『スカイリム』などでModを作るクリエイター「ひげよし」「tktk」氏対談。Modはいかにして作られるのか?

『The Elder Scrolls V: Skyrim(スカイリム)』や『Fallout 4』といったベセスダ・ソフトワークスタイトルにて50以上のMod作品をリリースしてきたクリエイターを迎えて、Modのいろはをお聞きする企画の中編。前編の好評を踏まえて、さらなるMod制作の背景を直撃すべく、中編はひげよし氏に加えて『スカイリム』にて数多くのModをリリースしてきたtktk氏に急遽参加していただき、対談形式でModの作り方について語ってもらう。

『The Elder Scrolls V: Skyrim(スカイリム)』や『Fallout 4』といったベセスダ・ソフトワークスタイトルにて50以上のMod作品をリリースしてきたクリエイターを迎えて、Modのいろはをお聞きする企画の中編。前編はひげよし氏を迎え、Modクリエイターとしての経歴やこだわりを語ってもらった。前編の好評を踏まえてさらなるMod制作の背景を掘り下げるべく、中編はひげよし氏に加えて『スカイリム』にて数多くのModをリリースしてきたtktk氏に急遽参加していただき、対談形式でModの作り方について語ってもらう。

――本日はお時間をいただきありがとうございます。tktkさん、ご参加ありがとうございます。あらためてお二方とも自己紹介、そして自身の代表作だと思っているModをあげていただけますか。

ひげよし氏:
ひげよしです。Mod作りは『オブリビオン』から始めて、10年ほどになります。いままでBethesdaのゲームを中心に50以上のModを作ってきました。代表作は前編で紹介した、ドッグミートの可搬重量を増加させるバックパックを追加する「Dogmeat’s Backpack」ともうひとつは話題にもなったポプテピピックのヘルメットを追加する「Pop Team Epic Helmet」ですね。

前回に引き続き登場していただく、ひげよし氏 @HIGEYOSI360 。最近までハマっていたのは『モンスターハンター:ワールド』で、現在は『ワンダと巨像』や『アサシン クリード オリジンズ』を楽しむ

tktk氏:
tktk(テケテケ)です。Mod作りは『スカイリム』から始めました。この間、作ったModの総ダウンロード数が1000万に達しました。ユーザーの皆さんありがとうございます。代表作は、キャラクターの造形をよりしやすくなるEnhanced Character Editと『スカイリム』の戦闘を奥深くするUltimate Combatですね。

――前回ひげよしさんにはMod制作のきっかけについて教えてもらいました(前編リンク)。tktkさんのModを作り始めたきっかけについても教えていただけますか。

tktk氏:
元々はPC向けのレースゲーム『Midtown Madness』で車の色を変える改造して遊んでたり、『Age of Empires』でマップやシナリオを作ったりしてました。一般に配布したことはなかったですが。

それで同じような遊びを『スカイリム』でもしていたわけです。配布のきっかけになったのは、とある薄顔テクスチャModが別ゲームからのぶっこ抜きなんじゃないかという疑惑がありました。そうしたものを気にせず気持ちよく遊びたいと思ったのがMod開発のきっかけです。当時は薄顔テクスチャModがそれ以外にはなかったので、「パンがなければつくればいいじゃない」の精神で、自分で作ることにしました。

中編より無理を言って参戦していただいたtktk氏 @tktk_1。最近遊んだ『アサシンクリード4 ブラック フラッグ』では敵船に突撃しまわってたとか。現在は『OneShot』をプレイ中

ひげよし氏:
それらも必要に迫られて作ったという感じでしたよね。

tktk氏:
そうなんです。使うなと言っても逆効果で、みんなやっているから自分もいいよねという心理が働く可能性がありました。だったら、代替できる作品が必要だと思ったんです。

それでできたのが「Pretty Face」です。顔テクスチャなんて描いたことありませんでしたし、出来が良くなくて、海外の率直な意見に落ち込むこともありました。それ以上に励ましてくれたり人が多くて嬉しかったです。

――一石を投じる意図があったんですね。

tktk氏:
そうです。「いっちょやってみっか」ぐらいのノリですけどね。でも、いざ作ってみるとゲーム画面に自分が作ったものが反映されることが楽しい、だから作ろうというのが動機になっていきました。あとはレベルアップする楽しさですね。昨日より1ピクセル良いものが作れれば、それで楽しい。

ひげよし氏:
いいものができると自分で自分を誉めたくなりますね。

tktk氏:
うんうん。それと作ったものが喜んでもらえているので、もっといいもの作ろうという気になりますし、いい循環になっています。飽き性なんですが、珍しく長く続いてる趣味です。

