのはあるのでしょうか。

池谷氏:
いわゆる既存のこういうゲームのようにしたいという指標よりも、こういう体験をしてもらいたいというところから、ゲームの内容を膨らませていった方が大きいかもしれません。そのため、試行錯誤していくというフェーズが多くなりまして、コンソール向けゲームの知見を活かそうとしても、やっぱり面白くないとか違和感が残ってしまうとかで、いろいろ捨てられた機能もありますね。

ヒーローシューターだけどカジュアルさを重視したロールレススタイル


――それぞれのランナーに個性があってシューターというと、ヒーローシューターと呼びがちですが、そう呼んでいいのでしょうか。

池谷氏:
ランナーごとの特性を用意しているので、ヒーローシューターと呼んでも大丈夫かなと思います。VRでの体験的な入力が多いという特性上、使用するランナーが変わったとき全部体験が変わってしまうと、ランナーごとに練習しないと満足に戦闘できないので、パンチとブーストダッシュを全員が兼ね備えた能力にして、そういった状況は取り除こうと思って作っています。

――ヒーローシューターのルールに則って作られている部分もあるということですね。

池谷氏:
そうですね。スキルであったりアルティメットであったり、メインの武器が全員違ったものになっているので、その辺りで差別化を図っています。ランナーの紹介をさせていただくと、ライオットというチュートリアルで操作できるランナーは、高い機動力と中距離に強いサブマシンガン、回復スキルを備えたオールラウンダーなランナーです。突出した能力はありませんが、すべて平均以上の能力をもっているので、いろいろな状況に対応できるオールラウンダーのランナーになっています。

その対比となるのは、レガシーというシールドを持ったランナーですね。パワータイプで高いHPとパンチ力を兼ね備えたランナーで、機動力は低いですが、メインウェポンのシールドを構えて銃弾を防ぎつつ、敵に真っ向から立ち向かえるような高火力をもった、ザ・パワータイプといった動きが可能です。

あとはシュータータイプとして、スカイボルトという両肩にアサルトライフルを装備した遠距離タイプのランナーがいます。HPは全ランナーの中で一番少ないですが、アサルトライフルは遠距離から当てることが可能です。ただ、本作は銃弾がそこまで威力が高くないので、アサルトライフルで敵のHPを削って、HPが減ったところをブーストダッシュで近づいて、最終的にパンチをお見舞いするといった戦い方ができるのが、スカイボルトというシュータータイプですね。

刀を持ったスピードタイプのランナーのベルベットも同じような戦いができて、中距離は衝撃波を飛ばして攻撃して、高い機動力で急接近から近距離攻撃をするのが強力なランナーです。ヒット&アウェイが得意なランナーになっています。

変わった体験がしたいという人は、トリッキータイプと呼ばれているサンシャインというランナーがおすすめです。ボムを主体にした戦い方が特徴的なランナーで、VRでボムを投擲する際には実際に投げるモーションをしてもらう必要があります。人によって普段の投げ方が違って苦労するかもしれませんが、慣れると強くて、自身の成長も味わえるかと思います。あとは、爆弾の爆風を利用して上空に飛ぶこともできるので、そういったシステムを利用して縦横無尽に駆け回ることが可能ですね。


――いろいろなタイプがあって、どのランナーを使うか迷う人も多そうですが、迷ったらライオットを使っておけばOK、というところでしょうか。

池谷氏:
迷ったらライオットを使っておくと、いろいろなことに対応できると思います。社内でプレイ会をしていても、いろいろなランナーを触れた後に結局ライオットに帰ってきて、「使いやすいね」となっている人が多いですね(笑)

ただ補足すると、本作はタンクやヒーラーといったロール(役割)を決めていないロールレスの作品になっています。本作は、特定のロールに縛られると役割ごとの動きをしなければならないという方向性ではなく、ゲーム体験の気持ち良さを重視していて、ほかのタイトルで例えるなら『オーバーウォッチ』よりも『スプラトゥーン』に近いのかなと思います。ひとりひとりに一定水準の能力があってちゃんと強くて、ただキャラクターに応じた戦い方をした方がもっと強くなれる、というところを目指して作っております。

――昨今はヒーローシューター×ロールを採用したゲームが人気を博していると思いますが、あえてロールレスにしたのはどういった理由でしょうか。

池谷氏:
ゲームのメインのルールを3対3にしたというところが一番大きい理由です。3対3のゲームルールでロールを作ってしまうと、タンクとヒーラー、DPSといったそれぞれの役割で、ひとりの比重が高くなり過ぎてしまいます。そこで「こいつが仕事をしないから勝てない」みたいなことがあると、ゲームがつまらなくなってしまうと思ったんですね。なるべくゲームをカジュアルに見せたかったので、それぞれの責任の比重が高くならないようにロールレスにした、というかたちです。

