『マインクラフト』に「ポケモン」を導入する「Pixelmon Mod」が公開停止、世界的人気ゆえにModが量産される
『マインクラフト』Mod製作者MrMasochism氏は、同氏が開発を続けていた「Pixelmon Mod」の開発を断念すると公式サイトのフォーラムで発表した。現在公式サイトでは同Modをダウンロードすることもできなくなっている。
[perfectpullquote align=”full” cite=”” link=”” color=”” class=”” size=””]私達は「Pixelmon」の開発を終えることを皆さんにお知らせしなければなりません。Modを作るなかで、コミュニティのみなさんと素晴らしい時間を過ごすことができました。しかし株式会社ポケモン(Pokemon Company)から扉を閉めるように要請されました。失望させて申し訳ないですが、「Pixelmon」を楽しみ、議論した楽しい時間などを思い出しましょう。[/perfectpullquote]
「Pixelmon」は数あるModの中でも熱狂的な人気をほこる。その内容とは、『マインクラフト』の世界に「ポケモン」を導入するというもの。ただゲーム内にポケモンを登場させるというだけでなく、ポケモンの捕獲から育成やバトル、交換など『ポケットモンスター』シリーズの醍醐味である要素が用意されている。原作のようにポケモンに特性や成長による進化が存在することに加えて、居住環境を整えたりするなどペットとして飼育する要素も取り揃えられている。ちなみに、ポケモンのグラフィックや音楽はすべて開発スタッフが手がけていると公言されている。ちなみにPixelという名前になっているものの、ポケモンたちは『ポケモンGO』に近いグラフィックにデザインされている。
「Pixelmon」は2012年からプロジェクトがスタートしており、20名を超えるスタッフで開発されていた大型Modだ。日本語にも翻訳されており、日本のユーザーにも支持を得ていたという。「Pixelmon」チームは更新頻度が高く、7月11日にもニュースレターを投稿していたが、そうした矢先の公開停止であった。
『ポケットモンスター』シリーズはその世界的な人気ゆえか、Modとして他ゲームに登場することはままある。Mod文化が盛んな『The Sims 4』や『The Elder Scrolls V: Skyrim』でもポケモンを模したキャラクターやモンスターを登場させるModが存在している。これらのほとんどはデジタルミレニアム著作権法に抵触していることが予想される。そもそもポケモンに関しては、類似アプリもファンゲームも多すぎてキリがなく、すべてを取り締まることが不可能だ。ではなぜか「Pixelmon」が公開停止を受けたかというと、進化しすぎたという点と、集金をしているという2点が理由として考えられる。
前述したように「Pixelmon」はかなり作り込まれている。『マインクラフト」』をベースにしながら「ポケモン」を取り入れ、ひとつの作品といえるほど進化を遂げている。ポケモンを単にModとして登場させるだけでなく、ポケモンを使って新たなゲームを生み出しているという点は、ほかのポケモンModとは大きく異なる点だろう。そして募金をつのっている点も理由として外せない。Modコミュニティにおいて募金活動はそう珍しいことではない。しかし、企業のIPを使っているMod製作者が募金をしているとなると話は別だろう。昨年公開停止を受けたファンゲーム『Pokemon Uranium』の開発者も資金援助をユーザーに要請していた。IPを無断使用することで利益を得ている以上、こうした活動を見過ごせなかったというのはひとつの根拠として考えられる。
しかし、結局のところは「目立っていた」というのがもっとも有力な理由だろう。「Pixelmon」は単純に知名度があるModだ。『メトロイドII』をファン・リメイクしようとした『Another Metroid 2 Remake』の開発者もファンゲームを制作しようとするユーザーに「目立ちすぎるな」と警告していたように、単純に株式会社ポケモンもしくは任天堂関係者の目にとまり、公開停止を要請したというのがもっとも自然な理由といえるだろう。
こうした流れを加味すると、次に公開停止を受けると推測できるのは『ARK: Survival Evolved』で熱狂的な人気を博しているMod「Pokemon Evolved」だ。こちらは恐竜ではなくポケモンを飼育できるようになるというModで、現在11万を超えるユーザーが同コンテンツを登録している。むしろこの「Pokemon Evolved」がなぜ消されていないのか疑問が残るほど。単純に関係者がこのModを認識していないのか、Steamのワークショップにて管理されていることが絡んでいるのか、そういったところも気になる点だ。
PCゲームにおいて、Modは文化とはいえど、それはユーザーがオリジナルコンテンツを作る時のみにおいていえることだ。Modにおいても許可なき企業IPの使用は疑いなく“黒”であり、IPの制作側は肥大化しすぎた二次創作を見過ごすことはできないだろう。『ポケットモンスター』シリーズの世界的な人気が続く限り、関係者の苦労が絶えることはなさそうだ。