Steamパン屋経営探索アクション『Aeruta(アルタ)』は、大型無料アプデで「好感度システム」が導入され一気にラブ要素充実。より楽しい借金生活

FromDawnGamesは11月21日、『Aeruta(アルタ)』の大型無料アップデートを配信開始した。その内容をご紹介。

デベロッパーのFromDawnGamesは11月21日、『Aeruta(アルタ)』の大型無料アップデートを配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、日本語にも対応している。

『Aeruta(アルタ)』は、ダンジョンでの食材探索アクションと、パン屋経営シミュレーションを同時に楽しめるRPGだ。主人公はキツネ耳の少女冒険者チャヤだ。ある日、ひょんなことからパン屋のオーブンが大爆発してしまい、たまたま近くにいたチャヤはその借金を背負ってしまう。こうしてチャヤが、ギルドのミッションをこなす傍ら借金返済のためパン屋の手伝いを始めるところから話は始まる。


本作は、5月16日に早期アクセス配信が開始され、レビュー評価は配信直後から「非常に好評」ステータスを維持している(関連記事)。これまでの約半年間は、最初のバージョンの調整をメインとした継続的なアップデートを進めてきた。今回のアップデートは、早期アクセス版リリース以来初の大型アップデートなっており、新要素も数多く追加されている。本記事では、アップデート版の先行プレイを通じて感じた本作の新要素の魅力について、筆者の視点からお届けしたい。

好感度イベントによって丁寧に描かれる関係性

本作では、主人公であるキツネ耳の少女チャヤを筆頭に、どのキャラクターもみな、いわゆる獣耳を生やしているという特徴がある。ただしその種族はまちまちで、パン屋のイーフィは熊で、ほかにも羊やカンガルーやウサギをモチーフにした耳を持つ女の子たちが登場する。どの子もカラフルで口調も独特なため、個性が際立っていて覚えやすいし、動物が好きな筆者としてはもふもふした生き物に囲まれているような気分でほんわかプレイできるタイトルだ。特に拠点となるパン屋のある「コムギ広場」は、ほっと一息つける場所だ。拠点でのNPCたちとの会話は、ダンジョンのバトルが意外に難しい本作における心のオアシスと言える。

そんな本作の拠点に、この度NPCが2名追加され、キャラクター好感度システムも導入された。広場には名もなきNPCも何人か歩いているが、今回追加されたNPCたちはちゃんと彼女ら自身のお店を持つネームドキャラクターなので、有用な施設が2か所追加されたことになる。既存のキャラクターたちと合わせると、合計5名のNPCと5つの施設が存在することとなり、施設で会話コマンドを使用したときに毎日の初回分のみ好感度ゲージが上がるようになった。また、プレゼントを与えるとゲージが一気に上昇する。プレゼントは、一定確率でダンジョンに発生することがあるお宝マスで拾うことができる。早く好感度を上げたい場合は積極的にお宝マスを狙うと良さそうだ。

各お店の役割は、拠点の建物を建造・アップグレードから、チャヤのステータス向上や武器のスキルマスタリーの管理、食材調達までさまざまであり、どのお店も毎日通う必要があるわけではない。しかし、今回好感度のパラメータが追加になったので、筆者は早速毎日通ってハート型のゲージが満タンになるところまでNPCに話しかけ続けてみた。最初にパン屋のイーフィのゲージがMAXになり、その日一日をイーフィと過ごすイベントが発生した。これまでは、パン屋の営業日にするかダンジョン探索に行って帰って来ることでゲーム内日数が1日経過していた。今回好感度システムが追加されたことにより、好感度ゲージがMAXになったNPCと1日を過ごすことでも日付が変わるようである。

