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『モンスターハンターアウトランダーズ』開発者が磨き上げる「普段のモンハンでは味わえない要素」。モンハンらしさを守り、タッチ操作・クラフト・新モンスターで攻める
『モンスターハンターアウトランダーズ』の開発者に、「普段のモンハンでは味わえない要素」をどのように磨き上げたのか訊いた。

TiMi Studio Groupが開発する『モンスターハンターアウトランダーズ』が、10月29日に正式リリースされる予定だ。対応プラットフォームはiOS/Android。
本作は、カプコンが監修するスマートフォン向けの『モンスターハンター』シリーズ作品だ。モンスターとの狩猟を軸に、広大なフィールドの探索やクラフト、環境に対応するサバイバル要素など、本作ならではの遊びを取り入れている。
今回弊誌は東京ゲームショウ2026にて、TiMi Studio Groupで本作の開発責任者を務めるプロデューサーの黄冬(ホァン・ドン)氏と、カプコンのプロデューサーである砂野元気氏にインタビューする機会を得た。

カプコンはシリーズの骨格を保つよう監修する一方で、開発当初から「普段のモンハンでは味わえない要素」を磨くことも求めていたという。開発でもっとも時間と労力を費やしたというタッチ操作から、環境への対処にメリットを持たせるサバイバル要素、狩猟に変化をもたらすクラフトまで、両社はどのような試行錯誤を重ねてきたのか。「黄金の鎧を纏った聖騎士」をモチーフにした新モンスター、ルガ・エアルダの制作過程とあわせてうかがった。
――まずは自己紹介と、本作での担当について教えてください。
砂野元気(以下、砂野)氏:
カプコンのプロデューサーの砂野です。『モンスターハンターアウトランダーズ』は、『モンスターハンター』のIPをライセンスとしてお貸しし、TiMi Studio Groupさんに開発を手がけていただいているタイトルです。カプコンはIPの監修や、内容に応じたアドバイスなどを担当しています。
黄冬(以下、黄)氏:
TiMi Studio Groupの黄冬です。本作の開発責任者であり、プロデューサーを務めています。プロジェクト全体の設計と開発を担当しています。
もっとも時間をかけたタッチ操作。データとプレイヤーの声で磨く狩猟
――昨年のTGSでの試遊出展から約1年が経ちましたが、当時と比べてプレイヤー体験はどのように変化したのでしょうか。
黄氏:
まず、冒険者のキャラクターが増え、新しい武器や冒険者による体験を楽しめるようになりました。また、広大なフィールドでの探索やクラフトに関する遊びも充実させています。それらがゲーム全体になじみ、ほかの遊びを過度に妨げないよう、バランスを調整してきました。
オトモやそのスキルも順次充実させ、狩猟中により大きな役割を果たせるようにしています。新モンスター「ルガ・エアルダ」の制作や、関連するストーリーの実装も進めてきました。
今回のTGSの試遊版では、「朽ち果ての淵」という新しいエリアも登場しています。こちらは正式リリース時に提供するエリアのひとつです。ほかにも多くの内容が追加されています。
砂野氏:
開発が進んで触れられるものが増えたことに加え、この間に複数回のクローズドベータテストをおこない、たくさんのご意見をいただきました。スタミナやリソース管理といった、細かな手触りの部分にもかなり手を入れています。

――操作については、「スターティングモード」と「ハンティングモード」の2種類が用意されています。スマートフォンのタッチ操作で狩猟を楽しめるようにするために、どのような試行錯誤を重ねてきたのでしょうか。
黄氏:
操作については、この数年間の開発でもっとも時間と労力を費やしてきた課題です。大きく3つの観点から取り組んでいます。
まず、私たちはこれまで多くのモバイルゲームを開発しており、アクションゲームを手がけた経験もあります。そこで培った操作やインターフェースの設計に関するノウハウを、本作にも活かしています。
次に、設計を繰り返すなかで、膨大なプレイヤーデータを確認してきました。数字として得られる客観的なデータだけでなく、ユーザー調査やインタビューで、プレイヤーが実際にどう感じたのかも聞いています。そうした情報をもとに、多くの調整や修正をおこないました。

そして、それらに取り組んでも、好みの操作方法はプレイヤーによって異なります。そのため、個別に変更できる設定項目やカスタマイズの仕組みを用意し、それぞれが自分に合った操作方法を見つけられるようにしています。
ただ、これは現時点でおこなってきた取り組みです。非常に重要な課題ですし、まだ取り組むべきことは多いので、引き続き改善していきます。
砂野氏:
より多くの方に触ってもらえればと思っています。タッチ操作への落とし込みは、トライ&エラーを重ねて、よいものができてきていると感じています。
環境への対処にメリットを。クラフトで広がる狩猟の可能性
――本作には地形や天候に関わるサバイバル要素もあります。探索の緊張感につながる一方、毎回の対処が手間になってしまう可能性もあると思いますが、その点はどのように考えて設計しているのでしょうか。
黄氏:
設計の当初は、天候や環境の影響の多くが、プレイヤーにマイナスの課題を与えるものでした。それを克服すると、通常の状態で遊べるようになるという設計です。
ただ、その後のエリアを設計していくなかで、環境や天候にうまく対応し、利用できた場合には、プレイヤーにメリットを与える設計にも挑戦するようになりました。狩猟や探索をより効率よく進められるなど、うまく対処したことがプラスにつながる形です。
単にマイナスの影響を解消するだけでなく、環境を活用することがプレイヤーへの報酬になる。そうした方向を目指しています。