――みんなタンクをやりたがらない、みたいなこともなさそうでいいですね。ちなみに3対3にしたのはどういった理由でしょう。

池谷氏:
対応プラットフォームがMeta Quest 2であるということもありますが、前身となる「プロジェクト:ギャザリング」で3対3のゲームの企画がありました。そして、今マルチプレイゲームの流れがVRに来て、そういったゲームでもデバイス上で出せる最大限の画作りがしたいと考えています。その最大限の画作りをした上で、キャラクターをどれくらい出せるのかとなったとき、キャラクターの数としては6体が限界でした。

さらに、いろいろなところを飛び回ったり高速移動したりする体験ができるゲームで、楽しく動き回ったり、高所から見下ろしたりということもできるようにしたかったため、ステージもある程度広く取らなくてはいけなかったのも重なってしまいまして……。そこで限界値を求めた結果、3対3というところに行き着きました。

また、2対2だと責任が重くなり過ぎてしまって、1対1だとかなり競技性の高い殺伐としたゲームになってしまいます。今のVRゲームのマルチプレイの流れで、カジュアルに遊べてみんなでワイワイできるっていうところをベースにしたかったので、その辺りを含めて3人以上は欲しかったというところでした。


あらゆるものを最適化し盛り込み

――スペックの制限で3対3にしたというお話ですが、グラフィックが頑張ってる上にステージも広くて、しかもマルチプレイで、かなり詰め込んだのでは。諦めかけたけれど何とか盛り込んだというようなものはありますか。

池谷氏:
このゲームは床の上にある物がすべて壊れるようになっています。ただ処理負荷も大きくて、PCで作成していたプロトタイププロトタイプでは動作するんですが、Meta Quest 2に落とし込んだときに、どうやって処理負荷の問題を解決しようみたいなところは大きな問題でしたね。また、これも物が壊れるという要素に付随することですが、影の焼きこみが使えず、リアルタイムシャドウを導入することに苦労しました。結局Meta Quest 2では入れられなかったんですけど、Meta Quest 3以上のデバイスで実現できました。


ちなみに、一番初めに切られた機能を挙げるならNPC(BOT)ですね。通信同期などの問題でNPCは最初に切られそうだったものの、より実践的にプレイを上達していくためにやはり入れたいということで、2週間で作ったという経緯があります。

――NPCはたしかベータテストの途中で実装されたんですよね。

池谷氏:
そうです。やると決まっていたわけではなくて、ギリギリで本当にやりたいから何とか入れられないかと頼み込んで、そこから実装したという経緯ですね。弊社のエンジニアに協力してもらって、処理負荷を最低限まで下げることによって、ギリギリ実現することができました。メモリの空きを確保するのも大変でしたね。

そこからアシストアイテムを入れたいとなって、これにもメモリの取り合いなどがありまして……。アシストアイテムを入れるためにほかを削減できないかと、また最適化してもらうことになりました。ボイスチャットのTeleXusも、いろいろ無理をしてやっと入れられたという感じですね。


――こんなにいろいろ無理に詰め込んでいるプロジェクトは、みなさんこれまで経験されてきたのでしょうか。

池谷氏:
僕は初めてかもしれないです(笑)量もそうですし、メモリの使い方も含めて、こんなにギリギリまで詰めないといけなかったのは初めてですね。プログラマーだったからわかるんですが、すごい無理なことを言っているなと思いながらも毎回現場が対応してくれて……。

吉岡氏:
加えて、私の方からグラフィック表現をもっと良い物にしたい、という話をエンジニアとアートに持ちかけまして、Meta Quest 2でも正式リリース時には更にグラフィックが良くなります。

Meta Quest 2に関してはおもに建物のテクスチャが改善され、ディティールが細かくなっています。さらにMeta Quest 3やPC VRでは、グラフィックのオプションが増えています。解像度の設定、光、フォグ表現なども設定できるようになって、更に没入感の高まるグラフィックが体験できるようになっています。

オープンベータテスト時(画像上)と正式リリース版(画像下)のニューヨーク(昼)ステージ


さまざまなコンサルタントの協力を得て海外に受け入れられる作品へ

――『ブレイゼンブレイズ』にはゲームデザインコンサルタントやクリエイティブコンサルタントの方が参加されておりますが、どういったかたちで関わっているのでしょうか。

吉岡氏:
ゲームデザインコンサルタントとクリエイティブコンサルタントとしては、Richard Khoo氏とWarren Ellis氏が参加しています。本作のボリューム層である北米のユーザーに対してのカルチャライズをしっかりおこなうというのが目的です。日本人が海外でも受け入れられるゲームを作る過程で、どうしても現地の特徴などをある程度推測して作らなければいけない部分がありました。特にRichard Khoo氏に関しては、ゲームデザインやサービスの運営に関わる部分の相談役として助けてもらいました。

