『バイオハザード RE:4』開発者ショートインタビュー。QTEの変化や“空耳要素”など細かい部分を訊いた

カプコンは10月21日、「バイオハザード・ショーケース」内で『バイオハザード RE:4』に関する新規映像を公開した。本作のプロデューサーである平林良章氏にメールインタビューを実施。その内容をお届けする。

カプコンは10月21日、「バイオハザード・ショーケース」内で『バイオハザード RE:4(以下、『RE:4』)』に関する新規映像を公開した。アシュリーやルイス、エイダといった、本作のキャラクターたちが多く登場するトレイラーになっている。

弊誌AUTOMATONでは、本作の先行プレイに参加(関連記事)。懐かしくも新しいという、リメイク作として十分に期待ができる内容だった。先行プレイの内容をふまえ、本作のプロデューサーである平林良章氏にメールインタビューを実施。原作において印象的だったさまざまな要素は『RE:4』にも受け継がれるのかなど、気になる点について質問をおこなった。その内容をお届けする。


──直近のシリーズリメイク作および『バイオハザード7』、『バイオハザード ヴィレッジ』では、ホラーへの原点回帰としての演出が強化されていた印象です。今回の先行プレイでも、暗がりから敵が登場したりと「怖い!」と感じるシーンがありました。『バイオハザード RE:4』においては、原作版に比べてホラー演出に力を入れていますか。

平林良章(以下、平林)氏:
本作は、リメイク作品として原作にあった各コンセプトと向かい合いながら、懐かしくも新しいバイオ4になることを目指し、それぞれアップデートをかけていける部分を検討しながら進めております。なので、一概に “よりホラーに” というわけではなくホラーが強調されているだろうエリアはより不気味に、より怖くとなりますし、アップテンポな戦闘が印象深いエリアでは戦闘をより楽しめるようにと取り組んでいます。ほかにも、原作にあったレオンのシニカルだったりウィットに富んだセリフや様相が見れるところはあります。


──ステージ構成についても、先行プレイでは原作から変更されている。レベルデザインについては、原作と比べてどのように調整されているのでしょうか。

平林氏:
原作のテンポの良いゲーム展開は、本作でも踏襲しています。各エリアについては、それぞれレベルデザインを再構築していますが まったく別の遊びになるようにという事ではなく、原作での楽しみの幅を広げていけるような形を目指しています。

──原作には、当時としては画期的な、プレイ中にゲームの難易度をゲーム側で調整するゲームランクシステムが存在しました。本作でも盛り込まれていますか。

平林氏:
本作でも選んだ難易度(ゲームのスタート時)のあと、ゲームのプレイ状況によって皆さんにあった難易度に調整が入るようにはさせていただいております。

──本作のストーリーは『バイオハザード RE:2』から続くかたちになるのでしょうか。

平林氏:
はい。『RE:2』で設定させていただいたストーリーは踏襲させてもらっていますし、『RE:2』に限らず、原作が出たのちの17年間の間に出たバイオタイトルの中でも本作に関連した設定で引き継いでいるものはあります。


──『バイオ4』といえば敵が放つ「空耳」が印象的です。試遊した際には、NPCの台詞がちゃんと空耳として認識できる状態で残っていて驚きました。こうした台詞はオリジナルのボイスのままか、あるいはリメイクするにあたって再録したのでしょうか。再録した場合、空耳に聞こえるようなニュアンスを残そうという判断があったのでしょうか。

平林氏:
本作用に改めて収録しています。敵がしゃべっているセリフは多岐にわたりますが、原作にあったセリフは一通り網羅させていただいております。イントネーションの部分は、より現地に近い形になるようにチーム一同気を払いながら進めました。

国内のみなさんが「空耳」を楽しまれていたというのは私たちも理解しています。ただ、あくまで敵側がレオンに襲い掛かるためにしゃべっている言葉ではありますので“怖さ”の一助になるように心がけて収録しております。とはいえ、結果として今回のガナードたちの“恐怖のセリフ群”も、みなさんに別の楽しみを感じていただけるところになっているのであれば幸いです。

──原作では、巨大サラザール像やド派手なアクションなど、一部ケレン味あるイベントがありました。そうしたテイストはリメイク版にも引き継がれていますか。

平林氏:
今お答えできる部分は、あまりありません。ただ、原作にあったモチーフそれぞれには皆さんの思い出があることは理解しております。それぞれのモチーフがどのように再構成されたかは、できればご自身のプレイで知っていただければ嬉しいです。


──『バイオ4』といえばクイックタイムイベント(QTE)が印象的でした。当時としては流行していたギミックですが、リメイク版ではそのまま盛り込まれていますか。それともアレンジされていますか。

平林氏:
QTEの概念が人により多少違う所がありますので、少々限定してお話しいたします。原作にあったカットシーンの途中に突然出るようなQTEは、本作ではございません。ただ無くすだけというわけではなく、ゲームとして再構成しているところも一部あります。また、ゲームプレイ中の一定の状況下においてボタンを押すという表現は一部ございます。

──三上真司氏は本作にはなんらかのかたちで参加されていますか。もしされていない場合、オリジナル版の「中心スタッフ」で、今作にも参加しているスタッフを教えてください。

平林氏:
原作ディレクター三上氏は、本プロジェクトに関わられておりません。原作の制作に携わったメンバーも幾人かは本作に参加しております。それぞれ当時の携わり方と、本作では違う場合もありますが、プログラムチーム、背景チームの主要スタッフとして携わっていたメンバーも参画しておりますし、中心スタッフかどうかはさておき、私も当時はカットシーンチームの一員として携わっておりました。

──アシュリーはオリジナル版ではかわいいヒロインでしたが、ゲームプレイの枷にもなりやすい存在でした。アシュリーのAIやゲームプレイ中の役割について、変化はありますか。

平林氏:
今お答えできる部分は、あまりありません。ただ、本作ではストーリーの再構成の際に キャラクター同士の心情的なやり取り に力を入れたいというディレクターの思いもありゲームを通してアシュリーとのやり取りも原作以上となっています。


──リメイクの発表時、モデルとして活動されているElla Freyaさんが、自分がアシュリーのモデルであるとの旨の主張をしていました。これは事実でしょうか。

平林氏:
皆さんのご想像にゆだねさせていただきます。

──オリジナル版『バイオ4』は、同シリーズに青コイン射撃のような収集要素や通貨を導入した初の作品だと認識しています。『RE:4』においてもそうした要素は健在と思いますが、変化も加えられていますか。

平林氏:
色々な遊びが盛り込まれているのも、原作の良きところだと思っております。期待してお待ちいただければと思います。今、お伝えできる部分としましては、武器商人は本作でも健在ですし、武器商人のシステムの中で購入・改造に加え宝石を特別なアイテムを交換する「トレード」という機能が本作より新たについています。 トレードに使う宝石は、収集要素のミッションをクリアすることで手に入ります。

──ありがとうございました。

『バイオハザード RE:4』は、2023年3月24日発売予定。対応プラットフォームはPS5/PS4/Xbox Series X|SおよびPC(Steam)。通常版にくわえて、各種特典が付属するデラックスエディション、コレクターズエディションがそれぞれ現在予約受付中だ。詳細は公式サイトで確認されたい。

Aya Furukawa
Aya Furukawa

主にニュースを担当。ビジュアルや世界観にこだわりのあるゲームが好きです。

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