いきなり発表および配信のPC向け基本プレイ無料MMORPG『幻想神域 Echo of Cube』って、なんなの?『幻想神域』はめっちゃあるけどどう違う?運営会社に訊いた

ムーンラビットは12月15日、MMORPG『幻想神域 Echo of Cube』のサービスを開始した。同作の話を聞いた。

ムーンラビットは12月15日、MMORPG『幻想神域 Echo of Cube』のサービスを開始した。基本プレイ無料で、PC向けに配信中。

『幻想神域 Echo of Cube』は、台湾のゲーム開発会社X-LEGEND Entertainmentが手がける基本プレイ無料MMORPGだ。本作は2013年にサービスが開始され、現在まで運営されているアニメチックファンタジーMMORPG『幻想神域 -Another Fate-』のシステムを改修、刷新した新規タイトルとなっている。本作では新武器として「デュアルレーザー」が登場。双剣や太刀、杖などの多彩な武器ラインナップのひとつに加わっている。

弊誌は、本作の運営を担当する株式会社ムーンラビットの運営チームに話を訊いた。同社が本作の運営をおこなうことになった経緯や、今後の運営方針などについて本稿にて伝えていく。

『幻想神域 Echo of Cube』は12年続いた前作と並行して運営

――まずはムーンラビットという会社についてご紹介お願いします。

ムーンラビット運営チーム:
ムーンラビットはおもにPC向けMMORPGの運営をおこなっている会社になります。『幻想神域』シリーズを代表とするMMORPGを以前の運営会社から引き継いで、お客様に引き続き提供できるように運営を継続してきた会社です。そのため、MMORPGの運営ノウハウを持つメンバーが多数在籍しており、自社タイトルの運営はもちろん、他社からローカライズの相談や、企画・コンサルティング業務も一部引き受けています。

――今回サービス開始される『幻想神域 Echo of Cube』について、改めてどういう作品なのかご紹介いただけますでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
『幻想神域 Echo of Cube』は、弊社と協力関係にある開発会社X-LEGEND Entertainmentがすでにグローバル版として展開している『幻想神域 -幻神起動-』というタイトルがありまして、そちらを日本向けに調整した仕様となっております。タイトルの特徴としては、ハイエンドPCでなくても、さまざまな人と交流したり、共に戦ったり、そういった“MMORPGらしさ”というものを体験できる作品になっています。

――日本向けにはどういった調整がおこなわれているのでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
日本向けのおもな調整項目として、ローカライズの最適化や、あとは日本専用のイベントなどの用意もしております。たとえば、ゲーム内のキャンペーンやイベントひとつとっても、雰囲気であったり言葉遣いであったり、全体的な物語の流れが、日本では受け入れられにくいことが文字だけの表示だと出てくるので、そういったところをならして、物語の始まりから終わりまでに違和感ができるだけでないように調整しています。あとはキャンペーンの報酬の並びの調整ですね。国によって喜ばれる報酬の置き方、難易度設定が結構変わってきますので、その辺りを日本向けに寄せていくという調整をおこなっています。

――ゲームのコアの部分……それこそモンスターのドロップ率や、パラメーターを変更するような調整もあるのでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
そういった調整もありますね。あとはキャラクターのレベルアップに関係する部分もですね。どういう風にレベルアップしていくのかという、お客さまの体験部分も少し調整しております。

――『幻想神域』シリーズはいろいろな作品がありますが、改めてムーンラビットで展開しているタイトルの違いをご教示いただけますでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
『幻想神域』シリーズは、モバイルタイトルも合わせると……、7、8タイトルくらいあるんですね。その中で、弊社はPCでのサービス展開をおこなっております。『幻想神域 -Another Fate-』は、今年でなんと12年も運営してきておりまして、そうした運営経験の中で、今もいろいろなご意見をいただいています。

ただ、どうしても12年前のゲームなので叶えることができない要望も出ているというのが現状です。で、このたびサービス開始した『幻想神域 Echo of Cube』では、『幻想神域 -Another Fate-』でいただいていたご意見からヒントを得ながら、システム面の改良や改善をおこなっている作品となっています。

現在『幻想神域 -Another Fate-』ではゲームエンジンの関係で新武器種を追加しづらい状態なんですが、『幻想神域 Echo of Cube』では新しい武器種を追加したり、あとはダンジョンのマッチングシステムを追加したり、今風に改善している部分もありますね。弊社で運営をおこなっている『幻想神域』シリーズとしてはこのふたつになりますね。

