続編発表などを受け『ボーダーランズ』がSteamにて大盛況。一方開発者は、最新作のEpic Gamesストア独占に対する想いを長文で語る

Steam上のプレイヤー数などを観測しているGitHypは4月11日、『ボーダーランズ2』のプレイヤー数が急増していると報告した。一方でシリーズの開発元Gearbox SoftwareのCEO Randy Pitchford氏は、最新作の独占について想いを語っている。

Steam上のプレイヤー数などを観測しているGitHypは4月11日、『ボーダーランズ2』のプレイヤー数が急増していると報告した。もともと人気のある作品で、2012年の発売から同時接続プレイヤー数はSteamでのトップ50以内を維持してきたが、今年4月に入ってから伸び始め、最初の週末にはここ最近の平均の約5倍にあたる約6万人に達した。

Image Credit: GitHyp

『ボーダーランズ2』を含むシリーズ作のSteam版をめぐっては、シリーズ最新作の『ボーダーランズ3』のPC版がEpic Gamesストア時限独占となったことに対する抗議として、大量の不評レビューを投稿する“レビュー爆撃”が発生。しかし、Valveは論点のずれたレビューを検出したとして、4月3日以降のユーザーレビューは同作のレビュースコアの算出から除外する措置を続けている(関連記事)。

こうした大きな不満が渦巻く中で、多くのユーザーが『ボーダーランズ2』に帰ってくるという現象が確認されたわけだ。『ボーダーランズ プリシークエル』などほかのシリーズ作でも、比較的控えめではあるがプレイヤー数の上昇を見ている。その理由についてGitHypは、『ボーダーランズ』シリーズのバンドル版のセールがおこなわれていることや、高解像度テクスチャパックが無料リリースされたこと、そして『ボーダーランズ3』の正式発表による気運の盛り上がりがあるのではないかとしている。

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とはいえ、PC版『ボーダーランズ3』のEpic Gamesストア時限独占への不満は依然燻り続けており、中にはシリーズの開発元Gearbox SoftwareのCEO Randy Pitchford氏に、Twitter上で直接意見をぶつける人もいる。ある人物は、Steamはユーザー人口やプラットフォームとしての機能などあらゆる面でほかのストアより優れている一方、Epic Gamesストアは未成熟で利用したいと思える段階ではないと指摘。これに対してPitchford氏は4月13日、Epic Gamesストアに対する自身の考えを述べている。

Pitchford氏はまず、『ボーダーランズ3』の販売プラットフォームの決定についてはパブリッシャーの2Kが権限を持っているとした上で、SteamはEpic Gamesストアにはない機能を数多く持っていることは事実であると認める。Epic Gamesストアの開発ロードマップはTrello上で公開されており、短・中・長期的な目標がそれぞれ掲げられている。たとえば今後3か月以内の実装を目指す機能としては、クラウドセーブやジャンル・タグでの検索機能、購入済みDLCの明示、ストアデザインの刷新などが挙げられている。また6か月後までの中期目標としては、ユーザーレビュー機能やウィッシュリスト、Modサポートなどがある。

Pitchford氏は、『ボーダーランズ3』が発売される9月にはEpic Gamesストアは今とは異なる姿になっているはずだとし、顧客満足度の向上に資する機能をEpic Gamesが追加していくことへの期待を語る。一方で、もし『ボーダーランズ3』のローンチまでにそれが十分に果たされなければ、Epic Gamesはふたたび苦しい状況に陥るだろうとし、これは同社に課された大きな使命だと述べる。

そうした重要なストア機能について、Pitchford氏はより早いタイムラインで実装されていくだろうと予想するが、『ボーダーランズ3』が発売されるまでに間に合わない可能性ももちろん存在し、それは2Kが受け入れたリスクであり、Gearbox Softwareとしてもその判断を尊重したという。ただ同氏は、ValveやEpic Gamesと長年仕事をしてきた経験上、Epic Gamesのテクノロジーへの投資行動はValveのそれを上回るペースになると見ているようだ。長期的な視点で見れば、Epic Gamesストアが競争力を持って存在すれば、『ボーダーランズ3』やその後発売する作品にとって利益となり、前述したリスクについては楽観的に受け止めているという。

そのストア間の競争についてPitchford氏は、競合相手が存在するからこそ各ストアはユーザーに最高の体験を提供して勝利することを目指すため、ユーザーにとっては間違いなく素晴らしいことだと述べる。また開発・販売元にとっても、利益になるかもしれないとコメント。そして、これから10年後の未来を想像した場合、Epic Gamesストアは業界のリーダーにはなっていないかもしれないが、それはSteamでもないかもしれないとし、Epic Gamesが現在取り組んでいることは、活気ある市場競争に繋がる道へのドアを開けた段階だとしている。

またPitchford氏は、Epic GamesのUnreal Engineへの取り組みについても言及。同社は20年以上にわたって、ほかのどのゲームエンジンやミドルウェアよりも速いペースでUEを改善・向上させ続けており、顧客の利益のために何に再投資するのかという同社の判断は非常に高い信頼を得ているとコメント。こうした姿勢が、開発・販売元のEpic Gamesストアへの期待に繋がっているということのようだ。

一方のValveについても、Steamから得た資金をテクノロジーに投資しており、それにより生み出されたイノベーションには賛辞が送られるべきだと述べる。ただ、Steam以外への投資にかなりの部分が割かれてきたとし、これは結局Steamに競争相手となるストアが存在しなかったためだと指摘している。そしてEpic Gamesストアが登場したいま、ValveはSteamの機能的な向上への投資を高めるべきだとコメント。Pitchford氏は、Valveには素晴らしいタレントが揃っており対抗するだろうとし、Steamユーザーや開発・販売元にとっても、より良い状況になると予想する。

Epic Gamesストアに対するゲーマーの不満としては、独占タイトルを囲い込むことも挙げられる。これに関連してPitchford氏は、『ボーダーランズ3』の時限独占はEpic Gamesと2Kとの間の交渉で決まったことだが、より多くのゲーマーに作品を届けたい立場としては、6か月間の時限独占にとどまったことは非常に良かったとコメント。同作をEpic Gamesストアに独占提供することは、前述した顧客満足度の向上を達成させるうえで重要な要素ではあったものの、もしEpic Gamesから完全な独占タイトルにすることを求められていれば、2Kは交渉を打ち切っていたかもしれないとしている。

Randy Pitchford氏は、競争においてはさまざまな困難があるものだとしながら、長年にわたるEpic Gamesとの付き合いからEpic Gamesストアは期待を寄せるに値すると見ているようだ。同氏のこれらの発言には理解を示す意見もあれば、納得のいっていない様子のものもあり、ゲーマーの間での議論は続きそうだ。

なお、『ボーダーランズ3』はPS4/Xbox OneそしてEpic Gamesストア向けに9月13日に発売予定。PC版がSteamなどほかのストアに登場するのは、早くても2020年4月になる。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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