人気少女ローグライト『Cinderia』『魔女の庭』『クライムライト』開発者が対談、なぜみんな『Hades』系を作るのか。理由が違いすぎて白熱、ローグライト談義

『Cinderia』『魔女の庭』『クライムライト』の開発陣による三者対談を実施。

MyACG Studioの手がけるローグライトアクションゲーム『Cinderia』の最新情報が、9月20日の東京ゲームショウ(以下、TGS2026)イベントステージにて発表された。現在早期アクセス配信中の本作は、Steamレビューにて「非常に好評」ステータスを獲得する人気作だ。本作の舞台は、魔女によって焼き払われ焦土と化したダークな世界。童話モチーフの可愛い女の子たちが爽快なアクションでダンジョン探索を進め、街の避難所を便利にしながら魔女の力の謎に迫るストーリーとなっている。

ステージでは本作の総合プロデューサーを務めるXiao Yu氏、パブリッシング担当のHotpot氏へのインタビューと実機プレイも交えながら、今後追加される予定のマルチプレイ機能や新規プレイアブルキャラクターなどの情報が初解禁された。

『Cinderia』
『Cinderia』

本稿では、TGS2026を機に来日中であった『Cinderia』チームからの呼びかけで実現された、アクションローグライト3作品の開発陣による三者対談の模様をお届けしたい。中国から本作『Cinderia』、日本からフリューの『クライムライト/CRYMELIGHT』(以下、クライムライト)、韓国からTeam Tapasの『魔女の庭』が参加し、国際色豊かな対談の場となった。3作品ともが“ダーク&可愛い”という属性を併せ持つアクションローグライトであり、そこには共通する部分と異なる部分がそれぞれあるに違いない。開発経緯やこだわりについて聞きながら各チームの色を深堀りしてみた。

――自己紹介をお願いします。

礒部たくみ氏(以下、礒部氏):
『クライムライト』のプロデューサー兼ディレクターを務めております、礒部と申します。よろしくお願いします。

Xiao Yu氏(以下、Xiao氏):
『Cinderia』のプロデューサーXiao Yuと申します。よろしくお願いします。

キム・ミンス氏(以下、キム氏):
Team Tapasにて『魔女の庭』のリードプログラマーをしていますキム・ミンスと申します。よろしくお願いします。

――現在手がけている作品の紹介をお願いします。

礒部氏:
私たちの作っている作品はいずれもローグライトというところは共通していると思うので、そこを一旦外して紹介すると、『クライムライト』の場合は物語とキャラクターに特徴があると思っています。女の子たちが涙を流しながら、自分たちが犯した罪に苦悩し向き合い、懺悔・消化していくストーリーになっています。罪に対して意味を与えていくような展開と可愛い女の子たちが泣くことが特徴のゲームです。

『クライムライト』

Xiao氏:
『Cinderia』はファンタジーな世界観の『Hades』ライクのゲームで、ビジュアルデザインが『Cult of the Lamb』に近い感じの作品になっています。特徴としては、基本動作の異なる複数のキャラクターがいるのでそこから自分の好きなスタイルを選んで、スキルなどを自由に組み合わせられるアクションローグライトになっています。

『Cinderia』

キム氏:
『魔女の庭』は「糸の魔女」である主人公シルを操作して遊ぶ作品です。特色はTeam Tapasの可愛いキャラクターとアクションを最大限に活かして作られていることです。ほかのキャラクターたちを力で説得してティーパーティに連れて行くストーリーが基盤になっています。アクションローグライクの魅力を最大限活かしつつも、このジャンルに慣れていないプレイヤーも気楽に楽しめるようなものを目標としています。

『魔女の庭』

開発の経緯

――どうしてローグライトゲームを作ろうと思ったのでしょうか。

キム氏:
開発当初はもっと『Vampire Survivors』に近い形のプロトタイプが存在していました。本作のアニメーターを務めているイ・ソンウォン氏がかなり頑張って、全般的なアクションとアニメーションのクオリティを向上させてくれました。そこでこのアニメーションとアクションの魅力を活かしながら制作コストも抑えられるゲームジャンルは何があるかを考えた結果『Hades』っぽいゲームにしてはどうかということになり、今のアクションローグライトに行き着きました。