――ひげよしさんは、本職がデザインではあるものの、モデリングなどは素人だったとおっしゃっていましたよね。tktkさんはいかがですか。

tktk氏:
いや、してないですね。デザイン関係はちょっとバイトや手伝いしてましたが。モデリングはMetasequoiaに挑戦して挫折しましたし、ほとんど未経験です。ゲーム作るにせよ、絵を描くにせよ、みんな最初は初心者です。Modderは、ひげよしさんも含めて、元々作るのが好きな人が多い印象がありますね。プラモデルで作ったり、レゴで作っていたりしたのがたまたまMod作りになっただけで。

ひげよし氏:
ねんど遊びから始まって、プラモデル、レゴ、どれも子どもの時から好きですね。作るのは楽しい。

tktk⽒が⼿がけている、顔⽴ちを薄くする「Pretty Face」の制作画像。現在、新しいバージョンを準備中だ

Mod作りは、調整に時間がかかる

――作る過程を楽しめることが重要なんですね。それでは実際に制作する流れについてうかがいます。おふたりのMod制作の流れを教えていただけますか。

ひげよし氏:
参考資料集め→モデリング(メッシュ制作)→テクスチャ制作→(あればスクリプト)→実装→チェック→修正→公開という感じですね。

tktk氏:
私はアイディアが浮かんだら、まず資料集めですね。モデリングなら参考になる写真集め、アニメーション(モーション)なら動画集め。自分で動かしてみて必要があれば動画を撮ります。スクリプトをやるなら関数やイベントの一覧を見て、どうやって実装するかを練ります。

――そうした流れでModを作るとして、ひとつの作品を完成させるには平均してどのくらい時間がかかりますか。

tktk氏:
本当に物によりますが、三か月ぐらいです。

――ちなみにこれまでの作品でもっとも労力もしくは時間を費やしたものは何になりましたか。

tktk氏:
回避モーションを追加する「TK Dodge」が2年、前述の「Ultimate Combat」が1年ほどかかりました。このふたつは領域が似ているので実際は平行して作業して中断をはさみつつ、大体同じぐらいの期間かかりましたね。リグを作るところから始めて、コンバートするスクリプトの書き直し、アニメーション(AI)制御しているHavok Behaviorの解析に半分ぐらいは費やしました。あとはアニメーションの作り直しを繰り返していましたね。

ひげよし氏:
銃Modの「.44 AUTOMAG」を作るのにも2か月くらいかかりましたし、モデリングから作っていると3〜4か月くらいはかかるだろうなぁと思います。さすがに年単位は気力が続かないですね(笑)。

――Modの制作のプロセスにおいて、時間をかけている部分はどこになりますか。

ひげよし氏:
動作テストとそれに伴う調整が一番地味で時間かかりますね。モデリングとテクスチャは慣れているのでそれほど時間はかからないのですが、実際にゲーム内で確認後にモデルを調整したり、作り直したり、色合いをやや修正したり…モデルやテクスチャはツール内と、実際のゲーム内での見え方が違ったりするものですから。

tktk氏:
私も同じくそうです。実ゲームでの動作テストと修正ばかりやってます。8割がた完成しているように見えても、そこからさらに詰めるのにもっと時間がかかります。

ひげよし氏に提供していただいた、「Pop Team Epic Helmet」の制作画面

ひげよし氏:
tktkさんは特にシステムに関わる部分を作っているので、なおさらテストに時間かかりそうですね。スクリプト系は思わぬ動きしたり、一見ちゃんと出来ているように見えても不具合あったりしますし…。

tktk氏:
『スカイリム』の起動回数ならトップレベルなんじゃないですかね(笑)。『スカイリム』はロゴのスキップが設定でできて、起動が早いのが助かります。Mod制作には大事なポイント。

ひげよし氏:
すぐ確認できるの、大事。(Creation Kitの)HotLoadPluginは使ってないですか?

tktk氏:
あれはすぐクラッシュするので使ってません。メッシュはQuick Lightにつけてトグルすることで確認してます。メッシュやテクスチャはnifskope2.0のおかげでだいぶ確認が楽になりました。かなりゲーム内の見た目に近いので。

