[GGGotY] UnFreeMan編 『The Wonderful 101』 ハートで封した果たし状
私、UnFreeManが選ぶ2013年のGOTY上位5タイトルをここに掲載させていただく。弊誌GGeo内での共通選出ルールはこちらの趣旨説明の記事をご参照いただきたい。
また、私個人の基準として「2013年12月に発売されたゲームは対象外とする」という制限を設けることとした。理由は単純で、とてもプレイ時間が足りていないからだ。私が期待している『神々のトライフォース2』に至っては発売日が今日(本稿の執筆日は12/26)だし。来年も同じ企画を行う機会があれば、その時は「2013年12月~2014年11月」の発売タイトルを対象として選出することとしたい。
それを踏まえて、候補(順不同:ある程度納得するまでプレイ済み)は以下のタイトルだ。
- DmC Devil May Cry
- ヒットマン アブソリューション
- プレイステーション オールスター・バトルロイヤル
- 機装猟兵ガンハウンドEX
- ギンガフォース
- DEAD SPACE 3
- METAL GEAR RISING REVENGEANCE
- 真・三國無双7
- NINJA GAIDEN Σ2 PLUS
- Far Cry 3
- スーパーロボット大戦UX
- ルイージマンション2
- ゲーム&ワリオ
- バイオショック インフィニット
- トゥームレイダー
- 怒首領蜂 最大往生
- Papers,Please
- PROTEUS
- Surgeon Simulator 2013
- Takedown:Red Sabre
- DeadPool
- The Last of Us
- さよなら 海腹川背
- 新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
- New スーパールイージ U
- ピクミン3
- ドラゴンズクラウン
- レゴシティ アンダーカバー
- The Wonderful 101
- MONACO
- ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル
- スプリンターセル ブラックリスト
- モンスターハンター4
- ゼルダの伝説 風のタクト HD
- レイマン レジェンド
- ソニック ロストワールド(WiiU版)
- バトルフィールド 4
- 大合奏!バンドブラザーズP
- スーパーマリオ 3Dワールド
- 初音ミク Project mirai 2
- 怪獣が出る金曜日
- 虫けら戦車
- 3Dスーパーハングオン
- 魔女と勇者
- 3Dソニック・ザ・ヘッジホッグ
- ガンマンストーリー
- 3D獣王記
- CHAIN BLASTER
- KORG M01D
- 3DギャラクシーフォースII
- ソリティ馬
- 3Dザ・スーパー忍II
- だるめしスポーツ店
- 3Dベア・ナックル 怒りの鉄拳
- マイティー スイッチ フォース!
- スチームワールド ディグ
- スペランカーコレクション
- BattleBlock Theater
合計58本。「購入した数」だけで見れば実はこの倍近くある(110本)のだが、どれもプレイ時間が足りていない、あるいは開封できていないという身も蓋もない理由で選外とさせていただいた。
では5位から順に。
5位『バイオショック インフィニット』
初代『バイオショック』を手がけたIrretional Gamesによる正統続編。空中都市コロンビアのビジュアル、アメリカへの皮肉、初代以上に難解なストーリーなど見どころは沢山あるが、このゲームの魅力はヒロイン・エリザベスのキャラクターに集約されるのではないだろうか。
この手の相棒キャラクターというのは、往々にして敵に勝手に突っ込んでやられ、そのせいでゲームオーバーというイライラがつきものになるのだが、このゲームのエリザベスはそういうことにはならない。要所で鍵開けを行なってくれたり、バトル中に回復アイテムを投げてくれたりする、言ってしまえば便利なフラグにすぎないのだが、デモシーンで描かれるエリザベスの魅力的なキャラクターが私にそうと認識させない。十分に共闘感が演出され、エリザベス不在の場面では心細くなり、そしてあのラストシーンである。今年発売されたゲームのベストヒロインは間違いなく彼女だ。
一方でゲーム全体を通してみるとややちぐはぐな印象を受ける場面が多い。E3で見たあのシーンは出てこないし、義和団事件やインディアン虐殺をモチーフにしたイベントは挿入が唐突な気がしたし、前作『バイオショック』と違ってボイスログやキャラクターは物語をそれほど雄弁に説明してはくれないし、未回収の伏線も多い。バトル部分も閉所はともかく、野外など広いフィールドでの撃ち合いがかなり辛い。今回は敵が普通に銃を撃ってくるからだ。バイオショックのエッセンスはしっかり継承されているものの、個々の要素は据え置きか、やや後退してしまったように思う。
ともあれ、先を見たくなる、この世界を知りたくなるパワーを秘めたタイトルであることは間違いない。海底都市ラプチャーから飛び出しても、バイオショック特有のシニカルさやユーモアは健在だ。なによりエリザベスが素敵だし。5位という順位は彼女に捧げることとする。
4位『ソリティ馬』
正直なところ、一番最初にこのゲームが発表された時は「こりゃ滑ったかな」と思った。なにせティザーサイトの煽り文句が「あの定番ゲームが驚きのコラボで生まれ変わる!」だったのだから。それで出てきたのがまさかの「競馬+ソリティア」の組み合わせ。一体誰が予想しえただろうか。
