(株)セガ・インタラクティブのアーケード用新作レースゲーム『SEGA World Drivers Championship』(以下、『SWDC』)の「テスト走行会」と題されたロケテストが7月28日から7月30日までの3日間、セガ池袋GiGOとセガ秋葉原1号館の2店舗で実施された。
セガといえばこれまでに『デイトナUSA』『セガラリーチャンピオンシップ』『セガツーリングカーチャンピオンシップ』『インディ500』『ル・マン24』といった実在のモータースポーツをコンセプトにしたレースゲームを発表していたが、今回の『SWDC』は2005年からFIA(国際自動車連盟)公認となった「SUPER GT」(※2004年まで「全日本GT選手権」として開催)とのタイアップタイトルになっている。
『SWDC』は実際の「SUPER GT」と同じく45台同時走行であることに加え、うち10台はオンライン接続での全国対戦が可能であることを謳っており、各コーナーやストレートでの駆け引きは混戦必須のレース内容となることに期待がかかる。ちなみに今回の「テスト走行会」における同時走行車数はGT500クラスで15台、GT300クラスで20台となっていた。また、オンライン接続によるプレイヤー同士の対戦についてはセガ池袋GiGOとセガ秋葉原1号館にそれぞれ6台ずつ設置された筐体に加えてセガ開発スタジオを交える形になり、「開発者とマッチングしたいですね(笑)」と話すプレイヤーの姿も見られた。
『鉄拳7』『ストリートファイターV』にも採用されたゲームエンジン「Unreal Engine 4」で描写された美麗なグラフィックで「SUPER GT」のイメージを再現していることから、一見するとがっちりとしたドライブシミュレーターに思われた方も少なくないだろう。ところが実際にプレイしてみると、シミュレーターとしての側面とゲームとしての側面、それぞれがいい塩梅で統合されていることに気づかされた。
リアルシミュレーターの場合、たとえばコーナーに差し掛かるポイントではブレーキングポイントとアウト・イン・アウトのライン取りが見本としてコース上に敷かれているが、『SWDC』の場合はコーナーの向きと角度を知らせるだけに留め、また車の挙動についてもやや突っ込みがちなスピードと進入角でコーナーを抜けられるあたりはレースゲームらしい嘘のつき方をしていることから、見た目はリアルで中身はカジュアルという印象を受けた。プレイヤー同士の対戦を見るからに、速さを求めるのであれば最低限のブレーキングとコーナリングのテクニックは求められるだろう。少なくとも、壁にガシガシと当りつつ沿いながら走る「ミニ四駆走行」ではCPUにすら置いていかれてしまうのは確かである。
リアルなシミュレーター要素を求めるプレイヤーと、ゲームであるがゆえに非現実的な挙動を寛容できるプレイヤーとの間で賛否がわかれそうなところではあるが、私見を述べるとじつにセガらしい仕上がりに落とし込まれていると感じた次第だ。ただ、シミュレーション要素を一切排除したものかと言われればそうではない。実際のGTカーにも使われていそうなものを模した長方形型のステアリングには強烈なフィードバックが効いており、スタート前の振動は握り拳に闘志をみなぎらせ、コーナーを抜ける際は凶暴なマシンを無理やり飼い慣らすかのような気持ちを体感としてプレイヤーに与えている。
近年のゲームセンターには同社の『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズや、(株)バンダイナムコエンターテインメントの『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズなど、公道でのバトルを描いた漫画の版権タイトルが主軸となっているが、国内外では『Sega Rally3』や『Daytona 3 Championship USA』が稼動していることから、1990年代のアーケードシーンが幾多のレースゲームで賑わっていたことを知るレースゲームファンにとって『SWDC』はまさに朗報であり、閉塞感が否めない現在のシーンに光を差すのではないだろうか。
今回の「テスト走行会」で走行可能だったオリジナル3コースの中には「SUPER GT」において前例のない市街地コースを用いるなどの独自性を持っているが、リアルなコンセプトさを加味するならば、やはり実在のサーキットを走破してみたいという期待も膨らむだろう。実稼働を予定しているという2018年までにどれほどチューニングが施されるのか、今後の続報やロケテスト情報にも注目したい。
・公式ティザーサイト
https://swdc.sega.jp/
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