THQ Nordic Japanは9月28日に『トライン5:ぜんまい仕掛けの陰謀』(以下、Trine 5)のPS4/PS5/Nintendo Switch向けパッケージ版を発売した。本作はダウンロード版がPC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに発売中である。
『Trine 5』は、人気協力パズルゲーム『Trine』シリーズの最新作だ。フィンランドの郊外にあるスタジオが、紆余曲折ありながらも大事に育てきたIPである。もとより美麗なグラフィックと楽しい協力プレイが楽しめるゲームとしてSteamで人気があったが、最近はその楽しさの伝播はコンソールまで広がっている。このたびはTHQ Nordic協力のもと、開発元であるFrozenbyteにメールにてインタビュー。Nintendo Switch上できれいに動かせた理由など、いろいろ話を聞いた。回答してくれたのは、Frozenbyteにて長年マーケティングやPR業務に従事している、Kai Tuovinen氏。
――自己紹介をお願いします。
Kai Tuovinen(以下、Kai):
Frozenbyteのマーケティングマネージャーをしています、Kaiです。Frozenbyteはフィンランドに拠点を置いていて、『Trine』シリーズが代表作になると思います。創業は2001年で、これまで20年以上の間に、『Trine』シリーズ以外でも、Sci-Fiシューターである『Shadowgrounds』や、ステルスゲーム『Shadwen』、ローグライトゲーム『Has-Been Heroes』、剣戟ゲーム『Boreal Blade』、魔法ぶっ放しの『Trine』スピンオフ『Nine Parchments』、スペースMMO『Starbase』などを作ってきました。『Trine』シリーズは私達の原点でもあるので、『Trine 5』がリリースされたことが嬉しいです。
――『Trine 5』は記事執筆時点で、Steamレビューは95%好評です。非常にいいスタートを切った印象ですが、ビジネス的にも良い感じなんでしょうか。
Kai:
ありがとうございます!現時点の評価にもセールスにも満足しています。『Trine 5』をみんなが楽しんでくれているようで嬉しいです。
画像はすべてSteam版のもの
――『Trine 5』のどの部分が評価されていると感じますか。また、もらって嬉しいフィードバックなどはありましたか。
Kai:
みんな、ゲームのグラフィックがとても気に入ってくれているようです。音楽や、協力プレイでの謎解きの多彩さも好んでくれているようですね。実は『Trine 5』はシリーズの中でももっともボリュームあるゲームなので、やりごたえもあります。ボス戦についても褒められているようです。
――どのプラットフォーム版が特に売れていますか?
Kai:
PC版の調子がよく、コンソール版もいいですね。詳細はあまり言えないのですが、これまでの結果には満足しています。
――『Trine 5』は、『Trine 4』から正当進化したといいますか、ゲーム部分に大きな変更はない印象です。ただし、それは見かけだけかなとも思っています。『Trine 4』から『Trine 5』にかけて進化したポイントを、教えていただけますか。
Kai:
『Trine 5』は、たしかに『Trine 4』から大きくは変更していません。ただいろいろな進化はしています。たとえば、ボス戦などはかなり進化しています。ボス戦は足場を気にしながら、パズルを解きながら、戦闘する。プレッシャーの中でいろいろ考えないといけません。なかなか楽しいですよ!
それと、今作でプレイヤーに提供したかったこととしてあげられるのは、プレイヤーが自分自身でゲームを調整できるオプションを実装したことです。イージー、ノーマル、ハードに加えて、カスタム難易度を選択できるようにしました。パズル、戦闘、復活の難易度などを個別に調整できます。
つまり、パズルは難しくしたいが、戦闘は嫌。そういった場合には、パズルをハードに、戦闘をイージーにといった調整ができます。またソロとマルチプレイではパズルが変わってくるという点を含めると、リプレイ性はなかなか高いと思いますね。
また3人のヒーローは新しい能力をかなりの数もっており、それは前作と異なる手段で獲得できます。たとえば、特定のスキルはスキルクエストなどをすることで習得します。また道中には小瓶が落ちており、それらを経験値として成長する仕組みも健在です。アマデウスの箱を爆発するようにしたりすることができますよね。
またコンソールにおいては、近日中にPC- Xbox-Switchでのクロスプレイを近日実装予定です。アップデートが承認され各プラットフォームで同じバージョンになれば、機能するようになりますよ!
――『Trine』シリーズは、1からグラフィックがとても美しいですよね。その秘訣……は秘密だと思いますが、どのような工夫がこうした美麗グラフィックに役立っているか、教えてください!
Kai:
私達は初代から独自エンジンでゲームを作っています。そして、アートチームは色や形など、あらゆる面で創造性を出せる自由が与えられているんです。『Trine 4』や『Trine 5』はフィンランドの大自然から大きなインスピレーションを受けています。また、自然要素とファンタジー要素を組み合わせて、おとぎ話のような雰囲気を表現しています。
もっと知りたい方は専門的になりますが、我々の3DアートのワークフローやレベルアートのWikiページをご覧ください!
https://wiki.frozenbyte.com/index.php/3D_Asset_Workflow
https://wiki.frozenbyte.com/index.php/Level_Art
――『Trine 5』のNintendo Switch版は、同ハードにしては非常にきれいで驚きました。どのようにこのビジュアルを作り上げたのでしょうか。何を追求し、何を諦めましたか。
Kai:
独自ゲームエンジンを長年研究してきたこともそうですし、Nintendo Switch向けの最適化が得意なプログラマーの存在も大きいです。工夫のひとつとしてあげられるのが、ゲーム全体のフレームレートを30fpsで安定させるために、動的解像度スケーリングを採用していることです。これは、実はXbox One版でも使われています。
※ Nintendo Switch版のゲームプレイ映像
つまり、グラフィックの負荷が重い場所では、解像度がちょっとだけ下がるので、フレームレートが低下してカクついたりしないわけです。レベルアーティストによってステージデザインもいろいろと最適化されており、すべてがスムーズに、かつ見栄えが良いようにしています。たとえば、パーティクルエフェクトや物理オブジェクトがプレイヤーやキャラクター、あるいはカメラを覆っていればそれを無効化したりします。すべての人にできるだけよい体験をしてほしいので、プレイ体験を損ねたり見た目を変える手段ではなく、“裏技”みたいなものを使ってますよ!
――実は、僕は『Trine 3』が一番好きなんです(笑)あのゲームは、『Trine』シリーズを3D化した意欲作でした。ボリュームなどの関係で不評もあり、スタジオとしては苦い思い出もあるかもしれませんが、すごく挑戦的でした。『Trine』シリーズで今後ああいったチャレンジをする予定はありますか?
Kai:
『Trine 3』が大変だったのは、フルで3Dアクションを作るコストと時間でした。……いまのところ、2.5Dの道を歩み続けるのが私達の選択です。そのほうが、長編の物語や、たくさんのステージ、そして美しいグラフィックを作ることに専念できますからね。でも、今後絶対ないとはいいません!(笑)今後も『Trine』シリーズにご期待ください。
『Trine 3』
――ありがとうございました。
『Trine 5』は、PC/Nintendo Switch/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けにダウンロードにて発売中。PS4/PS5/Nintendo Switch向けにはパッケージ版も発売されている。