Xiao氏:
ローグライク・ローグライトはやはり制作コストを抑えられることが大きいですね。同じシーンを何度も使うことができるので、小規模デベロッパーに向いていると思っています。『Diablo』シリーズみたいに規模の大きなゲームにはシーンもたくさんあり、僕もそうしたゲームで面白い体験をしてきました。でもローグライクではシーンを100個も200個も用意しなくても、プレイヤーに長い時間遊んでもらうことができます。ローグライクを作る理由はなぜと言われたら、やはりここに尽きます。

礒部氏:
……みなさんコスト面を理由に挙げられるのでちょっと驚いてます(笑)というのも『クライムライト』の場合はストーリー上「何度もやり直す」ということに意味があり、それを活用した演出も多々あります。Team Tapasさんにも今朝試遊していただきましたが、オープニングで倒されて時間が戻るというシーンがあったり、実際にプレイを何回もやり直して最後まで到達することで「あ、こういうことだったのか」と気付けるような部分があるんです。そういうストーリーや演出とローグライクは相性が良いので選んだところがあります。

『クライムライト』

また、みなさんも挙げているとおり『Hades』の影響も大きいです。一昔前、日本ではまだ「ローグライク」がジャンルとしてそこまで認知されていなかったんじゃないかと思います。『Hades』をきっかけにローグライクというジャンルの認知度が上がった感じがします。シナリオ的にもジャンル認知度的にも「じゃあローグライクで」と決めやすい土壌が出来上がったかなと。

――作りたいシナリオがあって、プレイヤーにとっても遊び慣れてきたジャンルだから、と。

礒部氏:
そうですね。世界観を最大限表現するためのひとつの要素として選びました。

――『Hades』や『Vampire Survivors』が挙がりましたが、ほかにも影響を受けたローグライク作品はありますか。

キム氏:
チームとしてというより私個人としての回答になってしまいますが、私は高校の頃からインディーゲームを楽しく遊んできました。そのなかで特に印象に残っているのは『The Binding of Isaac』です。そして『Hades』『Hades Ⅱ』、日本のゲームとしては『ビビッドナイト』『ビビッドワールド』をプレイしました。ほかに『Cult of the Lamb』も印象深いです。もちろん『Cinderia』もですよ!(笑)

一同:
(笑)

『魔女の庭』

Xiao氏:
好きなゲームは色々ありますね。韓国の骨のゲーム……『Skul: The Hero Slayer』が好きなんですよね。初見時はアートスタイルにお金がかかっていないように感じたんです。システム的にも『星のカービィ』などに着想を得ていて斬新さのあるものではなく、つまらないかもしれないとすら思っていました。でもやってみるとボリュームがすごくて、クリエイターの熱量を感じました。やっぱり僕の考えだとローグライクの一番良いところは、お金をかけず面白くできるところなんです(笑)

礒部氏:
僕の体感では、現在のような「インディーゲーム」という市場やカテゴリーが広く認識されるようになったのは、海外と比べると少し遅かったように感じています。たとえば『風来のシレン』とか『トルネコの大冒険』などの不思議なダンジョン系作品はありましたが、あまりローグライクとは呼ばれていなかった印象です。『Cult of the Lamb』を契機にダーク・ポップ・キュートな世界観にローグライクをかけ合わせたものが一気に流行りだした印象です。そこに『Cinderia』と『魔女の庭』も加わってきたという感じですよね。

Xiao氏:
もともとローグライクは単に死んでやり直すという骨子を持つだけのものだったのが『Hades』では死ぬことがシナリオと深く絡み合うようになったと思うんですよね。たとえば『The Binding of Isaac』では、まだ死ぬことがシナリオにそこまで深く関わらなかったと思っています。そのため『Hades』以降、作る難易度が少し高くなったように感じますね。

