アクションMMO『ブレイドアンドソウル NEO』は、「リメイクで美しくするけど美しくなりすぎたところを昔仕様に戻す」異色プロジェクト。開発者に意図を訊いた

エヌシージャパンは3月12日に、『ブレイドアンドソウル NEO』のサービスを開始する。『ブレイドアンドソウルNEO』はPC向けMMORPG『ブレイドアンドソウル』のリメイク作だ。開発は『リネージュ』『護縁』など、MMORPGを数多く送り出してきた、韓国のNCSOFTが手がけている。
オリジナル版『ブレイドアンドソウル』は、韓国では2012年に、日本では2014年に正式サービス開始。復讐へと旅立つ武侠アクションMMORPGとして、回避やコンボなどによるアクション性の高いゲームプレイが展開されていた。日本版は現在もサービスが継続中で、2024年5月にはサービス開始10周年を迎えた。リメイクとして手がけられる『ブレイドアンドソウルNEO』では、オリジナル版のアクション性はそのままに、各所に改善が施されている。具体的には、街並みや自然のグラフィックがよりリアルな表現にされたり、キャラクターの成長システムやUIが改善されたりしている。
本作においては、『ブレイドアンドソウル』と並列してサービスが展開される。またリメイクと銘打たれているものの、「昔の仕様に回帰する」という挑戦も含まれている。なぜこうしたクラシック回帰をするのだろうか。開発者に話を訊いた。
──自己紹介をお願いします。
キム・ホンジェ(以下、キム)氏:
こんにちは、『ブレイドアンドソウル NEO』のプロダクトディレクターのキム・ホンジェです。『ブレイドアンドソウル NEO』では開発統括責任者をしています。

──『ブレイドアンドソウル NEO』立ち上げの経緯を教えてください。なぜリメイクすることになったのでしょうか。
キム氏:
『ブレイドアンドソウル NEO』は、『ブレイドアンドソウル』の盛り上がっていた頃の体験を再度体験してもらうことをコンセプトに、2023年から開発準備が行われました。ただ、盛り上がっていた頃のクラシックな部分は、市場の変化に合わせて改善が必要な部分が多くありました。
そういった環境の変化で失われてしまった「ブレイドアンドソウル」らしさを、UE4環境での色感と光源の表現の完成度を高め再現する事と、過去の古くなったオブジェクトを最新化して、新しい環境表現を加えるなど、より多くのプレイヤーが『ブレイドアンドソウル NEO』の世界の美しさを感じることができるようにすることを目的に開発を進めました。

──新規サーバー+サービス初期からスタートするねらいを教えてください。
キム氏:
「ブレイドアンドソウル」を元々好きな方だけでなく、初めてプレイする方でも分かりやすくゲームを楽しむことができる環境を提供する事をテーマに企画、開発を進めてきました。グラフィック、ビジュアル、そしてアクション性のアップグレードはもちろん、MMORPGジャンルの本来の楽しさを体感できることをコンセプトにコンテンツリニューアルを行いました。
キャラクター作成後すぐに疾走と滑空などすべての軽功スキルを無限に使用できたり、クエスト進行の位置まで即時移動ができるシステムなどで、以前より速いプレイテンポでストーリーを楽しむことができます。
──新作ではなくあえてリメイクを選んだ理由を教えてください。
キム氏:
1つ目の質問と重複する部分もありますが、『ブレイドアンドソウル』が盛り上がっていた頃のクラシックな部分は、市場の変化に合わせて改善が必要な部分が多くありました。
2021年の胎動アップデートでUE4にグラフックの刷新が行われ、美しく生まれ変わった「ブレイドアンドソウル」をみなさんにお披露目しましたが、UE3の頃の色鮮やかなグラフィックが失われてしまったという声も耳にしました。
そういった環境の変化で失われてしまった「ブレイドアンドソウル」らしさを再度体感してもらいたいという気持ちで、2023年から開発準備が行われました。
──ゲームエンジン自体はUnreal Engineを継続して使用するのでしょうか。UE5ベースでしょうか。
キム氏:
『ブレイドアンドソウル NEO』も、『ブレイドアンドソウル』と同じくUE4で開発されています。
──グラフィックリマスターをするにあたってのテーマを教えてください。テクスチャの解像度やモデリングのクオリティを上げる……といった基本的なことのほかに、どのような変化を加えていますか。
キム氏:
ゲーム内を軽功で駆け巡りながら探検する楽しさを最大限に感じてもらえるように、ワールドのさまざまな表現のディテールにこだわりました。リアルタイムライトを使った光の表現に臨場感をプラスし、背景全般に表現された草、木などの自然物と古くなったオブジェクトをすべて新しく制作しなおしました。ほかにも、ボスモンスターが召喚する竜巻などのエフェクト演出の改善を加え、全体的にゲーム演出のリアルさをプラスしました。


──エフェクトリマスターのねらいを教えてください。
派手になる、見やすくなる、あるいはカラフルになるなどいろいろな方向がありますが、どの方向で強化していますか。
キム氏:
先ほどの回答と重複してしまいますが、環境の変化で失われてしまった「ブレイドアンドソウル」らしさを、UE4環境での色感と光源の表現の完成度を高め再現する事と、過去の古くなったオブジェクトを最新化して、新しい環境表現を加えるなど、より多くのプレイヤーが『ブレイドアンドソウル NEO』の世界の美しさを感じることができるようにエフェクトリマスターを行いました。
──UIとUXを刷新する理由を教えてください。どういった点がこれまで課題で、どういった点を改善できましたか。また旧仕様から新仕様への移行はやはり少し馴染むまで時間がかかりますか。
キム氏:
ブレイドアンドソウルはサービス開始からさまざまなコンテンツの追加を行った結果、
新規の方や復帰の方ではUIの理解が難しい環境となっていると感じております。
今回のリニューアルを機に、そういった理解しにくさを改善するべく今回のUI変更につながりました。
いままでのUIが見やすくなっただけですので、既存のサービスをプレイしている方は
すぐになれると思います。
──最後に読者に向けたメッセージをお願いいたします。
キム氏:
『ブレイドアンドソウル』サービスからいつのまにか10年の時が経ち、もうすぐ11年を迎えます。
長い間、『ブレイドアンドソウル』を愛し、支えてくださったプレイヤーのみなさまの気持ちに感謝し、『ブレイドアンドソウル NEO』というもう一つの新たな『ブレイドアンドソウル』を発表でき、大変うれしく思っています。これからもお客様の声を聞き、満足いただけるサービス運営ができるよう最善を尽くしますので、これからも『ブレイドアンドソウル』と『ブレイドアンドソウル NEO』にご期待ください。
──ありがとうございました。
『ブレイドアンドソウルNEO』の国内サービスは、3月12日に開始予定。正式リリースに先駆けて、あらかじめキャラクターを作成し、冒険の準備を進められる事前キャラ作成サービスがスタートしている。