『Marvel’s Avengers (アベンジャーズ) 』ベータテストを遊んだ上での疑問点を開発者に質問。メディア合同インタビュー

『Marvel's Avengers (アベンジャーズ) 』ベータテストを遊んだ上での疑問点を開発者に訊く、メディア合同インタビュー。『Marvel's Avengers (アベンジャーズ) 』のRPG要素やリプレイ性について答えてもらった。

スクウェア・エニックスより9月4日に発売予定のアクションアドベンチャーゲーム『Marvel’s Avengers (アベンジャーズ) 』。そのベータテストが8月より順次開催される。本稿では、ベータテストを先行して遊んだ国内の各種メディアが、疑問点・不明点を開発者に質問した合同インタビューの内容をお届けする。RPG要素やリプレイ性など、さまざまな質問が飛び交ったため、ベータテストを遊ぶにあたり参考にしてほしい(PS4ベータテストの弊誌プレビュー記事はこちら)。

ベータテストの日程は以下のとおり:
8月7日〜8月9日:PlayStation 4版 予約者対象のベータテスト
8月14日〜8月16日:PlayStation 4版 オープンベータテスト
8月14日〜8月16日:Xbox One/PC版 予約者対象のベータテスト
8月21日〜8月23日:全対象プラットフォームのオープンベータテスト

メディア合同インタビューにて質問に回答いただいたのは、開発を担当するCrystal Dynamicsのクリエイティブ・ディレクターShaun Escayg氏と、ウォーゾーン・ディレクターPhilippe Therien氏である。

アクションRPGとして見る『Marvel’s Avengers (アベンジャーズ) 』

───本作は思ったよりも、ギアを集めてヒーローを強化していくというRPG的な要素が強いと感じました。そうしたルートアクションに重きを置いた理由や意図を教えてください。

Therien氏:
プレイヤーが思い描いていたアベンジャーズを作り上げ、それを実際にプレイできるようにするという意味でのカスタマイズ要素として、ギアは大きな比重を占めています。たとえば同じアイアンマンでも、レーザーを使った近接攻撃に特化したアイアンマンを作ることもできますし、ロケットを使った遠隔攻撃に特化したアイアンマンを作ることもできます。そうしたカスタマイズ要素として、ギアを取り入れています。

───同じミッションを繰り遊し、ギアを収集・強化していくハクスラ型のゲームになっていますが、今回のベータテストだとミッションの数が少なく、同じロケーションで、同じ部隊、同じ敵と戦っているような感覚になりました。またキャラクターが戦闘中に発するセリフも、同じものが繰り返されていました。製品版では、ミッションのボリュームはどれくらいあり、繰り返しによる単調さを和らげるためにどのような工夫をしているのか、お聞きしたいです。

Therien氏:
キャンペーンを遊び、ウォーテーブルをアンロックし、ヒーローミッションやファクションミッションに触れ、ボスやヴィランと出会い、ハイブミッションやエンドゲームコンテンツに突入していくといったように、さまざまな種類のコンテンツが用意されています。また同じミッションでも、使っているヒーローとそのレベルによって内容は変化します。そうした点でも単調さが和らぐと思います。

もちろん、いつまでも新鮮な状態で遊べるようにするのは不可能です。ただ、私自身ゲームを遊び込み、何度もヒーローのレベル上げをおこなった経験から、環境やミッションの種類が豊富にあり、同じことを繰り返していると感じさせないだけのバリエーションにはなっていると感じています。他のオンラインゲームをたくさんプレイしてきた、個人的な感覚からしても、本作はコンテンツの種類が豊富なので、レベル上げは単調に感じないと思います。

ベータテストで遊べるのはコンテンツのごく一部であり、ヒーローのスキルツリーも製品版ではすべてアクセスできるようになりますし、高レベル帯ではギアによってプレイスタイルが変わっていきます。そのため製品版では、ヒーローのレベル上げを楽しんでいただけるような、繰り返しによる単調さをあまり感じないような作りになっていると思います。とはいえ、反復作業感を完全に取り除くことは不可能であるため、ローンチ後にもコンテンツを追加していく予定です。

───スキルツリーへのスキルポイントの振り分けを途中でやり直す方法はあるのでしょうか。またギアについているパークを別のパークに変更する機能はありますでしょうか。

Therien氏:
本作には基本スキルと上級スキルがあり、基本スキルに関してはアンロックする順番が変わるだけであり、(いずれすべて解除できるため)ポイントの再分配機能はございません。上級スキルに関しては、ポイントの割り当てを自由に変えることができます。再分配するためのコストやクールダウンはなく、好きなだけビルドを組み変えられます。たとえばアイアンマンの各種アビリティによるスタンダメージを上げたい場合は、関連した項目にポイントを注ぎ込むといった具合です。どこにポイントを振るかはプレイヤー次第です。

