スマホ向けアプリ『どうぶつの森 ポケットキャンプ』の完成度はいかに。実際にオーストラリア版を遊んでみた

昨日正式発表されたスマホ向けアプリ『どうぶつの森 ポケットキャンプ』。日本を含めた主要国向けには11月下旬の配信が予定されているが、オーストラリアではすでに先行して同アプリが配信されている。今回、同アプリをダウンロードすることができたので、その内容をかいつまんでお伝えしたい。

昨日正式発表されたスマホ向けアプリ『どうぶつの森 ポケットキャンプ』。『どうぶつの森 ポケットキャンプ』は基本無料型のアイテム課金制、Free to Startと呼ばれる形式をとっている。日本を含めた主要国向けには11月下旬の配信が予定されているが、オーストラリアではすでに先行して同アプリが配信されている。今回オーストラリアのストアから同アプリをダウンロードすることができたので、その内容および感想をかいつまんでお伝えしたい。

基本的な流れ

ゲームの流れについて知るには、昨日放送された「どうぶつの森 Direct」を見るのがもっとも参考になるだろう。どうぶつ達の依頼を受け、その依頼を達成するためにエリアを探索して任意のアイテムを入手し、依頼達成の報酬として家具の素材を手に入れる。素材とお金を消費することで家具を生成し、家具を配置することで新たなどうぶつ達が現れ交流していく。マップは完全に独立しておりメニュー画面から選びフィールドに行く形となる。森や川、浜辺などが用意され、釣りや虫取りなどエリアに応じた活動ができる。マップの広さは、エリアで区切られていた時代の『どうぶつの森』の1エリア程度およびそれより少し小さいぐらいであると考えてもらえればいいだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=nmtW0dgYieM

グラフィックはトレイラー映像を見てもわかるとおり、『とびだせどうぶつの森』のモデルをブラッシュアップしたクオリティ。Wii U向けにリリースされた『どうぶつの森 amiiboフェスティバル』ほどではないものの、フィールドやキャラクターはキュートに描かれている。BGMもこれまでのシリーズのように時間が変化する。朝は元気な、昼はマイペースな、夜はしんみりとした音楽が流れる点もこれまでの作品と同じ。

まず気になる操作面については、おおむね良好という印象を受けた。システムとしては、いわゆるゲーム内に仮想のコントローラーが表示されるものではなく、タップした場所にプレイヤーは向かう。レスポンスはよく、思い通りの操作ができるものの、上に行く際にはプレイヤーキャラクターよりも上の部分をタップしなければいけないので、多少の慣れは必要だろう。

ロード時間については、タイトル画面へのロードとタイトル画面からゲーム開始へのロードが大きくふたつある。ゲーム中のロードはマップ画面の切り替えがメイン。マップサイズやコンテンツによっては、ロード時間が変化するが、かなり短いとはいえないものの、それほど長いと感じることもないと思われる。嬉しい点でいうと、いわゆるログインボーナスや告知文の表示が、プレイヤーがフィールドに出たインゲーム中に現れるのでそれほど煩わしくないこと。過去の任天堂製のモバイルアプリは、リリース開始時にはこうした告知文が表示され、ゲーム開始までが長くなることもあったので、それらと比較する立ち上げがスムーズに感じるかもしれない。

家具集めとどうぶつとの交流が楽しい

本作の大きな楽しさは2点に分けられる。「家具集め」と「どうぶつとのコミュニケーション」だ。家具集めは、本作の核になる繰り返しおこなう短期的な目標になる。フィールドの探索も釣りもどうぶつとのふれあいも、この家具作成のためにある。家具を作成することでどうぶつを呼び込めるので、収集要素という面でも、機能的な面でもこの家具作成を柱としたサイクルはうまくできあがっている印象だ。家具の配置も見下ろし画面でデザインできるのでスムーズ。ゲーム内にはデイリーミッションにも近い「Timed Goal」という項目が存在している。こうした要素もあるので、それなりに目標を見つけていきやすいゲームデザインに仕上げられているだろう。現時点では未実装であるが、服のクラフトも将来的にはできるようなので、「アイテム集め」の幅は広がっていくと予想される。

もうひとつの楽しさを提供するのが、どうぶつとのコミュニケーション。『どうぶつの森』シリーズはどうぶつとのコミュニケーションが楽しさを引き出す要素であったが、その要素は健在。さらに今作ではどうぶつと仲良くなる直接的な特典が用意されている。どうぶつと雑談し、依頼を達成することで好感度が上昇。好感度レベルが上がることで新たにアイテムが手に入る。会話を楽しめるだけでなく、アイテムももらえるわけだ。従来の作品でも会話で家具などをもらうことができたが、より実用的なものがもらえる印象だ。

どうぶつの好感度ははっきりと数字で可視できるので、どれほど上昇しているかわかる。過去作ではどうぶつ達との仲の良さは現実と同様に不可視なものであったが、今作は数字ではっきりわかるようになっている。手紙などで間接的に仲の良さを感じられる要素が恋しくもあるが、はっきりと可視的になったという点で、ストレスはたまりづらくなっている印象だ。また仲良くなったどうぶつをキャンプに呼び寄せることもできるので、お気に入りのキャラクターと離れ離れが続くといった状況にもならなさそうだ。

また随所にモバイルデバイスとの相性のよさを感じさせる一面を見せる。たとえば、本作では家具やオブジェクト作成に時間がかかること以外にも、さまざまな「時間に関連した要素」が用意されている。たとえば、一度りんごの木を揺らせば次りんごがとれるのは3時間後であったり、各エリアにいるどうぶつも時間経過で場所を移動する。ゆえに「今度はお昼になったら起動しよう」といった区切りをつけた遊び方が可能。リアルタイムとゲーム内が連動するということもあり、1度に長時間遊ぶというより、細かい変化を見つけるために1日に何度も起動したくなる。従来の作品にもそうした傾向はあったが、うまくそうした長所が生かされているといえる。現実と同期したイベントも用意されているようなので、時間の経過とともに楽しみは増えていくだろう。

未知数な課金要素

課金要素については、建設に長時間がかかる段階まで進めなければどれほど要求されるか断言することは難しい。ゲーム内リワードとして課金アイテムであるリーフチケットも配られているが、ゲームが進行していけばより多くのものが求められるようになると予想できる。同時に家具を作成するライン増やすためには一定数以上のリーフチケットが必要になったり、特定のエリアの初回入場にもリーフチケットが必要だったり、リーフチケットで買える「期間限定アイテム」も存在しており、その用途は幅広い印象だ。

結論を言うと、すでに海外メディアなどでも報じられているように『どうぶつの森 ポケットキャンプ』の完成度は高い。『どうぶつの森』シリーズのよさを生かしながら、昨今の時短系のモバイルゲームのエッセンスをうまく取り入れているように感じた。スタイルは変わったものの、自由度は高く制約も少なく、『どうぶつの森』シリーズ本編で味わえる楽しさが体験できるといっていいだろう。課金要素については、やりこみを助けるものではあるものの、しなければ進められないという形態はとっていない印象を受けるが、序盤を遊んだうえでの感想であるので留意してほしい。ただ、現時点でもシリーズファンならついつい起動したくなるような、11月下旬の国内配信が期待できるタイトルに仕上げられているといえるだろう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

記事本文: 5197