好感度を上げるために毎日NPC全員と話してみて驚いたのは、NPCごとのセリフバリエーションが豊富で、毎日こまめにNPCに話しかけるという行為が作業感のあるルーチンではなく、楽しい読み物になっていることだ。NPC同士、誰が誰をどのように思っているのかなども少しずつ語られ、なかなか同じセリフが繰り返し表示されることがなかった。そのうち順繰りに一人、また一人と好感度がMAXになり頻繁にイベントが発生するので、ダンジョンとパン屋を往復する日々にかなりの変化と新鮮味がもたらされた。

毎日のちょっとした会話の中でうっすら伏線が張られており、次の好感度MAXイベントのときに回収されるというようなこともあり、ますますそのキャラクターのことを知りたくなる。そして翌日からも通い詰めるという寸法だ。一度見たセリフがまた表示される頃には、ダンジョンマップを進行してメインストーリーも展開していくので、それに応じてまた新しいセリフが出てくることになり、読み飛ばすのがもったいなくて、毎日じっくり読み込んでしまった。

また、好感度が0からレベル1になった際のそれぞれのイベントでも、少しずつチャヤと仲間たちの交流が深まっていく感じがして良かった。どのキャラクターのイベントも、チャヤとNPCによる1対1の対話形式で進む。チャヤが「どうしてコムギ広場へ来たの?」というような当たり障りのない質問をして、NPCがそれに答えていくような流れだ。この質問にどんな内容でどんな風に答えるのかを見ているだけで、そのNPCの個性やバックグラウンドがじわじわと伝わってくる。それに、まだ好感度がすごく高いわけではないためにキャラクター同士の間に一定の距離感も感じられ、もっと知りたくてもどかしいような気持ちになる。

さらに、好感度イベント以外のカットシーンでも、キャラクターの関係性や考え方などが対話を介して描かれていて面白かった。好感度イベントでは、チャヤからの質問とNPCからの回答というようなやり取りが行われる。これは少しずつ双方の距離が縮まっていく感じがした。一方、ストーリーのイベントカットシーンでは出来事に対するチャヤとNPCが異なる価値観や考えを持っていることがわかったりする。ただし、自分と自分以外が違うということを確認することは、否定することと同義ではない。これも一つの交流の形となっているように思う。

チャヤとNPCの関係は現状、なんとなく近所で暮らすことになったけれど、まだお互いのことがよくわかっておらず、毎日少しずつ好きなところと苦手かもしれないところが見つかるようなふわふわとしものであるように感じた。すぐにもっと仲良くなれる可能性もあれば、少しのことで険悪になってしまうおそれもある。それぞれが異なる役割を持っているため協力関係にはあるが、仲良しだから一緒に暮らし始めたわけではないのが今の関係だ。しかし、こういうふわふわした関係の中で徐々にお互いを知って、仲良くなっていくんだろうとも思う。

筆者は、キャラクター同士の関係性に着目しながら物語を追いかけるのが好きなので、このように徐々に関係性が変化していく過程こそが面白く感じた。チャヤとNPCたちはこれから仲良くなっていくのか。どんな風に考えをぶつけ合ったり、絆を深めていくのか。この先、好感度の各レベルのイベントを一つ一つ見ていくのが楽しみだと感じた。メインストーリーのカットシーンでの会話も、普段の会話の積み重ねがあるからこそ深みが増したように感じられてとても良かった。なお、最初の好感度イベントが終わると、その翌日から、パン屋開店の際にそのNPCをお手伝いに呼べるようになる。一度NPCをヘルプで呼ぶと、6日間のクールタイムが生じるが、これは好感度を上げていくと短縮することができる。

キャラクターによってお手伝いに呼んだ時に発動する効果が異なり、パンの単価を上げて売上を伸ばしてくれるキャラもいれば、実際に開店してみなければ何が起こるのかさっぱりわからないキャラもいた。後者は一人称が「ボク 」で、自らを「天才激かわ科学者 」と称する大変自己評価の高い「チララ」という女の子だ。彼女がわけのわからない薬を店内に撒き散らす度に、虚空からパンが現れて棚に補充されたり、来店中のお客さんが突如小さくなったり、お客さんの購買意欲が急激に高まったりして気が気ではない。こちらは焼き立てのパンを棚に運んだり、お客さんが床に捨てるゴミを片付けたり、レジでお会計をしたりと忙しいので、あまり突拍子もないことをしないでほしいと思いつつも、面白いのでやっぱりヘルプに呼んでしまう。少なくとも、お店にとって不利なことは起こったことがないので、今のところは助かっているような気がする(気のせいでないと良いのだが)。