――そうしたModを作る上では手放せないツールやプラグインについて、もう少し教えていただけますか。

ひげよし氏:
まずモデリングのBlenderは手放せないですね。テクスチャは、最初はPhotoshopを使っていましたが、今はSubstance Painterがメインです。テクスチャはもうコレなしでは作れないくらいになりました。あとは『スカイリム』や『Fallout 4』で使えるように調整するNifSkopeは必須ですね。Bethesdaが配布しているCreation Kitはもちろん使うんですが、ユーザーメイドのクリーニングツール「TES5Edit」「FO4Edit」は起動も速く、数値を手直しするには便利なので活用しています。『Fallout 4』だと衣類等のウエイト設定がBlenderからでは利用できないので、メッシュ編集ツール「Outfit Studio」で主にウエイトの設定をしています。

tktk氏:
モデリングもアニメーションもBlenderですね。使いやすいし、変換プラグインもある程度揃っていますし。テクスチャは、メインはPhotoshopでSubstance Painterに移行しつつあります。同じく調整にはNifSkope2.0が欠かせません。翻訳や多言語の対応にxTranslatorという翻訳ツール、Havokの解析やアニメーション変換にhkxcmdは必須です。スクリプトはSublime Text 3、イベントの実装ではCreation Kitですね。あと、SKSEプラグインの作成にVisual Studio 2015を使ってます。

――ではモデリングについて聞かせてください。モデリングはいちから作られますか?ひとつベースのものを作り流用しますか。作業にはどの程度の時間をかけますか。

ひげよし氏:
以前つくったものから流用することはほとんど無いですね。丸や四角などの、あらかじめBlenderに用意されているモデルを切ったり伸ばしたりしながら作ったり、モデルの断面を考えて平面上から伸ばしながら立体化して作っていきます。所要時間はピンキリなので答え辛いですが、6時間〜2じゃ月といったところです。6時間はポプテピピックModのモデルで、2か月は全身鎧のモデリングにかかった時間です。

気をつけている点は、複雑なモデルになるとゲーム内での動作が重くなるので、なるべくゲーム内の同じモデルと同程度のポリゴン数を目指して簡略化していくことですね。ヘルメットならゲーム内のヘルメットを参考に、ポリゴン数が3000くらいなので3000〜5000くらい…などです。

tktk氏:
ひげよしさんは、UV展開とウエイトペイント(がある場合)はどのタイミングで手をつけますか?

ひげよし氏:
モデリング後にUV展開してテクスチャまで作って、そこからウエイトペイントですね。ウエイト次第では、モデリングとUV展開からテクスチャまで全部作り直しになったりするので、本当はUV展開作成後に、仮テクスチャでウエイトペイントしてゲーム内で確認してから、本格的にテクスチャを作った方がやりやすいと思います。まあ…せっかちなのですぐにでもテクスチャ作りたいんですよね。

tktk氏:
わかる…。

ひげよし氏:
テクスチャ作ってる時が一番楽しかったりします。で、動かしてみて不具合見付けちゃって、結局作り直しとかよくありますよ。「次からは仮で動かしてから…」と思っても結局同じフローになっちゃったりします。

tktk氏:
スケルタルモデル(ボーンが入ってるモデル)とそうでないモデルがあって、スケルタルモデルの場合はボーンに追従して動く設定が必要なので、ウエイトペイント(スキニング)別途必要です。たとえば、本体の人が動く防具やオリジナルのクリーチャー作ったりするのもそうですね。

ひげよし氏:
ヘルメットだと頭にだけ追随すればいいんですが、全身となると「腕」「腰」「足」「指」と細かく設定しないといけないので大変。

tktk氏:
Mod制作の流れとしては、基本は資料集め→モデリング→UV展開→テクスチャ→実装→修正→公開です。ものによっては、ウエイトペイントがテクスチャの前か、あとに入ります。頭でイメージできてないと全く進まないので、「資料集め」がとくに大事な工程です。

ひげよし氏:
一方向から見る絵と違って、360度どんな構造をしているかちゃんと知らないと作れないですからね…。ポプテピピックだと、顔の資料はいくらでも出てくるんですが、後頭部がほとんどないんです。でもプレイヤーが一番見るのは後頭部なんですよね。真横からの作画もほとんど無いので、ポプ子のおさげが頭のどれくらいの位置にあるのか、どれくらいの角度なのか、それを知らないと作りようがなかったりします。あとはもう想像で補うか、作り手の解釈次第になります。

ちなみにポプテピピックの場合は、ねんどろいど化されていたので立体化はまだ楽でした。一度立体化されているとモデリングしやすいんですが、頬の膨らみ具合とか鼻の表現など、紙面だけのキャラクターだと立体化するのがすごく難しいですね。

tktk氏:
自分なりに解釈が必要な部分は面白さでもあり、難しさでもありますね。

ひげよし氏:
以前、『スカイリム』で「江戸時代の日本家屋」を作ろうとしたのですが、畳や柱、障子などの写真はあっても、上を見上げた時の天井や2階の床の画像ってほとんど無かったんですよね。それで、たまたま東京行った時に資料館で膨大に写真を撮って資料にしたりしました。結局作るまでには至らなかったのですが…いつか役に立つかも(笑)。

