新作DCゲーム『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』は結局どんなゲームなのか?「悪党が主役」以外の魅力も伝えたい

WB Gamesは2月2日、アクションTPS『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』を発売予定。本稿では早期アクセス期間中のプレイに基づき、本作の魅力を紹介する。

WB Gamesは2月2日、『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』を発売予定。対応プラットフォームはPC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|S(Steam版は日本時間2月3日発売予定)。

本作はアクション型サードパーソン・シューティングゲームだ。『バットマン: アーカム』シリーズのRocksteady Studiosが制作しており、同社にとってひさびさの完全新作ゲームとなる。スーパーマンやバットマンといったおなじみのスーパーヒーローが洗脳されて敵になるストーリーが注目点ながら、実際のところどのようなゲームプレイなのか知らない方も多いのではないだろうか。


そこで今回は、早期アクセス期間中に本作をプレイした筆者が、『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』がどのようなゲームなのか、その特徴をご紹介しよう。なお本稿はWB Games提供のPlayStation 5版でのプレイを基としており、操作方法などの表記はPS5版に準拠している点をご留意いただきたい。


まずは簡単に本作のストーリーを説明しよう。舞台となる架空の都市メトロポリスは、突如としてブレイニアックというエイリアンによる侵攻を受け、壊滅状態となってしまう。さらに平和の守護者であるスーパーヒーロー集団「ジャスティス・リーグ」の過半数がブレイニアックに洗脳され、人類に敵対しているという絶望的な状況だ。

プレイヤーが操作するのは4人のヴィラン、つまり悪役だ。ハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメラン、キング・シャークはアーカム刑務所に収監されていた犯罪者だが、この危機的状況に、政府の秘密組織「タスクフォースX」に(強制的に)招集され、エイリアンと戦うハメになる。かくして、全然乗り気じゃないまま、世界を救う不可能極まりないミッションに挑むこととなるのだ。

ちなみに本作は『バットマン:アーカム・ナイト』の5年後という設定になっているが、ストーリー上のつながりは薄いため、前作未プレイであっても問題なく楽しめるだろう。

『バットマン: アーカム』シリーズプレイヤーにとってはニヤリとする要素も。

本作はストーリーミッションを順番にクリアしていくことでゲームが進行する。ミッションはすべて敵エイリアンを倒すことが目的だが、ポイントを防衛するドミネーション風のミッションや、グレネードによるダメージでしか敵を倒せない変わり種ミッションなど、いくつかのバリエーションが用意されている。プレイアブルキャラクターはローンチ時点で4人。戦闘中以外は方向キーの左でいつでも自由に操作キャラクターを切り替えられる。

少なくともチャプター4までをプレイするかぎり、特定にキャラクターの使用を強制されるミッションはなかった。好きなキャラクターを使いこむことが可能なバランスなのだろう。各キャラクターには独立したレベルがあり、レベルアップすることでタレントポイントを獲得、タレントツリーを解放していくことでキャラクターを強化できる。装備アイテムはチーム全体で共有しているため、装備を使いまわすことは可能だ。ただしキャラクターによって装備可能なアイテムは異なる。

本作はオンライン協力プレイにも対応しており、複数人でストーリーを進めることも可能だ。公開セッションを作成して自由にマッチングできるほか、フレンドのみ参加可能な設定や、他プレイヤーの招待も可能。クロスプレイにも対応している。


一粒で二度おいしい!ハイスピードアクション×ルートシューター

本作のジャンルはアクションTPSシューティングゲームとなっているが、実際にはこれにルートシューターの要素がミックスされている。フィールドにいる敵エイリアンを倒したり、ミッションをクリアしたりすることで装備を入手し、キャラクターを強化していくのだ。装備には7段階のレアリティが存在。最高ランクの「インファミー(Infamy)」装備は、一定数以上セットで装備すると強力な効果が発揮される、いわゆるセット装備となっている。各装備にはオーグメントとよばれるランダムな追加効果が付くため、理想の装備を求めて何匹ものエイリアンを屠ることになるだろう。

