『Friday the 13th: The Game』チームキル禁止へ。暇を持て余した愉快犯による無差別殺人を防止するため

Gun Mediaは8月9日、『Friday the 13th: The Game』の次回アップデートにて、パブリックサーバにおけるチームキルを禁止する旨を発表した。具体的には、ショットガンや野球バットといった武器では仲間を傷つけることができなくなる。

Gun Mediaは8月9日、『Friday the 13th: The Game』の次回アップデートにて、パブリックサーバにおけるチームキルを禁止する旨を発表した。具体的には、ショットガンや野球バットといった武器では仲間を傷つけることができなくなる。車両による轢殺、トラップに引っかかった際のダメージはこれまで通り有効。車両によるチームキルが禁止されないのは、車両の前に立ち、通路をふさぐという形での悪用を防ぐためである。新ルールの適用対象はパブリックマッチのみであり、プライベートマッチは対象外となっている。

チームキルの乱用はリリース当初から問題視されてきたもの。ジェイソンとキャンプ指導員の共謀、処刑中のマッチ切断(ジェイソンにキル・ボーナスを与えないため)、バグの悪用とともにフォーラム上では何度も不満の声が挙げられてきた(関連記事)。ジェイソンとキャンプ指導員の共謀というのは、キャンプ指導員がジェイソンと協力して他指導員を殺害したり、車両/ボートでジェイソンのもとに他指導員を誘導するというもの。こちらに関しては、7月に公開されたアカウント・バンに関するガイドラインのバン対象項目に含まれたことで、プレイヤー報告による対処が可能となった。

敵も味方も信用できない

一方のチームキルに関しては、獲得経験値が「-1000」になるというペナルティこそあれ、アカウント・バンの対象項目には含まれていない(ジェイソンとの共謀によるチームキルは除く)。そのため、ひととおりレベルを上げ、経験値を稼ぐ必要がなくなったプレイヤーに対してはほとんど意味をなしていなかった。一例として海外メディアKotakuでは、キャラクターのアンロックを終え、通常の遊び方に飽きてしまったプレイヤー「Solid_Snake7」氏が新たな刺激を求めてチームキルを開始したという話が取り上げられている。本作はコンテンツ不足(ゲームモード1種類、マップ3種類のみ)という別の問題も抱えていることから、「Solid_Snake7」氏のように暇を持て余した愉快犯による横行がエスカレートしつつあったことは想像に難くない。

そもそもチームキルは、Gun Mediaの発表文に記載されているように、生きるか死ぬかの過酷なシチュエーションを生み出すため、という開発側の意図があってゲームに含まれている。ボイスチャット上での仲間割れにより殺し合いに発展することもあるし、過失によるチームキルがプレイヤーにショックを与えることもある。車のハンドリングを誤り仲間をひいてしまったり、ショットガンの弾道が外れて射殺してしまったり。こうしたアクシデントもゲームの一部となっていたのだ。また意図的なチームキルにも、脱出用車両の席を確保するために頭数を減らしておく、脱出用アイテムを無駄づかいしようとしているプレイヤーを処分しておくなど、効果的な使用例があった。チームキル自体は悪ではなく、むしろゲームの可能性を広めてくれる機能であった。

だが実際には、チームキルがもたらすプラスの効果よりも、マイナスの効果の方が圧倒的に大きくなってしまった。開発陣のビジョンが成立しないほどプレイヤーに悪用され、もはや一部のマッチはジェイソンと生存者の戦いではなく、生存者同士のバトルロイヤルと化している。Gun Mediaも上記の発表文にて、チームキルに関する苦情が、開発陣とコミュニティとのコミュニケーションの過半数を占めるほどに被害が拡大していることから、ルール変更を余儀なくされたと伝えている。プレイ中の選択肢の幅が狭まったことは残念であるが、ジェイソンからの逃走劇を素直に楽しみたいプレイヤーにとっては朗報であろう。ジェイソン側にとっても、現場に到着したら既にみんな死んでいた、なんて拍子抜けな展開に遭遇せずにすむ。

なお次回アップデートでは、チームキルのルール変更だけでなく、いくつかの新規コンテンツが予定されている。8種類のエモートと、マップのバリエーション追加である。エモートが導入されれば、ボイスチャットが使えなくても、プレイヤー間で簡単なコミュニケーションが取れるようになる。マップに関しては、以下のツイート内容から、まったく新しいエリアというよりは、既存の3マップを縮小したバージョンが用意されるようだ。マップ規模が40%小さくなるということで、ゲーム展開のスピードアップが期待できるだろう。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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