ギアパークについては、ギア固定のものとなります。同じ種類のギアであれば、同じパークがついており、変更することはできません。違ったパークを使用したい場合は、違うギアを持っておき、切り替えることになります。

※編集部補足:本作では指定のリソースを消費することで、一定回数だけギアのパワー値を上げることが可能(ギアのブースト)。入手時点では一部パークがロックされたギアもあるが、ブーストすることでアンロックできる。そのギアを使わなくなったらいつでも解体してリソースを回収できる。

キャンペーンのリプレイ可否と、ウォーゾーンのリプレイ性


───製品版では、ヒーローミッションのリプレイは可能なのでしょうか。マルチプレイ対応のミッションは繰り返し遊べるようになっていますが、あとからストーリーを再確認したくなった場合、キャンペーンミッションの方も繰り返し遊べるのでしょうか。

Escayg氏:
厳密に言うと、ヒーローミッションは、キャンペーンを進める中で発生するサイドミッションという立ち位置になります。クリアすることでキャンペーンを先に進められるものもあれば、レベルを上げるといった目的のために任意で挑めるものもありますが、繰り返し遊べるものではありません。ウォーゾーンなどが遊べるアベンジャーズ・イニシアティブのミッションに関しては、繰り返し遊ぶことが可能です。

───実装されているヒーロー6体が揃うのは、ゲームのどの辺りになるのでしょうか。ベータテストをプレイした限りだと、キャプテン・アメリカやソーを使えるようになるまでには時間がかかるのかなと感じました。

Escayg氏:
キャンペーンをプレイせず、マルチプレイコンテンツのアベンジャーズ・イニシアティブに飛び込めば、すぐに各種ヒーローを使えるようになります。いろんなプレイスタイルのプレイヤーを想定し、そうした選択肢を残しています。ただ、物語や世界観を把握できず、ネタバレ要素も出てくるためオススメはしません。キャンペーンでは、カマラがアベンジャーズ再結成に向けて活動する中で、アベンジャーズのメンバーが徐々に増えていきます。もちろん、キャンペーンとマルチプレイを行き来しながら遊ぶことも可能です。

───同じウォーゾーン・ミッションでも、敵の配置や保管庫の扉を開くためのギミックが違う場合があります。これはどのような仕組みになっているのでしょうか。

Therien氏:
固有のストーリーがあるウォーゾーンではあまり大きな変化がないのですが、ウォーゾーンの種類によっては、同程度の難易度(チャレンジレート)を保ちつつ、異なる敵が出現するようなシステムが取り入れられています。また同じミッションでも、保管庫の入口が変化する場合があります。それ以外にも、ゲーム内の時間帯や天候もミッションによっては変化し得る要素となっています。

───ウォーゾーンのミッション目標についての質問です。ベータテストでは、ポイントキャプチャー、目標物の破壊、敵のせん滅。この3種類のミッション目標が出てきましたが、製品版でも基本的にはこの3種類となるのでしょうか。それとも違ったバリエーションが出てくるのでしょうか。

Therien氏:
ミッション目標の種類はたくさんあります。護衛やポイントのコントロールなどもありますし、破壊系の目標という括りの中でも、ミッションによって異なる部分があります。さらにエンドゲームコンテンツでは、パズル要素を含むミッション目標もあります。ただ、同じミッション内で発生するミッション目標自体は固定です。

───パズル要素というのは、いわゆるレイドのような、他プレイヤーと協力して解いていく類のものも含まれるのでしょうか。

Therien氏:
はい、レイドに近いコンテンツがあり、他のプレイヤーと協力して攻略していくような複雑なメカニックが含まれます。詳細については後日発表する予定です。

───ミッションクリア時にミッションスコアが表示されますが、こちらはミッション報酬に影響するのでしょうか。

Therien氏:
ミッションスコアは文字どおりミッションをどれだけうまくプレイできたかを示す、ひとつの指標です。ミッション中に戦術意識(PS4版であれば十字キー上)を使うと、ミッションスコアに関わるチャレンジの内容が表示されます。そしてミッションスコアが高ければ高いほど、ミッション報酬の質も上がるという仕様になっています。

マッチメイクと難易度スケーリング


───マッチメイキングの仕組みについて質問です。ミッションごとに推奨のパワーレベルが定められていますが、あえて自分よりもパワーレベルが高いミッションに入ることもできるかと思われます。他のプレイヤーに引っ張ってもらう目的で、低パワーのままパワーレベルの高いミッションでマッチメイクするといったことも、できてしまうのでしょうか。