Warren Ellis氏は、シナリオやキャラクターの設定周りを担当していただいています。キャラクターのバックボーンやエピソードの部分ですね。特にグローバルユーザーは、バトル中のボイスやキャラクターの生い立ちを重視される方も多いため、そういった部分の監修はすごく参考になりました。


――VR専門プロデューサーでThrillSeeker氏、マルチプレイヤーゲーム開発プロデューサーとして岸大河氏も参加されておりますが、おふたりはどういった関わり方をされているんでしょうか。

吉岡氏:
ThrillSeeker氏は、先ほどのふたりよりもっとユーザー向けというところで、北米ユーザーのVRゲーマーに向けたセオリーや感覚に関してのフィードバックをいただいていたのが大きいと思います。わかりやすいところだと、日本人はVR酔いを気にして調整したり実装することが多いんですけど、ThrillSeeker氏にプレイしていただいたときに「全然気にしないから、体験を重視していいよ」ということを言ってもらうような、後押ししてもらった部分が大きいと思います。

岸大河氏に関しては、自身でプレイも実況もできる方なので、キャラクターのバランスや、大会でゲームを見せるときの見せ方の部分について意見をいただいています。試合にメリハリができるタイミングの創出、試合展開のわかりやすさの表現など、ゲームを見る側の視点を意識しつつ、ゲームの盛り上がるポイントをアドバイスしていただいています。

――開発における不安の材料を、外部の方々との連携で消していくわけですね。

吉岡氏:
VRはわからないことが多いですからね。岸氏とThrillSeeker氏、Richard Khoo氏と2週間に一度くらい実際にゲームをプレイして、その場でフィードバックをもらっています。なので、名ばかりのコンサルタントではなく、相当深く関わってくれていますね。


VRならではの体験を詰め込んだ『ブレイゼンブレイズ』

――そういった開発を進めたうえで、このゲームだからこそ実現できた楽しいところはどんな部分だと思いますか。

吉岡氏:
繰り返しになってしまいますが、バトル面では高速移動とか大規模な破壊が大きいと思っています。それ以外では、キャラクターの見た目をカスタマイズできるようなスキン設定機能でキャラクター自体への愛着を深めて、VRでキャラクターを操作したときの没入感がより深まる体験は、本作ならではと思っています。


またゲーム外の体験として、VRゲームでは定期的なアップデートを予定した運営タイトルというのが、まだまだ多くない印象です。本作は最低限1か月に一度はアップデートを実施する予定で、先ほどのアシストアイテムのようなユーザーからの要望が多いコンテンツは、1か月待たずに2週間ほどで配信が行われるため、ユーザーと開発が一緒に作り上げるゲーム体験みたいなライブ感も楽しめるのではないでしょうか。

池谷氏:
近接戦闘はVRゲームではまだあまり見ないと思っていて、近接戦闘の気持ち良さは唯一無二の体験にできたと思っています。あとは処理負荷との戦いではありましたが、広いステージで登ったり見下ろしたり、落ちたり壊したり、いろいろ飛び回れて広いステージを動き回っているだけで楽しいというのは、目指していたところです。

それと、VRゲームのコントローラーが左右で独立していることで、それぞれでいろいろな動きをすることができるんですね。体験的な入力と呼んでいるんですが、パンチをしたりブーストダッシュをしたり、そういった体験的な入力を左右で独立しておこなうことができます。そういったアクションを組み合わせて、「左手で銃を撃ちながら右手でパンチする」、「左手でブーストダッシュで後ろに引きながら右手で銃を撃つ」など、幅広いアクションができるようになっています。本作をコンソール向けに作ったとしても、VRユーザーの方が強いっていうところは意識して作れていて、ここは良くできているのではないかと思います。


ユーザーの人口割合は北米が約6割、日本が約1割未満


――御社社長の岸上さん(岸上健人氏、MyDearest株式会社代表取締役CEO)が、X上でベータテストでは北米ユーザーが多くて勇気づけられたとお話しされていました。国別のプレイヤー人口はどういった割合でしょうか。

吉岡氏:
ユーザー割合に関しては、日本が10%、アメリカが60%程度、そのほかヨーロッパなどの地域が占めております。この理由に関しては、VRの市場規模がそうなっているという事が一番大きいです。北米のユーザーは、特にティーン世代がVRのマルチプレイを多く遊んでいて、その中のひとつとして『ブレイゼンブレイズ』をプレイしていただいています。

また、『ブレイゼンブレイズ』のベータテストはAppLabという、Meta Storeではない方で公開されている状況だったわけですが、そこは露出がすごく少なくて、本来は自然流入が少ない、全然人が増えないところに置かれています。ただ、そんな状況下でも結構ユーザーが増えて、特に海外のユーザーがより増えてきているという状態です。

