時代の流れに逆らった、チャレンジ精神溢れる名作アクション「プリニー」シリーズ

みなさんには「個人的に心に残ったゲーム」はないだろうか? 新作ではないけれど、ユーザーから広く認知されている訳ではないけれど、遊んでみるとなかなか楽しい、そんなゲームはないだろうか?やや強引ではあるが、筆者の心に残ったゲーム「プリニー」シリーズをとりあげる。

みなさんには「個人的に心に残ったゲーム」はないだろうか? 新作ではないけれど、ユーザーから広く認知されている訳ではないけれど、遊んでみるとなかなか楽しい、そんなゲームはないだろうか? やや強引ではあるが、筆者の心に残ったゲームをTSUTAYAの「発掘良品」のように、マイナー・メジャー問わず紹介していきたい。今回は「プリニー」シリーズをとりあげる。

現代に蘇ったレトロアクションゲーム

プリニー」シリーズは日本一ソフトウェアからリリースされた、プレイステーションポータブル(以下PSP)向けのアクションゲームである。同社の看板タイトルである「ディスガイア」シリーズの外伝的作品として位置付けられており、2作品がリリースされている。

本作の最も個性的な部分が、レトロテイスト溢れる2Dアクションと、驚くほど高い難易度である。2Dアクションゲームが好きな方であれば「悪魔城ドラキュラ」や「魔界村」、「ロックマン」を想像してもらえればよいと思う。プレイヤーは魔界最弱の生き物「プリニー」を操り、残機1000を使ってステージクリア型のアクションゲームに挑む。

毎回くだらない理由で命がけのミッションに駆り出されるプリニーたち。最初から最後までこのノリでゲームは進行する。
毎回くだらない理由で命がけのミッションに駆り出されるプリニーたち。最初から最後までこのノリでゲームは進行する。

残機1000というのは伊達ではなく、とにかくプリニーたちは死ぬ。初見殺しのトラップや嫌らしい動きをする敵モンスターが満載で、満身創痍でステージの最後までたどり着くと、「見切ってみろ」と言わんばかりのボスの凄まじい攻撃がプレイヤーを待っている。筆者はアクションゲームについてはそこそこ自信があったため、最初から最高難易度の「魔界公式ルール」でプレイしていたのだが、あっという間に数百匹のプリニーの屍の山を築いてしまい、慌ててノーマルの難易度に戻した苦い経験がある。しかし、それでも筆者はエンディングまできっちりプレイした。2週目は魔界公式ルールで通しでクリアもした。それはひとえにゲームとしての出来の良さのおかげであった。

本編「ディスガイア」譲りの美しいドットグラフィックは健在。背景も美しく、キャラもよく動き、見ているだけでも楽しい。しかし見とれている余裕は無い……。
本編「ディスガイア」譲りの美しいドットグラフィックは健在。背景も美しく、キャラもよく動き、見ているだけでも楽しい。しかし見とれている余裕は無い……。

確かに難易度は高いのだが、ゲーム内で乱数が全く用いられておらず、プレイヤーが一度攻略法を見つけると、毎回そのパターンが100%通用する。最初は絶対に避けられないと思っていた嵐のような敵の猛攻を避けられるようになると、一種のカタルシスが感じられること間違いなしである。また、ディスガイアシリーズのスピンオフということもあり、緻密で美しいドットグラフィック、豊富なやり込み要素や、心温まる、笑えるストーリーもそのままディスガイアから継承されている。筆者はディスガイアシリーズのファンだったため、こうした制作者の粋な計らいにニヤリとさせられた。

日本一ソフトウェアの「ファントムキングダム」からのゲスト出演。このキャラに限らず、本作では「ディスガイア」本編や他の作品から多数のキャラが参戦しており、オリジナル作品のイメージを損なうことなく、アクションゲームに落とし込まれている。
日本一ソフトウェアの「ファントムキングダム」からのゲスト出演。このキャラに限らず、本作では「ディスガイア」本編や他の作品から多数のキャラが参戦しており、オリジナル作品のイメージを損なうことなく、アクションゲームに落とし込まれている。
『プリニー2』の裏本編、アサギウォーズより。テレビ中継の体裁を取っているためか、アサギウォーズ中は体力ゲージが「視聴率」になり、画面の四隅が丸く欠け、(おそらくブラウン管をイメージしたと思われる)、ステージクリア後には視聴者から様々なお便りが届く。こういう「全力でバカなことをやる」という粋な計らいも「ディスガイア」から継承されている。
『プリニー2』の裏本編、アサギウォーズより。テレビ中継の体裁を取っているためか、アサギウォーズ中は体力ゲージが「視聴率」になり、画面の四隅が丸く欠け、(おそらくブラウン管をイメージしたと思われる)、ステージクリア後には視聴者から様々なお便りが届く。こういう「全力でバカなことをやる」という粋な計らいも「ディスガイア」から継承されている。

このゲームが発売された2008年には、こうした古典的なステージクリア型の2D新作アクションゲームのリリースはあまりなかったと思う。同年にリリースされた「ロックマン9」が同じジャンルであるが、「ロックマン9」が「ファミコン風リバイバル」の体裁を取っているのに対し、現行プラットフォームで完全な新作として「プリニー」はリリースされた。2008年当時にフルプライスで「死んで覚える」アクションゲームをリリースするだけでも相当な冒険であるが、それをアクションゲーム開発経験が無いスタッフで作り上げたというのだから、驚きを禁じ得ない。

正直に言うと、本シリーズは2作品とも難易度が若干高すぎな感じが否めない。イージーモードでもかなり難しい。ディスガイアシリーズはシミュレーションRPGなので、そこから移ってきたファンが当時面食らったのも察して余りある。だが、2Dアクションゲームが好きな方であれば間違いなく満足できる逸品である。中古価格も総じて安めであるため、昔取った杵柄を試してみたいオールドゲーマーの方、「悪魔城ドラキュラ」や「魔界村」を知らない若い世代の方、機会があればぜひ遊んでみてほしい。

Ryouta Takahashi
Ryouta Takahashi

祖父にスーパーマリオブラザーズを買ってもらって以来、すっかり「ピコピコ少年」に。ゲームの見た目は黎明期から比べると大きく変わっていますが、その本質である「楽しさ」は今も昔も不変ではないでしょうか。そういったゲームの娯楽としての楽しさ、将来語り継ぎたい文化的側面を、読者の方に伝えていければ、と考えています。

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