『Dota Underlords』Steam/スマートフォン向けにオープンベータ開始。「アイテム」が特徴的なValve版『Auto Chess』
Valveは6月21日、『Dota Underlords』のオープンベータテストを開始した。対応プラットフォームはSteam/Android/iOS。各種ストアにて公開中で、ダウンロードすることで誰でもプレイ可能だ。クロスプレイに対応し、日本語にも対応している。『Dota Underlords』は、Valveが開発中だと発表していた『Dota 2』のMod『Auto Chess』のスタンドアローン版。『Dota 2』のBattle Pass所有者向けに、先行してプレビュー版が公開されていたが、本日全ユーザーに向かって公開されたことになる。なお、スタンドアローン版だけあって、本家『Auto Chess』のMod版より動作が軽い印象だ。
『Auto Chess』がベースになっているということもあり、『Dota Underlords』のゲームプレイも基本的な流れは同じだ。ラウンド開始時に提示されるユニットの中から、リソースを支払ってユニットを購入し、盤面にユニットをセット。戦闘はオートで進行し、敗北した場合はプレイヤーが結果に応じたダメージを受ける。この流れを繰り返して、8人のプレイヤーの中から一人の勝者を決定する。同じユニットを3つ集めれば駒のランクが一つ上昇し、ステータスが大幅に上昇。駒にそれぞれ設定されたスキルと、種族/クラスによるシナジーを意識して構成を考え、経験値/リロールにリソースを割くタイミングを見計らいながら、生き残りを目指していく。
現時点で実装されているゲームモードは、オンラインを通じて誰かと対戦できる「マルチプレイヤー」、一人でレベルの設定されたボットを相手にできる「ソロ/ボット」、要素が非常に多く複雑な「Auto Chess」のゲームルールが学べる「チュートリアル」の3種類。またクライアント上には、『Dota Underlords』に登場するアイテムやヒーローの一覧と、種族/クラスバフを「アライアンス」としてまとめて掲載されている。
ここからは、本家『Auto Chess』と『Dota Underlords』を比較しながら、より詳しくゲーム内容について触れていく。まずグラフィックについてだが、Valveが開発し「Dota」の名を冠しているだけあって、『Dota 2』のヒーローたちがそのまま登場している。本家『Auto Chess』のスタンドアローン版では、デフォルメ強めなキャラクターデザインに変更されているが、現在Mod版で遊んでいるプレイヤーにとっては馴染み深いデザインのユニットたちを、『Dota Underlords』ではそのまま使えることとなる。
これはデザインだけの話ではなく、ゲームプレイについても言えることで、『Dota Underlords』の各ユニットが持つ固有スキルは、細かな差こそあれど基本的にはMod版『Auto Chess』で各ユニットに設定されていたスキルと同じものだ。「クンカ」は船を呼びAOEスタンを与えるし、「タイドハンター」は周囲の敵を打ち上げる。バランス面で調整が加えられているスキルもあるが、同じような方向性のスキルがユニットに設定されており、またユニットのクラス/種族も基本的には同じなので、Mod版『Auto Chess』のプレイヤーは直感的に『Dota Underlords』が遊べるようになっている。
一方で、『Dota Underlords』ではバランス面で多くの調整が加えられているが、中でも目をひくのはアイテムだろう。本家『Auto Chess』のアイテムは、基本的にユニットの能力を拡張し、戦闘を優位に進めるもの。例えば高ランクの「エルフの騎士ルナ」に「呪われた吸血攻撃のマスク」を装備させたり、「雷の神ゼウス」にCD解消のオーブを装備させ連続で雷を落としたりなど、ターンの勝敗を左右するレベルで強力なユニットとアイテムの組み合わせは存在するが、あくまでユニットに装備させるものだった。『Dota Underlords』には、そうした盤面に影響を与えるアイテムだけでなく、最大ユニット数を+1する「増員名簿」や、毎ラウンド1回リロールが無料になる「リクルーター」など、盤外に影響を与えるアイテムが実装されており、これらの存在はとても興味深い。
アイテムだけでなく、暗殺者に9体揃えた時の効果が用意されていることや、実装されているユニットの違いなど、現行のMod版『Auto Chess』とはゲームバランス面で大きな違いがある。また、度々挟まる非プレイヤーとの戦闘ラウンドでは、アイテムの取得方法が変更されていて、勝っても負けても3択からアイテムを1つ選択する方式で、運に左右される要素が減っていると言える。なお、先日からRiot Gamesが『League of Legends』内でPBE向けに公開している「Team Fight Tactics」では、椅子取りゲームのような形式でアイテムを取得するラウンドが存在している。
オープンベータテストが始まったばかりの『Dota Underlords』。クライアント内で確認できるメッセージによれば、ベータで実装されているのは主要ユニットとゲームプレイ機能で、第1シーズンに向けて速いペースで新機能の追加が行われるそうだ。ベータの期間は数ヶ月。この期間に、ヒーローやアライアンス、アイテムを更に追加して、最高の状態で正式リリースを目指すとしている。