オープンワールドクラフト『Omega Crafter』は、いろいろできる欲張りゲーム。戦闘、クラフト、マルチ、プログラミングなど山盛り

『Omega Crafter』にて、12月2日よりSteamでオープンベータテスト(OBT)が開催されている。そんな本作の内容をお届けしよう。

ディープラーニングなどのAI技術の実用化を進めるPreferred Networksが手がけるオープンワールドクラフトゲーム『Omega Crafter』。本作は12月2日よりSteamでオープンベータテスト(OBT)が開催されている。

サバイバルクラフトゲームといえば、ジャンルとして成熟してきており、2Dでも3Dでも内容はある程度似通ったものが多くなりつつある。しかし本作はそのサバイバルクラフトにプログラミング要素を取り入れているという。何らかの仕組みを動かす回路などは他のタイトルでも見られるが、「プログラミング」としてゲーム内に実装されているのは珍しいケースだろう。それをディープラーニングに強みをもつイケイケベンチャーのPreferred Networksが手がけるとなればなおさらだ。

サバイバルクラフトとプログラミング要素がどのように両立しているのか。またディープラーニングの研究開発を手がける企業の作るゲームとはどういうかたちになっているのか。そうした内容が気になった筆者はオープンベータ開催に先駆けてクローズドベータに参加する機会をもらい、先行プレイをおこなった。本稿ではプログラミング要素がどう本作に関わっているかということやゲーム内に登場する要素の紹介、インプレッションなどをお届けする。


欲張りに要素が詰め込まれたサバイバルクラフト

『Omega Crafter』はオープンワールドで繰り広げられるサバイバルクラフトゲームだ。舞台となるのはゲームの中の世界。そこでは謎の妨害プログラムがあり、ゲームの開発が難航しているという。プレイヤーはゲームを完成させるため、相棒のグラミーとともに冒険や街づくり、ボスの討伐などをおこなうこととなる。

ワールドに飛び込めば、チュートリアルにしたがってクラフトなどをおこなう。プレイヤーは素材を集め、さまざまなものをクラフトすることとなる。そして街のシンボルと呼ばれるアイテムを設置することによって、一定の範囲を街とすることができる。街では建造物や畑、クラフト台などといったツールなどが設置可能。柵を立てることもできるため、セーフエリアとして街を利用することもできる。

また街づくりにあたっては、『Valheim』のようにポータルも設置できる。作成にはそれなりの素材が必要だが、設置できれば移動も簡単になり、探索に出かけやすくなるはずだ。基本的な仕組みやルールは一般的なサバイバルクラフトゲームのルールと同じだと考えればいいだろう。


そして本作では戦闘の要素も充実している。武器や弓などを使って敵を攻撃するオーソドックスなバトルスタイルがメインとなる。ザコ敵はやや強めの印象だ。ワールドには敵として、モンスターのアジトであったり、強大なボスが存在したりしている。アジトでは敵が群れを成しており、場合によっては囲まれてしまうこともある。さらに攻撃や回避といった戦闘での行動には、基本的にスタミナを使うようになっている。スタミナが切れてしまうと攻撃やダッシュ、ローリングによる回避も出来なくなる都合上、プレイヤー単体では苦戦することもあるかもしれない。

ボスモンスターの攻撃も強大だ。大きな身体から繰り出される攻撃をまともに受けてしまえば、通常であれば2、3回で倒れてしまう。こうした説明からもわかるように、戦闘はかなりハードコア。OBT時点では武器の種類はそれほど多くない印象だが、敵との間合いをはかり、的確に入力をこなさなければ勝つことは難しい。サバイバルクラフトゲームとしては、バトル要素もなかなか色濃い印象である。

バトルをこなす上で、クラフトで用意した装備や作成した料理による強化が必要になってくるというわけだ。料理は3つまで食べることができ、スタミナや体力といった各種ステータスを強化することができる。また鎧などの装備を用意できれば防御力を高めることも可能だ。

敵は倒すことでさまざまな素材を落とす。特にボスは倒すことによって街のシンボルを作成するために必要な素材を落とす。そのためプレイヤーは街を発展させ、複数箇所に街を作るために敵と戦うこととなるだろう。


また本作はマルチプレイにも対応している。フレンドと分担して街を作ったり、ともに探索をしたりすることもあるだろう。強敵と戦う際にも、近距離担当と遠距離担当というように、役割分担をしつつ戦える。マルチプレイによって遊び方の幅が広がる点も、本作の特色といえる。


