PS4『ワンダと巨像』原作には存在しない秘密の部屋が発見される。リメイク版の知られざる隠し要素がドラマを生む
PlayStation 4版『ワンダと巨像』にて謎めいた秘密の部屋が発見された。一連の詳細をKotakuやEurogamerが報じている。この部屋を発見しSNSなどで公開した第一人者は、ハンドルネームPS4Trophies氏。この部屋は原作には存在しておらず、PlayStation 4版の知られざる追加要素が大きく関連している。
2月8日に発売された『ワンダと巨像』は、2005年10月にPlayStation 2向けに発売された作品をリメイクするものだ。主人公ワンダが、少女の魂を取り戻すためには全16体いる巨像を倒すというゲーム内容はそのままに、PlayStation 4向けにグラフィックのフルリメイクをおこなっている。PlayStation 4 Proでは4K解像度でプレイすることも可能だ。
ほかにも美しい場面を写真として残しておけるフォトモードが実装。影や中間色、ハイライトなどのカラーバランスの調整や、被写界深度の調整、またカメラ位置の調整などを簡単におこなえる。カメラについては、プレイヤーから愛馬アグロに視点を切り替えて撮影することができる。ビジュアルの刷新とフォトモードの追加。このふたつが公式サイトに掲載されている新要素であるが、実は知られざる隠し要素がPS4版には追加されていた。
その追加要素とは、コインらしきものだ。正式名称はなく、あくまでビジュアル的には“光っている何か”であり厳密にはコインではない。同じく収集要素であるトカゲや果樹と同様に、このコインらしきものはマップの至るところに配置されている。しかしその意味ははっきりとは明かされず、集めるとマップ左下の数値が増えていくほか、わかっていることは「79枚存在する」ことのみ。トロフィーにも関係しておらず、謎に包まれた新要素とされていた。しかしPS4Trophies氏はDiscordにてコミュニティ内のユーザーと情報を共有し79枚をくまなく集めていく。岩場の上や物陰、あらゆる場所に配置されたコインらしきものを集めきった。
しかし79個目を集めても何も起きることはなかった。PS4Trophies氏はコミュニティと79の意味を考えるうちに、10進数の79が16進数では4Fにあたることに気付く。『ワンダと巨像』のマップは横軸には数字がつけられており、縦軸にはアルファベットがつけられている。つまり4Fとよばれるエリアが存在していたのだ。この4Fエリアの周辺を散策するうちに、ついに光る壁を発見する。光る壁を祈ることで壁が開く。その中には秘密の部屋が存在していたのだ。その部屋の中にあるものは…氏の動画を見るか(該当シーンは2時間23分から)、もしくは自身でプレイしてみて確認してほしい。
ただ、その部屋にて発見できるアイテムにまつわる人物は、本作の物語に大きく関わっている。『ワンダと巨像』は示唆に富んだ作品であり、プレイヤーの想像に委ねる部分もあったが、発売から13年を経て新たな解釈が生まれた瞬間だった。アイテム自体の用途ははっきりしているものの、このアイテムがさらなる意味を持つと考えるプレイヤーもいるようで、さらなる調査が進められている。
“コイン”をめぐるひとつの壮大なドラマがひとつ完結したが、79枚ものコインを集める労力に値する報酬であるかと疑う声もある。ただ発見した第一人者であるPS4Trophies氏は、Kotakuに対して「集める、見つけることを含めて全体のプロセスが僕には報酬だった。新たなアイテムと部屋が発見されたことにより、新しい解釈の可能性が生まれた。80時間をかけたがその労力以上のものが得られたよ。」と満足感を示している。
こうした隠し要素は開発を手がけるBluepoint Gamesの同作への愛情が見て取れる一面であるといえるだろう。Bluepoint Gamesは今回のリメイクにおいてゲームの魅力を損なわず再構築することを尽力していた。今作のビジュアルの美しさからそのこだわりは感じられるだろう。PS4Trophies氏もまた動画内で同スタジオに対する賛辞を惜しまない。
また何よりそうした隠し要素を短期間で暴ききる欧米コミュニティの『ワンダと巨像』への根強い人気を感じさせる一例でもあるだろう。氏は別動画にて79枚すべてのコインの場所を解説する動画を投稿している。氏が「旅」と表現した壮大なコイン探しに出てみるのも一興であるが、困った時には先人の知恵を借りてみてもいいかもしれない。