『デッドアカウント』のローグライトRPGは開発者いわく「毎日の周回は短く、攻略は奥深く」。「電能」が導き出した、原作要素とリプレイ性の華麗なる融合

『デッドアカウント~二つの蒼い炎~』のプロジェクトディレクターを務めるキム・ビョンギ氏へのインタビューを実施。先行体験テストにおけるユーザーの反応や、原作とローグライト要素における結びつきなどを訊いた。

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スマイルゲートは8月26日、IAN Gamesが手がける『デッドアカウント~二つの蒼い炎~』の事前登録受付を開始した。本稿では東京ゲームショウ2026会場で実施した、本作のプロジェクトディレクターを務めるキム・ビョンギ氏へのインタビュー内容をお届けする。

『デッドアカウント~二つの蒼い炎~』は、渡辺静氏の漫画『デッドアカウント』を原作としたローグライトRPGだ。対応プラットフォームはPC(STOVE)およびiOS/Android。

本作の舞台は、未練を残した死者のSNSアカウントが「化け垢」として現世へ蘇る世界。主人公の「縁城蒼吏」は、妹の治療費を稼ぐために炎上系配信者「煽りんご」として活動していた。しかし、すでに亡くなっていた妹が「化け垢」となり襲われてしまう。妹との闘いの中で「電能」に開眼した主人公は、新時代の霊媒師を育てる「弥電学園」に編入し、仲間たちとともに「化け垢」と対峙していくこととなる。

このたび弊誌は、東京ゲームショウ2026の会場にて、本作のプロジェクトディレクターを務めるキム・ビョンギ氏へのインタビューを実施した。先行体験テストにおけるユーザーの反応や、原作とローグライト要素における結びつきなど、貴重な話を聞くことができた。本稿では、その内容をお届けする。なおゲーム内画像は全て開発中の海外版となるため留意してほしい。


原作を忠実に再現すること、ゲームならではの体験を届けること

──先行体験テストでのユーザーの反応を受けて、いかがでしたか?開発チームとして手応えを感じた点、製品版に向けて調整された点を教えてください。

キム・ビョンギ(以下、キム氏):
まず、先行体験テストはゲームの完成度を確かめる場というだけではなく、開発者側で意図した面白さを、ユーザーが実際に体験できているかを確認する場でもあると思っています。開発側として印象的だったのは、原作の物語やキャラクターをそのままゲームに再現した部分や、画面を片手で簡単に操作できるように設計した部分へ好評をいただいたことです。とてもやりがいを感じました。

改善意見としては、プレイ時間が長いという声やチュートリアルが足りないといった声もいただきました。これは開発側として想定していなかったことでした。そのため先行テスト後に、早い時間でクリアできるモードへの変更機能や、倍速で戦闘ができる利便性のある機能を追加しました。

チュートリアルでは、ユーザーへの案内が足りない部分もありましたので、ゲームのTipsを二倍以上追加しています。ユーザーがゲーム内でどのようなキャラクターを使用したのかを分析できる機能や、デッキを戦略的に組み合わせるために、スキルの情報やチーム効果、レベルアップ時の追加能力などを簡単に分かりやすく確認できるような機能も現在開発しています。

──ゲーム化によって原作ファンにどのような体験をしてもらいたいですか?

キム氏:
原作の漫画において、ユーザーはキャラクターの活躍を物語に沿って楽しむという立場でしたが、ゲームでは自分の好きなキャラクターを編成して、どのような「電能」を強化するかをユーザーが直接選択できるようになっています。

原作では一緒に戦わないキャラクターたちもいます。そのため、さまざまなキャラクターを組み合わせてチーム編成をおこなったり、好きな「電能」を中心として自分だけのビルドを作ってみたりと、ゲームだから可能な体験をしてもらいたいと思っています。

──本作では、テレビアニメのOPテーマを担当した五十嵐ハル氏による公式テーマソングを使用していたり、テレビアニメの声優さんをそのまま起用していたりと、原作へのリスペクトを感じます。ほかにも原作ファンにとって嬉しい要素はありますか?

キム氏:
原作に登場する草津を体験できるコンテンツを用意しています。草津温泉の街並みだったり、弥電学園の内部をユーザーが自分の手で駆けまわれるようなコンテンツともなっています。サービス後には追加フィールドも開発していく予定ですので、楽しみにしていてください。

そのほかにも、ゲーム内でキャラクターの詳しい情報やセリフを見ることができます。原作から忠実に再現されたキャラクターたちの、個性溢れるセリフも体験していただけますので、こちらも楽しみにしていただければ幸いです。

──原作をゲームで再現するにあたって、苦労した部分はありますか?

