『原神』開発者インタビュー。天然樹脂の仕様改善やイベント読み返し機能の実装、武器再配布の可能性など、気になることをいろいろ訊いた

 

HoYoverseは8月16日、『原神』Ver.4.0の配信を開始した。同アップデートでは、新たな地域である「フォンテーヌ」が開放。テイワットの世界がさらに広がった。また日本では夏に展覧会が開催されたり、秋よりオーケストラコンサートが実施されるなど、国内向けの展開も進んでいる。そんな中、HoYoverse開発チームに『原神』についてメールインタビューをする機会を得た。

フォンテーヌ中心に訊くインタビューであったが、システム設計を含む、答えづらそうな質問を投げかけた。こういったセンシティブな質問は普通のインタビューではスルーされがちなのだが、HoYoverseはいろいろと回答してくれた。そうした質問に苦慮しながら頑張って答えてもらった様子がわかるインタビュー内容をお届けする。なお、インタビュー自体は8月に実施しているため、一部の質問はその後発表された情報について、つまりすでに発表されている情報について訊くようなかたちになっている。その点はご容赦いただければ幸いだ。

──本日はよろしくお願いします。フォンテーヌの水中がほぼ新しいゲームのような操作系となっていることに驚きました。この水中モードを作るにあたり、開発の課題となった箇所はどこでしょうか。

HoYoverse:
水中での戦闘体験はかなり挑戦的な試みでした。最初は陸上での体験を水中で再現すること考えましたが、どうしても通常の行動や戦闘体験では、水中で上手く適応させることができませんでした。水中では動きが遅くなり、視点の変化や距離感覚の誤差などにより、陸上での一般的な行動さえも困難になってしまいます。そして、水元素が絶対的に優位になる水中では、元素反応を戦闘戦略として使用するのは良い体験になるとは思えませんでした。

そのため、ユーザーが水中で移動する際の不快感を最小限に抑えるために、カメラと傾斜角度を調整した上で、各キャラクターに新しい水中行動システムを追加し、陸上とは独立した、シンプルでインタラクティブな水中での戦闘ルールを導入しました。具体的には、水中では特定の原海アベラントから対応するアビリティを入手でき、敵との戦いや謎解きのために活用できるように新たにデザインしました。

──編成画面が新しくなっており、各国ごとの背景やキャラクターを選択したときのモーションがまったく新しいものになっていることに驚きました。これを更新したのはなぜなのでしょうか。

HoYoverse:
フィールド探索や戦闘だけでなく、編成画面でもキャラクターをイキイキと動かせることで、そのキャラクターと一緒にいる感覚をより感じられるようにしたいと考え、導入しました。編成画面では、キャラクターが現在いる地域によって、背景もその地域の特徴的な景色に変わります。

また、すべてのキャラクターに専用の登場モーションを付けました。キャラクターを入れ替えたり、並べ替える際にご覧いただけるかと思います。画面のアップデートとともに、皆様が冒険の仲間を選ぶ時に、そのキャラクターの温もりや個性、能力の特徴や抱えている事情を深く感じ取り、理解してくれたら嬉しいです。

──民族的な印象が強かったスメールの音楽に対し、フォンテーヌの音楽はどのようなテーマに基づいて作られたのでしょうか。

HoYoverse:
フォンテーヌの音楽は、『原神』の音楽制作チーム、HOYO-MiXが手がけました。我々は、フォンテーヌのストーリーと文化に水元素の要素を取り入れ、「水の国」としての華麗さとロマンスを表現したいと考えており、フォンテーヌ LIVE MUSIC VIDEO(オーケストラ編成)で演奏されたテーマ曲「フォンテーヌ」を例に、サスペンスフルでドラマチックなメロディーをデザインした上で、グラスハープやグラスハーモニカなどの楽器を取り入れ、変化に富む「水」の特性を表現しました。

──たとえば璃月における慶雲頂のように、フォンテーヌでのスクリーンショット映えする場所を教えていただけますでしょうか。

HoYoverse:
美しいと思うものは人それぞれですが、ほかのエリアでは滅多に見られない壮大な景色、「フォンテーヌの滝」をお勧めしたいと思います。ここはプレイヤーがフォンテーヌに入って最初に立ち寄る場所でもあります。


──フォンテーヌでは裁判を行うミニゲームが組み込まれていたり、リネの伝説任務もミステリ仕立てだったりしました。開発スタッフに推理ものや法廷ものの小説や物語、あるいはゲームが好きな方がいらっしゃるのでしょうか。

HoYoverse:
フォンテーヌのストーリーにある裁判のミニゲームは、このエリアの核となる特徴に基づきデザインしています。フォンテーヌでは正義と審判が拝められ、国も正義に関する審判システムで動いています。ストーリーが進むにつれ、プレイヤーの皆様は裁判のミニゲームを通じて、フォンテーヌの重要な出来事に参加し、このエリアの正義に対する理解を深めることができます。