――クラフトも本作の特徴ですが、テストでは、開発側の想定を超える使い方が生まれたことはありましたか。また、クラフトを狩猟にどう組み込もうと考えているのかも教えてください。
黄氏:
テストでは、プレイヤーが設置物を面白く組み合わせて動画を撮影し、SNSで話題になったことがありました。そうした遊びが生まれること自体は予想していましたが、具体的にどのような形になるかまでは想像していませんでした。
また、開発の初期には、クラフトと狩猟をもっと密接に結びつけることも試みました。現在もテストと調整を続けています。
正式リリース時には、オトモの「ルタコン」がクラフトで作ったアイテムを狩猟中に使うことで、これまでとは違う体験を提供したいと考えています。アイテムによっては、操作感にも変化が生まれます。

砂野氏:
今作のクラフトは、普段の『モンスターハンター』から狩猟体験の味をかなり変えられる、独自の要素だと思っています。その部分を大事に磨いていこう、という話は開発当初からしていました。
現時点のものから、さらに広げられる可能性があると考えているので、今後もクラフトを面白くしていきたいですね。
新モンスターのモチーフは「パラディン」。両社で探ったデザインの軸
――新モンスターのルガ・エアルダについても教えてください。制作にあたり、TiMi Studio Groupとカプコンの間ではどのようなやり取りがありましたか。特に議論を重ねた点をうかがいたいです。
砂野氏:
いろいろな点で議論しましたし、時間もとてもかかったモンスターです。『モンスターハンターアウトランダーズ』で完全に新規のオリジナルモンスターを作るということで、TiMi Studio Groupさんにとっても、『モンスターハンター』のモンスターを1体作るのは初めてでした。しかも、物語の中核を担う重要な存在でもあります。
本作の開発について相談をいただき、動き始めたのが2020年ごろですが、2022~2023年ごろには、すでにこのモンスターの話をしていたと記憶しています。実際に触っていただけるようになったのがようやく今なので、かなり時間をかけていますね。
やり取りは、大きく3つの段階に分かれます。最初は設定です。本作の舞台であるアイソレシア島には「融石」や伝承といった設定があり、そのあたりはモンスターを作る前に、ある程度固まっていました。そこから、どうモンスターの設定に結びつけるのか。「『モンスターハンター』だったらこう考える」という部分を、すり合わせていきました。
次がデザインです。まずTiMi Studio Groupさんから案をいただくのですが、私たちが普段モンスターを作るときに大事にしている点や、デザインの進め方には違いがあります。すり合わせを重ねても、なかなか軸が定まらない時期がありました。
『モンスターハンター』では、ひとつのコンセプトやモチーフを決め、そこに肉付けしていく作り方が比較的多いんです。今回、大きな転機になったのは、「黄金の鎧を纏った聖騎士(パラディン)」というモチーフを決めたことでした。それまでに出ていたさまざまな材料を統合して、「このモチーフで固めていくのはどうだろうか」と提案しました。そこでようやく、ゴールに向かってデザインが進んでいきました。

最後がアクションです。本作の舞台となる島の歴史や逸話、世界観などに関わる設定を、どうアクションに落とし込むのか。『モンスターハンター』の新しいモンスターとして、どう作ればよいのか、独自性をどう出すのか。そうした点を、かなり密に議論しました。
――試遊では、槍のような部位を翼で研ぐ動きも見られました。
砂野氏:
モーションや振る舞いにも面白いところがあり、特徴を出せていると思います。
――最後に、日本のプレイヤーに向けて、それぞれメッセージをお願いします。
黄氏:
まず、10月29日に正式リリースするバージョンでは、新しい冒険者、エリア、ストーリー、モンスター、武器など、たくさんのコンテンツを用意しています。ぜひ遊んでみてください。
そして、『モンスターハンター』は日本において非常に重要な、国民的なIPです。私たちはそこに深い敬意を払い、日本のプレイヤーの皆さんに楽しんでいただきたいという思いで、本作を開発してきました。
ぜひ、皆さんから多くのフィードバックをいただきたいです。寄せられた意見に真摯に向き合い、継続して改善を重ねていきます。

砂野氏:
『モンスターハンターアウトランダーズ』も、いよいよ正式リリースが近づいてきました。カプコンとしては、『モンスターハンター』の名を冠するからには、従来のファンの皆さんに「これ、ちゃんとモンハンだな」と思っていただけるよう、骨格の部分をしっかり保つ監修をしています。
その一方で、開発当初から「どうせやるなら、普段のモンハンでは味わえない要素をしっかり作り、磨き上げてほしい」とも伝えていました。クラフトやサバイバル、ロールごとの立ち回りを組み合わせて戦略的に考える部分などを、磨いていただいている作品です。
シリーズのユーザーには「ちゃんとモンハンだな」と感じていただきながら、「ここは新しいな」「今までにない体験だな」と思っていただけるものを作っています。これまでCBTなどで触ったことのない方には、まず一度遊んでみてほしいです。
また、過去に遊んだことがある方に向けても、複数回のCBTでいただいたフィードバックを踏まえ、たくさんの改善や調整をおこなっています。ぜひ改めて触っていただきたいですね。リリース後も、皆さんがどう楽しんでいるかを見ながら、直すべきところは直し、よいところは伸ばしていきたいと考えています。ぜひ遊んで、感想をいただけたらと思います。
――ありがとうございました。
『モンスターハンターアウトランダーズ』は、iOS/Android向けに10月29日配信予定だ。
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