パブリッシャーのDeep Silverは4月22日、『Dead Island 2』Steam版を発売した。本作はEpic Gamesストア向けに先行発売されており、それから1年を経てSteam向けにも展開されたかたちだ。
『Dead Island 2』は、ゾンビサバイバルゲーム『Dead Island』シリーズの新作だ。開発はDambuster Studiosが手がけている。舞台となるのは、ゾンビアウトブレイクが発生し地獄と化したロサンゼルス、通称HELL-A。プレイヤーは街を探索しながら、多数用意される武器やスキルを駆使し、ゾンビたちを葬り去っていく。なお本作は最大3人までの協力プレイに対応している。
『Dead Island 2』の開発にあたって、開発を務めたDambuster Studiosはゴア表現にこだわり抜いた結果、独自のゴア技術「FLESH」(ヒューマノイドの完全位置的内臓放出システム)を開発。ゲーム内では「FLESH」を用いたこだわりのゴア表現を見ることができ、そうしたゴア表現がユーザーなどからも高い評価を受けている。
このたび弊誌は『Dead Island 2』のクリエイティブディレクター、James Worrall氏にメールインタビューを実施した。本作のゴア表現についての話をとことん伺ったので、以下に「四肢切断インタビュー」を紹介する。
──自己紹介をお願いします。
James Worrall氏(以下、James氏):
こんにちは、Dambuster Studios/Dead Island 2のクリエイティブディレクター、James Worrallです。 私はビデオゲーム業界で25年間、デザイン/クリエイティブ分野に特化し、ナラティブ、ブランド/IP、ワールドビルディングに従事してきました。過去に関わったタイトルには、『Grand Theft Auto III』『Grand Theft Auto: San Andreas』『Grand Theft Auto: Vice City』 『Manhuntシリーズ』『Driver San Francisco』『Forza』『Aliens vs. Predator』『The Crew』『Dead Island 2』などがあります。
──『Dead Island 2』をプレイしたとき、今までみたことのないゴア表現を可能にしたFLESHシステム(ヒューマノイドの完全位置的内臓放出システム)にとても感動しました。FLESHシステムを開発する際、一番苦労した点はなんですか。
James氏:
『Dead Island 2』では、危険な物質(たとえば、火、電撃など)が多数あります。これらは武器の改造要素や一般的な危険物として影響を与えることがあります。そのため、衝撃点で局所的なダメージを反映するシステムと、エフェクトを演出するシステムが必要でした。私にとって最もドラマチックなエフェクトは、コースティック-X ボムで溶けて骨格だけになるまでのゾンビです。タイミングよくボムを使えば、ゾンビが骨の山となり崩れ落ちるのを目の前で見ることができます!
──それほどまでに、ゴア表現を追求することで表現したかったゲーム・世界観とはどのようなものですかまた、このFLESHシステムがゲーム・ユーザ体験に及ぼす影響や役割をどのように考えていますか?
James氏:
人間の肉とは何か?それが物語とゲーム体験の核心です。そして、私たちはそれをユーモアなひらめきでバランスをとっています。FLESHシステムはこれらすべてを実現しています。それは恐ろしいだけでなく面白いものであり、素晴らしいエンターテインメントを作り出してもいます。
──「人間の肉とは何か」、なかなか哲学的ですね……。そんな本作発売後のゴア表現に対する、プレイヤーの反応はいかがでしたか?好きなプレイヤーの反応があれば教えて下さい。
James氏:
私たちが成功したと感じたプレイヤーの反応は2つあります。1つ目は、非常に暴力的なゴア表現や、絶妙なタイミングでゾンビを倒した際に、プレイヤーが「おっ!」と驚愕し声をあげる反応です。
2つ目は、混沌とした戦闘の中で、ゾンビが予期せず地形につまずいたり、ふらついたりする瞬間を見て笑うユーザーの反応です。
──実況などの相性の良さも感じます。今後FLESHシステムを別の作品で使用することはあるのでしょうか。
James氏:
続報をお楽しみに……。
──楽しみにしています!開発陣の中で特に人気のあったゴア表現や、特に表現が難しかったものはなんですか。
James氏:
どちらも「頭を貫通するパンチ」です。まず、拳がゾンビの頭を貫通する必要がありました。これはゲーム内で唯一の貫通演出なので(上手くやればショットガンでも可能ですが)、正しく貫通しているように見せるのが第一歩でした。次に、ゾンビの倒れるモーションを修正、穴の空いた頭蓋の向こう側のゾンビまで完璧に見えるようにしました。
──私も拳系武器で顔面貫通する演出が一番好きです。『Dead Island 2』のゴア表現は一線を画したものだと個人的に考えています。ゴア表現を開発しているなかで、グロテスクすぎて気持ち悪くなったりするようなゴア表現や、グロテスクすぎてボツになったような表現はありますか。
James氏:
当社のスタッフとファンの正気を守るため、この件については何も言えません……。
──(笑)武器種によって異なるフィニッシャーを非常に気に入っています。どの武器種のフィニッシャーに一番力をいれましたか、また気に入っていますか。
James氏:
ストーリーDLC「SoLA」で導入された“伝説の武器”のフィニッシャーが、非常に印象的です。個人的なお気に入りは、ゾンビの顎の下を突き、その頭蓋を貫通して突き上げる槍/ポールアームの一突きです!
──本作のゴア表現はリアルさを演出する一方で、おっしゃられた頭を貫通するパンチなど、非現実的な表現も絶妙だと感じました。開発の際に、こうしたフィクションとリアリティのバランスについて意識したことはありますか。
James氏:
はい。ゴア表現はプレイヤーを引き付けつつ、若干の嫌悪感を抱くようなバランスで調整し、現実味を出しています。一方で、そこにあり得ない表現を加えることで、誰もが話題にしたくなるような素晴らしい瞬間が作り出せるのです。私たちは、その瞬間が価値あるものになるよう努めています 🙂
──もし次回作を作るとすれば、ゴア表現などのリアルな戦闘表現をさらに進化/変化させる計画やアイデアはありますか。
James氏:
現時点では詳細な情報は公開できませんが、より多くのゴア、より粘り気のあるゴア、揺れるゴア、噴出するゴアなど、より良いゴアのアイデアがあります。
──最後に、日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
James氏:
こんにちは日本の皆さん!私たちはみなゲーマーであり、日本のゲーマーが私たちのゲームをプレイし楽しんでくれることを誇りに思います。引き続きゲームをお楽しみください。そして、『DI2』の拡張DLC「Haus」と「SoLA」もよろしくお願いします!
──ありがとうございました。
『Dead Island 2』は、国内向けにはPC(Steam/Epic Gamesストア)にて発売中。拡張DLC「Haus」と「SoLA」も発売中だ。