なお、ダンジョン探索においては、暗がりのダンジョンを慎重に探索するといったダンジョン探索も。『Dark and Darker』のような作品を意識しているのかもしれない。ここでも要素の多さが垣間見える。

「グラミー」とプログラミングの力を借りて、してほしいことを手伝ってもらおう

国産のオープンワールドサバイバルクラフトゲームは珍しいが、本作に個性をもたらしているのはグラミーだ。チュートリアルでは、いわゆる味方NPCのグラミーを貰うことができる。このグラミーは、動物や敵と戦っているときに自動で攻撃をしてくれるというもの。そしてグラミーは「プログラミング」をすることで、プレイヤーの思うとおりの行動をおこなってくれる。このグラミーが、他タイトルにはあまり見られない、珍しいシステムだといえる。

プログラミングと聞くと難しい印象を受けてしまうかもしれないが、本作では簡単な手順で命令できるようになっている。メニューを開くと数々の命令がリストとして並んでおり、それらを順番に並べていく。いわゆるフローチャート作成のようなスタイルでグラミーの動きをプログラミングすることができる。

いろいろと命令があり何をすればいいかわからない、という人に対しても、木や石といったクラフトの素材集めをしてくれるテンプレートが存在する。手始めにテンプレートを使って採集・採掘を進めていくことで、手軽にグラミーを活用することができる。探索の助けにもなるだろう。


またゲーム中で拾えるアイテム「バグのかけら」を消費して、街グラミーというグラミーを召喚することができる。街グラミーは街の中だけで行動をするグラミーで、クラフトや畑での作業を設定することができる。

たとえば素材のクラフトには時間がかかることがある。プレイヤーだけで矢を作ったり、クラフト素材を準備したりするとなると、工作に時間を取られてしまう。そこでグラミーに素材やアイテムの作成を任せれば、グラミーが勝手に作成してくれる。遠隔での命令も可能なので、自分は遠方に冒険に出て、街でのクラフトや素材の管理はグラミーにさせる、ということも可能だ。グラミーを活用すればいつでもどこでも、やってほしいことを任せることができるため、効率的なゲームプレイをおこなえる。


フレンドとの協力を経て、クラフトや戦闘、採集といったそれぞれの要素をバランスよくこなす。それだけでなく、グラミーというNPCを活かすことによって、ソロプレイでも効率よくサポートを得られ、ゲームプレイを進めることができるだろう。そうして街を発展させたり、戦闘を優位におこなったりすることができる。さまざまな要素と遊び方の組み合わせで起きる化学反応は、多様な遊びを提供してくれるだろう。

プログラミング要素が違和感なく取り込まれた、やりごたえのあるサバイバルクラフト

総じて本作におけるゲームプレイは「すべてが破綻せずにちょうどよく詰め込まれている」という感想だった。ひとりでは討伐するのにやや難しめな強敵や敵アジト、時間のかかるクラフトといった要素が存在していて、それを効率よく解決する手段として「グラミー」が存在する。逆に言えば、グラミーをほったらかしにしては要所で手間に感じる箇所があるかもしれない。

しかしグラミーへのプログラミングは直感的に作られており、複雑に処理させたいつもりでもなければ、簡単に命令を作ることが可能だ。テンプレートだけでも比較的効率的にゲームプレイを進めることができる。本作におけるグラミーという存在を上手に活用してもらうための導線が準備されており、扱いやすかった。


一方で先述したように戦闘は難しめだ。低体力だったり初期装備で挑んだりするような、クラフトを縛ったプレイをおこなうには骨が折れるかもしれない。ガードしていても削られる体力や、スタミナを消費するローリング回避など、どこか『ダークソウル』シリーズなどを彷彿とさせるシステムも存在している。これはPreferred Networksの開発スタッフにフロム・ソフトウェア作品のファンが多いことも理由としてあるそうだ。ただそういった、一見他作品のサンプリングともとれる要素は『Omega Crafter』流にアレンジされており、単なるフォロワー作品以上の体験を生み出しているように感じた。

ちなみに本作はまだSteamで早期アクセスリリースを控えている状況であり、公式Discordで要望を受け付けていたり、順次新要素が実装されつつあったりする。気になる方はOBTなどを介して本作の世界に飛び込んで、欲張りに詰め込まれた和製サバイバルクラフトを体験してみてはどうだろうか。





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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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