『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』開発者インタビュー。“投げ抜け猶予”が長い理由など、ベータテスト後の疑問をいろいろ訊いた

Cygamesは8月7日、『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』(GBVSR)を11月30日に発売すると発表した。本稿では、本作のクリエイティブディレクターである福原哲也氏に向けておこなわれたインタビューの内容をお届けする。

基本プレイ無料RPG『グランブルーファンタジー』の派生作品として、Cygamesが企画・制作し、アークシステムワークスが開発した『グランブルーファンタジー ヴァーサス』。同作は「格闘ゲーマーの大同窓会」と言われるほどの盛り上がりを見せた。その続編であるところの『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』(以下、GBVSR)の発売日が先日、格闘ゲームの祭典「EVO 2023」にて発表。PlayStation®4/PlayStation®5/PC(Steam)向けに、2023年11月30日に発売されることが告知された。

本作の発売日発表に先駆けて、メディア向けのプレスイベントが開催された。本稿では、プレスイベントにて本作のクリエイティブディレクターである福原哲也氏に向けておこなわれたインタビューの内容をお届けする。


――『GBVSR』を遊ぶにあたって原作『グランブルーファンタジー』の知識はどれくらい必要になるのでしょうか?

福原氏:
基本的には必要ないです。前作の時点から、『グラブル』の知識がなくとも楽しめるような作りにしてあります。ただもちろん、原作を知っていただいた上で遊べばより楽しめるのは間違いありません。あえて「ここだけでも押さえておいてくれると嬉しい」というポイントを挙げるならば、やはり冒険の導入部分である「主人公とルリアがどう出会ってなぜ旅立ったか」の部分になると思います。アニメの第一話と第二話がちょうどこの部分に相当していて、合わせて40分くらいでサクっと見られますので「予習用」としては最適なんじゃないかなと。個々の登場キャラクターの性格や関係性などは、『GBVSR』のゲーム内のバトル演出時のセリフなどから分かるように意識して作っています。

――先日のベータテストでは参加したプレイヤーたちからどのようなフィードバックがありましたか?また、それらのフィードバックを受けての所感などあればお願いします。

福原氏:
Web上のご意見や、専用のメールフォームから送っていただいたアンケート内容などは現在まだ集計中なのですが、現状まででいただいた分はすべて目を通しています。今のところ読んだ限りだと、基本的には同じ方向性の感想を頂戴しているという印象ですね。これらを踏まえてまたアークシステムワークスさんのバトル担当メンバーとも話し合って今後の調整方針を決めていくつもりです。また、2回目のベータテストを秋頃予定していて、こちらはSteam版や「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」も含めてのテストとなっています。今回のベータテストでいただいた意見を反映して変更する部分なども出てくると思いますので、改めて反響などを確認できればと考えています。より多くの人に「シンプルでも爽快・楽しい」と思っていただきたいので、そこを突き詰めつつ、またプレイヤーのみなさんにも随時フィードバックをいただければと思います。

※ぐらぶるレジェンドばとるっ!……『GBVSR』で新たに追加される、オンラインロビーのアバターを用いて遊べるパーティーゲームモード。


――オンラインロビーが大幅に進化していますが、この部分に目をつけた理由はありますか?

福原氏:
オンラインロビーに関しては、前作のオンラインロビーとロビーアバターのクオリティが高いと好評でしたので、そこを純粋にパワーアップしてお届けしたいなと思い注力しました。せっかくのロビーアバターですので、歩き回るだけじゃなくていろんな形で動かせた方がいいんじゃないかと。そこで障害物競争やサバイバルのような、ラフに楽しめるミニゲームを導入することにしました。あとはやっぱりジャンプですね。嬉しいときにしても腹が立ったときにしても、とりあえずジャンプしておけばいい意味での無言のコミュニケーションになり、気分も楽しくなるみたいなところがあると思うんです。なのでやっぱりジャンプはさせたいなと思って導入しました。

――「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」について、遊ぶにあたって報酬などはありますか?

福原氏:
はい、あります。「ぐらばとっ!」のミニゲームでの順位に応じてもらえる経験値のようなものをためてレベルを上げていくと、称号やゲーム内通貨、ロビーアバターといった報酬を獲得できます。

それとは別に格闘ゲームの方にもキャラクターごとのレベルというのもあって、こちらは対戦で勝っても負けてもプレイしたキャラクターの経験値が溜まっていき、到達したレベルで武器スキンやカラーなどが獲得できるようになっています。


――新規キャラクターや追加キャラクターの選出基準はありますか?

福原氏:
格闘ゲームとしてキャラクターを並べた時のシルエットだとか、戦闘スタイルだとか、原作での立ち位置だとか、いろいろな要素を多角的に検討して選出しています。その上で、『GBVSR』に関しては前作に比べると原作の『グラブル』におけるキャラ人気をより重視するようになったと思います。

――『GBVSR』で前作から大きく変わったポイントはどういった部分になりますか?