ひげよし氏の手がけたMod「Wall Oil Lamps」。こうした内装を少し豊かにするアクセントのようなModも制作

ーーでは、tktkさんが力を入れられている、アニメーションの制作工程はどうですか。

tktk氏:
アニメーションのワークフローは、資料集め→アニメーション制作→実装→修正→公開です。これも資料集めの段階でイメージできてないと行き詰まります。

――完全に独立した作業なんですね。

tktk氏:
アニメーションの制作では、基本のやり方は3つあります。

ひとつはポーズトゥポーズと呼ばれるもので、最初にキーポーズと呼ばれる部分を作って、そのキーポーズの間の部分を作りこんでいくやりかたです。アニメ制作と似ていて、キーポーズが原画、キーポーズの間が動画です。たとえば、パンチのモーションだったら、最初の待機モーション、タメの予備動作、パンチがヒットしたとき、待機モーションに戻る。最初と最後はコピーでいいので、最低3つのキーポーズがあれば作れます。

まずはこのやり方が作りやすいですね。キーポーズさえ作れてしまえば、あとは間の補完部分はある程度は自動で補完してくれます。つまり、ポーズさえ作れれば、出来はともかくモーションも作れます。

もうひとつが、ストレートアヘッドと呼ばれる手法で、簡単に言えばクレイアニメのコマ撮りです。最初から一フレームずつポーズを変えて、作っていくやり方です。短いモーションは作りやすいんですけど、あとから修正するのが大変です。

最後はレイヤードという手法です。腰なら腰でパーツごとに動きとタイミングを最後まで作ります。修正が楽なんですけど、グラフの全体像を把握してないと難しいのでちょっと上級者向けですね。

題材や人によって向き不向きがあるので色々試してみてください。いずれにしても、デジタルとはいえ、手作業で地道に作っています。

先ほどのtktk氏による作画を繋げたもの。基本は2Dも3Dも変わらない

――ちなみにtktkさんが一番アニメーションでこだわった作品について教えていただけますか。

tktk氏:
レスポンスや使用感のよさにもこだわってる「TK Dodge」ですね。
予備動作の部分のリアリティを失わない程度までギリギリまで詰めて出を早くしてます。きっちり避けた感じを出したり、リズムを良くしたりするため、飛び込んでる最中を長めにしたりしてます。

――アニメーションはどのように学習されましたか。

独学です。ありがたいことにプロのCGアニメーターが動画なりSNSなりで積極的に解説してくれているので参考にしてます。作成には実際に自分で動いてみたり、現実の人がやってる動きや、ゲームやアニメ問わず、観察していますね。

*tktk氏がこだわったという「TK Dodge」のアニメーション

――モデリング・アニメーションをお聞きしたので、テクスチャについて聞かせてください。おふたかたともに、Photoshopを使用してテクスチャを調整されていますか。

ひげよし氏:
当初はPhotoshopを使って、テクスチャ素材の画像を切り貼りして作っていましたが、今は最後の仕上げや調整、画像形式の変換に使っています。『スカイリム』の場合は作ったテクスチャをそのまま使用すると、ゲーム内で明るくなりすぎるので、Photoshopで暗く調整したりしますね。

tktk氏:
Photoshopを使っていますね。フリーの画像編集ソフトであるGimpで代用できないこともないんですが、調整レイヤーという機能があるので、非破壊で調整できますし、チャンネル(透過やスペキュラーマップ仕込んだりするのに使う)がいじりやすいです。

――ほかの使われているツールはありますか。

tktk氏:
Paint.netはdds形式の書き出しがきれいなので、たまに使いますし、おすすめです。

――tktkさんのModはスクリプトと密接しているものが多い印象ですが、スクリプトはどのように学ばれましたか。

tktk氏:
公式のwikiにスクリプトのチュートリアルがあるのでまずはそれをやりました。日本語訳もあるので始めやすいと思います。スクリプトは実装の手段でしかないので、目的によってやることがかなり変わってしまうんですよね。あとは詳しそうな人に聞いて覚えました。

