山盛りゴブリン蹴散らしゲーム『There Are Millions of Goblins』発表。「5万匹の物理演算」を“スマートに”捌く、技術的意欲作
本作ではとある工夫により、5万体のキャラの物理演算を同時に動かすことができるという。

インディーデベロッパーのBiG INC. CO. LLC.は2月14日、『There Are Millions of Goblins』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作では敵キャラクターをエフェクトと同じ仕組みで描写することで、5万体のキャラの物理演算を同時に動かすことができるという。
『There Are Millions of Goblins』は、乗り物で大量のゴブリンを殲滅するサバイバルアクションゲームだ。プレイヤーは武装車両を操縦し、押し寄せるゴブリンの大群をひいたり、武器で吹き飛ばしながら生き残りを目指すこととなる。3人称視点のほか、見下ろし視点にも対応する。
本作では、さまざまな特性をもつユニークな武装車両が用意され、ゴブリンを倒してレベルアップすることで新たな武器や乗り物がアンロックされる。一度に何千もの敵を倒せる武器も登場するという。武装車両シューター『Twisted Metal』やバイオレンスレース『カーマゲドン』のほか、サバイバーライクとして大ヒットした『Vampire Survivors』に影響を受けているとも発表されているため、ローグライト要素もあるかもしれない。
また本作の最大の特徴は、画面を埋め尽くすほどのゴブリンの一体ずつに衝突判定があることだ。ゴブリンが一か所に集中すれば山のように小高くなり、そこに爆発が起きれば一体ずつがバラバラに吹き飛んでいく。車両が衝突する速度や爆発の威力に基づいて、それぞれが物理演算されているという。


海外掲示板Redditでの開発者の解説によれば、本作では敵キャラクターを従来のような個別アクターではなく、“エフェクト”として制御することで処理負荷を抑制しているという。通常、数万単位のキャラクターをAIと物理演算付きで動かすのは負荷の面で困難だ。そこで、Unreal Engine 5の機能の1つである「Niagara」を応用し、キャラクターをパーティクル(エフェクトを構成する粒子)として扱うことで、GPU主導で処理しているそうだ。
Niagaraは本来、炎や煙、爆発といったパーティクルを、リアルタイムでシミュレーションおよび描画するためのシステムであり、数十万~数百万単位のパーティクルをGPU上で処理することが可能。本作では、キャラクターを「球体」として扱い、キャラ間の距離を計算することによって衝突を再現しているようだ。これにより、毎フレームごとに5万回の物理演算をおこなうような膨大な計算量を回避できるという。なお、まだ最適化前の段階のため、描画キャラクター数をさらに増やせる可能性もあるとのこと。
もちろん、この敵キャラをエフェクトとして制御するアプローチでは個別に異なる動作をするようなAIキャラクターの実装は難しくなる。しかしながら、本作のように押し寄せる大群を吹き飛ばす体験に焦点を絞れば、敵の挙動はプレイヤーに向かうというシンプルな動作で済むわけだ。発想の転換と工夫によって成立した、技術的に興味深い一作と言えるだろう。
ちなみに、本作を手がけるBiG INC. CO. LLC.は2025年4月に、車両ジャンプアクション『Goblintown: Really Hard Driving Game』を早期アクセスとしてリリース。同作向けのアップデートとして、物理演算の数十体のゴブリンをトラックでひき飛ばしていく様子がXに投稿されていた。これを次のレベルに引き上げるために、今回のNiagaraを活用した物理演算に辿り着いたそうだ。本作に興味を持った方は、まずは前作をプレイするのもいいだろう。
『There Are Millions of Goblins』はPC(Steam)向けに配信予定だ。
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