『リーグ・オブ・レジェンド』新チャンピオン「パイク」登場。サポートでありながらアサシンでもある異色のチャンピオンをうまく使うには?
『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは5月15日、新チャンピオン「パイク ブラッドハーバーの殺戮鬼」の実装を告知した。先月発表されたチャンピオンロードマップにて「今あるほとんどのサポートよりもダークで深いテーマを持った、新たなサポート」「アグレッシブなプレイメーカー」と表現されていた、サポートとしては異色のチャンピオンだ。
サポートにしてアサシン
先日、チャンピオン実装告知に先立って公開されたティーザーでは、仲間に見捨てられて溺れ死んだ船乗りであるパイクが、海の底から蘇ってかつての仲間をひとりひとり殺していくという物語が語られた。しかし、ナイフで容赦なく復讐相手を痛めつける攻撃的な様子と、チャンピオンロードマップでの予告であった「次の新チャンピオンはサポート」という言葉が容易に一致せず、パイクの性能の予想は困難を極めた。かくして公開された性能概要はまさしく、既存のチャンピオン分類にない「サポート・アサシン」になっていた。
これまでのサポートクラスは、ボットレーンでADCと組んでプレイすることにより、レーンフェーズではADCの安全を確保。 集団戦では戦端を開いたり味方を守ったりするという、移動・攻撃阻害能力が核となるプレイパターンを有するチャンピオンたちだった。チャンピオンデザイナーのひとりRiotScruffy氏の言葉を借りれば、パイクは「CC(移動阻害)は少ないが純粋にダメージを与えることでチームに貢献するサポート」であるという。果たして一体、パイクはどんなチャンピオンなのだろうか。具体的な性能を見ていこう。
パイクの能力
サポートチャンピオンとして、パイクが派手なプレイを見せるのはやはり、彼の持つ独特なCCスキルによるものだろう。Qの「ボーンスキューア」は手に持つ銛を投げつけるスキルで、キーを短く押すだけだと前方の細長い範囲に対するダメージとスロウ効果を与えるが、長押しで溜めを行うことにより飛距離が伸びて、最初に当たった敵ユニットを手前にノックバックして引き寄せる。状況に応じて、性質の違う2つの効果を使い分けることが重要になるだろう。なお、長押しで使った場合は、ジャングル内などの薄い壁をパイク側に飛び越えさせて敵を引き寄せることが可能だ。Eの「亡者の引き波」は、ダッシュの移動元に残った亡霊がワンテンポ遅れてパイクの位置に戻る際、触れた敵にダメージとスタンを与えるというもの。敵の真ん中に飛び込んでいく必要があるため、味方の追撃で相手をキルしきれるラインを見極めて使いたい。失敗すれば敵の近くに取り残され、パイク自身がキルされてしまうだろう。長押しQで敵チャンピオンを引き寄せると、Eのダッシュが届く距離に来てくれるので、この2スキルはコンボで使っていくとよい。
こういったCCに加えて、アサシン的な2つのスキルが、パイクをユニークな「サポート・アサシン」たらしめている。Wの「ゴーストウォーター」は、カモフラージュ状態になって移動速度を大きく増加させるスキル。レーンや集団戦での追撃や、ローム(レーン間を歩き回って味方を助ける動き)の際に役立つだけでなく、逃亡の助けにもなるだろう。Rの「水底の急襲」は、十字型の範囲を攻撃しつつ、その中心点にブリンクするという独特なアルティメットスキルになっている。ユニークなのは、Rで敵チャンピオンのキルを取った場合、最後にアシストした味方にもキルゴールドが入るという点。仕事をきっちりこなせられれば、助けてくれた味方には律儀に報酬を分けてくれるというわけだ。
敵チャンピオンを瞬間的にキルする能力に長けるアサシンとあってか、パイクの体力や防御力は低く設定されている。固有スキルである「沈みし者の力」により、敵の視界外になると、直前に敵チャンピオンからの攻撃で失った体力の一部を急速に回復する。回復する体力は直前に失ったもの(グレーアウトした体力ゲージ)に限られるため、レーンでの駆け引きや、込み入った地形の中での集団戦といった状況で、すみやかに一時撤退して、もう一度キルプレッシャーをかけていく使い方ができればベストだ。
固有スキルにはもうひとつの効果がある。PBE実装直前のインタビュー記事によれば、パイクは体力を能動的に増加させることが一切できない。ルーンやアイテムによる増加体力は、攻撃力へと変換されてしまう。すなわち、レリックシールドやシュレリアの思念といった、体力増加効果のあるサポート向けアイテムを積むことで、攻撃力が増加させることができるのだ。ただし、変換された攻撃力は体力にならないため、パイクの体力は基本的にレベルアップ増加分のみとなる。また、増加体力から攻撃力への変換レートは100%ではないため、サポート向けアイテムのユーティリティ能力を無視するのであれば、攻撃力増加アイテムを直接積んだほうが、攻撃力を伸ばす効果は高くなっている。ファージやブラッククリーバーのような、体力も攻撃力も増えるアイテムを詰めば一石二鳥になるかもしれないが、しばらくは最適なビルドを探る試みが続くはずだ。
パイクの想定ポジションはもちろん、サポート。一見するとソロレーンも行けるのではないかと思われるが、実際にはパイクのウェーブクリア能力は非常に低く、サポート以外のポジションは容易にこなせない調整がなされている。筆者もPBEでプレイしてみたが、パイクは通常攻撃射程の短い近接戦闘チャンピオンであり、ミニオンに直接ダメージを与えられるスキルが少ない上にクールダウンも非常に長く設定されており、ソロレーンで戦うにはとてもつらい性能だと感じた。前述したRiotScruffy氏のコメントによれば、ジャングルをやろうとしても中立モンスターとの戦いに非常に手間取って時間を取られ、さらにはかなりのダメージも受けてしまうので、現実的ではないという。実際にジャングルを回ってみた動画をいくつか見てみると、味方の支援がなければ1周できる前に瀕死になってしまうようだ。ポジションについては数値調整次第だが、このような厳しい制限の前でプレイヤーたちが行う試行錯誤も楽しみである。
パイクのメインデザイナーはEndlesspillows氏で、「ザヤ」に続き2体目のチャンピオンデザインを手がけたことになる。Newsweekによると、開発が始まったのはザヤ&ラカンがリリースされた2017年4月で、全く新しいサポートチャンピオンのプレイパターンを作り上げるのにはかなりの時間を費やしたという。海賊やならず者たちが激しい権力争いを繰り広げている港湾地域「ビルジウォーター 」所属チャンピオンが増えるということで、ビルジウォーターの設定についてなんらかのアップデートもあるかもしれない。「パイク ブラッドハーバーの殺戮鬼」の実装は、5月30日ごろ実装見込みの8.11パッチと予想される。まもなく予定されているシーズン半ばの大規模ゲーム変更「ミッドシーズンアップデート」も合わせて、『LoL』に変化の大波が押し寄せている。