終末を迎えた世界で、魂を宇宙へと届ける『Opus 魂の架け橋』
ビデオゲームでは、ポストアポカリプスをテーマにした作品は数多く存在している。崩壊した世界で限られた食料などを求めてサバイバルしていくものや厳しさを増す状況のなかで誰もかれもが不信感を抱く人間関係にフォーカスしたストーリーを魅力にした作品など、さまざまだ。Tokyo Indie Fest 2017に出展していた『OPUS 魂の架け橋』は、そうしたポストアポカリプスをテーマとする作品の中で、終末を迎えた世界への祈りのようなアプローチを取った作品だ。この作品はiOS/PCでリリースされた『OPUS 地球計画』と対になる作品となっている。
かつて銀河を信仰する時代があった。その時代の人類は星々の瞬く宇宙の果てにある故郷へと向けて、霊魂を搭載したロケットを打ち上げる“宇宙葬”を行っていた。ところがある日、世界に大災害が襲い掛かってしまう。その規模はあまりにも大きく、文明のほとんどが崩壊してしまうほどだった。
残された世界の中、生き延びたヨハンは崩壊した街の中でがらくたを集めている。街の中では、大災害で犠牲になった数えきれないほどの霊魂が彼に話しかけてくる。ヨハンはがらくたを持ち帰ると、一緒に暮らしている少女のフェイに渡して何かを作ってもらっている。それはロケットだった。ふたりはかつて文明が存在していたころに行っていた、ロケットを使う“宇宙葬”を行うことで、大災害によって亡くなった人々の霊魂に安息を与えようとしているのだ。
プレイヤーはヨハンを動かし、トップビューのマップを探索しながらロケットの建設に必要な材料を集めていく。探索の中で見つかるものはロケットの材料になりそうなものだけではなく、亡くなった霊魂たちの声も溢れている。霊魂たちが話すことには、先に進むのに役立つ情報もある。探索は日中から日が暮れるまでと制限時間が決まっており、夜になってからは家に戻ってフェイに集めた材料を渡したり、探索中に起きた出来事について話すことで物語が進行する。
比較的広いマップのため、次にどこへ行けばわからなくなったときは、ヨハンが考えていることを確認しなおすことで、ロケットのどんな材料を集めればいいか、どこへ進めばいいかを再確認することができる。こうして探索を続けることで、ロケットの完成を目指していく。
ゲームプレイの実感は、『This War is Mine』のようなサバイバル&クラフトのゲームデザインをより簡素にまとめつつ、ストーリーを前面に押し出したような印象を受ける。既存のサバイバル&クラフトのような材料の収集とクラフトを繰り返しながら、ヨハンとフェイの二人の会話を追っていくことや、地上に残された霊魂たちの声を聴いていくことが主な体験になりそうだ。
こうした物語性や情緒を生かすためのゲームデザインは、前作の『OPUS 地球計画』から続く形だ。同作では、宇宙に進出した人類の数十万年後の未来を舞台にし、地球の存在がおとぎ話になってしまった時代に、一人のロボットが地球を宇宙望遠鏡で探し出していく。こちらは望遠鏡を使って広大な宇宙の星を探し、見つけた星に名前を付けることができるという宇宙探索を軸に、淡い物語を描いてみせる。今回は一転して、一つの星を舞台にした形となっており、対になるようにデザインされているようだ。『OPUS 魂の架け橋』は今年発売を予定している。公式サイトはこちらから。