『Dead Dozen』アルファテストが約1か月間、計5回の延期を経てようやく開始。人間として死にグールとして生き返る非対称マルチプレイホラー
Fntasticは2月12日、非対称マルチプレイホラー『Dead Dozen』の有料アルファテストを開始した。公式サイト/Humble Bundleより本作を購入したユーザは、各種ダウンロードリンクよりクライアントをダウンロードし、起動後の認証画面にてSteamキー(購入時に配布されたもの)を入力することでゲームをプレイできるようになる。なお今後Steamを経由した配信に切り替わるまでは、アップデートされるたびに最新版をダウンロードする必要がある。プレイしている方は公式フォーラムをこまめにチェックしておこう。
本作は生存者と感染者(グール)にわかれて対戦する、最大12人の非対称マルチプレイゲーム。舞台となるのはシベリア奥地にある旧ソビエトの調査基地。グールに襲われて死亡した生存者は、グールとなってよみがえる。かつての仲間を食いあさろうと襲いかかるグールの群れを食い止めるため、残された生存者たちはバリケードを張り、銃器で迎撃する。タイムリミットは20分。生存者が全滅するか、グールのリスポーン可能回数がなくなるとマッチ終了となる。
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実はここまでの説明だと、『Zombie Panic!』『Zombie Panic! Source』という『Half-Life』シリーズの人気Modと内容がほぼ同じ。本作ではジャンルの現代化を図るため、近年のマルチプレイタイトルで目にする機会が増えたクラス制度を、生存者とグールの両サイドに導入している。生存者側は、オフェンス、スカウト、ディフェンス、サポートの中からクラスを選んでマッチに参加。クラス固有のガジェットや能力補正をうまく使いながらチームに貢献する。マッチ中は物資を集め、有刺鉄線や板材でバリケードを張り、テーブルやラックを動かして通路をふさぎ、グールの襲撃にそなえる。
一方のグール側は、マッチ開始時に誰かひとりがリーダーとして選ばれる。リーダーグールは体力・移動速度といった性能が高いほか、攻撃を当てると高確率で生存者を感染させることができる。プレイアブルなリーダーの種類は複数存在し、アルファテストではそのうちの一体である「Rover」を操作できる。そのほかの通常グールは、一定時間体力を回復する「Torment」と、生存者を感染させる「Infected」攻撃という2つのスキルを保有している。生存者たちを仲間に引きずり込むため、エレベーターのシャフトを急降下し、天井や壁を突き破って襲撃せよ。
コミュニケーションに不安あり
実は今回のアルファテストは当初、1月8日に開始される予定だった。それから5回の延期を繰り返し、2月12日にようやく配信にこぎつけた。コミュニティ内では延期そのものというより、開発者のコミュニケーションの取り方に対するフラストレーションが溜まっている。明確な配信時間を告知したり、公式サイトでカウントダウンタイマーを表示したりと、完成の目処がついていない段階で約束を交わし、それを反故にする。しかも予定時刻を過ぎてもほとんど連絡しないという対応を繰り返してしまったのだ。
1月19日には「今度こそ本当です、もう日程が変わることはありません」と明言している。もちろん、その言葉に込められた想いに嘘偽りはなかったはず。だが指定された1月26日になると、アルファ版だからといって妥協はできないとして、納得のいくクオリティに仕上げるため再度延期する旨を発表。宮本茂氏の「A delayed game is eventually good, but a rushed game is forever bad(延期したゲームはいずれ良いものになるけれど、急いで作ったゲームは悪いまま)」という言葉を引用し、良い第一印象を残すためには時間が必要だと述べている。その際、開発者を信用できなくなったユーザが現れても仕方がないとして、約1週間の返金期間を設けていた。
だが先述したように、コミュニティであがっている不満の多くは延期そのものではなく、目処が立っていないのに日時を約束してしまうことや、予定時刻を過ぎても連絡がないという、延期に伴う対応に向けられたものである。次に指定された2月9日には、期限ギリギリの23時配信を約束するも準備が整わず。2月10日に入り、「『Dead Dozen』はまだSteamで配信されておらず、テストプレイヤーへの配布には500人の制限がかかってしまう」との理由でリリースが遅れる旨がアナウンスされた。そのためアルファテストの配信は開始されたものの、現在はSteamを通さず、DropboxやGoogle Driveを経由してビルドが配布されている。
ゲーム開発にてトラブルはつきもの。アルファ段階から作品をサポートする場合は、やさしい目で見守るだけの余裕が必要だろう。ただ今回の一件は、ユーザとのコミュニケーションに割ける工数が限られた小規模スタジオとして、どのような対応をとるべきなのかを考えさせられる事例となった。想定外のことが起きるのは仕方がないが、何も保証できない段階から日時を指定して、ユーザに期待を抱かせる必要はなかったのかもしれない。
『Dead Dozen』の対応プラットフォームはWindows。現時点では英語のみだが、将来的には日本語にも対応する予定である。公式サイトで購入できる通常版は29.99ドルで、限定スキンやクレジットへの名前記載といった特典がついた「Limited Supreme Edition」は79.99ドルで販売されている。なおSteamストアページはオープン済みだが、現時点で購入を受け付けているのは公式サイトとHumble Bundle(通常版)のみとなっている。