――今後『幻想神域 Echo of Cube』も『幻想神域 -Another Fate-』も、並行して運営を続けていくのでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
そうですね。『幻想神域 -Another Fate-』は12年も続いているので、いろいろな思い出とか、フレンドリストに残っている昔の友達の名前とか、積み重なっているものがたくさんあると思いますし、そういったものをパッと閉じられてしまうのはすごく辛い経験だということは、過去のサービス終了タイトルを見ていてもたくさん声をいただいていましたので。なので、できる限り皆様が大切にしてきたキャラクターとプレイしてきた環境を残していきつつ、新しい『幻想神域 Echo of Cube』も進めていきたいと開発会社へ話しております。

『幻想神域』に失望してほしくないから開発会社と運営の交渉へ

――すでに『幻想神域 -幻神起動-』というグローバル向けタイトルがあるというお話ですが、『幻想神域 Echo of Cube』は元の作品があって、それを日本語向けにアレンジしたということでいいのでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
X-LEGEND Entertainment社自身が過去の作品をリメイクしたグローバル版としてリリースしたのが『幻想神域 -幻神起動-』です。実は我々はその動きをまったく知らず、リリース後にこちらも情報収集としてプレイしていました。つまり、グローバル版のリリースを知ったのは、皆様とあまり変わらないタイミングということですね。

――日本は日本で別軸で進んでいると。

ムーンラビット運営チーム:
そうなんです。そこから弊社とX-LEGEND Entertainment社とで日本展開における相談をさせていただきまして。日本向けのサポート面やローカライズ面にお客さまが不安を抱えていらっしゃるところがありましたので。『幻想神域』というタイトルは日本に関して言えば、弊社が先頭に立たせていただいていますので、ブランド的な意味でもお客さまに失望してほしくなかったという気持ちがありました。

あとは現在も弊社で日本向けに運営している『幻想神域 -Another Fate-』の取り扱いも重要でして。今までプレイしてくれている『幻想神域 -Another Fate-』もぞんざいにしないでほしいという部分も含めて、相談させていただきました。その結果、弊社に『幻想神域 -幻神起動-』の日本運営を任せるという話にまとまりまして、そこからは『幻想神域 Echo of Cube』として急ピッチで準備を進めてきたという流れになっています。

――やっぱり『幻想神域』をやるならムーンラビットがやらないと、というムードがあったわけですね。

ムーンラビット運営チーム:
過去の日本展開されているものの不安というか、そういった部分を我々が開発会社に対してフォローアップすることで作品の価値をさらに上げられますと、ちょうど言えるタイミングでもあったのが本作に携われるきっかけとしてはありました。

――グローバル版である『幻想神域 -幻神起動-』の評価が少し芳しくなかったことを課題として受け止められているようですが、それをどのように日本向けに改善されているのでしょうか。

ムーンラビット運営チーム:
リメイクのグローバル版『幻想神域 -幻神起動-』では、職業の細かいステータスなどがかなり変更されておりまして、その関係で『幻想神域 -Another Fate-』に存在している職業すべてを同時にリリースできないという状況になっていました。そのため『幻想神域 -幻神起動-』で遊ぶとき、『幻想神域 -Another Fate-』ではあの武器で遊んでいたのに、新しい方ではその武器がない、というような理由でマイナス評価を受けていたんです。

ほかにもいろいろ細々とありますが、そういったところをできる限り、日本にもってくるにあたっての調整をかなり早い段階から進めております。今後のロードマップの展開も考えていますが、できるだけ早い段階でお客さまが遊びたい武器、体験したい武器を提供できるようにしていこうと考えています。

こういったかたちで、細かな指摘をこちらでも拝見しておりまして、レベルアップのスピードもそうなんですが、こちらで改善できる範囲は改善させていただきたいですね。当然、開発会社側にも意図があるので守りたいという部分は尊重しつつ、ユーザーの皆さんのお声を拾わせていただいて、本作を遊ぶ上での障害を少しでも取り除けるように動いていきたいです。

――今回、『幻想神域 Echo of Cube』発表にあたってレターメッセージを出されておりました(関連記事)。内容を端的にいうと『晴空物語リボーン』では日本展開では軽く協力していたものの混乱を招いてしまったので、『幻想神域 Echo of Cube』ではしっかり日本向けに引き取って運営していくというメッセージに感じました。意図を教えてください。

ムーンラビット運営チーム:
『晴空物語 リボーン』は、スケジュールの関係でチャネリングサービスというかたちで参画させていただいたんです。直接的には運営に関われなかったわけなのですが、その結果、厳しい声が日本のユーザーから寄せられることが多くなっていたんです。

そういった経緯があったものですから、『幻想神域』の方では、なるべく『幻想神域 Echo of Cube』も『幻想神域 -Another Fate-』もムーンラビットが支えていくんだと。そういう気持ちを前面で押し出したいというので手紙というかたちで書かせていただきました。