日本では同人ゲームの文化があるので、僕からすると決して「インディーゲーム文化が遅れている」というような印象はないのですがどうなんでしょうか。

礒部氏:
日本は『スペースインベーダー』などからゲーム文化が始まり、コンシューマーがそもそも根強い印象があって、最近はSNSなどの影響で個人の発信力が高まってきたことでインディーの文化がより表に出てきたと考えていますね。インディーゲームがユーザーの目に留まるようになったのはそこからで、昔から同人ゲームはあったもののそれは結構アンダーグラウンドなもので今ほどオープンではなかったかなと思います。

Xiao氏:
僕から見ると、同人とインディーには「大企業がやらないような、好きなものを採算度外視で作る」という点があり根っこは共通しているというイメージですね。

『Cinderia』

キム氏:
外国人の立場としては、日本のインディーゲームシーンを詳しく知ること自体難しいのですが、私の場合は中高生の頃に東方Projectに触れていたので、同人でもインディーでも「自分の作りたいものを作る」というところは似ていると感じています。そうして日本のインディーゲームをプレイするうちに、「日本にはすごいインディーゲームがあるんだ」と思うようになりました。その後BitSummitなど日本のインディーゲームイベントについても調べるようになりました。日本では同人・インディーを合わせるとかなり層が広いと思いますが、韓国の場合は今まさに成長途中だと考えます。今後に期待していただきたいです。

どうやって作ってる?

――ローグライクはゲームバランスの調整が難しいジャンルだとも思います。どのように調整をされていますか。

礒部氏:
『クライムライト』は作品発表とほぼ同時にイベント試遊出展も開始したので、そこでユーザーさんのフィードバックを受けて簡単と思われるか難しいと思われるか都度判断しつつやっています。ただ、『クライムライト』には「ポーカーシステム」があり、運の比重が比較的高めかなと思っています。

極端な話、ポーカーの役が何もできないまま進むのと、一発目でロイヤルストレートフラッシュを出した場合ではまったく難しさが異なります。そこで、どの役以上のものが出やすいかの確率を算出した上で基準値を決めています。ロイヤルストレートフラッシュが出てしまった場合は、「めっちゃ簡単じゃん!」という難易度になるけれど、強くて気持ち良い展開になるので爽快感はあるからよしと割り切ることにしました。しかし、調整というのはやってもやっても終わりませんね(笑)今回のTGSでもユーザーさんから得られたフィードバックがあるので、それをもとにひたすら調整を重ねていくことになります。

『クライムライト』

――ユーザーのフィードバックにはどのような意見がありますか。

礒部氏:
それは両極端で、難しすぎるという意見、簡単すぎるという意見の両方が出てきます。そこで、ローグライクとしてやっていいことかわかりませんが、アクションが苦手なユーザーさん向けの対策として、死んだら最初に戻ってやり直すのではなく、そのステージに入ったところからやり直せるというシステムを導入してみたりとか。そういうシステム的な部分でも難易度調整をしていますね。

Xiao氏:
僕はバランスというもの自体をあまり重視していないんですよね。ゲームバランスが良いとされるゲームが、ゲーム自体として評価される風潮がありますが、そういうゲームの評価点を掘り下げてみると、実はバランスではなくて選択肢の多さが魅力だったりします。確率をなんでも50%にすればバランスが良くなるというわけではなくて、たとえばキャラクターのような、それぞれの選択肢にこれを選びたいと思える理由を用意すればゲームは面白くできると思うんですよ。

『Cinderia』

実際ゲームバランスをどう良くするかという話になると、色々数値設定のやり方はあるんですけど、職人的であまり面白い話にならないですね。スキルをどう作るかという点では、僕はすごく下手なプレイヤーが何を選ぶかを想定します。そのプレイヤーは最適解がわからないので、一番有用な選択肢を捨てると想定します。すると選ばれるのは最適解ではないのですが、そこで残されるカードの持つ威力パーセンテージを高く設定してプレイヤーが得をするようにします。常に脳内の「おバカなプレイヤー」に何かを選ばせてみて、その結果「自分は賢い選択をした」と感じさせる調整をすることで、ゲームが面白くなると思っています。