Therien氏:
多くのマッチメイキング機能のように、まずはパワーレベルが近く、同じミッション、同じ難易度で遊びたがっているプレイヤー同士で優先してマッチングするように相手を探します。見つからない場合は検索範囲が広がっていきますが、マッチングが成立するレベル差には制限があり、レベルがあまりにかけ離れたプレイヤー同士はマッチングしません。

なお自分よりもパワーレベルが低いプレイヤーとマッチした場合、(パワースケーリングの影響で)戦闘は少し簡単になるかもしれませんが、入手する報酬は各プレイヤーのレベルに適した内容になります。そのため、低レベルのプレイヤーと遊ぶデメリットはありません。

自分よりもレベルが低いプレイヤーとマッチングした際は、あえてレベルの低いヒーローで遊んでみるのも、ひとつの手かもしれません。というのも、ソロで遊ぶ際には自分が育てたヒーローがコンパニオンAIとして同行するため、複数のヒーローのレベルを上げておけば、ソロで遊ぶ際のコンパニオンAIが強くなるからです。エンドゲームコンテンツには、高レベルのヒーローたちが必要となるものも含まれています。

───人間操作のヒーローの数によって、難易度はどれくらいスケーリングされるのでしょうか。

Therien氏:
戦闘の難易度は、ソロプレイでもマルチプレイでも変わりません。なおミッション難易度を任意で上げるオプションがあり、それによって難易度を上げれば、得られる報酬も良くなります。

不具合とバランスについて


───コンパニオンAIが地形にスタックしたり、アイアンマンが上空に残っている敵を攻撃しなかったりと、うまく動いてくれない場合がありました。そうした点について、どのような調整を考えているのでしょうか。

Therien氏:
飛行、ジャンプ、グラップリングと、キャラクターがさまざまな手段で動き回るエコシステムというのはとても複雑でして、AIについては絶賛調整中です。ローンチまでにそういった不具合を修正していきたいと思っています。なおコンパニオンAIから一定の距離を置けば、プレイヤーのもとにテレポートするため、ずっと地形にスタックしたままという状態には陥らないようにしています。

───ベータテストで難しめのミッションをプレイしていて、敵の遠距離攻撃がかなり強いという印象を受けました。遠距離攻撃を仕掛けてくる敵への対処に戦闘の比重が寄っていると感じたのですが、今後フィードバックを受けて調整していくのか、プレイヤーによる役割分担を意識した攻略を求めているのか、どちらになりますでしょうか。

Therien氏:
バランス調整にあたっては、データを収集・分析した上で判断を下しておりまして、ベータテストの参加者が増えていく中で、各アビリティの有用性を見ていきたいと考えています。

敵の遠距離攻撃が強いと感じるという件につきましては、ゲームのチューニングであったり、プレイヤーのギアやプレイスタイルであったりと、さまざまな要因が考えられます。ヒーローによって遠距離攻撃の対処方法が異なり、たとえばブラック・ウィドウのような機動力の高いヒーローは、回避アクションによって遠距離攻撃を避けやすくなっています。また遠距離攻撃をうまく回避することでバフ効果が得られるパークもあります。アイアンマンであれば、エナジーシールドを展開することで、遠距離攻撃を防ぎながら他の敵と戦うことができます。そうした対処方法を用意していますが、プレイデータを集め、必要が生じればバランスを調整する可能性もあります。

ボス戦特化ミッションや期間限定イベント


───ウォーゾーン・ミッションではウォーボットという兵器と戦うボス戦があります。製品版ではそうしたボス戦に特化したミッションはあるのでしょうか。ある場合、巨大兵器だけでなく、キャンペーンミッションに出てくるヴィランとも戦えるのでしょうか。

Therien氏:
はい、ボス戦に特化したミッションもございます。ベータテストに出てくる巨大兵器のほか、ヴィランも登場します。タスクマスターやアボミネーションとの戦いも、終わったわけではありません。あまり詳しくは言及できないのですが、ウォーゾーン・ミッションでのボス戦は、それ以前に遭遇した際のボス戦とは一味違います。

───期間限定イベントの開催予定はありますでしょうか。また、そうしたイベント時にしか手に入らないギアが出てくる可能性はありますでしょうか。

Therien氏:
はい、シーズンイベントだけでなく、ストーリー要素を含んだ時間限定イベントも予定しています。詳細については後日の発表となります。また本作はローンチ後にコンテンツを追加したり、変更を加えたりしやすい設計になっておりまして、デイリー/ウィークリー/マンスリーと、いろんな単位のイベントを開催しながら運営することを計画しています。

