『ゼルダの伝説 BotW』100年前を描く『ゼルダ無双 厄災の黙示録』はどのような結末を迎えるのか。原作で語られた設定とは異なるひとつの疑問点から考察

『ゼルダ無双 厄災の黙示録』では、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の100年前のハイラル王国が描かれる。しかし、設定面では疑問点を抱くかもしれない。そうした部分を考察しよう。

昨日9月8日、任天堂およびコーエーテクモゲームスより発表された『ゼルダ無双 厄災の黙示録』。原作となる『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下、BotW)』では深く語られなかった100年前のハイラル王国を舞台に、在りし日の英雄たちが多数の敵軍勢と戦う大戦争が体験できるという。しかしながら、公開された1stトレイラーを目にした原作ファンの中には、『ゼルダの伝説 BotW』で語られた設定とは相違する点に疑問を抱いた方もいるのではないだろうか。知られざる歴史を紐解く本作の物語は、原作とは異なる結末を迎えるのかもしれない。なお本稿には、『ゼルダの伝説 BotW』のストーリーに関するネタバレが含まれている。

疑問点を示す前に、まずは1stトレイラーの情報を整理しよう。動画冒頭では、カカリコ村に住むシーカー族の長であるインパ、そしてハイラル王国最後の王であるハイラル王によって「ハイラル王国の歴史は、太古の昔から幾度もガノンという厄災に見舞われてきた歴史」「今こそ話そう。100年前、何があったのか」と原作同様の台詞が語られる。そして中央ハイラルの式典場に集ったハイリア兵の軍勢とともに、ハイリア兵の鎧を着たリンクが登場。ボコブリンやモリブリンが連なる敵軍勢に立ち向かっていく。

動画中盤から戦争はさらに激化。スタルボコブリンやスタルリザルフォスといった夜間に登場する敵が姿を見せ始める。半人半獣の強敵ライネルに対峙するゼルダをはじめ、英雄の衣を纏った4英傑も参戦。ゲルドの街やゾーラの里周辺で、イーガ団や暴走したガーディアン、ヒノックスらと戦うミファー・ダルケル・リーバル・ウルボザの雄姿が確認できる。そしてリンクとゼルダが振り返った先には、ハイラル城を覆う怨念にまみれし厄災の姿が。


さて、ここまでで疑問点が生じたのはトレイラー内の戦闘シーン。具体的には、リンクとゼルダが戦闘中にシーカーストーンの「リモコンバクダン」「ビタロック」の機能を用いたアクションを駆使している点だ。100年前のハイラルであるにかかわらず。

シーカーストーンは、遥か昔のシーカー族が持つテクノロジーによって造られた小型端末だ。原作では様々な機能が搭載されており、勇導石を介することで新たな機能を解放することができた。しかしながら、本作の舞台から100年後のハイラル、原作のゲーム開始時には基本機能や「リモコンバクダン」「ビタロック」といった機能もロックされているのだ。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』


100年前のシーカーストーンが持つ機能については、原作でシーカー族の研究者であるプルアが言及している。シーカーストーンは100年前、大厄災に備えて古代遺物の発掘調査を行っていたプルアとゼルダによって、回生の祠から発掘されたもの。その後はゼルダが所有者となる。

当時のシーカーストーンが持つ機能は「ウツシエ」「ハイラル図鑑」「アルバム」の3つ。他の機能は、シーカーストーンが厄災との戦いで倒れたリンクとともに回生の祠に保管後、プルアが古文書の研究によって存在を明らかにしたものである。さらには追加機能の存在こそ判明していたが、機能自体をシーカーストーンへ追加する方法は謎のままだった。実際に機能の追加方法をプルアが閃いたのは、リンクが目覚めた100年後。シーカータワーが地上に現れ、古代の祠が機能した時である。ゼルダに至っても、リンクがウツシエの記憶の地を訪れることで見られる100年前の回想シーンの一部にて、各地にある古代の祠の起動方法は解らないと発言している。実際は祠がエネルギー不足だったため、シーカーストーンをかざしても起動できなかった。

以上のことから、100年前にシーカーストーンの追加機能である「リモコンバクダン」「ビタロック」といったアイテムは使用できるはずがないのだ。原作で語られた背景と相違する疑問点であるといえる。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』


この疑問点については、原作のシーカーストーンに関する設定が本作中に取り入れられてないとは考えにくい。任天堂の公開動画にて本作のプロデューサーである早矢仕洋介氏が、「『ゼルダの伝説』開発チームの方々に、世界観や台詞の一つ一つまでご意見いただきながら開発を進めてきた」と言及されているからだ。システム面の都合があったとしても、なんらかの形で整合性はとられていると考えるべきだろう。

では、なぜシーカーストーンの追加機能が100年前に使用できるのだろうか。正史として新たな筋書きが加えられるのか。はたまた新たなゼルダ史として原作とは異なる歴史に繋がるのか。筆者がもう1点気になったのは、本作パッケージにも使用されているイラストワーク中、リンクの隣に映っている白いボディをしたガーディアン。原作で登場する祠にも1体だけ白いガーディアンが存在したが、それとは形状が異なっているようだ。原作では描かれなかった新キャラクターである可能性が高い。前作『ゼルダ無双』をはじめ、無双シリーズは多数のプレイアブルキャラクターが使用できるのも魅力の一つ。白いガーディアン以外にも、原作には登場しなかった新たなキャラクターが登場するかもしれない。

原作で100年前の様子が描写されていたキャラクターの登場にも期待したい。インパ、プルア、ロベリーといったシーカー族の面々。ゾーラ族の王ドレファンや王子シド、ミファーの教育係であるムズリ。リトの村の族長であるカーン。ゴロン族の組長ブルドー。そしてカッシーワの師匠となる人物。ぜひとも100年前の若かりし姿を見てみたいものだ。


原作との繋がりを考慮すると、どうしても壮絶な結末に繋がってしまう。現にTwitter上では「バッドエンド確定」のワードがトレンド入りを果たしている。しかしながら、新たなキャラクターが物語に絡むことで、場合によっては原作と異なる結末を迎える可能性も十分考えられるだろう。1stトレイラーによると、新情報の公開は9月26日。来たる公開日に備えて原作の物語を再度振り返り、さまざまな考察をしてみてはいかがだろうか。

『ゼルダ無双 厄災の黙示録』は、Nintendo Switch向けに11月20日発売予定だ。

Tetsuya Yoshimoto
Tetsuya Yoshimoto

ニュース担当。国内を中心に日々トレンドを探求しています。新しいものや可愛いものが好き。

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