『Fallout 76』に登場予定の「修理キット」を巡り、多くのファンから反発の声あがる。課金に対する過去の発言と大きく矛盾
Bethesda Softworksは4月5日、『Fallout 76』の情報を届ける「Inside the Vault」を更新。直近の予定として、4月9日に配信するパッチ8以降に実装するコンテンツの詳細を発表した。ここでは新ダンジョン「バローズ」や、アパラチアの風景を撮影できる「スナップマティック! カメラ」などが挙げられており、さらに「修理キット」も新たに実装するという(関連記事)。ただ、この修理キットを巡って、海外のコミュニティからBethesdaへの猛烈な反発の声が上がっている。
修理キットとは、その名のとおり装備を修理するためのもので、「標準修理キット」と「強化修理キット」の2種類が存在する。どちらもインベントリ内のアイテムをひとつだけ修理できる1回限りの消費アイテムだが、標準修理キットの場合は100パーセントの状態に修復でき、強化修理キットでは150パーセントまで修復・強化することができる。そして、標準修理キットはアトミックショップにてアトムを消費して入手でき、強化修理キットの方はスコーチビースト・クイーンを倒した際など、ゲーム内のコンテンツ進行に合わせて獲得できる希少なものとなる。
この「標準修理キットがアトミックショップにてアトムで購入できる」という点が、コミュニティから問題視されている。というのもBethesdaは昨年11月、アトミックショップの概要を紹介する際に、武器やアーマーのスキン、エモート、装飾などのコスメアイテムを扱い、「競争で優位に立つことにつながるアイテムは販売していない」とわざわざ太字で明言していたためだ。
『Fallout 76』にて装備を修理するには、アルミニウム片などのクラフト素材を入手した上で、作業台がある場所まで行かなければならない。しかし、修理キットで修理する場合はクラフト素材も作業台も必要なく、Pip-boyを開けばいつでもどこでも修理できる(作業台やC.A.M.P.、ワークショップでも使用可能)。標準修理キットは装備を直接強化するアイテムではないが、間接的に戦闘などゲームプレイを有利にすることに繋がるものと考えられるほか、そもそもコスメアイテムでは決してない。
さらに、修理キットは捨てたりベンダーに売ったり、ほかのプレイヤーと交換することは不可能となっており、標準修理キットを入手するには本作のゲーム内通貨であるアトムが必須。アトムはゲームプレイを通じて入手することができるが、(海外では)実際のお金で購入することができる少額課金アイテムでもある。
この修理キットの発表を受けて、本作のRedditコミュニティでは関連するスレッドが乱立。アトミックショップではコスメアイテムのみを販売するという当初の約束を反故にしたと、Bethesdaを非難する声で溢れている。また、修理キットのアイデア自体は歓迎するが、これをアトミックショップで販売することは事実上Pay-to-WinあるいはPay-to-Relief(お金で勝利あるいは救済を得ること)に繋がるとし、別の方法で実装すべきだという意見も多い。Bethesdaのコミュニティチームは、Redditにてファンとの意見交換をすることが多いが、本稿執筆時点ではこうした大きな反発に対してまだ反応を示していない。また、今回の発表をおこなったFallout公式Twitterアカウント宛にも多数の否定的な意見が寄せられているが、こちらも現時点では反応は見られない。
Bethesdaは今回修理キットを発表する中で、アトミックショップを通じてはコミュニティ主導のアイデアをゲーム内に追加する新しい試みを検討しているとし、修理キットの販売は初の導入事例になると述べる。確かに、前述したように修理キット自体についてはコミュニティ内で肯定的な意見が見られる。ただ、その提供方法や過去の発言との整合性についてBethesdaは判断を誤ってしまったのか、それとも何らかの方針をもって今回の発表に臨んだのか、公式の反応が待たれるところである。