開発後半の方は、どう設定してもうまくいかない感じがしてくるんですけど、そこではユーザーの意見に頼ることが重要になります。

――ほかのみなさんはどのくらいのプレイヤースキルを想定して調整しているんでしょうか。

礒部氏:
『クライムライト』では結構具体的にユーザー像を想定していて、うちのゲームを遊んでくれるかたはこのくらいの年齢でこういうことができるユーザーさんだろうと考えています。だから「そのユーザーさんなら、多分こういう類似タイトルを先に遊んでいるから、このくらいのアクションスキルがあるだろう」という想定のもとで基準の数値を設定しています。それを基盤に、そこより上の「難しい」と下の「易しい」をそれぞれ用意する感じですね。

キム氏:
バランス調整に関してたくさんの試行錯誤をしてきましたが、『魔女の庭』の場合は難易度をEASY/NORMAL/HARDの3段階に分けることと、「ダッシュ時は無敵」という仕様も難易度の調整に活用しています。この機能自体をONにするかどうかをプレイヤーが選べるようにしたのです。

『魔女の庭』

初期の難易度設定ではHARD難易度にはダッシュ時無敵という機能が備わっていませんでした。そのバージョンのテストプレイでは、ユーザーからのフィードバックで「難しすぎる」という意見が多く寄せられる結果となりました。そこで開発者たちは、プレイヤーが開発陣よりも30%ほどアクションが苦手であると想定する必要があると感じました。

――Xiaoさんのお話に近いですね(笑)

キム氏:
そうなんです(笑)それを基本として難易度の再調整をおこなって、ダッシュ時無敵を選べるようにしたんです。

――「とても難しい」「クリアできるものならやってみろ」くらいの難しさもアピールポイントになるケースがあると思いますが、やっぱり作ったからにはクリアしてほしいですか。

礒部氏:
タイトル次第かなと考えています。『クライムライト』に関しては、お話を読んでもらうゲームの側面もあるので、アクション面で引っかかってほしくないですね。ただ、過去作の『REYNATIS/レナティス』の場合はものすごく難しい裏ボスを入れて、それに勝てない人はシークレットエンディングを見られないような作りになっています。ユーザーさんの求めているものや、どういうゲームにしたいかで、クリアしやすいものにするか難しいまま出すか、どちらの場合もあると思います。

Xiao氏:
僕の場合はプレイヤーが喜んでくれれば僕自身のことはどうでもいいです。僕は自分の考えや意思を表現したい作者ではないんだと思います。日本ではどうかわからないですけど、たとえば『Slay the Spire』で、欧米や中国では一番難しい難易度(アセンション20)をすべてクリアしてようやく「このゲームをやりきった」と考える人が多い印象ですね。プレイヤーがどこまで遊べば満足するのかは、文化によっても変わるように思います。

キム氏:
ゲーム開発者としては、自分の作ったコンテンツをユーザーさんがすべてクリアしてくれたら嬉しいです。けれど、たとえば『DARK SOULS』『Sekiro: Shadows Die Twice』、中国の『黒神話:悟空』などには難易度選択機能そのものがありませんよね。『魔女の庭』でもそのようなアクションゲームファンに向けて、難易度選択をなしにしようか考えたこともありました。でも本作はキャラクターも可愛くて、世界観もダーク一辺倒ではなくポップさを持っています。本作がアクションゲームに新たなユーザーを引き込むきっかけになってほしいという思いから難易度選択を実装しました。

――3作品とも女の子が出てきてダークな雰囲気という共通点がありますが、デザインに関してどのような部分をこだわっていますか。

キム氏:
ビジュアルアーティストたちは単にわかりやすいだけの見た目にはしたくないと言っているのを聞いたことがあります。シルは平凡で優しいイメージのキャラではありながら、「力で説得する」という行動自体を見ると乱暴にも映ります。それはキャラクターとしてのギャップに繋がります。複数のキャラクターの差別化を図ることも大事だと思っているので、見た目の分かりやすさは重要になってきますが、そこで3~5%くらい少量の意外性も盛り込みたいと。そのためにキャラクター固有のリソースとしてテクスチャやエフェクトを活用しつつ、それがなくても区別のつくキャラクターをデザインすることを心がけているようです。