予想というのはコラボの組み合わせのことばかりではない。私の「滑った」という第一印象は、遊んでみたらすっかり吹き飛ばされてしまった。緊張感あるソリティアのゲームプレイ、理不尽さも含めてそのエッセンスを高レベルで再構築した競馬のゲームプレイ、どちらも見事にこのゲームの両輪として機能している。お手つきにペナルティが存在するところ、競馬サイドでの位置取りやカーブといった要素がソリティアサイドの制限時間といった形で現れるなど、各要素の絡ませ方も直感的でスマートだ。馬の育成や配合といった競馬ゲームよりの要素も簡素ながら備えており、ツボはきっちりおさえている。
キャラなどゲームのノリがやや人を選びそうなところと、競馬特有の理不尽さもきちんと再現しているせいで「常勝」にはかなりの修練と馬の練度を要するところ、ゲームフリークらしい UI の微妙な行き届かなさなど足を引っ張る部分が無いわけではない。しかし確かな中毒性をこのゲームは有しており、発売されるやいなや私の通勤時間の大部分を奪っていった。
3位『Papers,Please』
こんなにも魅力的な苦行があっただろうか。入国書類の間違い探しという退屈な業務は、味付け次第でとてもスリリングな体験になるのだ。確かにゲームそのものの本質は単なる間違い探しのパズルゲームなのだが、グラフィック、世界観、シナリオ、ゲームプレイのすべてがギアリングし、このゲームを唯一無二の体験にまで押し上げている。以前、詳細なインプレッション記事を執筆したので、詳細はそちらを参照いただきたい。インディーゲームならではの優れたアイデアと、それを見事に実現した良作といえる。
インプレッション『Papers, Please』 バーチャルお役所仕事
2位『スーパーマリオ 3Dワールド』
アクションゲームにおけるマリオシリーズは『New スーパーマリオブラザーズWii』あたりから、それまでの「地形配置の妙によるジャンプアクション」から「各ステージに盛り込まれたギミックによるジャンプアクション」に本格的に転換したが、現時点でその路線の最高峰と断言できるタイトルである。全ステージに何かしらの新要素やギミックを盛り込み、それでいてそれらをゲームを通じて数回、最悪1度の使用で使い捨ててしまう、今年もっとも贅沢なアクションゲームだろう。
ゲーム内容はいつもの如く「ゴールめがけて突き進む」だけの、シリーズ共通の何ら変わり映えのない内容なのだが、だからこそステージが進んでも新鮮さや驚きが鈍らないというこのゲームの完成度が際立っている。カラフルでありながら全く破綻していない卓越したグラフィックセンスといい、これほど真っ直ぐなジャンプアクションゲームは任天堂にしか作れまい。
欠点があるとするなら、ベースが『3Dランド』なのでゲームスピードが少々遅く感じられるところ、マリオたちのダッシュ挙動も3Dランド以降の多段ギア方式なのでややスムーズさに欠けるところだろうか。ステージ数もやや物足りなく感じるが、それは無駄のなさの裏返しでもある。これだけの作りこみを出し惜しみすること無く一気に遊ばせてしまう、総じてシリーズの名に恥じない優れたタイトルだ。
1位『The Wonderful 101』
これほどまでにストレートに開発者から叩き付けられた挑戦状は、2013年内には他には無かった。プラチナゲームズからの、ディレクター神谷氏からの挑戦状である。バトルアクションの第一人者からの、バトルアクション愛好家に向けたラブレター。それが平坦なゲームであるはずがない。結果として「指先が伴わなければ死ぬ」というストレートにスパルタなゲームが出来上がった。
冷静に減点法で考えてみると、このゲームの出来は75点といったところだ。ゲームパッドとメイン画面を分割して操作する場面はカメラが災いしてストレスの塊だし、神谷氏が毎度義務のように盛り込むSTGパートは、毎度のように相変わらず退屈だ。
しかしながら、このラブレターの中には、STGに向けたものも含めた神谷氏のあらゆる愛情がつまりにつまっている。これまでの神谷タイトルの集大成のようなバトル、妙に難解な謎解き、思いつく限りのスペクタクルが盛り込まれた各種ボス戦、唐突に盛り込まれる他ジャンルパロディ、そのすべてがゲーム越しに「これがやりたかった、これが遊びたかった、だから作った」と強烈な自己主張をしているのだ。
このゲームそのものに対する愛情も確かで、たとえばバトルアクション部分だけ見てもこれまでの集大成に終わってはおらず、あらゆる行動にゲージ管理の要素を絡めることで「無敵避けで殴る」「無敵跳ね返しで殴る」というようなことはできないようになり、最終的に避けて殴るに終始しがちなバトルアクションに変化を持たせようとしている。
このむき出しの、トゲだらけの愛情は人を選ぶ。少なくともバトルアクションが好きでなければならない。なにせ事前にこのゲームの情報を集めず、プロローグステージ終了時に避けスキルと跳ね返しスキルを買わなかった人はもう予選落ちなのだから。
そして私はその愛情にすっかりあてられてしまった。STGステージやゲームパッドステージのたびにふと我に返る瞬間こそあるものの、次のバトルが、ボス戦の興奮が、そうした負の感情を覆い隠してゆく。
いま最高難易度を攻略しているところだが、まだ挑戦状への返事は出せそうにない。確かなことは、私が2013年にもっとも真剣に「やりこんだ」のはこのタイトルだったということだ。私の2013年を象徴するタイトルに本作を挙げることには何ら迷いがない。