新マップ追加で、ダンジョンやボスはますますシビアにでも自分に合った難易度調整ができる

本作のダンジョンは、戦闘や採集のできる3~4ステージを経て、回復部屋を通ってからボスステージへ到達するという構成になっている。モンスターのデザインも、拠点の獣耳NPCたちに負けず劣らずの可愛らしさをしているが、その見た目に騙されてはいけない。回復手段の限定されている序盤は特に、相手の出方をよく観察せずに突っ込んでいくと道中撤退を余儀なくされることもある。基本的にモンスターは複数でポップし、異なるモーションで同時に襲いかかってくるからだ。挟まれたり、回避のタイミングを間違えたりすると、すぐに被弾してしまう。慎重に個々の動きを観察したり、距離を取ったり、ヒット&アウェイ戦法を取ったりと、ゆっくり確実に倒していかなければ危険だ。ひとつひとつのステージは広くはないし敵の数も多くはない。しかし、回復手段が少ない中で最後にボスに勝って出てくることを考えると道中での被弾は極力減らしたいところだ。

なお、本作にはカジュアルモードが存在。アクションゲームに苦手意識のある方にもカジュアルモードで遊んでいただき、少しずつ自分が敵の動きに対応できるようになっていく感覚を味わってほしい。新施設「バッジショップ」では、回復効果を持つ装備品も販売されており、道中撤退率の低減に寄与してくれる。


とにかくずっと可愛さとやりこみ要素が大渋滞

今回のアップデートでは、ほかにもさらに本作をやりこみたくなる要素がある。新マップにて新食材が登場した分、パンレシピが10種類も増えており、いずれも可愛くて個性的なパンばかりだ。新たなパンを作れるようになるために新マップに通って食材を潤沢に採集してこなければならないという使命感が湧く。そして、パンはアンロックして終了ではない。熟練度上げというやりこみ要素もセットになっている。調理可能になったパンを実際にお店に出してパンごとの経験値を稼ぎ、熟練度を上げることで単価も上がるという仕組みだ。やりこみプレイが好きな筆者は、早く全メニューの熟練度を最高にしたくてうずうずしている。しかし、毎日パンを売っていれば食材が足りなくなるので探索に出かける必要がある。そして探索に出かける前にNPC全員を話して好感度も上げておきたい。という具合に、やりこみたいポイントが盛り沢山だ。いずれのコンテンツも可愛くて楽しくて、あっという間にゲーム内カレンダーの1か月が経過していく。今回、施設のアップグレードによって一度の営業で5種類のパンを販売することが可能になったので、複数のパンの熟練度を並行して上げることも容易になった。毎日NPCに話しかけて好感度を上げ、パンの熟練度を上げ、忙しく楽しい借金返済生活は続く。

以上が、『Aeruta(アルタ)』の最新アップデートを先行プレイして感じた魅力だ。敵も味方も可愛いピクセルアートで描かれ、ほんわかパン屋さん経営としっかり手応えのあるアクションをまとめて楽しめる本作をぜひプレイしてみてほしい。次の大型アップデートは冬に予定されており、さらなるコンテンツ追加が楽しみだ。

『Aeruta(アルタ)』は、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中。なお正式版リリースの際には販売価格の値上げを見込んでいるとのこと。

Kei Aiuchi
Kei Aiuchi

RPG、パズル、謎解きアドベンチャー、放置系などを遊びます。比較的やりこみ型。特に好きなゲームは『ルーマニア#203』

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