『魔女の庭』

礒部氏:
『クライムライト』のビジュアルに関しては、一緒に開発してくださっているチームのデザイナーさんがとても上手な方で、ユーザーさんからもアート面を高く評価されているところが嬉しいです。今回、画面の見映えなどについても僕がディレクションしているんですけど、「不思議の国のアリス」をモチーフにしているので奇妙でおかしく――それこそティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」のような世界を作るためにかなり細かく画面の見え方にこだわって作っています。

『クライムライト』

キャラデザに関しては、キャラクターそれぞれの抱えている罪や苦悩をビジュアル化して洋服のデザインに落とし込んでもらっています。またCRYシリーズの特色の一つに「泣く・涙」という要素があるので、目のうるうるや涙が頬を伝わる表現などには特にこだわってディレクションしていますね。涙が目に溜まって、瞬きしたときにそれが落ちるというような。デザインというところとちょっと違いますが、こだわりのポイントはそういう目に関するアニメーションを含めたところですね。

Xiao氏:
『Cinderia』のキャラデザももちろん精一杯作っているのですが、ひとつ言っておきたいことは、ゲームではシステムが面白ければ良いということです。有名になったゲームはキャラクターデザインも優れていると評価され、特にメディアからはキャラクターデザインこそがこのゲームにおいて80%くらいの価値を占めているとすら言われたりします。

『Cinderia』

でも僕は、やっぱりそういうゲームもそもそもはゲーム性を重視して作られるものだと思うんですよ。日本のゲームだと、たとえば東方Projectのゲームも今となってはキャラクターが取り沙汰されることが多いですが、音楽とシューティング、遊ぶ時の爽快感、弾幕と演出などゲーム体験自体が素晴らしいです。そういうゲームでキャラデザも良ければそこが注目されがちですが、結局そもそものゲームが面白いからこそキャラも愛されるんだと思っています。

――まずはゲームの面白さが先に来る、というわけですね。

グローバル市場に向けて何をするか

――ローグライトは比較的テキスト量が少なく、ゲームプレイそのもので魅力が伝わりやすいジャンルという見方もあります。実際のところ、ローカライズの重要度をどの程度感じていますか?ローグライト特有のローカライズの難しさがあれば教えてください。

礒部氏:
ローカライズには常々難しさを感じています。各言語に精通している人でないと翻訳自体が適切にできませんし、こちらの意図をしっかり汲んでもらう必要もあります。いまだにユーザーさんから「違うんじゃないの?」という指摘をいただくことはどうしてもありますね。

特に日本の場合、一人称がすごく多いですよね。『クライムライト』の主人公の一人称は“あたし”なんですが、これって“わたし”とも“私”とも違うし。ボクっ娘の場合も漢字の“僕”は“ぼく”よりも大人びているし、こういう繊細な部分は日本語ならではだと思うんですよね。心情の変化やキャラクター性を一言で翻訳して表現するのは難しいだろうなと思って注視しています。それでもいまだにすれ違いは多いですね。特に『クライムライト』はテキスト量もすごく多いので、ユーザーさんにご迷惑掛けているところではあるのですが、製品版ではしっかり対応できた状態で出せるように頑張っているところです。

キム氏:
Team Tapasでもローカライズの重要性を認識しています。特にゲーム内の属性など専門的な用語については直接手がけるようにしています。すべての言語に対してそういった対応をすることは難しいのですが、開発者チームに日本語を専攻しているメンバーがいるので、そちらから「この部分はこういう単語を使ってほしい」という要望が直接送られてくるというかたちで翻訳されたりします。

韓国のゲームデザインはそこまで強い個性はないかもしれませんが、たとえば『クライムライト』は「美少女たちが泣く」というコンセプト自体がすでに日本的であると感じますし、『Cinderia』も武器やモンスターデザインなどに中国的な部分を感じることがあるんです。ということは、『魔女の庭』も私たちが感じているよりも“韓国の文化的な要素”を無意識に含んでいる可能性があると思います。

『魔女の庭』

――作品自体に知らず知らずのうちに地域性が出ているものなんですね。『Cinderia』と『魔女の庭』は、自国以外ではどの国で人気を伸ばしましたか?また、『クライムライト』についてはどの言語のウィッシュリストが多いですか?

