『仁王』『仁王2』PS5リマスター版プレイレポート。次世代機に対応した一対の仁王は、見た目はより豪華に、さわり心地はそのままに

『仁王』『仁王2』PS5リマスター版プレイレポート。次世代機に対応した一対の仁王は、見た目はより豪華に、さわり心地はそのままに。戦闘の快適性は向上した。

コーエーテクモゲームスは、戦国死にゲーシリーズ2作のPlayStation 5対応リマスターバージョン『仁王 Remastered Complete Edition』及び『仁王2 Remastered Complete Edition』の発売を2月4日に予定している。価格はどちらも6,380円。両者共に有料DLC3部作がすべて最初から実装された、いわゆる完全版となっている。2つがセットになったPS5版『仁王 Collection』は10,780円。なおPlayStation 4版ならびにSteam版の『仁王2』完全版である『仁王2Complete Edition』も同日、6,380円で発売予定だ(価格はいずれも税込)。

今回幸いにして『仁王 Remastered Complete Edition』及び『仁王2 Remastered Complete Edition』のメディア向けハンズオン・イベントに参加させていただいた。美しく進化した一対の仁王。そのプレイレポートをお送りしたい。

美麗なグラフィックにより、戦闘の快適性も向上


リマスター作品と聞いてまず気になるのは、オリジナル版から次世代機に合わせて向上したグラフィックだろう。『仁王 Remastered Complete Edition』に関してはリマスター化に伴い、光源が陽光のように柔らかくもより強くなった。画面が全体的に明るくなり、ここにライティング技術の向上が伴って、甲冑、武器の意匠、そして建造物のディティールがよりくっきりと描かれるようになっている。雪国のステージではスクリーン自体が発光しているかのようなまばゆさを放つ。また画面が明るくなったことで落とし穴をはじめとするフィールドギミックの認知がしやすくなっているほか、残心のエフェクトの光度が上がったことで、戦闘の快適性も向上している。


『仁王2 Remastered Complete Edition』においては『仁王』のリマスター版と同様、光源が柔らかくなった印象を受けるほか、全体として発色が鮮明で豊かなものとなり、本作のステージを彩る美しい自然はより美しく、おどろおどろしい妖怪たちはテクスチャがハッキリしたことで実在感が増している。たとえば「すねこすり」は毛並みの描写が強化されたことにより更に猫らしい愛くるしさを感じられることだろう。カットシーンにおいても効果は如実に現れており、特にキャラクターのフェイシャルアニメーションがより活き活きとした描画となった。中でも筆者が感動したのはDLC第三弾「太初の侍秘史」に登場する鈴鹿峠をモチーフとしたステージ。至るところに骸が転がり、血溜まりが広がった惨劇の舞台であるが、特に血液の表現が素晴らしい。脂肪を含んだ赤黒い血液の、ぬめりを帯びた反射光が、入り組んだ山村を「屍山血河」という言葉で表現するに相応しい情景へと押し上げている。

アダプティブトリガーによる臨場感と、驚異のロード時間


次に注目したいのはハードウェア変更に伴う操作性の変化に関してだが、『仁王 Remastered Complete Edition』『仁王2 Remastered Complete Edition』共にコントローラーがPS5のDualSenseへと変化したことで別段変わった印象を抱くことはなかった。新しいコントローラー自体のさわり心地も含め、現行機での経験をそのまま次世代機へと持ち越すことができるだろう。ただしPS5からの統一規格としてメニューの決定ボタンがXボタンになった。フィールドにおけるインタラクションには変わらず◯ボタンを使用するため、慣れるまで操作に戸惑う可能性がある。

またリマスター版はDualSenseコントローラーのアダプティブトリガー機能を活用しており、装備する遠距離武器の種類によってR2ボタンを押す重さが異なる。重火器になればなるほどトリガーが重い仕様となっている。正直最初は「操作速度が問われる本作のプレイを阻害するのでは」と困惑したものだが、時間をかけて遊んでみると案外、臨場感が増し面白い。今もなおPS5を手に入れることが出来ていない筆者としては、興味深い機能だと認識した。なお試遊時には体験できなかったが、ゲームの発売時にはアダプティブトリガーだけでなく、DualSenseのハプティックフィードバック機能を活用するアップデートが入る予定とのことだ。

さらに驚いたのはローディングの速度。現行機と比較するのがおこがましいほどの速さを誇っており、ゲームオーバーからリトライまでの時間が一瞬で終わってしまう。筆者はこのロードの時間に精神統一およびゲームを続けるかの判断を行うのだが、PS5版でその時間が現行機の半分以下に減少した結果、取材中プレイを切り上げるタイミングを完全に見失ってしまった。このロード時間、おそらく一度体験してしまえばもう戻れなくなること請け合いである。


見た目はより豪華に。さわり心地はそのままに。リマスター作品として相応しい仕上がりとなっている『仁王Remastered Complete Edition』及び『仁王2 Remastered Complete Edition』。PlayStation 4対応ソフト『仁王2Complete Edition』を購入している方は無償でPS5版へのアップグレードが可能となっており、クロスセーブ機能によってセーブデータの引き継ぎも可能である(『仁王 Remastered Complete Edition』に関しては『仁王 Complete Edition』のセーブデータ引き継ぎのみ対応)。そのため、現時点でPlayStation 5が手元にない場合でも購入して損をすることはない。『仁王2 Complete Edition』の期間限定配信特典として、2月4日から2月26日にかけて「はぐれソハヤ装束」「黄金の飾り鎧」をゲーム内(「賜物」)より入手できるため、これらの特典が気になる方は、早期購入を視野に入れておくとよいだろう。


なお、通常のPS4版『仁王2』に関してもアップグレードが可能ではあるが、本編ならびに有料DLC一つにつき別途料金が必要となるので注意が必要である。詳しくは公式HPを参照してほしい。

『仁王 Remastered Complete Edition』と『仁王2 Remastered Complete Edition』は共に2月4日発売予定。2つセットのPS5『仁王 Collection』と、PS4版とSteam版でそれぞれ発売されるDLC全部入り完全版『仁王2 Complete Edition』も同日発売予定となっている。病魔や寒波の影響で引きこもり生活が続きがちな昨今。生きるか死ぬかの戦いを通じて、スローペースな生活にだらけがちな心へ適度な刺激を与えてみてはいかがだろうか。

Takayuki Sawahata
Takayuki Sawahata

娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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