『Slay the Spire 2』アプデ配信後に、“1日で約1万件”の不評レビュー殺到。開発元は「まだ早期アクセスだしベータ版だから」と説明

同日だけで約1万件の「おすすめしない」レビューが投稿されるなど、大きな波紋を広げている。

デベロッパーのMega Critは3月20日、『Slay the Spire 2』ベータブランチ向けに初の大型アップデートv0.100.0を配信。バランス調整やバグ修正などが含まれる今回のアップデートを巡っては、同日だけで約1万件の「おすすめしない」レビューが投稿されるなど、大きな波紋を広げている。これを受けて、開発元は早期アクセスおよびベータ版アップデートの意図を説明している。

『Slay the Spire 2』はMega Critが手がけるデッキ構築型ローグライクゲームだ。前作『Slay the Spire』は2017年にSteamで早期アクセスの配信を開始したのち2019年に正式リリース。その高い中毒性と戦略性は後続の作品に多大な影響を与えている。本作はその待望の続編として、今年3月6日に早期アクセス配信を開始した。

本作では、プレイヤーは三層に重なる塔をモンスターとの戦闘を挟みながら登頂していく。戦闘は毎ターンデッキから引かれる5枚のカードの中から行動を選択して進行する。カードは戦闘報酬などで1枚ずつ入手でき、塔を登るたびにデッキ構成が変化していく。こうしたローグライク要素による予測不能なプレイ体験が本作の最大の特色となっている。

そんな本作は3月20日、早期アクセスの開始後初となる大型アップデートv0.100.0をベータブランチ向けに配信。アップデート内容はアートワークの追加やバグの修正など多岐にわたるが、特にカードのバフ・ナーフに関わるバランス調整およびリワークが大きな変更点になっている。Steamライブラリから『Slay the Spire 2』を右クリックしてプロパティを選択し、「ゲームバージョンとベータ」から「Public-beta」を選択することで同バージョンを適用することができる。

しかし、今回のベータ向けアップデートを受け、Steamのユーザーレビューにはわずか1日で約1万件もの不評レビューが殺到している。これは同日の好評レビューの約4倍に近い数字となっており、全体ユーザーレビューも記事執筆時点で好評率が80%まで低下。「非常に好評」ステータスが危うい水準にまで落ち込んでいる。

こうした不評の原因は、アップデートに含まれるナーフ寄りのバランス調整にあるようだ。たとえば今回注目を集めているカードの1つがサイレントの「準備」だ。0エナジーで「カードを1枚引く。カードを1枚捨てる」という効果を持つコモンのスキルカードであり、手札を捨てることで効果を発動する「スライ」が多く含まれるサイレントにおいて使い勝手の良いカードとされてきた。それが今回の調整では、1エナジーの「カードを2枚捨てる。次のターン2エナジーを得る」という効果へと変更。これにあわせて、英語名は「Prepared」から「Prepare」へと変更された。ドロー効果や0エナジーという強みが削除され、従来のような爆発力が抑えられた調整だ。

この「準備」弱体化に嘆くXユーザーに対して開発元Mega Critは、「去ってしまったが、忘れられない(gone but not forgotten)」と返信しており、愛用者の多い強力なカードであったことは認識しつつも、ゲームのバランスを保つために大幅なリワークへ踏み切ったことがうかがえる。サイレントは他にも「不可侵」や「フリック・フラック」といったカードにナーフ調整が施されており、「スライ」コンボの弱体化を意図した調整となっていそうだ。

また「無限ビルド好きの方ごめんね(Sorry infinite build lovers)」と公式がXで伝える通り、無限ループを生み出すいくつかのカードにも調整が入っている。アイアンクラッドのエナジー追加カード「戦いの予感」には「このターン追加のエナジーを生成できない」という一文が追加され、またアタックカード「悪意」も追加のドロー効果が多段攻撃へと変化。無限ループを生み出す可能性のあるカードが中心的に調整を受けた格好だ。

今回のレビュー爆撃は、これまで実現できていたコンボや無限ループが使えなくなったことへの不満が一気に噴出したものとみられる。またカードやコンボを弱体化させることでバランスを図ろうとする調整方針そのものに懸念を示す声もみられた。ちなみに、今回特に中国語ユーザーからの不評レビューが多かった点について、海外メディアPC Gamerは、中国版Steamではコミュニティ機能がブロックされており、Discordも使用できないため、主にユーザーレビューを通すことでしかフィードバックを提供する方法がないからだと分析している。

そして本日、不評レビューの殺到を受けてMega Critは公式Xにて声明を発表した。今回のパッチに寄せられた多数のフィードバックに感謝を伝えたうえで、前作の早期アクセスを経験していない、あるいは早期アクセス自体に不慣れなプレイヤーに向けて、本作の早期アクセスの仕組みを改めて解説している。

同スタジオによれば、早期アクセス期間中はプレイヤーからのフィードバックや収集されたデータ、そして自分たちのゲーム哲学に則って調整がおこなわれているとのこと。その中でも当該パッチのプレイ中に寄せられるインゲームレポートは特に重要視しているそうだ。

こうした早期アクセス期間中のバランス調整は今後1年か2年ほど続く予定であり、今回のベータ版パッチはその最初のものであったと説明。前作がそうであったように、ベータ環境での反応などを通じて、バランスの取れた体験を提供できるようになるまで、絶え間なく変更をし続ける方針を示した。そして本作は完成版に向けてゆっくりと形を整えている最中だとして、プレイヤーに理解と協力を求めた。

あくまでもベータブランチのアップデート内容はテスト段階であり、フィードバックや実際のデータをもとに、調整が続けられることを開発元が説明したかたちだ。ベータ版では特に実験的な変更が取り入れられているといい、ある程度反発があることも折り込み済みだったのかもしれない。今回のv0.100.0パッチも、現時点ではあくまでベータ版に留まる内容であり、フィードバックを受けさらに調整を経たうえで正式版へと採用されるのだろう。

本作は発売初日に57万人を超える同時接続者数を得るなど(SteamDB)、シングルプレイがメインとなるゲームとしては膨大なプレイヤーベースを抱えるインディーゲームとなった。それゆえに早期アクセスという配信方法に対して不慣れなプレイヤーも多く集まっているのかもしれない。

ところで、本作は多彩なビルドも持ち味のゲームであり、先日には“勝つまで数千兆年かかるコンボ”が発見されるなど、ユーザーの間ではさまざまな試行錯誤がおこなわれている(関連記事)。本作の発売前に開発陣が語った内容によれば、そうしたゲームを破壊するような遊び方も大歓迎だといい、それ以外の戦略を無意味にするほどのシナジーを見つけた際には弱体化をおこなう方針を示していた(関連記事)。今回ベータブランチでおこなわれたアップデートについても、正式実装時にはある程度寛容な調整が施される可能性はあるだろう。ベータブランチに触れる方は、数年先の正式リリースに向けて、調整の過程をゆったりと見守ってみてはいかがだろうか。

『Slay the Spire 2』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナーを確認するタイプです。

記事本文: 59