キム氏:
『魔女の庭』はやはり東アジア地域(日中韓)のユーザーが多いです。正式リリース後は北米でも好評を博していて感謝しています。

Xiao氏:
『Cinderia』は今のところ中国が50%で、アジア地域が全体の70%を占める感じです。残りは欧米といった感じですね。『魔女の庭』は日本のレビュー率が多いですよ。さっき確認したんですけど――(キム氏にスマホでSteamのレビュー比率を見せる)

キム氏:
あぁ!本当だ!

一同:
(笑)

キム氏:
他のチームメンバーはレビューなどをチェックしていると思いますが、私個人はレビューで悪い評価を目にしてしまうとすごく落ち込むタイプなのでなるべく何も見ないようにしていました(笑)こんなに日本からのレビュー率が高いとは知りませんでした。

Xiao氏:
日本人はあまりコメントしない印象なので、そのなかで『魔女の庭』には300件もコメントレビューがついているというのは多い方だと思います。

礒部氏:
『クライムライト』は40%ほどがアジア地域、次点が北米で、そのあとヨーロッパ圏ですね。言語で見ると日本語の次に多いのは英語ですが、地域で見るとアジアがトップです。前作までの「クライ」シリーズを遊んでくださった英語圏ユーザーさんがウィッシュリスト登録をしてくれている感じがあります。全体では今ウィッシュリスト7万件くらいです。毎回、中国のかたにどれだけ知っていただけるかが課題ですね。

Xiao氏:
『クライムライト』の開発スタッフは何人くらいいらっしゃるんですか。

礒部氏:
今メインでやっているメンバーは20人くらいですね。一部サポートなどを含むとさらに増えるかもしれません。

Xiao氏:
うちは開始時点では5~6人でしたが、今は10人を超えています。ただうちのチームではほかのプロジェクトと掛け持ちをしているメンバーが結構います。

キム氏:
現在『魔女の庭』のチームは9人ほどですね。このチームは当初大学生4~5人ほどで結成されたもので、その後いろいろなサポートを得てゲーム開発するようになりました。今後のプロジェクトに何人参加するのかはまだわからない状態です。

――今後、この国で人気になってほしいという国を教えてください。そのために何か計画はありますか?

キム氏:
ゲームのアートスタイルが東アジアの地域に特にウケるビジュアルをしていると思いますが、アクションローグライトというゲームジャンルで言えばもとは欧米から来たものですよね。『魔女の庭』も『Cult of the Lamb』に似ている部分もあると思うので、今後海外からの反応も増えるのではないかなと思っています。

Xiao氏:
『Cinderia』は今よりももうちょっと欧米人に受け入れてもらえたら嬉しいと思っています。欧米人目線では本作のようなビジュアルスタイルは面白くなさそうに見えるかもしれません。その意味では絵柄が欠点となると言えます。でもこれからゲーム自体をどんどん面白くして、そういった好みの違いに抗っていきたいと思っています。最終的にはやはり中国でたくさん売れてほしいです。中国人はSteamのユーザー層としてもかなりの数を占めていますし、故郷に錦を飾りたいので。

――そのために何か具体的に対策をしていますか。

Xiao氏:
最近はgamescomやTGSなどいくつものゲームイベントに出展してきました。gamescomは飛行機での移動だけで16時間くらいかかって……。でも、Steam自体がグローバルな市場なのですから、これからはゲーム作りそのものにもっと時間をかけていきたいと思っているところですね(笑)ゲーム自体が面白ければ売上やレビューなども良くなりますから。

礒部氏:
僕は日本ではもちろん売れてほしいですし、現状は対応言語が少ないのでこれから言語を増やしていきたいですね。まずは主要言語で同時発売しつつ、ゆくゆくは対応言語を増やしていきたいなと思っています。

開発陣同士の縁が伏線に?

