HAL×PLAYISMプロジェクト学生作品 vs GGeo UnFreeMan

HAL×PLAYISM vs GGeo、こちらの記事から引き続き UnFreeMan による講評です。


謝辞

 

まず、このような試みにお誘いいただいた学校法人・専門学校HALおよびPLAYISMの関係者各位に感謝したい。これに対する私なりの恩返しはなんだろうかと考えたが、プレイさせていただいた全タイトルに対して何らかの感想を用意し、本課題に取り組まれた方々の糧としていただけるようにすることが最良ではないかという結論に至った。

まず本稿ではそのなかから、私が特に高く評価する4つのタイトルについて、その紹介と講評を行いたい。


ラクガキ忍者

 

タイトル画面
タイトル画面

 

■概要

紙に書いた落書きのようなキャラと、学校の教室をステージに見立てたコンセプトが特徴の横スクロールアクションゲーム。プレイヤーは主人公の黒い忍者を操作し、敵の忍者の妨害を刀で斬り、足場を2段ジャンプで渡りながらゴールを目指してゆく。

 

駆けろ!
駆けろ!

 

■講評

スクリーンショットを見ていただければお分かりかと思うが、アートデザインの完成度は随一。ラクガキというコンセプトのもとで丁寧に書き込まれたキャラが丁寧に動き回り、観ていて飽きない。

足場は学習机や積み上げられた椅子、浮遊足場は消しゴム、地形トラップは削りたての鉛筆というように「授業中に書いたラクガキが皆の見てないところで暴れている」というような背景を感じる事が出来て素晴らしい。

 

ホチキスのジャンプ台。
ホチキスのジャンプ台。

 

横スクロールアクションとしてはどうかと言うと、1ステージあたりが長めの構成であるのに対して主人公の移動速度が遅く、ゆったりしたテンポで進行するので間延びした印象すら受ける。

せっかく主人公が忍者なのだから、もう少しゲームスピードは速くても良いのではないかと思う。三角飛びアクションも活きる場面があまり見受けられないので、もう少し忍者という設定を利用したステージ構成が欲しい。ほのぼのしたキャラデザインとあわせてテンポは控えめになっているのかもとも思うが、ダッシュが遅く感じられてしまう事も確か。

ジャンプ後の空中制御やジャンプ下突きで跳ね返った直後の挙動など、ちょっと動きに首をかしげる部分も多いので「動かしてて気持ちいい」ところまでは至っていない。このあたりは是非もう一工夫してほしい。

デザインはすごくよく出来ていると思うので、だからこそアクションゲームとしての出来をもう少し突き詰めてほしい。グラフィックだけのゲームで終わるにはもったいない。

 


Reflection

 

タイトル画面
タイトル画面

 

■紹介

画面内のタイルをすべて消す事を目的とした、アクション性のない思考型パズルゲーム。プレイヤーにできる事はタイルの中にミラーを置くことと、画面下から上に向かってレーザーを撃つ事のみ。

タイルに置いたミラーにはタイルと同じ色がつき、レーザーは当たったミラーの色が反映されるという特性を持っている。色がついたレーザーが他の色のタイルを通過すると、その組み合わせに応じた色変化が起こるようになっているので、反射と色変化を繰り返してタイルの色をそろえ、最終的に全てのタイルが消えればステージクリアだ。

 

ミラーを置く
ミラーを置く

 

レーザー撃つ。緑タイルが揃って消え、上の赤タイルが落ちてきて消える。
レーザー撃つ。緑タイルが揃って消え、上の赤タイルが落ちてきて消える。

 

■講評

口で説明するとなかなか複雑なルールだが、遊んでみても実際複雑である。なにより難易度が高く、私などは4面あたりから既にウンウン唸りながら回答を考えていた。

パズルゲームの出来はルールの出来と直結するが、複雑さはさておきルールそのものはしっかりまとまっており、その点においては粗はあまり感じられない。レーザーの色とタイルの変化前後の色の相関関係がわかりづらい程度か。

あえてルールに付け加えるとすれば、クリアまでの手数を明示することだろうか。今のこのゲームは使用できるミラーの枚数がステージごとに決まっており、これが配置のヒントにもなっているのだが、レーザーを撃てる回数に制限が無い。

つまり「一度レーザーを撃ってミラーを再配置してまた撃つ」ということができてしまうのだが、このせいでプレイヤーが検討すべきパターンが膨らみ過ぎているように思う。クリア不可能になっているにもかかわらず有る程度タイルを消し続ける事が可能なため、どこで間違えたか、今手づまりになっているかどうかが判断できないのだ。

 

鏡9枚! ちなみに写真の配置は不正解です。
鏡9枚!