――僕もMeta Storeで『ブレイゼンブレイズ』をカタカナで調べても出てこなくて、ちょっと苦労しました(笑)

吉岡氏:
仰るとおりで、完全一致じゃないと出てこないということもあるので、私たちが本作を広めようというときは、何かの記事などにURLを貼り付けるくらいしかできず、ユーザーの口コミで広めてもらうときも、「このタイトルで検索してね」というのが、かなり難しい状況になっていました。そうした露出がある程度限定される中でも自然流入でユーザーさんが定期的に入ってきてくれており、ありがたい限りです。


――ユーザーからのフィードバックはどちらで受け付けているのでしょうか。

吉岡氏:
おもにDiscordなどで、ユーザーからは数千件ほどのフィードバックのコメントをいただいています。グローバルのコミュニティマネージャーのような担当もいるんですが、基本的には私たちも見ています。今このランナーが強いと言われているので下方修正するのか、ほかを上方修正するのかというような話をその場でしながら、ほかの仕事も進めていますね。

池谷氏:
そうですね。ちょっと手が空いたタイミングでDiscordを見て、今どんな話題で盛り上がっているのかを調査していますね。1日のうち、常に横で開いているような状態です。


ローンチ次第では開発規模の拡張も。VRゲームの盛り上げを目指す

――『ブレイゼンブレイズ』の実装や企画を担当する開発チームは何人ぐらいいるんでしょうか。

池谷氏:
40人くらいですね。いつも人が足りないと思っているので、常に少なく感じています。ただ、最初のプロトタイプは2、3人とか、最後の方に多くて5人くらいになり、こういう体験が良いんじゃないかと試しながら開発を進めていました。そのままどんどんスケールアップしていった感じなので、そう考えると最初と比べて増えましたね。

――これから運営フェーズにシフトして、おふたりはまだまだ忙しくなると思いますが、運営のスケールはこれまでと同じくらいのスケールで続くと考えてよろしいでしょうか。

吉岡氏:
開発規模が200人など、人員が多いことによって提供できる体験があることは知っています。なので、まずは『ブレイゼンブレイズ』をヒットさせ、より大きくしていき、さらに本作の世界が隅々まで体験できるよう、いろいろなコンテンツを提供していきたいと思っています。ゲーム性自体は体験が原始的でシンプルなものではあるので、そこをベースにキャラクターを増やしたり、ステージが増えたりするだけでも楽しめるタイトルかと思いますので、ボリュームに関する部分はペースを上げていきたいです。

――こういったチャレンジ精神のあるゲームには、ぜひ頑張っていただきたい次第です。

吉岡氏:
ちなみに、今のうちにプレイしておくのを個人的にオススメしています。夏から秋にかけてはいろいろ動きがあると予想していて、そこからクリスマス商戦や年末商戦に突入するので、10月から12月に山がある事になります。ほかにも、中国でのMeta Questが展開されるという噂もありますので、今年がVRのビッグイヤーとなってVR市場全体のユーザーが増えて、『ブレイゼンブレイズ』にとっても追い風になるのではないかと考えています。

――ひとつの時代の転換のきっかけになるかもしれない、ということですね。

吉岡氏:
そういうことです。また、先ほど本作の日本のユーザーが10%という話をしたとおり、盛り上がれる余地はあれど、まだまだVRは知る人ぞ知るプラットフォームです。VR業界としての盛り上げも含めて、『ブレイゼンブレイズ』でスマートフォンやPC以外のプラットフォームでもいろいろなゲームが楽しめるというところをアピールしていきたいと思います。これまで “VR元年”は何度も訪れていますが(笑)ユーザーのみなさんと一緒に、最後のVR元年を黎明期から体験できるようなものをお届けしていきたいですね。


池谷氏:
もし『ブレイゼンブレイズ』がちょっとでも気に入ったら、友達と一緒にやってもらいたいですね。3人で組んだときとひとりで野良に参加してプレイしたときでは、体験が全然違うので。みんなと喋りながら遊ぶ体験は楽しいものになるのではないでしょうか。特に身振り手振りとかまで反映されるVRからこそ楽しいと思います。

――実は自分はソロ(野良)でしかプレイできていなくて……。

一同:
(笑)

池谷氏:
ゲーム内にロビーを用意していて、そこで友達を作れるパターンもありますので……。ぜひ友達と一緒に楽しんでいただけると幸いです。

――ありがとうございました。

ブレイゼンブレイズ』はVR(Steam/Meta Quest Store)向けに発売中。

[聞き手・編集:Ayuo Kawase]
[執筆・編集:Koutaro Sato]

Koutaro Sato
Koutaro Sato

何でも遊びますがメトロイドヴァニアとトレハン、ゲーム内の釣りが大好物。クリエイターやプレイヤーの人となりと、彼らが生み出す盛り上がりが大好きです。

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