――ムーンラビットとしては、これまでやってきた当たり前のことも含めて、運営面では特にどういうところに気を付けていこうと考えていらっしゃいますか。

ムーンラビット運営チーム:
これまで前身の会社も含めてMMORPGの運営に長年関わってきましたが、季節感が現地向けと言いますか、本国全般向けの季節感にあわせたイベント設計だったので、その点は日本に寄せて、クリスマスならクリスマスに、ハロウィンならハロウィンの時期にやろうと思っております。弊社のスタイルとして、お客さまにいただいた声を反映してより楽しんでいただけるように、できる限り開発会社と交渉していくという部分もこれ以上力をいれていきたいです。

あとは情報発信ですね。今回、公式掲示板は廃止となりましたが、Xと新たにDiscordサーバーを開設しましたので、そちらでの情報発信もおこなっていこうと考えています。「鉄は熱いうちに打て」ではないですが、できるかぎりホットな情報をリアルタイムにお届けできるように頑張っていく予定です。

――御社としてもかなり気合の入ったプロジェクトになっているんですね。新しい軸ができる分、いろいろ大変だとは思いますが……。

ムーンラビット運営チーム:
(笑)そうですね。弊社の中でも一番長く運営してきたタイトルですし、多くのお客さまの触れていただいたタイトルなので。MMORPG群雄割拠の時代を生き抜いて、今も続いている息の長いタイトルですので、当然の力の入れ方なのかなとは思っていますが、外から見てもしっかり頑張っているなと思っていただけるように頑張っていきたいなと思っています。

ユーザーの熱を冷まさないための事前登録期間“5日”

――それにしても、発表からリリースまで近すぎませんか……。

一同:
(笑)

ムーンラビット運営チーム:
いくつか理由はありまして、交渉のタイミングがリリースを知ったタイミングだったということで、かなりギリギリでした。そこから日本のお客さまにとって良いものを届けたい気持ちがありましたので、交渉をしながら徐々に徐々に進めていった、というのがこのタイミングになったひとつの理由ですね。

――でも、事前登録期間が5日ってほとんど聞いたことがないですよ。

ムーンラビット運営チーム:
そうですね(笑)事前登録は弊社を応援してくれる既存のお客さまがどのくらい認知してくれて興味を示してくれるかな、みたいな部分の指標になっているというのがメインだというのが正直なところかと思っております。

面白そうなゲームだなと思って始めようと思ったときにサービスがまだ開始していないとなると、PCの場合はスマートフォンのように通知機能があるわけではないので、再接触しにくいというところがあるんですね。事前登録の期間を1か月くらい用意したとして、最初にそれを目にした人が1か月後に戻ってきてくれることって、また巡り会う機会ってあるのかなと考えて、期間を短くして、できるだけ早くお届けしようとした要因のひとつになります。我々の私見ではあるんですが、PCゲームの事前登録に期間を設け過ぎてしまうと、逆にお客さまの熱を逃してしまうことになるのではないかなと。

――『幻想神域 Echo of Cube』は、どういう人に遊んでほしい、どういう心境で遊んでほしいなど、ターゲットにしている層はありますか。

ムーンラビット運営チーム:
『幻想神域 Echo of Cube』は長年の運営で寄せられたフィードバックを参考にして改善したことが多いので、新規ユーザーでも遊びやすい環境になっているのではないかなと感じています。あとは、昔『幻想神域 -Another Fate-』を遊んでいた方、レベルキャップがまだ70くらいだった頃に止めてしまった方、本当にちょっと遊んだだけの方とか、そういった方々からすると、『幻想神域 -Another Fate-』との違いや、遊びやすくなっているな、昔言ったあの意見が反映されている、というところも楽しんでいただけるのではないでしょうか。なので、結構広めな範囲でいろいろな人に楽しんでいただくことを想定しています。

――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

ムーンラビット運営チーム:
『幻想神域 Echo of Cube』の運営として、ローカライズサポートやユーザーサポートといったサービス面に加えて、実は『幻想神域 -Another Fate-』ではできなかったコラボの計画や、配信者の方々に協力していただいて、新規のユーザーに魅力を届けるというPRといった、さまざまな仕掛けをおこなっております。いろいろな施策をお届けできるように準備を進めておりますので、年末年始辺りから1月くらいまで、短いスパンで詰め込んでいるものも楽しみにお待ちください!

――ありがとうございました。

『幻想神域 Echo of Cube』は、PC(公式サイト)向けに基本プレイ無料で配信中。

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