『モンスターハンターライズ』Steam版発売直前インタビュー。Steam版ならではの魅力や、今後の展開を訊く

 

カプコンがPC(Steam)向けに1月13日発売予定の『モンスターハンターライズ』。本作は2021年3月よりNintendo Switch向けに展開。発売から約2か月で、全世界出荷本数が700万本を突破した。そんなシリーズとしてトップレベルの好調な滑り出しを見せた本作のPC版が、まもなくベールを脱ぐ。発売を心待ちにしていたハンターも多いのではないだろうか。

今回は、カプコンへのメールインタビューの機会をいただき、PC版ならではの魅力や細かな仕様についてうかがった。今後展開予定の大型拡張コンテンツ『モンスターハンターライズ:サンブレイク』についても触れている。


プラットフォームを拡大し、より多くのハンターのもとへ

――あらためてPC版の開発経緯をお聞かせください。

『モンスターハンターライズ』のPC(Steam)版は、Nintendo Switch版の発表後に、特に欧米のユーザーの皆様から発売を希望する声を多くいただいた結果、制作することを決定いたしました。

『モンスターハンター:ワールド』でPC(Steam)版の展開を行なったことで、全世界のPCゲームユーザーの中にも、「モンスターハンター」シリーズのファンになっていただいた方が多くいらっしゃったことが、『モンスターハンターライズ』でもPC(Steam)版の展開を決断するに至った大きな要因です。PC(Steam)版『モンスターハンターライズ』が発売された暁には、ぜひより多くの方にプレイしていただけますと幸いです。

――先に発売されたNintendo Switch版は、たくさんのユーザーが手に取ったとうかがいました。PC版はどのようなユーザーをターゲットとされているのでしょうか。

前述の通り、PC(Steam)版は、主にNintendo Switchを持たないPCゲームユーザーの皆様からのご要望を受けて、さらにたくさんの方に『モンスターハンターライズ』を楽しんでいただきたいという想いから制作を決定しています。ですので、まずはぜひPCゲームユーザーの皆様に楽しんでいただきたいと考えています。


――PC版ならではの魅力はどういったところでしょうか。

『モンスターハンターライズ』は、Nintendo Switchでの展開を出発地点として開発が始まったタイトルですので、PCゲームとして必要な追加開発を行なっております。主な要素としては、4Kまで選択可能な高解像度対応、モンスターなどの高解像度テクスチャへの切り替え(オプション機能から切り替えることができます)やフレームレートの上限変更などを可能とするグラフィックスオプションの最適化、ウルトラワイドディスプレイ対応のほか、ゲームパッドだけでなくキーボード&マウスでも操作を可能とする対応などです。ユーザーの皆様のPCゲーム環境に合わせて、細かな設定変更を行なえるようにオプション機能を拡充しておりますので、ぜひご自身にとって一番快適な状態でプレイいただければと思います。

また、PC(Steam)版では、オンラインマルチプレイで便利な「ボイスチャット」機能や、様々な雰囲気での映像やスクリーンショットの撮影が楽しめる「各種フィルター」機能なども実装していますので、是非そういったPC(Steam)版ならではの要素も活用して、『モンスターハンターライズ』を楽しんでください。

――現在配信中である体験版をプレイしたユーザーの反応はいかがですか。

Steam版『モンスターハンターライズ』の体験版は、2021年10月14日より配信を開始させていただきましたが、前述のSteam版ならではの強化されたグラフィックス(4K解像度や高解像度テクスチャなど)や高フレームレートでのプレイなどを中心に、ポジティブな意見をいただいております。体験版から製品版で大きく変化している部分は基本的にはありませんが、製品版の発売までの間に細かな調整やブラッシュアップを行なっている部分もありますので、ぜひ体験版をお楽しみいただいた皆様には製品版もプレイしていただけますと幸いです。

また、もうすぐ製品版が発売されますが、製品版の購入を迷っている方は、まずは体験版で『モンスターハンターライズ』ならではの狩猟体験や、Steam版での独自要素をお試しいただけたらと思います。


PC版ならではの狩猟体験を実現

――Nintendo Switch版と比較して、PC版はモンスターや水の表現がさらに美しくなった印象を受けました。グラフィック面において、4K解像度対応などの画質向上以外にも、PC向けに新たに制作された要素があるのでしょうか。

ありがとうございます。水面の表現などは、Nintendo Switch版開発時点で、RE:ENGINEを使用した開発の中で表現の幅を広げられた部分のひとつで、『モンスターハンター:ワールド』で用いられていた油膜、濡れ、環境マップを利用した屈折表現などは本作でも使用しつつ、さらに水面の反射や歪みを表現する独自のプロセスや大気散乱表現を新たに実装しており、ステージの時間経過に応じた自然な光や、シーンに応じて表情を変える水面を表現しています。