福原氏:
前作は守りが強すぎてお互いに膠着状態になりやすい、といった意見を多くいただいていたように思われます。そこも踏まえて、より気持ち良く遊べるよう、攻めが強いゲーム性にして試合が動きやすくしたいという方向性でアークシステムワークスさんとも意見が合致していたので、そこを軸にシステムをリニューアルしました。結果としてベータテストでは、主に前作からの変更部分などで様々なフィードバックをいただいたので、それを踏まえてここからどう調整していくか、という段階になっていますね。

――ベータテストでは投げ抜けの猶予時間が長くなり、容易に投げ抜けできるようになっていました。投げや投げ抜けにまつわる変更にはどのような意図があったのでしょうか?

福原氏:
『GBVSR』は基本的には上級者も初級者もここぞという時にレイジングストライクでガードを崩して欲しいというコンセプトがあります。また、投げはいわゆる「柔道」と呼ばれたりする、(連続投げなどによる)ループ性がある部分が苦手だという方が少なからずいるのもあり、色々な兼ね合いでこのような調整になっています。現状のフィードバックだと、違和感を覚える方と肯定的な方で比較的二極化している印象ですね。本作の投げは発生が早く割り込みに有用な防御手段だったりして、従来の格闘ゲームとはちょっとセオリーが違っていますが、視覚的にはわかりづらい要素でしたので、猶予が長くなった部分だけが目立ってしまったかなと。ここに関してはベータテスト前に説明しておくべきだったと反省しています。適切なタイミングで使用すると、投げ抜けできない上にダメージは高く、演出もスピーディで気持ちいいんですよ。

奥義ゲージに関しても使い道が増えたことについていろいろな感想をいただいています。ポジティブな意見もある一方で、使い道が多すぎて逆に本来の用途である奥義を出す機会が少なくなってしまっているという意見も少なくないので、こちらに関してはどうにかしたいと思っています。そういった部分も含めて、ユーザーのみなさんのフィードバックを踏まえて今後調整していければと考えています。

――今回「EVO 2023」にてベータ版での大会が開催されましたが、こちらの開催に至った経緯などはありますか?

福原氏:
11月30日に発売予定ということで、しばらく『GBVS』的には大きなイベントもない期間が続いてしまうので、ベータテスト以外でも遊べる機会を増やしたかったところが大きいです。去年のEVOでベータ版で大会を開催していたタイトルがありましたので、うちも同じ事が出来ないかなと考え、EVOの運営サイドにもご協力いただき実現した形になります。


――コラボキャラクターの追加予定などはありますか?

福原氏:
現状ではまだ何とも言えないですが、絶対にないとは言わないです。確約は出来ないですが、やる場合はGBVSプレイヤーにも、原作ファンにも喜ばれる内容で実現させたいと思っています。

――ランクマッチのシステムに変更はありますか?また、今作からのプレイヤーと前作経験者で実力に大きな開きがあると思いますが、ランクマッチで区別されたりはするのでしょうか?

福原氏:
具体的にはまだお答えできないのですが、前作から少しランクマッチのシステムにも手を加えてあります。格闘ゲームは目の前の一勝一敗とひたすら向き合い続けるストイックなゲームではあるので、そこをパートナー機能や、負けても報酬が手に入る経験値システムで少しでも和らげられたらと考えています。

段位に関しては新作の扱いですので全員初期からのスタートとなります。経験者と初心者の区分については、ゲーム開始時に前作経験や格闘ゲーム経験を訪ねる設問がありますので、そちらに正直に答えていただければと思います。

――前作からの引き継ぎ要素はありますか?

福原氏:
データ引き継ぎは基本的にはないですが、前作でもらえた特別な称号やスキン、カラーなどは引き継げるようになっています。たとえば「RAGE」をはじめとした大会系の称号、「Cygames Cup」に参加することでもらえたEXカラー、そして一時期実施していたバトルパスの報酬で貰えた武器スキンやキャラクターカラーなどが対象になる予定です。また、ストーリーの進行度も引き継げるようになっています。

――最後に、プレイヤーの皆様に向けてメッセージをお願いします。

福原氏:
『GBVSR』は前作を遊んでいただいた方々にはより満足していただけるように、そして前作経験者だけではなく、さらに多くの人々にも遊んでいただけるように目指して作っているタイトルです。今まさに格闘ゲームというジャンルが大きく盛り上がっているので、それに『GBVSR』も寄与できればなと願っていますので、ぜひご期待していただければと思います。

――本日はありがとうございました。

グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、PlayStation®4/PlayStation®5/Steam向けに2023年11月30日にダウンロード専売で全世界同時発売予定。予約は本日より開始されており、PlayStation®4/PlayStation®5版には発売後4か月間の期間限定で原作『グランブルーファンタジー』のゲーム内アイテムセットが貰えるコードが付属する。

Mizuki Kashiwagi
Mizuki Kashiwagi

PCとPS4をメインで遊んでいます。自分で遊んでも、観戦していても面白いような対戦ゲームが好きで、最近は格闘ゲームとMOBAをよく遊んでいます。

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