キム氏:
一番悩ましかった部分ですが、漫画では1、2カットの絵で強烈に能力が表現されているシーンを、ゲームではスキルとして使う部分もあったり、さまざまなキャラクターと同時に能力を使用する場面があることです。原作の表現をそのままゲームに再現することで表面的にはかっこよく見せられるかもしれませんが、プレイヤーにとってはシーンの長さに不便を感じる場面もあるかもしれません。

また、ゲーム性だけを考えてしまうと、キャラクターの個性が消える可能性もあります。一番懸念したのは、すべてのキャラクターが似たようなプレイ体験になってしまうことです。
原作ファンに対しては、原作のキャラクターをそのまま再現して届けられるように、ゲームとして興味を持ってくれたユーザーに対しては、キャラクターごとに違う体験ができるようにと開発をしてきました。そのため、この二つを両立させることも悩ましい部分となりました。

──原作ベースのシナリオのほかに、本作オリジナルストーリーがあるとのことですが、どのようにゲーム内で展開されますか?

キム氏:
本作では、原作の物語が見られるコンテンツのほかに、ゲーム内でしか体験することができないオリジナルシナリオも用意されています。オリジナルシナリオを追加する際の基準ですが、原作で直接描かれていない場面でも、この世界なら十分にあり得る話になるように成り立たせることが一番重要だと思っています。

キャラクターの関係性や日常だったり、さまざまな場面を体験できるように開発を進めています。また、オリジナルシナリオを制作する際には、講談社や原作者の監修を受けて開発をおこなっています。


「チームプレイ」で戦う、ローグライトRPGの可能性

──数あるジャンルのなかで、本作の遊びの軸に「ローグライトRPG」を選ばれた理由を教えてください。『デッドアカウント』の世界観とどのように結びついているのでしょうか?

キム氏:
もともと開発側として、さまざまなキャラクターをチームとして組み合わせられる、ローグライトRPGを作りたいと考えていました。キャラクターがそれぞれ違う能力を持っていて、戦闘中に能力を発展させたり、追加の能力を得たりするなど、チームや能力を組み合わせながら戦っていく方針のゲームを開発したいと思っていました。

このようなゲームを作りたいと思っていた時に、『デッドアカウント』という作品と出会いました。原作を読み進めていくと、開発側で作りたいゲームと非常に相性が良いと感じました。原作を読んで一番先に目に入ったのが、「電能」と呼ばれるキャラクターごとの固有の能力です。この「電能」の能力をローグライトの成長や選択の過程に入れることで、キャラクターごとにまったく違うビルドを構築できると考えました。

また、原作の中で「除霊はチームプレイ」というセリフがあります。開発側が作りたいと考えていたチーム制ローグライトRPGが、このセリフと自然に繋がったのです。本作では、それぞれ違う「電能」を持った霊媒師たちがチームになることで、一人のキャラクター能力を他のキャラクターの能力に組み合わせることができます。

チームの編成によって攻略の仕方や戦いの方法に違いが生まれることが、原作の“チームで除霊する”というテーマとマッチしていました。ゲームでの体験を通してそのテーマをユーザーに届けることができると考えました。

──本作はローグライトRPGゲームということで、ダンジョン的な面白さもあると思います。ステージプレイにかかるコストや短時間での周回のしやすさなど、バランス調整はどのようにおこなっていますか?

キム氏:
本作のようなモバイル向けのゲームやキャラクター収集系RPGでは、ローグライトにおける奥深さや面白さが、かえってユーザーの負担になってしまうことも考えられます。

本作ではユーザーの負担を減らすために、序盤のステージを比較的早い時間でクリアできるように調整するなど、戦闘の面白さをすぐに感じられるようにしています。周回プレイを減らすようなイベントや機能も用意し、「毎日の周回は短く、攻略は奥深く」ということを掲げて開発をしています。

また報酬を獲得するためだけではなく、新たなビルドや攻略方法を探していく面白さによって何度もプレイしたくなるようなゲームの開発をおこなっています。

──デッキ編成による強力なシナジーや、ステージ上で取得できるバフ効果など、戦略性のあるゲームシステムとなっていますが、どのような奥深さがあるのでしょうか?

キム氏:
開発側が考える戦略性というものは、単純に攻撃力が高いキャラクターを編成することではありません。本作では、キャラクターによって役割や「電能」が異なります。たとえば一人のキャラクターが敵に状態異常を付与したら、次のキャラクターがその状態異常を使って追加効果を発生させるなど、チームの能力がつながるように設計しています。

またゲーム内で専属効果を選択することによって、各能力を強化することもできます。デッキ編成における「電能」の組み合わせや、戦闘中のビルドの選択が本作の戦略性に影響を与えるようになっています。ユーザーがビルド内で戦略を立てたり、キャラクターの組み合わせを考えやすいように、「記録室」というキャラクタースキルやチーム効果などの情報が見られる場所を用意しています。ぜひ参考にしていただければ幸いです。

──ローグライトならではの「毎回違うプレイ」という面白さについて、ビルドの自由度やランダム性はどのくらい用意されているのでしょうか? 何度も遊びたくなる仕掛けを教えてください。