ひげよし氏:
私の場合は、当時は2chでもMod開発は活発でしたので、そこで質問してだいぶ手助けしてもらいました。2chは荒らしなどがありだんだんと避けるようになったのですが、ツイッターが出てきていたので、自然とそこに活動を移した感じです。私が知っているModder達もツイッターやブログで情報交換している印象を受けます。。最近DiscordでModコミュニティができたので、そこが盛り上がっていますね。

tktk氏:
私も最初は2chで聞きましたよ。あとは個人ブログで解説を書いてる方に聞きました。今ほどツイッターも盛んではなかったですし。

自分でやってみて、それから人に聞く

――Discordコミュニティの中に入っていって質問してもよいのでしょうか。

tktk氏:
私が管理人なんですが、初心者の方でも歓迎します。具体的にどこまで試行錯誤して、どこでつまずいているかを書いてあると回答が返ってきやすいと思います。

スカイリムmodコミュニティ、Discordチャンネルの風景

――当時から参考にしているサイトなどはありましたか。

ひげよし氏:
参考になる個人サイトは多くありますし、ベセスダ公式でもきちんと参考になる情報がまとめて用意されているので、作りやすかったです。あとは実際に作り始めて、壁の越え方を人に聞くのが一番だと思います。やる前だと何が問題なのかわからなかったりしますし、やっぱり実際に手を動かして作ってみないことには。

tktk氏:
ですね。ときには人に頼ることも必要です。やりたいことが明確で、きちんと試行錯誤の形跡が感じられれば助けてくれると思います。

――ベテランになりつつあるお二方にお聞きしたいのですが、Modを作りたいと思っている方にアドバイスはありますか。手順やツールなどなんでも結構です。

tktk氏:
初心者の方には、ゲーム内に反映される楽しさを知ってもらいたいので、まずはポーズ作成をおすすめします。工程が少ないですし、Blenderの操作に慣れるのにも向いてます。BlenderとAnimation Tools N3 Rig Customがあれば作成できます。自作ポーズが作れればスクリーンショットの撮影をより楽しめますし、アニメーションも作れるようになります。

ひげよし氏:
自分でゲームをしながら気になった部分を「どうすれば自分好みにしたいか」って考えるだけでも第一歩ですね。ツールとしてはCreation Kitだけでも相当の事ができます。たとえば「リンゴの価格があれなのに家の価格が安すぎないか?」とか「馬車の料金はもうちょっと高くてもいいな」などのちょっとした数値調整や、特定の人物しか着ていないユニークな衣装を自分でも着られるようにするなど。

おすすめはリテクスチャですね。色を変えるだけでも雰囲気はがらりと変わりますし、なにより「自分でいじったものがゲーム内で見られる!」というのは楽しいですよ。ペイントソフトがあれば出来るので、まずは色だけでも変えてみるというのはおすすめです。それから、数字を調整するのも地味ですが立派なModです。銃弾の入手数を多くしたり、逆にサバイバル寄りに少なくしたり…。私はスカイリムで馬車の利用料金を高めに設定して遊んでいました。そういった風に「より自分好み」にゲームを変えていけるのがModの楽しさですね。スクリーンショットを撮るのが楽しいならポーズ作るのはうってつけです。

――ひげよしさんからシステム面でのおすすめをされ、tktkさんがポーズ制作方向でのおすすめをされるのは少し意外でした(笑)。

ひげよし氏:
作る大変さを知っているからですかね(笑)。モデリングをやるなら、いきなり防具や衣装を作らないで、練習のつもりで武器から作るといいですよ。ナイフや剣などであれば複雑な設定がいらないので作りやすいですし、自分の成果物をすぐゲーム内で確認できるのがいいです。どちらにせよ「Modを作るためにModを作る」よりは「自分がほしいものを作る」から「どうやって作るか」を調べていく方がモチベーションが上がると思います。

*ひげよし氏も愛用する、tktk氏が制作したヒットストップを追加するMod「TK HitStop

tktk氏:
あとはモチベーションがとにかく大事になるので、始めやすそうなところから始めてみることですね。最初から計画が壮大すぎると挫折します。

ひげよし氏:
やる前の構想段階だと「できらぁ!」となるんですけど、実際作り始めると結構大変。まずはほんと小さい所からやるのが一番です。

tktk氏:
ですね。それとスクリプト関係が絡むと制約も多いので、最初の目的からスケールダウンしたり、アプローチを変えるといった柔軟性が必要になってきます。

ひげよし氏:
一度作り始めるとゲームそっちのけになるので、ちゃんと遊んでからの方がいいですよ(笑)。

tktk氏:
ここ直したいという気持ちから始まるので、そういう意味でもまず遊んでみるのがいいと思います。

 

 

後編に続く

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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