プレイヤーに“協力”してくれるほかのヴィランたちが、武器の作成やオーグメントの調整を受け持ってくれる

とはいえ、ゲーム終盤や高難易度コンテンツを遊ぶまでは装備の効果や数値をそれほど気にしなくともよいだろう。基本的にはアクションシューターとしてカジュアルに楽しむことができる。

というのも、本作では装備よりもアクションに比重が置かれている印象だ。たとえば本作には、『バットマン:アーカム』シリーズの「フリーフロー・コンバット」システムをTPSに応用した、カウンターショットシステムがある。敵が強力な攻撃を行う前後にマークが表示されるのだが、この状態の敵に照準を合わせて「L2+R1」ボタンを押すことでカウンターショットが発動し、敵の行動をキャンセルして大ダメージを与えることができるのだ。

ほかにも近接攻撃によって敵のシールドを剥奪するシステムや、スタイリッシュなプレイをするとコンボカウントが増加し、ボーナス効果を得られるシステムなどが存在。アクションの上達でゲームを進めやすくなるのは間違いない。被弾のリスクとリソース回復のリターンを天秤にかけながら戦う本作の戦闘は、そのスピーディーさも相まって『DOOM』シリーズを彷彿とさせる。そういったベースとなるアクションシューターの面白さを拡張する要素として、装備のハクスラ要素があると考えていただければ、わかりやすいだろう。

悪名高いヴィランをフューチャーした武器も


トラバーサルシステムで自由自在に飛びまわれ!

本作はオープンワールドを採用しているが、この手のゲームには珍しく、ファストトラベルがほとんど存在しない。その理由は「トラバーサル」システムにある。スーサイド・スクワッドの4名は、それぞれが個性的な移動システムをもっていて、たとえばハーレイ・クインは、博物館でくすねたバットマンの小型ドローンとグラップリングガンを使い、フックを引っかけてあらゆる場所をターザンのように移動できる。

着地直前にL3ボタンでスライディングすると一時的なトラバーサル・バフを獲得するなど、移動に関する細かなテクニックがいくつも用意されているのも面白い点だ。目的地への移動自体が、パルクール風のアクションコンテンツとして用意されている、と言っていいほどに移動自体が爽快で面白い。

その代償としてか、舞台となるメトロポリスの街はオープンワールドのフィールドとして考えるとやや手狭だ。マップ自体の探索要素は薄く、基本的にメトロポリスの街は広めの戦闘フィールドと考えるべきだろう。とはいえ、いたるところにDCファンをニヤリとさせるような小ネタや、ファンですら気付かなそうなニッチなネタなど、さまざまな遊び心が隠されてはいる。ときには銃のトリガーから指を離して、街を眺めてみるのも良いだろう。


以上、簡単にだが『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』のゲームシステムを紹介した。アクション+ルートシューターとしても面白い本作だが、ストーリーに関してもなかなか興味深い出来になっている。DCコミックスではクロスオーバー・イベントと呼ばれる長編作品が描かれることがある。複数の作品からキャラクターが出演し、世界規模の、ときには宇宙規模の脅威と戦う物語が展開される作品だ。本作のストーリーはそれに近い規模感であった。

またネタバレになるため多くを語ることは控えるが、“キル・ザ・ジャスティス・リーグ”のタイトルは伊達ではない捻りがある点もストーリーの魅力のひとつ。ゲーム好きだけでなく、映画などでDC作品に触れている方も楽しめる作品なので、ぜひ本作を体験してみてほしい。

スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』はPC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|S向けに2月2日に発売予定(Steam版は日本時間2月3日発売予定)。PC(Epic Gamesストア)向けには3月6日に発売予定だ。

Junichi Matsui
Junichi Matsui

『風来のシレン』『アンリミテッド:サガ』『Dwarf Fortress』を人生の師とする雑食ゲーマーです。

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