『Rainbow Six Siege』の新マップ「Skyscraper」観光記。名古屋の新名物“コンクリート障子”と虹の歌

満を持して公開された『Tom Clancy’s Rainbow Six Siege』(以下、Rainbow Six Siege)の最新アップデート「Red Crow」。実のところ筆者が一番驚いたのはビジュアルが大幅に変更されたトゥイッチの美貌なのだが、本稿では「Red Crow」アップデートの目玉の一つである「Skyscraper」マップの方に目を向けていく。

満を持して公開された『Tom Clancy’s Rainbow Six Siege』(以下、Rainbow Six Siege)の最新アップデート「Red Crow」。実のところ筆者が一番驚いたのはビジュアルが大幅に変更されたトゥイッチの美貌なのだが、本稿では「Red Crow」アップデートの目玉の一つである「Skyscraper」マップの方に目を向けていく。はたしてUbisoft Montrealが描く日本像とはいかに。

「Skyscraper」マップ 画像左:1階、画像右:2階
「Skyscraper」マップ 画像左:1階、画像右:2階

新マップの舞台となるのは、高層ビルの屋上に建てられた名古屋のヤクザ「山東組」の屋敷。組内で抗争が勃発中ということで、敷地内ではすでに銃撃戦が繰り広げられた痕跡がある。和風建築と西洋のモダンデザインが合わさった二階建ての屋敷は、ひとつひとつの部屋こそ小さいが、部屋の総数は多い。限られた空間を有効活用する日本らしい建築デザインだ。部屋同士が密接しているため、爆弾ルールでは2つの拠点を同時に守りやすい。だが密度が濃い分、アートディレクターのGregory Fromenteau氏が「どの場所にいても眩暈がするようなマップを目指した」と公式サイトで語っているように、部屋間の移動、そして上下左右からの侵入ルートや射線が多いことから、目の回るような視点移動が求められる。

屋敷の構造を見ていくと、西と東、1階と2階で大きく四分割されている。防衛スポットも
選択肢は4つあり、1階西、1階東、2階西、2階東にそれぞれ一箇所ずつ用意されている。部屋の用途別に分けてみると、西側が接待用、そして東側がプライベートな空間であることがわかる。だがその中身まで目を凝らしてみると、どうやら我々の知っている日本とは一味違うようだ。

まず1階の中央玄関から西側に向かうと、「山東組」とデカデカと書かれた受付カウンターが出迎えてくれる。受付の奥にあるのは、寿司と焼肉を同時に楽しむという海外らしい発想のレストラン。いかにも邪道ではあるが、悔しいことに夜中にこのマップをプレイしているとお腹が空いてくる。レストランには横倒しになったテーブルが2つあり、防衛側の隠れ場としても使える。

名古屋名物の味噌カツやひつまぶしはメニューにないようだ
名古屋名物の味噌カツやひつまぶしはメニューにないようだ

レストランと隣接するキッチンと倉庫には、野菜、果物、そしてアルコールの在庫が散乱している。受付、レストラン、キッチン、倉庫は逆コの字型に並んでおり、倉庫の先は建物中央のエレベーターホールとなる。ここから高層ビル本体と直結しているようだ。このエレベーターホールと中央玄関が屋敷を西と東に区切る役割を果たしている。なおエレベーターホールのロッカーには名札がついており、中でも「アトム」の名がついたロッカーは思わず二度見してしまうだろう。

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続いて西側2階の様子を見ていこう。屋敷の西側には階段が2つ設置されている。2階に上がるとカラオケルーム、茶室、芸者部屋があり、それぞれの個室は一本の廊下と繋がっている。1階が大人数向け、2階が少人数向けの接待空間となっているようだ。それにしてもカラオケルームと茶室が向かい合っているというのは少しショッキングである。防音対策ができていることを願おう。芸者部屋に関して言えば、特筆すべきは部屋を囲う障子だろう。その分厚さには日本人として驚きを隠せない。少なくとも我々の発想ではまず生まれてこないコンクリート製の障子なのである。石原慎太郎氏の有名な「障子破り」も、このありさまではさすがに再現不可能だろう。

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賑やかな部屋が多い西側とは異なり、屋敷の東側は静かなプライベート空間となっている。1階では巨大な寝室と浴室が繋がっている。浴室のトイレはもちろんウォッシュレット完備だ。浴室とトイレがセットになっている点は好みが分かれるだろう。そして東側の階段から2階に上がると小さなバーラウンジ、展示室、オフィスルームにたどり着く。展示品のガラスを割るとアラームが鳴る点には注意したい。オフィスにはホログラムの立体地図があり、地図の中にヴァルキリーのカメラを放り込むと上手くカモフラージュされる。ヴァルキリーにとって定番の隠しスポットになるかもしれない。オフィスの本棚には「碁」「空手道」「日本の伝統的な入れ墨」「日本料理 料理本」といったザ・ジャパンなタイトルの書物が並べられており、中でも目を引くのが「RAINBOW」という漫画シリーズだ。10巻まで揃えられているが、残念ながら中身は確認できない。

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これまで屋敷内部の構造に目を向けてきたが、攻撃側のスポーンポイントにも触れておこう。スポーンポイントは「ヘリパッド」「タワー」「空調設備」の3つ。マップ西端の「ヘリパッド」は開けた場所ではあるが、屋敷からは距離がある上に遮蔽物に挟まれている。防衛側の開幕速攻は効きにくい。北東に位置する「タワー」は遮蔽物と攻撃側の射線が多く、一番安全なスポーンポイントである。南側に位置する「空調設備」は、ラペリングすれば屋敷東部に素早くたどり着けるが、開幕速攻を受けると危険である。かといってラペリングを避けると迂回して屋敷に向かうことになる。なお防衛側のカメラは庭園西、東、空調設備側に1つずつ配置されているため、防衛側にとっては侵入方向を読みやすいマップだ。

「Skyscraper」は全体的に破壊可能な床と壁が多く、攻撃側は上下左右の全方向から攻め込みやすい。防衛側から見ると、階段が3つ用意されていることから遊撃しやすいマップといえるだろう。また高い天井と小物が多いため、ヴァルキリーのカメラを隠すスポットには困らない。とくに天井は隠しやすい場所が多く、屋敷中央の太鼓部屋から天井に投げ込んだり、レストランエリアにある部分破壊済みの天井にうまく隠すことができる。破壊可能な壁が多いということは、新オペレーター「火花」のブリーチング能力を思う存分に発揮できるということでもある。もう一人の新オペレーター「エコー」についても、ドローンを天井に貼り付けて監視カメラの役目を果たしつつ、バースト攻撃をかけやすい。小さな部屋が複数隣り合わせになっているため、パルスも相変わらず活躍する。普段は肩身の狭いタチャンカによる壁開けも有効だろう。このように多くのオペレーターたちに活躍の機会があり、戦略の練り甲斐があるマップだ。

攻撃側を惑わす大量の穴
攻撃側を惑わす大量の穴

「Red Crow」アップデートでは新規オペレーターと新規マップのほかにも、武器のバランス調整、銃の種類によって壁に開く穴のサイズが変わるカリバー制度、そして新しいコスメアイテムも加わっている。しばらく『Rainbow Six Siege』に触れていなかった方も、これを機にぜひ復帰してみてはいかがだろうか。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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