メックアクション『MechWarrior 5: Mercenaries』のEpic Gamesストア独占販売切り替えに批判集まる。開発元は、変更理由を説明

PC向けメックアクションゲーム『MechWarrior 5: Mercenaries』の発売日が先日発表され、予定よりも3か月延期して12月10日に決定した。この発表に際しては、Epic Gamesストアにて独占販売することも明らかにされており、恒例のごとく批判を呼んでいる。

デベロッパーのPiranha Gamesが手がけるPC向けメックアクションゲーム『MechWarrior 5: Mercenaries』の発売日が先日発表され、予定よりも3か月延期して12月10日に決定した。この発表に際しては、それまで計画していたSteamではなく、Epic Gamesストアにて独占販売することも明らかにされた。独占期間は1年とのこと(関連記事)。同スタジオの代表Russ Bullock氏は7月27日、この判断に至った理由についてファンに説明しており、後日その音声が公開された。海外メディアPolygonなどが報じている。

*本作の早期予約版「Community Edition」の解説をするRuss Bullock氏

まず本作の販売の流れを説明しておこう。開発元Piranha Gamesは今年1月に「Community Edition」として早期予約を受け付けていた。当時公開されたFAQではSteamキーを提供すると明記し、またSteamにて通常版の予約受付をおこなう可能性にも言及していた。そのため、今回の突然のEpic Gamesストア独占販売への変更に、Piranha Gamesには批判の声が殺到する。

その背景にはEpic Gamesストア自体が機能的に未成熟ということがあり、Epic Gamesストア独占へと舵を切ったほかのタイトルにて何度も見てきた光景がまた繰り返された形だ。また今年7月中旬に、そのFAQからSteamに関する記述が削除されファンが疑心暗鬼になっているなか、Russ Bullock氏が(結果的に)はぐらかすようなコメントをしていたことも火に油を注ぐこととなった。

Bullock氏は、Epic Gamesストアにて本作を独占販売すべくEpic Gamesと契約したのは今年4月末だったとし、その理由として、まずストアでの露出を挙げている。Piranha Gamesは現在『MechWarrior Online』をSteamにて販売しており、ゲームのアップデートなどをおこなった際には、ストアの目立つ場所に掲載してもらえる。しかし、Steamでは次々に新作が発売されるため、その限られたスペースにいられる時間は短く、Bullock氏は10時間も経てばまた埋もれてしまうと述べる。

一方のEpic Gamesストアでは、本作の発売後1か月かそれ以上にわたって、ユーザーの目につきやすい場所に置いてもらえるだろうとしている。ストアでの露出は売り上げに大きく結びつくため、Bullock氏は小規模なデベロッパーほど頭を悩ませている問題だとしている。

Bullock氏は、『MechWarrior 5: Mercenaries』の売り上げ目標を少なくとも100万本に設定していることも明かしている。Epic Gamesストア向けには『ボーダーランズ3』などの注目作が発売予定となっており新規ユーザーが増えつつあるため、同ストアにて高い露出を長期間得られれば、目標達成の可能性が高いと判断したそうだ。

Epic Gamesストアでの売り上げの、メーカー側とストア側との配分比率についても言及された。Steamでは売り上げの3割をValveに支払うが、Epic Gamesストアでは12パーセントをEpic Gamesに支払う。さらに本作はUnreal Engine 4で開発されているため、Epic Gamesストアで販売すれば売り上げに対するそのライセンス料も事実上免除される。Bullock氏は、Steamと比べて得られる利益の差額はかなり大きいとしている。

また今回の発売日発表の中では、返金についての説明が異例というほど詳しくおこなわれ、同スタジオはファンの反発を予期していたように見えた。実際、ファンの反応には注意を払っているという。Bullock氏によると、これまでに2万本以上の予約を受け付けており、発表初日に返金を申請したのは700人ほどだったそうだ。なお返金にかかるコストは、Epic GamesではなくPiranha Gamesが負担しているとのこと。

このように、同スタジオは高い売り上げ目標を持ち、Epic Gamesストアならそれを達成できる可能性が高いと判断して独占販売を決めたようだ。また、より多くの利益を求めたことも分かる。Bullock氏は『MechWarrior』シリーズの将来についても言及し、今後も続編を作っていくためには今回の決断を下さざるを得なかったとしている。

PCゲーマーから多くの批判を浴びるEpic Gamesストアではあるが、『World War Z』が発売から2か月で70万本を売り上げるなど成功例も見られる。また、『MechWarrior 5: Mercenaries』においてはEpic Gamesからの資金提供があったことも示唆されており、デベロッパーの同ストアへの受け止めはゲーマーとはやや異なるものがあるようだ。とはいえ、たとえば本作のMod対応はストア側のサポートを待つ状況となっており、Epic Gamesストアの改善が急務であることは変わりなく、そうした機能が備えられない限り消費者の批判からは逃れられないだろう。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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