Steam版では、レンダリング解像度の品質を変更できるオプション機能「イメージクオリティ」等により、全体の画づくりが大きく変えられるようになっていますので、そうした部分でさらに美しくなったと感じていただけているのではないかと思います。

そのほかにも、Steam版ではモンスターや装備のテクスチャを高解像度のものに変更できるオプションを用意しているほか、ベイクしていた影を動的に描画できるようにしたり(ダイナミックシャドウ)、遠景描写されている時のモンスターのアニメーションのカリングをなくしたりと、様々な対応を行ないました。


――移植作品では、高リフレッシュレートになってゲームの挙動が変わる例があります。PC版では意図せぬ挙動を防ぐためにどのような工夫をされましたか?

仰るとおり、高リフレッシュレート環境では、ゲームの挙動に変化が生まれます。Steam版『モンスターハンターライズ』では、様々なフレームレート設定下で十分にチェックプレイを行ない、たとえば攻撃のヒット数が低フレームレート環境よりも増えてしまう等のゲームプレイに不平等な差が生じてしまうような意図せぬ挙動は起こらないように慎重に開発を進めました。

――PC版ではキーボード&マウス操作が新たに導入されています。こだわっている点があればお聞かせください。

モンスターハンターシリーズは、アクションゲームであり、全14武器種を使用した様々なアクションが存在することから、コンソール版においても、ゲームパッドの操作にあてはめていく作業には非常に苦労していますし、タイトルによっても操作感が異なるモンスターハンターシリーズの操作をどうキーボード&マウス操作にあてはめていくのかという点は、我々もまだ理想的な形を求めて、課題意識をもって取り組んでいます。

また、『モンスターハンターライズ』では、「翔蟲」を使った新規アクションなども追加していますので、過去にPCでリリース済みの『モンスターハンター:ワールド』ともまた前提が異なる部分が多かったのも苦労した部分のひとつです。そうした理由から、『モンスターハンター:ワールド』とは操作感が違ったり、各アクションの操作がバッティングしたりしてしまう都合上からオプションでアサインを変更できるキーが変更になっている部分などが存在する点はどうかご理解いただけますと幸いです。


――PC版開発にあたって、もっとも苦労された点はどこでしょうか。

『モンスターハンターライズ』は、Nintendo Switchでの展開を出発地点として開発が始まったタイトルですので、Steam版開発にあたっては、PCゲームとして必要な追加開発を別途新たに行なう形になりました。つまり、「Nintendo Switch上でいかにパフォーマンスを優先しながら、画づくりの表現の幅を広げるか?」という最適化が行なわれたあとに、「PCであれば何ができるか?」を改めて考える形になりましたので、そうした内容の精査や対応方法の検討という部分では、通常のPCゲーム開発とはまた違った難しさがありました。

また、決まった機材でのパフォーマンスが保証できればよいコンソール版と違って、PC版はユーザーの皆様のプレイ環境も様々ですし、たとえばOSやグラフィックカードのサポート状況や市場のシェアなども日々変化していますので、動作保証範囲の検討は慎重に進めました。発売にあたっては、社内で保有するできる限りの機材でのチェックを行なっています。

公開している動作環境を満たすPC環境でのゲームプレイはサポートしていますが、お客様の個別環境(たとえばアンチウイルスソフトの設定等)によっても動作が異なる場合もございますので、何か問題が発生した場合は、公開予定のトラブルシューティング等も参考にしていただきながら、もしそれでも解決しない場合はカスタマーサポートまでご連絡いただけたらと思います。

収録コンテンツについて

――PC版は発売時からNintendo Switch版と同一のコンテンツが遊べるのでしょうか?

Steam版『モンスターハンターライズ』は、発売時にはNintendo Switch版にて配信されている更新データVer.3.6.1までの内容を含む形でのリリースを予定しています。また、2022年2月末にNintendo Switch版との配信内容の同期を行なうアップデートを予定しています。発売からそのアップデートまで、Steam版では新たなイベントクエストの配信はありませんが、アップデートが実施されたタイミングで、それまでにNintendo Switch版で配信されていたイベントクエストなどが一挙に配信されたのち、以降に配信されるイベントクエストは、Nintendo Switch版と基本的に同時に配信されていく形となる予定です。

――Nintendo Switch版で配信済みのダウンロードコンテンツも遊べるのでしょうか?