ちなみに写真の配置は不正解です。

 

いかんせん解けない私の泣きごとと言えばそれまでの話なのだが、難易度の高さが若干、理不尽の水位にタッチしているように思う。解き方によって手数に差が生じるようなゲームには思えないので、手数は明示しても良いのではないだろうか。

ルール以外で言うと、少なくとも操作性とUIは改良必須。同じ問題に対して思考錯誤を繰り返すタイプのゲームなので、少なくとも「ミラーの配置や回収」「リトライ操作」でプレイヤーにストレスを感じさせてはいけない。一例をあげると、ミラーの配置操作が直感的でなく、かなりストレスがたまる。操作方法を知らない人が短時間で飲み込める操作方法を検討していただきたい。

パズルに重要なルールについてはほぼ完成しているように感じるので、あとはパズル「ゲーム」としての形を整える方向に磨きこんで欲しい。

 


NINJUSTICE

 

タイトル画面
タイトル画面

 

■紹介

NINJUSTICEとなって、UFOで地球の施設を持ち去ろうとする宇宙人と死闘を繰り広げるアクションゲーム。宇宙人に襲撃された施設を守り、謝礼を稼いで持ち去られた施設を復元してボスを召喚、倒すと地球上の新たなエリアが解放される。

バトルはエンカウント固定画面方式であり、左クリックのダッシュ斬りと右クリックの手裏剣投擲を基本アクションとして、なみいる宇宙人と渡り合う。

 

叩き斬れ!
叩き斬れ!

 

■講評

1つのパッケージとしての完成度は群を抜いており、提出されたゲームの中では最も「商品」に近いと言える内容ではないだろうか。

ゲーム進行のルールやバトル時の立ち回り等、簡略化しつつリスクとリターンがはっきりと目に見えるように気を使われているように感じられ、あまり隙が感じられない。

 

チュートリアル完備。
チュートリアル完備。

 

とくにバトル中の要素は計算が感じられて感服した。通常攻撃のダッシュ切りは強力だが、この手のモーションにありがちな無敵が無いので敵の攻撃をすり抜ける事は出来ない。またダッシュ斬りにスタミナというコストを必要とし、スタミナ枯渇時のペナルティを重めにすることで「大味なクリックゲー」にはしないようにしよう考えが読み取れる。

2度目以降の決められたタイミングでテンポよくダッシュ斬りを出すとスタミナ消費がなくなるというテクニックもあるが、攻撃終了からそのタイミングまでわずかに間があるので、その間に敵の攻撃が刺さるという余地も同時に作っていて唸らされる。

 

ボス戦の一コマ。 このタックルに斬りで突っ込むと負けます。 自キャラの瞬間移動が無敵ではないと印象付けるボス。
ボス戦の一コマ。 このタックルに斬りで突っ込むと負けます。 自キャラの瞬間移動が無敵ではないと印象付けるボス。

 

バトルに限らず総じて無駄な要素というのはあまり見受けられない。全体的なシステムとしてはかなりまとまっているように見受けられ高く評価したい。

一方でこのゲームには大きな欠点が存在する。あまりにも低すぎる難易度だ。序盤のステータスが一番苦しい時期を過ぎ、ジャストダッシュ斬りに有る程度慣れてしまうと、戦闘で負ける要素がほとんどなくなってしまう。理由は雑魚敵が弱すぎるからだ。

連続ダッシュ斬りの爽快感はあるのだが、雑魚がそれをあまりにも妨げてくれないので、ステータスの伸びや操作への慣れに反比例してバトルから緊張感が失われてゆく。そうなってしまうと、次に襲ってくるのは猛烈な飽きである。

手っ取り早く緊張感を維持させるには敵の火力を上げ、攻撃や回避のバランスをプレイヤーに適宜考えさせるようにする事だろう。そうすることで体力強化にお金を使わせる動機も作る事が出来る。ゲーム中何度も繰り返すバトルの難易度について、もっと検討してほしい。

個人的には、ゲーム中盤過ぎから出てくる「手裏剣を当ててからでないと攻撃が通らない」「特定の方向からでないと攻撃が通らない」というようなギミックはもっと早い段階から盛り込んでいくべきではないかと思う。

 

毎度違うバトル勝利時の宇宙人の捨て台詞など、飽きさせないようにする工夫も見受けられはするが。
毎度違うバトル勝利時の宇宙人の捨て台詞など、飽きさせないようにする工夫も見受けられはするが。

