イスラエルから爆撃を受ける街で“避難せずに『キングダムカム・デリバランス』を遊ぼうとする”ゲーマーが現れ心配される。停電続きでインストールに「2日」、でも諦めない

イスラエル軍による爆撃の脅威にさらされながらも『キングダムカム・デリバランス』を遊ぼうとしているというユーザーを心配する声が集まっている。

海外掲示板Redditにて、レバノン在住のユーザーが、イスラエル軍による爆撃の脅威にさらされながらも『キングダムカム・デリバランス(Kingdom Come: Deliverance)』を遊ぼうとしていると報告して話題を集めている。PC画面と、街の向こうに煙が上がる様子を収めた写真とともに投稿された一連の書き込みには衝撃が広がっており、同ユーザーの無事を願う声も寄せられている。

今回話題となっているのは、RedditユーザーIllustriousOlive1650氏が『キングダムカム・デリバランス』コミュニティに投稿したスレッドだ。「イスラエルが自分の街を爆撃すると警告してきたけど、こいつをプレイするまでは死ねない(Israel threatened to bomb my town but I am not dying before playing this sh*t)」と題された投稿では、現地での詳細な様子が綴られている。

“爆撃”の背景には、現地時間3月2日以降の中東情勢の急激な悪化がある。レバノンのイスラム武装組織ヒズボラが、イスラエルへミサイルやドローン攻撃をおこなったことを受け、イスラエル軍はレバノン南部に部隊を進めるとともに、各地で空爆を実施。南部の村々には避難命令も出されており、多数の住民が退避を余儀なくされているという(Reuters)。

IllustriousOlive1650氏によると、同氏はレバノン南部に住んでおり、親族に起こされたことで、自分の住む街が空爆対象になる可能性を知ったという。避難勧告も出ていたそうだが、一緒に住んでいた親戚がその場に残るため、自身も残る選択をしたとのこと。シェルターのような設備もないため、結局はいつも通り生活するしかない、といった切実な事情も明かしている。

その一方で、同氏がどうしても遊びたいとしているのが『キングダムカム・デリバランス』である。最近ようやく本作を遊ぶためのPCを購入したそうで、このために2年間貯金し、さらに本作を購入するために1週間にわたってお金を貯めたという。「これをプレイするまでは死ねない(I am not dying before playing it.)」とまで述べ、幸運を祈ってほしいと呼びかけていた。なお同作は、15世紀初頭、戦乱の最中にあるボヘミアを舞台とする歴史RPGだ。歴史上の戦争をモチーフにしているものの、時代は中世であり、のどかな風景も多い。同氏がなぜ本作を選んだのかは定かではないものの、戦争の脅威が迫るなかでも、そうした現実を忘れられるゲームとしてプレイしたくなったのかもしれない。

この投稿はRedditやXで話題となり、あまりに極限的な状況のなかでもゲームを遊ぼうとするIllustriousOlive1650氏の執念に驚く声や、無事を願う声が寄せられている。また投稿後スレッドは更新され、同氏は現地時間午後2時20分ごろに近隣が爆撃されたと報告。自身や知人は全員無事だとしつつ、添付写真には遠くない場所で煙が立ち上る様子が写されており、状況の深刻さもうかがえる。

Image Credit: IllustriousOlive1650 on Reddit

なおIllustriousOlive1650氏は戦争を経験するのはこれで3度目だとし、日中はほとんど電気が来ないといった困難さも語っている。ゲームのダウンロードに2日かかったうえ、97%まで終えた状態でさらに停電が発生して復旧を待っていたという。一方で同氏は、爆弾が近くに落ちない限り怖くはなくなったとも伝えており、基本的にはほとんど普段通りの日常を送っているそうだ。スレッド内では自身のPCスペックに合うグラフィック設定を尋ねたり、本作の難易度設定について別のユーザーに尋ねたりといった様子も見られる。深刻な状況にも慣れて、本作をプレイすることが同氏の大きな目標になってきた様子がうかがえる。

過去にも、戦時下でゲームが戦争を忘れさせるものとして語られる例はあった。たとえば『S.T.A.L.K.E.R. 2:Heart of Chornobyl』を手がけたウクライナのGSC Game Worldは、2022年のロシアのウクライナ侵攻後にスタッフや家族を避難させつつ開発を継続。海外メディアの取材では、開発者は「オフィスに戻っている8~9時間は戦争のことを考えずに済む」とも語っていた(The Guardian)。状況はそれぞれ異なるが、ゲームやそれにまつわる事象は、現実から目をそらすためだけでなく、日常生活を保つ息抜きにもなりうるのかもしれない。

『S.T.A.L.K.E.R. 2:Heart of Chornobyl』

ちなみに『キングダムカム・デリバランス』では、時代考証にこだわって再現された中世世界や、不便な要素もさまざま用意された没入感も持ち味のひとつ。今では戦時下に慣れてしまったというIllustriousOlive1650氏が本作のプレイに執念を燃やしてきたのも、そうした作風に惹かれた可能性はある。ちなみに同氏によれば、2日間のダウンロードを経てついにインストールが完了し、起動も確認できたとのこと。その後妹にPCをとられてプレイはお預けとなったそうだが、本稿執筆時点ではボヘミアでの旅路を満喫しているかもしれない。今後もIllustriousOlive1650氏が無事に過ごせることを願いたい。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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