なぜ主人公はカマラ・カーンなのか


───ベータテストでは、主人公のカマラ・カーンがマーベル作品の著名キャラクターの姿や、アベンジャーズとゆかりのあるアイテムを見て興奮する姿が印象的でした。物語をカマラの視点から描くのには、そうしたアベンジャーズのファンというカマラの設定と、アベンジャーズのファンが多いであろうプレイヤーの感情をリンクさせるといった狙いもあるのでしょうか。

Escayg氏:
おっしゃるとおりカマラ自身がアベンジャーズのファンであり、現実のアベンジャーズファンのように、憧れの存在、自分にとってのアイドルとしてアベンジャーズを見ているため、プレイヤーとキャラクターのつながりを、より強く引き出せると考えています。そんな憧れの対象であるアベンジャーズにも欠点があることを知り、かつそうした欠点がありながらも共に成長していくのが本作の醍醐味であります。

もう一点、カマラはモードックと同じく、A-Dayの悲劇で起きたテリジェン・リアクターの爆発から影響を受けたキャラクターでもあります。テリジェンにより能力を得たカマラと、同じくテリジェンの影響でモードックというヴィランに変貌したジョージ・タールトン。ひとつのきっかけから異なる道を歩むことになるという、表裏一体の関係、ストーリーの中でのコントラストを描くという意味でも、カマラを主人公にしています。

───ベータテストで、カマラ・カーンが作ったファンフィクションをカマラ自身が読み上げる音声ログを発見しました。製品版では、どこまでそのファンフィクションの話が収録されているのでしょうか。またオーディオログだけでなくコミック化されたファンフィクションも読めるようになるのでしょうか。

Escayg氏:
コミックを含むカマラのファンフィクションは、収集アイテムの一種としてキャンペーン中に手に入るものです。音声ログは全部で10個あり、それとは別のコミックに関しては、具体的にどのような形で出てくるのかはプレイしてからのお楽しみとなります。

───ハブエリアとなるヘリキャリアには「ここはアイアンマンの部屋だな」「ここはソーの部屋だな」と分かりワクワクする要素がありました。ストーリーを進めていく中で、アベンジャーズとの特別な会話であったり、ちょっとしたイベントであったりを楽しめるようになっているのでしょうか。

Escayg氏:
アベンジャーズの再結と成長という本作のテーマに付随して、ヘリキャリアに関しても、復旧するにつれていろんな要素が増えていきます。序盤で放棄された状態のヘリキャリアを見つけるところから始まり、ストーリーを進めてSHIELDメンバーやヒーローを集めることで、徐々に拠点として発展していきます。そうした進行にあわせて内装が変わるだけでなく、ベンダーが店を開き、ミッション提供者が増え、ヘリキャリアの様子は変化していきます。またミッションを進めるにつれて、ヒーローの部屋に限らず、ラボであったりヘリキャリア内の新しいエリアにもアクセスできるようになります。

参戦予定のスパイダーマンは、本作オリジナルのバージョン

───発売後に実装されるホークアイやスパイダーマンについて、現時点で言える範囲でお教えください。

Escayg氏:
ホークアイ/クリント・バートンが出てくる作品の名場面などから影響を受けた、オリジナルストーリーが展開されます。他のヒーローと同じく、ホークアイの物語は、ゲームの物語全体を先へ進める役割を果たすようにもなっています。もちろん、ホークアイの特徴的な武器であるテックボウやトリックアローを使い、ソロもしくはマルチプレイでミッションを遊べます。スパイダーマンについては、本作オリジナルの、私たちのバージョンのスパイダーマンとして、物語に組み込まれていきます。

───ベータテストでプレイヤーに注目してほしい、楽しんでほしい一押しポイントを教えてください。

Escayg氏:
ベータテストを実施し、プレイヤーの皆様にハンズオン体験を届けられることを楽しみにしています。ベータテストは、製品版に向けた調整・改善だけでなく、私たちがゲームをどう調整していくのか、プレイヤーとどうコミュニケーションを取っていくのか、最良のゲームを作るための土台を作る機会でもあります。またプレイヤーには、アベンジャーズひとりひとりの能力や強み、使用法などを含め、ゲームを総合的に体験してもらい、皆様ならではの遊び方を見つけていってほしいと考えています。ベータテストはあくまでも始発点であり、そこからフィードバックをいただき、コミュニティの声を聞きつつ、どんどんゲームを作り上げていく次第です。

Therien氏:
プレイヤーの皆様と一緒に遊べることを楽しみにしています。このように長年携わってきたゲームに対する反応を見聞きできるようになるというのは、とてもエキサイティングなことです。プレイヤーが生み出すであろうクレイジーなヒーローのビルドや、プレイヤーによる思いもよらぬ発見などを楽しみにしています。

───ありがとうございました。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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