キム氏:
ローグライトにおいてランダム性は大事ですが、単純に運が良いから強くなれるゲームにはしたくありませんでした。ユーザー自身が戦況を見極めて、キャラクターやチーム編成に合う選択肢を選んでいけるようなゲームにしたいと思っています。

選択肢の効果もキャラクターによって異なる意味を持つように設計しています。最初は平凡な効果に思えた選択肢が、新しいキャラクターと編成することによって「革新ビルド」という重要な選択肢に進化することもあります。

本作では、ユーザーが「今回は違う選択をしてみよう」と考えたり、もっと良いプレイや結果につながるように好奇心を持って繰り返しプレイしていただければと思っています。また、キャラクターはアップデートによって追加されていく予定です。


好きなキャラクターを好きな編成で好きなだけ楽しめる

──お気に入りのキャラクターを長く使い続けられる設計になっていますか?育成のやりこみ要素についても教えてください。

キム氏:
ユーザーが好きなキャラクターを長く使い続けられるかどうかは、キャラクター収集型RPGにおいてとても重要なことだと思っています。本作では、新しいキャラクターが登場することで、以前のキャラクターが劣ってしまうといったことにはなりません。新たな「電能」の組み合わせやキャラクターの役割を考えるなど、好きなキャラクターを中心にさまざまな戦略でプレイしてもらえることを目標に開発しています。

──バトル演出やスキルカットインなど、ビジュアル面でこだわられたポイントを教えてください。原作の名シーンが再現される演出はありますか?

キム氏:
カット演出で重要なのは、かっこよく見せることとプレイの流れを壊さないことのバランスです。原作において「電能」を使用する場面はとても強烈で、本作でも生かしたい部分ではあります。ただ、ゲーム内で長い演出にしてしまうと、ユーザーにとっては負担になり得ます。

ゲームの流れが途切れないようにしつつ、キャラクターの個性も確実に感じられるように、カットインやエフェクトを用いて何度も調整をしています。原作の名シーンも登場するストーリーコンテンツでは、カットシーンやボイス付きの場面を作って、没入感を感じられるようにしています。

──アクションやローグライトが得意ではない方でも楽しめるよう、難易度や導線の面で工夫されている点はありますか?

キム氏:
本作はローグライトが好きなユーザーだけを対象にして作らないようにしています。ユーザーの中には、キャラクター収集型RPGが好きな方や自動戦闘に慣れてる方も多いと思います。ですので、序盤では複雑な判断を要求しないようにしており、単純にキャラクターを動かして能力を選択するといった基本的な面白さから、自然とプレイができるような導線を設計しています。

オートスキル使用を選択できたり、自動戦闘のコンテンツを用意したりと、ユーザーが好きな方法でそれぞれのプレイ体験を楽しめるようになっています。アクションに慣れているユーザーだけが楽しめるゲームではなく、最初から敵を倒しやすくすることで、プレイするほど戦闘が上手くなっていくといった感覚をつかんでもらえるようなゲームに仕上げたいと思っています。

──PvPやレイドバトルの実装も予定されているとのことですが、フレンドやレイドチームとコミュニケーションをとれるなど、コミュニティの発展は目指されていますか?

キム氏:
開発側としては、コミュニティ機能を多く入れるより、ほかのユーザーのチーム編成や攻略が気になるようなゲームを作るのが大事だと思っています。ゲーム内の「邂逅」というレイドバトルコンテンツでは、高いスコアを出したユーザーがどのようなキャラクターでチーム編成をしたのかを確認することができます。ユーザー同士がチーム編成を気にし合い、自然と情報が行き来し合う、そういった雰囲気でコミュニティが発生するのは、開発側としては嬉しい形です。

またフレンド機能も用意しています。ゲーム内でフレンドになると、友情ポイントの交換ができたり、フレンドの強いキャラクターを使用してさらに難しいステージに挑戦することもできます。

──最後に、リリースを待っている原作ファンとゲームファンの皆さんへメッセージをお願いします。

キム氏:
開発を進めるなかで長く悩んでいたことは、原作ファンの皆さんが満足できるゲームであると同時に、原作を知らない方々にも一つのゲームとして楽しんでいただけるようなゲームを作ることでした。

正式サービスが開始された時の完成度が、本作のすべてではありません。実際にプレイしていただいたユーザーの声を聞き、どんなキャラクターが好きで、どんな組み合わせが見つけられて、どういったコンテンツを楽しんでいるかを確認しながら良いゲームを作っていきたいと思っています。

──ありがとうございました。

『デッドアカウント~二つの蒼い炎~』は、PC(STOVE)およびiOS/Android向けにリリース予定。各アプリストアで事前登録も実施中だ。

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Misako Murayama
Misako Murayama

インディーゲームとゲームの雰囲気に合った飲み物を探すのが大好きです。ひそかに女性向けゲームも楽しんでいます。

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