――もし今回集まった3タイトルでコラボレーションができるとしたら、どのようなことができそうでしょうか。実現可能性はいったん置いておいて、「実現したら面白そう」というアイデアを自由にお聞かせください。

キム氏:
プログラマーなのでコラボレーションのことを考えるのは専門ではありませんが、もっとも一般的なものとしてはキャラクターのスキンを貸し合うことなどが考えられます。私はゲーム内のアクションやバトル部分を担当しているので、ボスをお互いのゲームに出し合うということもアイデアとしてはありますね。

Xiao氏:
それぞれが全然違うゲームなので、何ができるか考えるのが難しいですね。『クライムライト』からはシナリオに対する熱意を感じますし、だからこそ何ができるか思いつきません。シナリオの書き方を教えてください(笑)

礒部氏:
仰るとおり『Cinderia』は「アクションゲーム!」という感じで、一方『クライムライト』はお話の比重が高いですね。「お話が読みたい」というユーザーさんも多いのでそこに向けて作っているというところもあって。なのでコラボするなら、それぞれのキャラクターを出すかたちですかね。『魔女の庭』『Cinderia』のキャラクターに『クライムライト』に出てきてもらって、罪を懺悔してもらいましょう。きっと涙なしでは語れないはずです(笑)

Hotpot氏:
ゲーム内はやり方の違いが色々ありますが、ゲーム外でコラボをする方法もありますね。上海のゲームショウに一緒にブースを出して、お客さんに互いのゲームを知ってもらう機会にするなどです。

キム氏:
そういえば今回の座談会のために『魔女の庭』のアーティストが、3作品の主要キャラクターを集合イラストにしてくれました。

Xiao氏、礒部氏:
ありがとうございます!

――今回の縁をきっかけに、ゲーム内でのコラボ実現にも期待しております。最後に、読者へのメッセージをお願いします。

キム氏:
『魔女の庭』を遊んでくださったみなさんありがとうございます。すでに本作は正式リリースしていますが、今後もアップデートで挑戦モードなどを追加する予定がありますので楽しみにしていてください。またこれからのTeam Tapasにもご期待ください。

Xiao氏:
僕は日本のプレイヤーともっとコミュニケーションをとって、日本人の友達を作りたいです。日本のユーザーさんはなかなかコメントをしてくれないので(笑)

礒部氏:
『クライムライト』は他の2タイトルと違ってまだリリースしていませんが、体験版を配信中でたくさんのフィードバックをいただいています。みなさんと一緒により良いものを作って、発売日にしっかりと楽しんでいただけるものを提示できるよう頑張りたいです。そこから「クライ」シリーズ自体もより盛り上がっていけば嬉しく思います。

――ありがとうございました。

『Cinderia』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。『魔女の庭』は8月にPC(Steam)向けに正式リリースされ、好評を博している。そして『クライムライト/CRYMELIGHT』はPC(Steam)/Nintendo Switch 2/PS5向けに11月5日リリース予定だ。

なお、今回の座談会は東京・有楽町にあるUKIYO GAME BARの一部を借りておこなわれた。ボックス席それぞれに小型ゲーミングPCが据え付けられており、Steamのゲームを遊びながらカクテルなどのアルコールドリンクも楽しめるというコンセプトのお店だ。

筆者らが訪れた際、まだプレオープン中だったにもかかわらず店内は外国人観光客で賑わっており、みながゲーム談義に花を咲かせていたのが印象的だ。

「リアルBuckshot Roulette」を遊べたり(要予約)、インテリアやメニューもゲーム一色で楽しく和やかなバーだった。グランドオープンに向けて準備中とのことなので、みなさんもチェックしてみてほしい。

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Kei Aiuchi
Kei Aiuchi

RPG、パズル、謎解きアドベンチャー、放置系などを遊びます。比較的やりこみ型。特に好きなゲームは『ルーマニア#203』

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