『Apex Legends』ファンコミュニティ内で「モザンビーク」募金活動が発生。 最弱の銃がアフリカ被災地の支援を導く
基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム『Apex Legends』のファンコミュニティ上にて、サイクロン「アイダイ」により甚大な被害を受けた、アフリカ南部へのチャリティ活動がその賑わいを見せている。
3月14日、サイクロン「アイダイ」は、アフリカの南部の国モザンビーク中部にある人口50万人の港湾都市ベイラへと上陸。カテゴリー3に位置するこのサイクロンは、暴風による建造物の破壊だけではなく、豪雨によって地すべりや大規模な洪水を引き起こし、通信施設などライフラインを崩壊させた。21日時点でモザンビーク政府は、少なくとも242人が死亡し1400人以上が負傷、1万7400を超える家屋が浸水や倒壊などの状況におかれ、38万5300ヘクタールを超える農作地が被害を受けたことを公表している(リンク先pdf)。
さらに「アイダイ」はモザンビークに隣接するジンバブエへと進行。政府の発表によれば21日時点で最低でも死者の数は139人にのぼり、189人の行方不明者が発生している。ジンバブエもモザンビーク同様ライフラインに甚大な被害を受けており、現在12000人以上が避難しているトンガゴラキャンプでは本来5つの水道設備が可動しているはずだが、サイクロンによる停電の影響で5つのうち4つが停止、太陽光で動く1つだけが水を供給しているという状態である(リンク先pdf)。続きアイダイはマラウィへと進み、その結果14日時点で122人の死亡が確認されている(リンク先pdf)。
この事態を受けてアフリカ連合委員会は全世界に向けて支援を要請。アイダイによるアフリカ南部の惨状は世界中の知るところとなり、現在各国の政府機関だけでなく、国際的に活動を進めるNGO団体など、数多くの団体が積極的に復興支援を行っている。
そしてこの支援の波は、『Apex Legends』のファンコミュニティにも飛び火したのだった。
“モザンビークではサイクロンの被害があり、私たちの助けが必要です! 寄付をお願いします”
赤十字国際委員会など、各種慈善団体への寄付に関するリンクを添えてReddit内に建てられたこのスレッドは、現在大いにその賑わいを見せている。同作品には被災地と同じ名前を冠する「モザンビーク(Mozambique)」というショットガンが登場し(『タイタンフォール 2』にも登場)、作中最弱の武器として、「遠距離パンチ」などひどいニックネームをつけられながらも、プレイヤーの間で良くも悪くも人気を博している(関連記事)。
アフリカ南部にて発生した天災となんら関係の無いゲームコミュニティにて慈善活動を推奨する動きが見られたのは、このような背景によるものだ。愛する最弱の銃と同名の国が、今もなお災害で苦しんでいる。そうした状況を放っておけないという人々が、動き出したのだろう。ゲーム内の一丁の銃が、不思議な形で人々をチャリティへと導いている。
またスレッド内においては、支援活動の一環として開発者に向けてゲーム内アイテムのチャリティ販売を提案する意見も散見されている。この意見に関しては別段珍しいものではなく、例えばAppleは10年以上、世界エイズデーに対する取り組みとして、12月1日から7日までの期間内における一部グッツやハードウェア、ならびにApp store内で購入できる一部ゲームタイトルの収益を全額慈善団体である「グローバルファンド」へと寄付している。Blizzardは自社タイトルの一つである『オーバーウォッチ』内にて登場するキャラクター「マーシー」の外見を変更するスキンやグッツを乳がん研究基金(BCRF)への支援として一定の期間、販売を行っている。
スレッド内に提示された意見も上記の流れに則るものであり、具体例としては「モザンビーク」ショットガンの見た目を変えるスキンの販売や、モザンビークでプレイヤーがキルを達成するたびに一定額の寄付を行うというものだ。あくまでファンによる提案に留まるものであるが、なんらかの形でこうした寄付が実現すれば、被災地に対するより一層の手助けとなるだろう。
以下は、サイクロン「アイダイ」によって被災した地域への支援窓口を纏めたリンク集となっている。支援を検討している方は是非活用していただきたい。
・国連世界食糧計画日本事務所
https://www.jawfp.org/oneshot?btn=NR
・国連難民高等弁務官事務所
https://www.japanforunhcr.org/
・赤十字国際委員会(ページ内英語注意)
https://www.icrc.org/en/donate
・国際ケア機構(ページ内英語注意)
https://goo.gl/vgoMqS