 

今は「ゲームが平坦すぎて飽きてしまう」という話をしているが、難易度のさじ加減を間違えると、今度は「ゲームが難しすぎて諦めてしまう」という事態を引き起こす。そこに注意しつつ、無強化で攻略可能なレベルにするのか、エリアごとの適正レベルをどこに設定するか、新しいエリアで何戦するとゲームが楽になるようにするか等、このあたりのバランスを引き締めるとこのゲームは間違いなくもっとずっと面白くなる。

もっとも、このバランス取りこそが近道も正解も無い、ひたすらテストとチューニングを繰り返す一番厳しい工程であることも確かだ。逆に言えば、それを突き詰めるというところまでこのゲームが出来上がっているという事でもある。私はこのゲームの「完成形」を遊んでみたい。

 


DiceRogue

 

■紹介

名前の通りローグタイプのゲームなのだが、プレイヤー、敵キャラともにサイコロになっており、移動もサイコロで行うのが特徴。ターン開始時に「移動距離サイコロ」を振って移動距離を決定するほか、プレイヤーも敵キャラも「自分の出目」によってパラメータに補正がかかるので、できるだけ大きな数字が出目になるように移動を終了するといった変わった立ち回りを要求される。

 

タイトル画面
タイトル画面

 

■講評

アイデアは非常に好き。移動距離サイコロの数値から自分の移動距離から一番大きい出目で止まれる位置と、その時に敵がどの出目で止まるかを計算して立ち回りを考える戦略性は斬新で面白い。

 

白いサイコロがプレイヤー。6の目なので一番強い。
白いサイコロがプレイヤー。6の目なので一番強い。

 

ただ、その面白いアイデアを活かすだけのシステムを組むには至っていない。全般的にプレイヤーが有利過ぎて、死ぬ要素がほとんどない。

私が思うに、一番の原因は「移動距離サイコロの出目を無視出来てしまう」というところだろう。例えば移動距離サイコロで5の目が出た場合、かならず5マス移動しなければいけないわけではなく、5マス以下の移動距離であればどこでも移動を終了してしまえる。それどころか足踏みまで出来てしまう。

これでは最初に6の目になるように移動できてしまえば、あとは敵が片づくまで足踏み放置という戦法が安定してしまう。実際のところ、最初から最後までこれだけで何とかなってしまい、アイテムすら使わずにゲームクリアできてしまった。

 

6さえキープできれば基本死なない。そしてそれはあまり難しくない。
6さえキープできれば基本死なない。そしてそれはあまり難しくない。

 

そもそもサイコロという物体の性質上、移動距離サイコロで3以上の数値が出れば、6の目を維持する事自体は難しくない。何もしなくても2/3の確率で出目がキープできてしまうのだから、移動距離サイコロの出目分移動を強制させる事は必須と考える。そうでなければ「敵や地形が邪魔で出目がキープできない」という葛藤が生まれない。

操作性やメニュー周りなど、UI的にもどうかと思う点が多いが、まずは何よりも「サイコロの自機」というアイデアをもっと光らせるためのシステム、ゲームルールを練り上げるべきだと思う。色々考えてみてほしい。

現状のこのゲームの一番の見どころは幅1マスの通路を渡るところだと感じた。このときだけは出目が移動距離サイコロの数値任せになり、敵の出現運と自分のサイコロ運の二つに賭ける事になる。
この時の緊張感は他のどのゲームでも味わえない非常にユニークなものだ。この可能性が輝きを放つ時どんなゲームになるのか、私は見てみたい。

 

上の部屋に行きたいが、移動距離サイコロ次第では…… こういう場面をもっと活かして欲しい。
上の部屋に行きたいが、移動距離サイコロ次第では…… こういう場面をもっと活かして欲しい。

 

以上4タイトルが、私の推薦する学生制作タイトルである。もともと「HAL×PLAYISMプロジェクト」というのは優秀作品をPLAYISMから配信するという名目で行われてきた試みであったが、先日PLAYISMから正式発表があったとおり、このうち『ラクガキ忍者』『NINJUSTICE』の2タイトルが正式に配信されることが決まった。

配信されるバージョンが私がプレイさせていただいたバージョンのままかどうか確認できていないが、上記の2タイトルであれば「学生が短期でこれだけのものを制作した」ということで、感じ入っていただけるものがあるのではないかと思う。

上記4タイトル以外の講評については、近日中に別稿にて取り上げることとしたい。今回製作された全タイトルの中で、私のベストタイトルと言えるのはこの4タイトルである。

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