また、そういったミニゲームの推理パートやサスペンスフルな部分は、同時にキャラクターの多面性を生み出し、シナリオのドラマチックな緊張感を引き立てます。そして合理的且つ面白い裁判のゲームを作るためには当然、推理ものや法廷ものが好きな開発メンバーが必要不可欠です。

──今回は2つの世界任務が「今後に続く」という形で完結しており、今後への続きを期待させるものでした。3.0の世界任務「森林書」が非常に長い世界任務だった印象があるのですが、今回の長期世界任務は段階的に実装されるということでしょうか。

HoYoverse:
お察しの通りです。一部の世界任務がシリーズとして登場するのは、主に適切な長さと密度の濃さで良い物語を語りたいためになります。それらの関連ストーリーは、今後のバージョンで実装される予定ですので、ぜひご期待ください。


──操作系についての質問です。現在4.0に至るまでコントローラーとキーボードの選択式となっていますが、今後コントローラーとキーボードは同時使用可能にはならないのでしょうか。

HoYoverse:
申し訳ございませんが、PCでのプレイはマウス&キーボードかコントローラーのどちらかで操作いただく形となり、同時使用はできません。

──『崩壊:スターレイル』においては、天然樹脂的なリソースであるスタミナの上限増加や、消費素材が多いもののステータスをカスタマイズできる聖遺物廻聖のような機能が存在しています。『原神』プレイヤーとしては実に羨ましいのですが、これらの機能が『原神』にフィードバックされる可能性はあるのでしょうか。

HoYoverse:
皆様からのフィードバックを元に、開発チーム一同、日々検証や改修を進めております。最新のVer.4.0では、所持可能な聖遺物の上限数を増やしたり、合成台の「聖遺物廻聖」に8種類の聖遺物を追加するなど、聖遺物の獲得や管理がしやすくなるように、一部の機能を改善しました。今後も、旅人の皆様のゲーム体験向上のため努めてまいりますので、引き続き貴重なご意見をお待ちしております。

──過去クリアした魔神任務や伝説任務、イベントの演出を含めた読み返し機能の実装は難しいのでしょうか。特に今回のような推理ものだとテキストだけではなく演出を含めて読み返したく思います。

HoYoverse:
現時点では、メモリ管理などの面を考えると、いくつかの機能をトレードオフしなければなりませんが、今後はそれらも含めて、最適化を図るつもりです。


──イベントについては過去のイベントを体感することはできず、またイベントで配布された武器なども後から入手することができません。これらについて、後から始めたプレイヤーへのフォローなどは検討していますか。

HoYoverse:
これまでの期間限定イベントやお祭りでは、一緒に過ごしてきた時間を記念し、旅をともにした旅人の皆様のために特別な武器を作り、お贈りしてきました。現時点では、過去に開催されたイベントの復刻開催がないこともあり、残念ながらイベント時に配布した武器を再配布する予定は近いうちにはありません。

──序章をクリアすると即フォンテーヌへ行けるようになり、スメールへも璃月から歩いていけるようになります。これは最近開始したプレイヤーが各国のキャラクターを引いたときに素材を入手するための対策だと思いますが、同様に最近始めた初心者が稲妻のキャラを引いたときのためのフォローは追加されるのでしょうか。


HoYoverse:
新たに冒険を始めた旅人の皆様に、より自由な探索を楽しんでもらうために、Ver.4.0では、魔神任務の序章をクリアしたユーザー向けに、スメールとフォンテーヌの境界線でワープポイントを開放し、フォンテーヌを探索するための敷居を下げました。ただ稲妻に関しては、シナリオ上の設定により、現時点では特定のストーリーまで進まなければ開放できないようになっております。

──4.0になってゲーム容量が増え、特にスマホ版ユーザーが困っているという声を聞きました。まだ七国すべては実装されていない状態ですが、今後さらに容量は増えていくのでしょうか。

HoYoverse:
皆様からのフィードバックを受け、私たちはより良いゲーム体験をしていただくためにいろいろな改善方法を模索しております。容量問題の改善策の一つとして、Ver.3.2から、過去の任務のデータを削除する機能が追加されています。この機能は状況に応じてプレイ済みの任務のデータを削除することができ、また削除した場合も以降の任務の進行に影響することはありません。

──PS5版には高解像度のテクスチャが使われていたり、高いフレームレート動作が可能になっていたりすると思います。PC版にもそういった要素を配信することは可能でしょうか。

HoYoverse:
現在、PlayStation 5とPC端末における『原神』の最高フレームレートはどちらも60FPSとなっております。またPC端末でも4Kの最高画質をお選びいただけます。

──先日開催された『原神』のゲームアート展覧会について、今後日本国内では東京以外での開催の可能性はないのでしょうか。


HoYoverse:
東京での展示会では、皆様に多大なご協力をいただきました。今回、オフライン展覧会と15言語対応のオンライン展覧会を開催し、旅人の皆様からたくさんのご意見やフィードバックをいただきました。それを活かし、今後はもっと多くの場所でイベント開催ができるようにしていきたいと考えております。

──ありがとうございました。

原神』は、PS4/PS5/PC/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。まもなくVer.4.1も配信予定である。

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