Steam刑務所人体実験シム『The Kindeman Remedy』ショートインタビュー。なぜエグめのゲームを作ることになったか、残虐性の塩梅などについて訊いた

3D Realmsは11月17日、刑務所人体実験シム『The Kindeman Remedy』を発売した。本稿では開発元Troglobytes Gamesへのメールインタビューの内容をお届けする。

パブリッシャーの3D Realmsは11月17日、『The Kindeman Remedy』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は日本語表示に対応している。現在Steamウィンターセールにあわせて、10%オフの801円で購入可能だ。

本作は経営シミュレーションゲームだ。主人公となるのは刑務所勤めの医者、キンダーマン博士。博士は名声を取り戻すため、協力者のシスター・アンナとともに受刑者で人体実験を繰り返し、万能薬「キンダーマンの治療薬(The Kindeman Remedy)」の開発を目指す。ゲームプレイではキンダーマン博士とアンナを操作し、刑務所内での医療を運営していく。患者を適切に治療するか、もしくは毒薬で殺害するかはプレイヤー次第。患者を殺せば、実験材料として死体を手に入れることができる。怪しまれない程度に患者を殺し、万能薬のための研究を進めていこう。

この度弊誌では、本作開発元のTroglobytes Gamesへメールインタビューを実施した。本作に関する詳しいお話を伺うことができたので、以下に紹介する。


──はじめに、自己紹介をお願いします。

Saverio Caporusso(以下、Saverio)氏:
Troglobytes GamesのCEO兼リードデザイナーのSaverio Caporussoです。私たちは、日差しの強いスペインのバルセロナを拠点とする小さな独立系ゲーム開発会社です。2015年から活動しています(コアメンバーの何人かは20年以上前から)。デベロッパーとしての過去作には『HyperParasite』や『Blind Fate: Edo no Yami』などがあり、パブリッシャーとしては『Ravenous Devils』などを手がけています。

──本作の制作にあたり、影響を受けたタイトルはありますか。

Saverio氏:
明らかに、本作では『Ravenous Devils』へのオマージュを意図しています。『Ravenous Devils』はBad Vicesが手がけたゲームであり、私たちのスタジオが2022年にコンソールへの移植やパブリッシングをおこないました。本作のゲームプレイは『Ravenous Devils』を忠実に踏襲していますが、設定やキャラクター、全体的な雰囲気はまったく異なっています。

──これまでの過去作と比べ、本作はゲームプレイや雰囲気などがまったく変わっている様子です。本作の開発経緯について教えてください。

Saverio氏:
『Ravenous Devils』を通じたBad Vicesとの仕事はとても楽しく、私たちは彼らのゲームの大ファンなので、サイドプロジェクトとして自分たち自身の「Ravenous Devils」を作ることを決めました。私たちの主な焦点は(そして今も)次に制作予定の大作ゲームだったのですが、複雑なゲームプレイ・メカニクスから離れ、より小規模でシンプルなものに取り組むことは新鮮な経験でした。将来的には、他の小規模なゲームにも取り組めることを願っています!

──制作はどのくらいの期間でおこなわれたのでしょうか。

Saverio氏:
構想からパブリッシングまでで、およそ1年と少しほどかかりました。これはまさに、私たちが望んでいた通りの制作期間でした。


──制作において、苦労した点を教えてください。

Saverio氏:
私たちは通常キーフレームアニメーションを用いるところ、本作のアニメーションではモーションキャプチャーを導入しました。このため、制作工程の一部を作り直さなければいけなかったことが、苦労した点の一部です。また、本作ではデリケートな問題を扱うため、ストーリーやキャラクターをどのように展開させるかについて、慎重に選択しなければならなかった点にも苦労しました。

──ゲーム中では拷問の豊富な手段や、囚人の呻き声などが印象的でした。残虐的な描写に関して、特にこだわった部分を教えてください。

Saverio氏:
私たちは、あまり露骨になりすぎず、この種の残虐性を表現する最善の方法を見つけようとしました(ご覧のように、すべてが明確に描かれているわけではなく、プレイヤーの想像に任されている部分もあります)。ゴアやスプラッターのシークエンスについて、もう少し限界に挑戦してほしいという要望はまだたくさん寄せられていますが、このアプローチが本作に最も適していると考えました。私たちは様々な拷問方法というアイデアそのものと、特に音声に頼りました。

──残虐な経営シムという特徴をもつ類似作品は、これまでにも存在しています。本作独自の魅力として押し出している点を教えてください。

Saverio氏:

本作独自の魅力は成熟したストーリーと、キャラクターの複雑な相互関係だと思います。シナリオデザイナーは本当に素晴らしい仕事をしたと思っています。このようなグラフィックをテーマにしたゲームは世の中にいくらでもありますが、その両方をミックスしたゲームはめったにありません。


──ユーザーからのフィードバックを受けています。さっそく改善に取り組む予定はありますか。その場合、まずはどの部分に着手するか教えてください。

Saverio氏:
もちろんです!発売から1週間ですでに2つのパッチをリリースしましたし、またQoLの改善やゲームに追加したい機能もまだたくさんあります。フィードバックや提案など、皆さんが本作にどのような反応をしたかを見て、私たちは本当に満足しています。

──拷問手段やストーリーの追加など、今後本作のコンテンツを拡充するアップデートがおこなわれる予定はありますか。

Saverio氏:

はい、そしてアップデートは皆さんが思っているよりも早く実現する予定です!プレイヤーからの要望通り、シスター・アンナに関する大きなアップデートも計画しています。

──最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。

Saverio氏:

日本は私たちのゲームにとって常に大きな市場なので、日本のプレイヤーには特に感謝しています。今後もさらにクレイジーなゲームをお届けできることを願っています!

──ありがとうございました。

『The Kindeman Remedy』はPC(Steam)向けに発売中だ。現在Steamウィンターセールにあわせて、10%オフの801円で購入可能。

Yusuke Fujii
Yusuke Fujii

JRPGのストーリーと音楽が大好き。PvPは見る専。

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