前述の通り、Steam版『モンスターハンターライズ』は、発売時にはNintendo Switch版にて配信されている更新データVer.3.6.1までの内容を含む形でのリリースを予定していますので、たとえばVer.2.0やVer.3.0で配信された追加モンスターや追加エンディング、Ver.3.6.1までに配信された各種イベントクエストなどを発売時からプレイいただくことが可能です。

もちろん、『大神』や『ストリートファイター』をはじめとしたCAPCOMコラボクエストや『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』とのコラボクエストもプレイいただけますので、ぜひお楽しみいただけますと幸いです。また、有料ダウンロードコンテンツについても同様に、Ver.3.6.1までにNintendo Switch版で発売済みのコンテンツは、Steam版でも発売時に販売開始を予定しています。


大型拡張コンテンツも展開予定

――PC版の発表は、Nintendo Switch版ちょうど1か月前で、メディアインタビューで明かされたかたちでした。この時期、この発表方法を選んだ意図は?

『モンスターハンターライズ』のPC(Steam)版は、Nintendo Switch版の発表後に、特に欧米のユーザーの皆様から発売を希望する声を多くいただいた結果、制作することを決定した経緯から、PC(Steam)版開発チームのチームビルディングや開発にあたっての諸々の精査に時間も必要でしたので、そうした時間軸の中でユーザーの皆様にPC(Steam)版の開発を決定したことをお伝えできるタイミングを探った結果、Nintendo Switch版発売の約1ヶ月前のメディアインタビューという場で発表させていただくことになりました。

――本作発売後、大型拡張コンテンツとなる『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、Nintendo Switch版と同日配信を予定されているとうかがいました。収録内容は同一になるのでしょうか?

『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、Nintendo Switch版とPC版の同日発売を予定しておりますので、基本的には両ハードで同じ内容をお届けできるように、現在開発を進めております。

――昨年のThe Game Awards 2021で『モンスターハンターライズ:サンブレイク』の新映像を公開しておりましたが、映像内に出ている新モンスターなどについて何か追加情報を頂くことは可能でしょうか?

PVの中に登場した新モンスターは「氷狼竜(ひょうろうりゅう)ルナガロン」というモンスターで『サンブレイク』で初登場となるモンスターです。ただ、映像内でお見せしたのがこのモンスターの全てではなく、意外な行動でハンターを追い詰めてくるので楽しみにして頂ければと思います。

また、映像内でもありましたが、今作は新しい拠点「エルガド」が物語の舞台となります。「エルガド」は映像内で窮地のハンター達を助けたキャラクターの拠点であり、また『モンスターハンターライズ』にも登場した「ロンディーネ」にもゆかりのある場所です。「エルガド」でどのようなストーリーが待ち受けているか、こちらも続報を楽しみにして頂ければと思います。

――『モンスターハンターライズ:サンブレイク』の続報はいつごろになるでしょうか?

春ごろに新たな情報をお届けできるよう、鋭意準備中となりますので、楽しみにお待ち頂ければと思います。


――最後にPC版から新たに始める方、Nintendo Switch版をプレイ済みの方、それぞれのユーザーに向けてメッセージをお願いします。

いよいよ、2022年1月13日(木)にSteam版『モンスターハンターライズ』が発売となります。前述の通り、発売時から、Nintendo Switch版にて配信されている更新データVer.3.6.1までの様々なコンテンツが遊べるようになっていますので、ぜひお楽しみいただけますと幸いです。

そして、2022年夏には、『モンスターハンターライズ』の超大型拡張コンテンツ『モンスターハンターライズ:サンブレイク』が発売予定です。『モンスターハンターライズ:サンブレイク』では、新たな物語やクエストランク、まだ見ぬフィールドやモンスター、そして、未体験のアクションなど、『モンスターハンターライズ』をさらに楽しめる要素が多数追加されます。

『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、Nintendo Switch版とPC版の同日発売を予定しておりますので、ぜひPCゲームユーザーの皆様は、まずは「モンスターハンターライズ」をお楽しみいただき、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』に備えていただければと思います。

『モンスターハンターライズ:サンブレイク』の新たな物語は『モンスターハンターライズ』のNintendo Switch版発売日時点(Ver.1.0)での最終クエストである【集会所クエスト★7「雷神」】をクリア頂くことで開始されます。Nintendo Switch版ユーザーの皆様も、もしまだ【集会所クエスト★7「雷神」】をクリアされていない方がいらっしゃいましたら、ぜひクリアしていただいて、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』をお楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

──ありがとうございました。


翔蟲アクションやオトモガルクの導入によって、3次元のスピーディーな狩猟体験を実現した本作。高解像度・高フレームレート対応をはじめ、さまざまな独自要素が加えられたPC版には、また新たな体験が待っていることだろう。

『モンスターハンターライズ』のSteam版は1月13日発売予定だ。価格は通常版が税込み5990円。さまざまなダウンロードコンテンツを収録したデラックスエディションが税込み7041円となっている。