『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発チームでは“ボツ要素を祝うセレモニー”が毎週開催されていた。いらないけど捨てがたいアイデアを、拍手で見送る

スタッフに「アイデアを手放すこと」を前向きに捉えさせる目的があったようだ。

Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』を手がけたSucker Punch Productionsは、本作の開発を進めるにあたって、社内でとある取り組みを毎週開催していたそうだ。GamesRadar+が開発者向けカンファレンス「GDC Festival of Gaming」で語られた内容として報じている。

本作は、『ゴースト・オブ・ツシマ』の流れを汲むオープンワールドアクションゲームだ。舞台は1603年の蝦夷地。プレイヤーは女武芸者の篤となり、殺された家族のかたきを討つため、血に染まった復讐へと身を投じる。蝦夷地の民からの依頼事や賞金首探しなどで路銀を稼ぎながら、家族を手にかけた「羊蹄六人衆」の行方を追う。2025年10月に発売され、今年3月11日には『ゴースト・オブ・ヨウテイ』における無料DLC「Legends/冥人奇譚」が配信された。

そんな『ゴースト・オブ・ヨウテイ』について、本作の共同クリエイティブディレクターJason Connell氏は本作の開発にあたって実施したとある取り組みについて語っている。

Connell氏によれば、ゲーム開発においては、優先順位を明確化してワークフローを改善するために、アイデアを削る必要があるという。仮に魅力的なアイデアが数多くあったとしても、それを実現するための人手や時間が足りていないのなら、「削る」以外に選択肢はないのだと発言。特に同スタジオのようなAAAに満たない中規模スタジオで『ゴースト・オブ・ヨウテイ』のような広大で歴史的なオープンワールドを構築する場合、開発スタッフの作業量を効率化させることはあらゆる面でプラスとなると述べた。

そこで同スタジオでは、要素削減を目的とした“セレモニー”が実施されていたそうだ。「セレモニー」は週に一度開かれ、社内の全スタッフが参加。各スタッフはその週に削減した要素の内容を皆に報告し、そのたびにほかのスタッフから称賛が送られる仕組みになっているのだという。たとえばスタッフの一人が「これが今日削除した要素です」と報告すると、ほかのメンバーが拍手で応えるのだそうだ。

このようなセレモニーが導入された背景には、スタッフに「アイデアを手放すこと」を前向きに捉えさせる目的があったようだ。というのも、アイデアを思いついたらそれを実現してみたい、ボツにしたくない、と愛着を抱く傾向にあると同氏は説明。そのような心理に対して、捨てることを称賛するこの取り組みは非常に効果的だったとのこと。人は拍手されることが好きなのだろう、と同氏は分析している。

このたびは「削る」にフォーカスしたSucker Punch Productionsの独特な社内文化が明かされた。本作ではシンプルにプレイ時間を長くしてボリュームを出すというような考えはなかったそうで(関連記事)、削減されたアイデアも多いのだろう。これまでにも“篤のフラッシュバックをどこでもおこなえるアイデア”がボツになったことなどが明かされており(GamesRadar+)、開発中にはさまざまな要素が削られてきたのかもしれない。今回明かされたような、単に上層部がスタッフのアイデアを強引に切り捨てるのではなく、スタッフがボツをポジティブな行為として歓迎するチーム運営の工夫がそうした開発方針を後押ししていたのだろう。本作は発売の約1か月前に無事にマスターアップを報告しており(関連記事)、スムーズな開発にも繋がっていたとみられる。

『ゴースト・オブ・ヨウテイ(Ghost of Yōtei)』はPS5向けに販売中だ。

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Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナを確認するタイプです。

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